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家畜伝染病予防法が改正されました

平成22年4月、宮崎県で口蹄疫が発生し、大きな被害をもたらしました。また、平成22年11月には高病原性鳥インフルエンザが発生し、平成23年3月までに9県24例の発生がありました。

このような状況を踏まえて、家畜の伝染病を早期に発見するための届出制度や発生農家等への支援の充実、海外からの病気の侵入を防ぐための水際検疫の強化などの措置を講じるために、家畜伝染病予防法が改正されました。

改正では、農家の皆様にも、家畜保健衛生所にも遵守の徹底が求められています。すでに、旧法の時点のもので、匿名ではありますが、遵守されていない事例が農林水産省のHPに公表されています。

ポイント

<改正のポイント>

  1. 海外からのウイルスの侵入を防ぐため、水際での検疫措置を強化
  2. 家畜の所有者は
    • 日頃からの消毒等の衛生対策を適切に実施
    • 家畜の飼養衛生管理の状況を都道府県へ報告
    • (都道府県は、家畜の飼養衛生管理が適切に行われるように指導、助言、勧告、命令)
  3. 飼養衛生管理基準の内容に埋却地の候補(偶蹄類、家きん)等についても規定
  4. 患畜・疑似患畜の届出とは別に、一定の症状を呈している家畜を発見した場合、獣医師・家畜の所有者は、都道府県へ届出(都道府県は遅延なく国へ報告)

一定の症状の内容

(表)
牛・水牛・鹿・めん羊・山羊・豚・いのしし 1.~3.のいずれかの症状を呈していること 対象伝染病
1.次のいずれにも該当する・39.0℃以上の発熱・泡沫性流涎(よだれ)、跛行、起立不能、泌乳量の大幅な低下、泌乳の停止・口腔内、鼻部、蹄部、乳頭等に水疱、びらん、潰瘍等がある 口蹄疫
2.同一の畜房内において、複数の家畜の口腔内、鼻部、蹄部、乳頭等に水疱、びらん、潰瘍等がある
3.同一の畜房内において、半数以上の哺乳畜が当日および前日の2日間において死亡
症状牛

舌のびらん 大量の流涎 口腔内の水疱

症状豚

蹄冠部皮膚のびらん 鼻平面の潰瘍

(表)
鶏・あひる・うずら・きじ・だちょう・ほろほろ鳥・七面鳥 次の1.2.のいずれかの症状を示していること 対象伝染病
1.同一の家きん舎内において、1日の家きんの死亡率が過去21日間における平均の家きんの死亡率の2倍以上となること 高病原性鳥インフルエンザ
2.当該家きんにA型インフルエンザウイルスの抗原またはA型インフルエンザウイルスに対する抗体が確認されること 高病原性または低病原性鳥インフルエンザ
症状鶏

死亡鶏の状態の例

5.口蹄疫のまん延を防止するためにやむを得ない時は、まだ感染していない家畜についても殺処分(予防的殺処分)を実施し、国は全額を補償

6.発生時において都道府県は消毒ポイントを設置でき、通行車両は消毒を受ける

7.口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザ等の患畜・疑似患畜として殺処分される家畜については、特別手当金を交付し、通常の手当金と合わせて評価額全額を交付

8.ただし、通報などの防止措置を怠った者に対しては、手当金・交付金を減額または不交付

また、飼養衛生管理基準についても内容が見直されました。

新しい飼養衛生管理基準の概要

  • 農場の敷地を、衛生管理区域と、それ以外の区域に区分する
衛生管理区域2

コーンや白線を用いた衛生管理区域とその他の区域との区別

  • 消毒設備の設置による衛生管理区域への病原体の持ち込み防止
消毒2

消毒用ポンプ 消石灰帯

  • 野生動物等からの病原体感染防止
防鳥ネット2

野生動物侵入防止用ネットの設置例

  • 埋却地の確保(新規に農場を開設、または畜舎を増設し、増頭した場合)
  • 感染ルート等を早期に特定するため、入場者等に関する記録を作成・保存
出入りチェック表

改正に伴い、家畜を飼われている皆様には年一回の飼養衛生管理状況の報告が義務づけられました。平成23年度については、現在報告書を提出していただいているところですが、平成24年からは、2月1日時点の状況について、以下の報告が必要となります。

報告内容2

衛生管理区域の設定や、入場者に関する記録など、個々の農場によって設定が難しい事案もあると思います。不明な点については当所にご相談ください。

お問い合わせ
滋賀県家畜保健衛生所 
電話番号:0748-37-7511
FAX番号:0748-37-4821
メールアドレス:[email protected]