生態学琵琶湖賞は、水環境に関連する生態学およびその周辺分野における50歳未満の優れた研究者に贈られる賞です。1991年に滋賀県が創設し、第15回からは、一般社団法人日本生態学会が実施主体となり、滋賀県はその運営に協力しています。
今回、厳正な選考の結果、第22回生態学琵琶湖賞の受賞者が、鏡味麻衣子氏(横浜国立大学大学院情報研究院都市科学部教授)および徐军氏(中国科学院水生生物研究所淡水生態学研究センター副センター長)の2名に決定しました。
つきましては、以下の日程で、授賞式および受賞記念講演(無料)が行われますので、ぜひともご参加ください。
令和5年7月8日(土)14:00~16:30(13:30開場)
滋賀県庁新館7階大会議室(オンライン併用)
14:00~14:30
出席者:滋賀県知事、一般社団法人日本生態学会長、生態学琵琶湖賞運営委員長、生態学琵琶湖賞選考委員長ほか
14:45~16:30
講演1
鏡味麻衣子(かがみまいこ)氏
「琵琶湖から広がる泳ぐカビの世界:ツボカビの謎に迫る」
キノコやカビは水の中にも生息しています。その中でも「ツボカビ」という種類 が,湖で重要な働きをすることが、琵琶湖での研究をきっかけに明らかになってきました。ツボカビは、大量発生する植物プランクトンに寄生することで、物質の流れを変える役割を果たします。また、ツボカビはミジンコの餌となり、食物網を支えます。本講演では、ツボカビを介した物質の流れ「マイコループ(Mycoloop)」の命名経緯や琵琶湖での最新研究、海洋や雪氷圏、都市での研究展望についてお話しします。
講演2
徐军(XUJun)氏
「Aquatic Ecology in a Changing World」
As an aquatic ecologist, my research interests are broad and encompass various areas within the field. In this talk, I will discuss my research interests in aquatic ecology, which are mainly focused on trophic interactions in food webs, macroecological diversity, and applied issues of ecological theory in aquatic ecosystems. I will cover topics such as the relationships between species richness and food web properties, nation-wide patterns of aquatic organism diversity in China, ecological niches of aquatic species, multiple stressors on freshwater biodiversity, and the effects of climate change on eutrophic aquatic ecosystems. The goal of my talk is to share insights and promote understanding of aquatic ecology.
―― 以下和訳 ――
「変化する世界における水圏生態学」
水圏生態学者としての私が興味のある研究テーマは幅広く、この分野の様々な領域を網羅しています。本講演では、私の水圏生態学の研究テーマである食物網における生物間相互作用、マクロ生態学的多様性、水圏生態系における生態学的理論の応用などを中心にお話しします。例えば、種の豊富さと食物網の特性の関係、中国における水生生物の多様性の全国的なパターン、水生生物種の生態学的ニッチ、淡水の生物多様性に対する多重ストレス要因、富栄養化した水圏生態系に対する気候変動の影響などを取り上げる予定です。私の講演の目標は、水圏生態学に関する洞察を共有し、理解を促進することです。
一般社団法人日本生態学会事務局琵琶湖賞担当([email protected])まで、お名前・所属・連絡先メールアドレスをお知らせください。
詳しくは、一般社団法人日本生態学会のホームページをご覧ください。