滋賀県の人工林の約7割が利用期(46年生以上)を迎え、一方で若齢林が少なく、高齢化が進行しています。
森林は「伐って、使って、植えて、育てる」というサイクルを通じて再生産が可能な資源であるため、主伐・再造林を進めていくことが大切です。
森林資源の循環利用は、琵琶湖の水源林の健全な育成や保全につながり、水源涵養をはじめ、県土の保全や生物多様性の保全など、【森林の有する多面的機能】を持続的に発揮されます。
我が国の森林は、様々な働きを通じて国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与しており、これらの働きは「森林の有する多面的機能」と呼ばれ、具体的には以下のとおりです。
森林は二酸化炭素(CO2)を吸収し、炭素(C)として固定するとともに、木材として建築物や木製品などに利用することで炭素(C)を長期間貯蔵可能です。(前述の地球環境保全機能)
成長期の若い樹木は二酸化炭素をたくさん吸収して大きくなるが、木が成熟すると、二酸化炭素の吸収量は減少します。
建築物に木材を使用する木造建築物は、森林と同じように炭素を長期間固定することから「第二の森林」とも言われます。木造建築物が増えることで「都市(まち)の木造化」が進みます。
引用元:長野県地域森林計画主要樹種林分材積表に基づく試算、グラフ作成:森林・林業学習館
木造は、鉄骨プレハブ造や鉄筋コンクリート造に比べて、炭素貯蔵量が大きいです。
また、木材は、鉄やコンクリート等の資材に比べて、製造・加工時の消費エネルギー量が少なく、二酸化炭素(CO2)排出削減に貢献します。
県産材(地域材)を県内で生産、加工し、県内の建築物等へ利用することにより、輸送時のエネルギー消費も少なくなり、二酸化炭素(CO2)排出削減に貢献します。
県産材利用は、地域資源の地産地消の効果により県内の林業・木材産業を活性化させます。さらに森林所有者の森林経営意欲を高めて、森林整備を促進することにつながります。
生産誘発倍率とは、木材への支払額(最終需要額)に対して、地域内の他の産業の生産を誘発した額(生産誘発額)が、何倍見込めるかを示しています。
県内で生産・加工したびわ湖材を使うと、林業・木材加工業・流通業といった県内産業への経済波及効果が最も大きくなります。移輸入材(国内外問わず県外から調達)では、流通業と運輸業にのみ経済効果が生じます。
伝統的な木造建築が数多く存在する日本において、建物を作り上げてきた大工の技術と知恵は、重要な文化です。しかし、現在、大工の担い手は減少傾向でかつ高齢化が進み、担い手不足による木材のプレカット化が進むことにより、伝統的な大工技術が廃れてしまう可能性があります。
木造住宅や木造建築は、設計者や大工の伝統的技術や木材利用文化の継承、木材利用の新技術の発展の場を提供する機会でもあります。
木材には、「断熱性」「弾力性」「肌触りの良さ」「調湿作用」「消臭・抗菌効果」等の様々な特性があります。建築物への木材利用(内装木質化)による効果は、以下のとおり示されています。
効果の分類 | 効果の分類の種類 | 解説 |
---|---|---|
心理面 | ・リラックス・癒し効果 ・心地良さ・落ち着き感を高める効果 ・愛着心を高める効果 ・モチベーション・積極性を高める効果 | 人の心理面に作用する効果で、「リラックス」「心地よさ」は建物用途を問わずに感じるとの声があります。「モチベーション」は特に事業系の建物の就労者の声が顕著です。 |
身体面 | ・免疫力アップの効果 ・感覚を刺激する効果(リフレッシュ・覚醒) ・疲労感を緩和する効果 ・安全性を高める効果 ・良い眠りを引き出す効果 | 人の身体面(健康・安全)に作用する効果です。「リフレッシュ」「疲労感の緩和」は建物用途を問わずに感じるとの声があります。「免疫力アップ」「安全性」は特に医療系、教育・子育て系の建物の利用者に有効であると想定されます。 |
衛生面(屋内環境改善) | ・湿度を調節する効果 ・消臭や抗菌の効果 ・ダニの防除効果 | 屋内環境を改善して衛生性を高める効果で、建物用途を問わずに共通に得られます。なかでも居住系、子育て・教育系の建物でこの効果を活かすことが奨められます。 |
学習・生育面 | ・子供の集中を助ける効果 ・自然を知る・学ぶ効果 | 自然素材である木を身近に感じ触れることで、子供の発育や教育の面で寄与すると考えられます。 |
生産性 | ・作業性・業務効率を高める効果 | 知的生産、労働生産に携わる方の集中力を高め、業務等の効率向上に寄与すると考えられます。 |
※科学的なデータについては以下の本体を参照ください。
引用元:「建物の内装木質化のすすめ(内装木質化した建物事例とその効果)令和3年度版」https://www.daimoku.jp/others/mokusituka.php より抜粋
◇木製品利用による効果
人間への生理的影響の直接的評価
引用元:※1 森林総合研究所 : 第 3 期中期計画成果集(2016)※2 恒次裕子ほか : アロマテラピー学雑誌
関連:びわ湖材を用いた木製品カタログ|滋賀県ホームページ (shiga.lg.jp)
⽊材の利⽤拡⼤等を通じ、森林資源を循環利⽤することで、様々なSDGsに貢献。
引用元:林野庁〜森林を活かした都市等のウッド・チェンジ~ハンドブック https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/kidukai/mokuri_kyoutei/index.html / MLGs WEB https://mlgs.shiga.jp/