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滋賀県家畜保健衛生所管内の畜産の概況

(平成22年度)

1)地域の特徴

滋賀県は、日本列島のほぼ中心に位置し、東南は三重県、東に岐阜県、西は京都府、北部を福井県に接し、近畿地域の北端部に当たる。県土中央に我が国最大の淡水湖である琵琶湖が横たわり、全面積( 4,017K平方メートル )の約1月6日を占めている。
全体として、近江盆地を形成する本県の気候は、おおむね内陸的な特徴があるものの、琵琶湖の影響を受けて温和なものになっており、県南部は瀬戸内型、北西部は北陸型、東北部は東海型気候の影響を受け、地域的変化に富んでいる。このため、北西部は豪雪に見舞われる年があり、南部には旱ばつに備えた溜池も多い。

琵琶湖に由来する「近つ淡海(あわうみ)」近江の国は、古くから農耕文化が発達し、我が国の東西、南北を結ぶ交通の要衝として、主要な街道が走っていた。現在も、物資輸送の大動脈である幹線道路、鉄道が通じ、交通網の要となっている。近年、京阪神のベッドタウンとして開発が進み、県南部、東部を中心に農業地帯の都市化、混住化が進行し、人口の増加が続いている。

本県農業は、古来、稲作が中心で、全耕地面積53,400haの内、92%の 49,200haが水田であり(平成22年耕地面積統計調査)、農家戸数は36,017戸の内、主業農家は6.1%である。また、基幹的農業従事者は農業就業人口29,492人の34.6%となっている(2010年農業センサス)。県の農業粗生産額は581億円であり、畜産は110億円で19.0%を占め、米の58.0%に次ぎ、第2位となっている。(平成21年生産農業所得統計)

2)畜産の概況

平成23年2月1日現在の飼養戸数・頭羽数は、乳用牛76戸、4,096頭、肉用牛109戸、17,566頭、豚12戸、8,074頭、採卵鶏48戸、580,905羽、肉用鶏12戸、128,827羽となり、いずれも全国シェアは1%にも満たないが、1戸当たり飼養頭数は、乳用牛53.9頭、肉用牛161.2頭と大家畜では大規模化している。養豚、採卵鶏、肉用鶏においては経営規模は小さいものの地場消費と結びついた堅実な経営が見られる。(参考資料参照)
飼養戸数は、年々、漸減しており、就業者の高齢化と後継者不足に加え、畜産物の消費低迷、飼料価格高騰等から、いずれの畜種においても先行きの減少が危惧されている。

乳用牛

本県酪農は、京阪神の大消費地を控え、都市近郊の生乳生産地域として主業自立経営が多く、水田稲作との複合経営が主体となっている。飼養農家は東近江地域に最も多く、甲賀、湖西地域がこれに次ぐ。飼料価格高騰による収益性の悪化や畜主の高齢化等により、前年に比べ飼養戸数は4戸減少したが、飼養頭数は33頭の減少にとどまった。農家1戸当たりの飼養頭数は53.9頭と増加した。

肉用牛

本県の肉用牛は、肥育経営が主体であり、東近江地域を中心に営まれている。特に和牛にあっては、産地から素牛を導入し、高度な肥育技術で高品質な肉牛に仕上げるのが特徴で、「近江牛」の銘柄向上に向けて、農家および関係機関が積極的に取り組んでいる。東近江地域では、和牛の繁殖から肥育までの一貫経営が徐々に拡大している。また、国外への牛肉の輸出も始まり、マカオ、シンガポールに向けた出荷が行われている。
飼養戸数は前年に比べ2戸減少、飼養頭数については、和牛肥育牛が194頭、肉向乳牛が77頭、F1肥育牛が365頭減少したが繁殖牛は164頭、哺育育成牛は79頭増加した。1戸当たりの飼養頭数は前年より0.6頭減の161.2頭となったが、依然全国のトップレベルにある。

本県の養豚は、水稲との複合経営が主体となっており、東近江地域を中心として一貫経営を展開している。肥育専業の経営はわずかで規模も小さい。畜主の高齢化、周辺の都市化により経営意欲の減退している経営も見られるが、家族労働に依存した堅実な経営が多い。
飼育戸数は前年より1戸減少したが、飼養頭数は、前年よりも857頭増加した。その内訳は、肉豚が914頭増加、繁殖豚は57頭の減少であった。1戸当たり飼養頭数は481.4頭となり、前年より58.2頭増加した。

採卵鶏

全国的に見て本県の経営規模は小さく、水稲との複合経営が中心となっているが、地場消費と結びついて有利な販売を行う経営が多い。飼養農家の所在は東近江地域が中心となっている。

飼養戸数は前年より1戸減少し、飼養羽数は14,744羽減少した。

肉用鶏

20,000羽以上飼養の3戸の農家が飼養羽数の96%を占め、小規模農家は食鶏販売と結びついた経営で、東近江、甲賀、湖東地域が中心となっている。
滋賀県畜産技術振興センターで開発された特産鶏「近江しゃも」は需要が固定してきており、販路の拡大・安定を模索している。

飼養戸数は前年と同じ12戸で、飼養羽数は14,880羽増加、前年比の113.1%の増となった。

養羽数は40,307羽増加した。

湖南地域の栗東市には日本中央競馬会(JRA)のトレーニングセンターがあり、常時2,000頭前後の競走馬が繋養されている。甲賀、東近江地域を含めた周辺地域には8戸の牧場が散在し、これらを含め競走馬の総数は 2,388頭であった。

また、乗馬クラブ等13戸に飼養される乗用馬等は188頭であった。

みつ蜂

本県には業として転飼養蜂を営む者は少なく、レンゲ、トチ、その他雑蜜を対象に県内で移動または定置採蜜する養蜂家と、ハウス果菜や果樹の交配用に飼育する農家など36戸、1,211群が飼育されている。戸数は前年と同じで、群数では4群の微増であった。近年、養蜂家が花粉交配用に蜂群をレンタルする例が増加している。

特用家畜

主なものは、アイガモが4戸1,266羽、めん羊5戸62頭、山羊8戸39頭であった。