農地を農地以外のものにすることを、「転用」といい、転用を行う場合には、原則として、農地法の許可を受ける必要があります。
ここでいう「農地」とは、耕作の目的に供される土地のことをいいます。具体例として、次のような土地は、一般的に農地と判断します。
◇登記地目が田や畑である土地
◇現に農作物の栽培を行っている土地、または農作物の栽培のための準備(土地の耕起等)を行っている土地(この場合、登記地目が田や畑以外であっても、農地と判断します。)
また、農地以外にも、採草放牧地(農地以外の土地で、主として耕作または養畜の事業のための採草または家畜の放牧の目的に供される土地)を採草放牧地以外のものにする場合にも、原則として、農地法の許可を受ける必要があります。
農地転用許可には、農地法第4条に基づく許可と、農地法第5条に基づく許可の2種類があります。
◇第4条:転用を行うに当たって、権利の設定・移転(所有権移転や賃貸借契約の締結等)を伴わない場合(例:自己所有農地を転用する場合)
◇第5条:転用を行うに当たって、権利の設定・移転を伴う場合(例:転用する目的で、他人から農地を購入し、購入した農地を転用する場合)
また、仮設工作物の設置や砂利採取事業の実施等、一時的な利用に供する目的で農地転用を行う(一時転用)場合にも、農地転用許可を受ける必要があります。
この一時転用の場合には、許可期間が設けられ、許可期間満了日までに、農地に復元しなければなりません。
農地転用の許可基準には、立地基準と一般基準の2種類があり、双方の基準を充足しなければ、許可できません。
ア.立地基準(営農条件および周辺の市街地化の状況からみた農地の区分に応じた許可基準)
立地基準は、農地を「農用地区域内農地」、「甲種農地」、「第1種農地」、「第2種農地」、「第3種農地」の5つに分類し、農地区分ごとに定められた許可基準を充足するか否かで、許可の可否を判断します。
◇農用地区域内農地:農業振興地域の整備に関する法律の規定により、市町が定める農業振興地域整備計画において、農用地等として利用すべき土地として定められた土地の区域内にある農地
◇甲種農地:第1種農地のうち、市街化調整区域内にある特に良好な営農条件を備えている農地
◇第1種農地:集団的に存在する農地その他の良好な営農条件を備えている農地
◇第2種農地:市街地の区域または市街地化の傾向が著しい区域に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地
◇第3種農地:市街地の区域内または市街地化の傾向が著しい区域内にある農地
(※上記のいずれの区分にも該当しない農地は、第2種農地として、取り扱われます。)
「第3種農地」は、原則として許可することができます。
「第2種農地」については、申請に係る農地に代えて周辺の他の土地を供することにより、転用目的を達成することができないと認められる場合には、許可できます。
「農用地区域内農地」、「甲種農地」、「第1種農地」の転用については、原則許可できませんが、例外的に許可ができる場合もありますので、詳細については、農地が所在する市町の農業委員会にご相談ください。
イ.一般基準
次のいずれかに該当するときは、許可することができません。
(ア)農地を転用して申請に係る用途に供することが確実とは認められない場合
(イ)周辺の農地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
(ウ)地域における農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
(エ)仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するため農地を転用しようとする場合において、その利用に供された後にその土地が耕作の目的に供されることが確実と認められない場合
なお、上記許可基準の詳細は、農林水産省が作成する各種通知に規定されています。
農林水産省ホームページにて、ダウンロードが可能ですので、こちらもあわせてご参照ください。
農林水産省HP:https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/nouchi_seido/nouchi_sandan.html
滋賀県においては、「農地の所在」と「転用面積」により、許可権者(許可処分を行う権限を有する者)が異なります。
農地の所在 | 転用面積(~2ha以下) | 転用面積(2ha超~4ha以下) | 転用面積(4ha超) |
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近江八幡市 | 市農業委員会会長 | 市農業委員会会長 | 市農業委員会会長 |
大津市 | 市農業委員会会長 | 滋賀県知事 | 滋賀県知事 |
他の17市町 | 市町農業委員会会長 | 市町農業委員会会長 | 滋賀県知事 |
ただし、許可権者が滋賀県知事であっても、許可申請書の提出先は、農地が所在する市町の農業委員会です。
許可申請後、許可書交付までの一般的な手続きは、以下のとおりですが、事案によっては、このとおりに進まないこともあります。
農地転用を検討されている方は、まずは、転用しようとする農地が所在する市町の農業委員会にご相談ください(農業委員会名をクリックすると、各市町農業委員会のホームページに遷移します。)。