ビワマスは、サケ科の琵琶湖固有種で、10月下旬〜11月下旬にかけて河川で産卵します。ふ化した稚魚は、昆虫などを捕食しながらそこで成長し、6〜7月には体長7cmほどになって琵琶湖に下ります。成熟には2〜4年かかり、大きいものは60cmを越えます。琵琶湖では、アユ、スジエビなどを食べて大きくなります。
ビワマスは、主に春から夏にかけて沖合で刺網により漁獲されています。アユなどを食べて脂ののった魚体は、刺身や塩焼きなど格別なおいしさです。
ビワマスは、10月~11月に雨が降って川が増水すると、産卵のために大挙して川を上がります。このことから、この時期のビワマスを特に「アメノイオ(またはアメノウオ)」と呼びます。このアメノイオを米といっしょに炊き込む「アメノイオごはん」は、滋賀県の無形民俗文化財にもなっています。
資源保護のため一定の大きさに達しない個体を採捕することは禁止されているほか、毎年10月1日から11月30日が採捕禁止期間に定められています。また、100年以上前から漁業団体(現在は滋賀県漁業協同組合連合会)によって種苗(稚魚)放流がなされており、県ではこれらの事業を支援しています。
漁獲量は、近年ほぼ20〜50トンの範囲で安定して推移しています(下図)。
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ビワマスの放流について、詳しくは「滋賀の水産」P.27をご参照ください。
出典:
S29~H21 滋賀県農林水産統計年報(近畿農政局 滋賀農政事務所)
H22~R3 漁業・養殖業生産統計(農政水産省)
ビワマスの推定資源量は、平成18年から平成30年まで100トン前後で推移していましたが、令和元年以降、150トンを上回る水準に増加しました。
近年、ビワマス資源は漁業のほかに引縄釣り(トローリング)による遊漁利用が盛んになっています。これにともない遊漁採捕量も増加傾向にあり、令和3年には20トンを上回りました。過剰な資源利用や漁業と遊漁とのトラブルを防ぐため、毎年、資源の状態を踏まえて遊漁ルール(琵琶湖海区漁業調整員会による事前承認、遊漁期間、竿数、持ち帰り尾数、採捕数の報告など)を設定しています。