草津市に所在する重要文化財観音寺阿弥陀堂では現在屋根檜皮(ひわだ)葺の葺き替え工事を実施しています。そこで県民の皆様に文化財建造物への理解を深めていただくことを目的に、保存修理工事現場の見学会を実施いたします。今回の見学会は、修理技術者による解説と屋根職人による伝統技法の施工の様子を、工事用足場から間近にご覧いただきます。
1.名称
重要文化財観音寺阿弥陀堂保存修理現場見学会
2.会場
滋賀県草津市芦浦町芦浦観音寺境内
3.公開日時
令和5年(2023年)11月11日(土)
11:00~、13:00~、14:30~(各回30分程度)
4.内容
工事用足場から間近に建物と檜皮葺の施工を見学していただくとともに、修理技術者による建物についての説明や、屋根職人による伝統技法の体験を予定しています。
5.参加費
無料
6.参加方法
○事前申込(申込〆切:11月2日(木)17時)
メールまたはFAXにて下記の点を記してお申し込みください。
・観音寺阿弥陀堂現場見学会参加の旨
・参加する方全員分の氏名、住所、連絡先(連絡のつきやすい電話番号)
・参加希望回
※先着順(各回20名程度)
7.申込先
一般財団法人建築研究協会(担当:古荘)
電話: 075-761-0003
FAX:075-751-7041
8.当日集合場所
阿弥陀堂横の広場(下図星印)※芦浦観音寺の表門からではなく工事用道路からお入りください。
・修理現場の見学ルートには、階段・傾斜面がありますので、動きやすい服装・履物でご来場ください。
・見学時には、現場で用意するヘルメットの着用をお願いいたします。
・修理現場内では、係員の指示に従ってください。
・工事現場内での見学のため、安全上の理由により、見学をお断りすることがございます。
◆荒天等により当日に中止する場合がありますので、ご了承願います。
建築年代:室町前期
構造形式:桁行三間、梁間三間、一重、入母屋造、檜皮葺
指定年:明治34年(1901年)3月27日
概要:
観音寺(芦浦観音寺)は聖徳太子が開基し秦河勝が建立したと伝わり、中世から近世にかけては琵琶湖の水運権を司って隆盛しました。境内にはそのころに整備された城郭のような堀や石垣が残されています。
阿弥陀堂は、様式等から室町前期に建てられたと考えられ、詳しくは分かっていませんが、少なくとも室町末、戦国時代の天文22年(1553年)頃に別の場所から観音寺境内に移築されたと推定されます。かつては書院の近くに南面する形で配置されていましたが、明治期の修理でさらに現在の位置に移築されました。県内では珍しい中世の禅宗様建築で、疎垂木や妻飾りなどにその特徴が表れています。
修理前の状況は前回修理から40年以上が経過し、屋根檜皮葺全体に腐朽、破損が生じており、床下亀腹などに破損が生じていました。また耐震診断の結果、補強が必要であることが判明しました。今回の修理事業では屋根檜皮葺の全面葺替と、これら破損個所の修理、耐震補強を行います。また、来年度は同じく境内に所在する重要文化財観音寺書院の修理に着手する予定です。
檜皮(ひわだ)葺とは、日本に古くから伝わる屋根葺の技法で、ヒノキの樹皮=檜皮を用いた屋根のことです。まず樹齢 80~100 年以上のヒノキの立木から檜皮を採取し、それを屋根に合わせて長さや幅を整えた後、等間隔に少しずつずらして小舞と呼ばれる屋根の下地に竹製の釘を打ち固定していきます。観音寺阿弥陀堂では、厚さ約 1.5mm、長さ約 75cm、幅は約 15 cmの檜皮を1.2 cmずつずらして重ねていく仕様となっています。
檜皮葺の屋根を葺く作業は地道で手間と技術を要しますが、瓦屋根と比べてやわらかい曲線を造り出すことができ、社寺建築の美しい屋根の形を造るために重要な伝統技法です。