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重要文化財観音寺書院保存修理工事現場の見学会が開催されます!

観音寺書院の外観
【観音寺書院外観】

 草津市の芦浦観音寺に所在する重要文化財観音寺書院では現在屋根こけら葺の葺き替え工事を実施しています。そこで県民の皆様に文化財建造物への理解を深めていただくことを目的に、保存修理工事現場の見学会を実施いたします。今回の見学会は、修理技術者による解説と屋根職人による伝統技法の施工の様子を、工事用足場から間近にご覧いただきます。

見学会の概要、申込方法等

1.名称

重要文化財観音寺書院保存修理現場見学会

2.会場

滋賀県草津市芦浦町芦浦観音寺境内

3.公開日時

令和6年(2024年)10月19日(土)

11:00~、13:00~、14:30~(各回30分程度)

4.内容

工事用足場から間近に建物と檜皮葺の施工を見学していただくとともに、修理技術者による建物についての説明や、屋根職人による伝統技法の体験を予定しています。

5.参加費

 無料

6.参加方法

○事前申込(申込〆切:10月11日(金)17時)

メールまたはFAXにて下記の点を記してお申し込みください。

・観音寺書院現場見学会参加の旨

・参加する方全員分の氏名、住所、連絡先(連絡のつきやすい電話番号)

・参加希望回

※先着順(各回20名程度)

7.申込先

 一般財団法人建築研究協会(担当:古荘)

 電話: 075-761-0003

 FAX:075-751-7041

 メール:[email protected]

8.当日集合場所

阿弥陀堂横の広場(下図星印)※芦浦観音寺の表門からではなく工事用道路からお入りください。

観音寺地図

留意事項

・修理現場の見学ルートには、階段・傾斜面がありますので、動きやすい服装・履物でご来場ください。

・見学時には、現場で用意するヘルメットの着用をお願いいたします。

・修理現場内では、係員の指示に従ってください。

・工事現場内での見学のため、安全上の理由により、見学をお断りすることがございます。

◆荒天等により当日に中止する場合がありますので、ご了承願います。

観音寺書院について

建築年代:江戸前期

構造形式:桁行11.9m、梁間7.9m、一重、入母屋造、西面及び北面下屋付属、こけら葺

指定年:明治40年(1907年)8月28日

概要:

 観音寺(芦浦観音寺)は聖徳太子が開基し秦河勝が建立したと伝わり、中世から近世にかけては琵琶湖の水運権を司って隆盛しました。境内にはそのころに整備された城郭のような堀や石垣が残されています。

 書院は、寺伝によれば徳川家康が上洛の際に用いた永原御殿の一部として江戸前期に建てられたもので、貞享2年(1685年)に観音寺に移されたとされます。また建物に打ち付けられていた祈祷札の年記から、室町後期に観音寺に建てられたという説もあります。全体の纏まりがよく、部分的に数寄屋風の意匠が見られるなど江戸時代前期の書院建築として貴重なものです。

修理前書院こけらの状況
【修理前書院こけらの状況】

今回の工事概要について

 修理前の状況は前回修理から40年以上が経過し、屋根こけら葺全体に腐朽、破損が生じており、建具などに破損が生じていました。また耐震診断の結果、耐風性能が不足することが判明しました。今回の修理事業では屋根杮葺の全面葺替とこれら破損個所の修理、床下の補強を行います。

こけら葺について

 こけら葺とは、厚さ約3mm、長さ約30cm、幅は8cm前後の薄い割板で葺いた屋根のことで、割板はこけら板と呼ばれます。樹種は一般的に椹(さわら)や杉などが用いられ、観音寺書院では椹を使用しています。こけら板はまず丸太を大割包丁と木槌(こづち)を用いて「みかん割」し、次に寸法定規を用いて約48mmの厚みに「分取(ぶどり)」します。その後、24mm、12mm、6mm、3mmと、必要な薄さまで二分割を繰り返し製作されます。それを等間隔に少しずつずらして小舞と呼ばれる屋根の下地に竹製の釘を打ち固定していきます。

 こけら葺の屋根を葺く作業は地道で手間と技術を要しますが、瓦屋根と比べてやわらかい曲線を造り出すことができ、社寺建築の美しい屋根の形を造るために重要な伝統技法です。

こけら葺の施工の様子
【こけら葺の施工の様子】
お問い合わせ
文化スポーツ部 文化財保護課 建造物第一係
電話番号:077-528-4683
メールアドレス:[email protected]