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平成19年度遺伝子組換え作物栽培指針検討委員会

会議概要(平成20年2月5日開催)

日時

平成20年2月5日(火曜日)10時00分から12時15分

場所

滋賀県庁本館4A会議室

出席者

高橋委員、長谷川委員、大島委員、田中委員、脇坂委員、深尾委員、小川委員、佐野委員、城島委員、佐原委員(代理)(10名/10名出席)

大阪大学コミュニケーションデザイン・センター平川秀幸准教授

山岡農政課長、大谷農業技術振興センター次長、北村農政課参事、その他農政水産部関係職員

議事の概要

開会あいさつ(山岡農政課長)

遺伝子組換え作物を取り巻く情勢および県の取り組みについて

事務局から資料により説明。

話題提供「消費者とのコミュニケーション活動のあり方について」

大阪大学コミュニケーションデザイン・センター平川秀幸准教授より資料により話題提供。

意見交換

(学識経験者委員)
  • コミュニケーションの仕方が悪いのかもしれないが、遺伝子組換え作物に関する講演会を開催しても、関係者しか参加されない。遺伝子組換え作物に対して一般の方の関心が薄れているのではないか。
(消費者委員)
  • 一般的に、消費者は熱しやすく冷めやすい。遺伝子組換え食品が最初に問題となったときは、研修会を実施し、多くの参加者が来られた。近年は、遺伝子組換えだけでなく、多くの消費者問題がある。消費者は遺伝子組換えに対して関心がなくなっているわけではない。
(学識経験者委員)
  • 遺伝子組換え作物について一度大きく騒いだことで、十分イニシエーション(通過儀礼)として心の中に永遠に残っているのではないか。公聴会への出席が少なくなっても双方向の話し合いの場を定期的に作る必要があると考える。
(消費者委員)
  • 間違った情報により間違った理解をしていることが多いと思う。もう一度確かな情報を伝えることが必要で、そうしないと、問題となった時、また前回と同じような行動が出てくる。今、きちんとした本当の情報提供が必要である。
(消費者委員)
  • 地域の女性の方は遺伝子組換え大豆については関心がある。遺伝子組換え大豆について、詳しい説明してほしいとの地域の声もあり、正しい説明をしてほしい。
(学識経験者委員)
  • 県としても、農業技術振興センターのように情報提供の場を設けているが、現在の情報提供の方針は継続してもらいたい。
  • 安全性評価については、3つの視点での評価があり、「食品として」、「飼料として」の安全性についてはかなり理解が進んだと考えている。
(消費者委員)
  • 食の安全・安心条例化を求める滋賀県民会議の中で論議してきており、食品としての安全性は確保されていると考えるが、生物多様性や環境の問題については、いろんな議論がある。この問題は、現在なおコミュニケーションギャップがかなりある。
  • 遺伝子組換え作物は安全性に問題なく、経済性はむしろ優れている。優れているだけに、世界の市場・種苗を席けんするのではないかという懸念がある。アメリカでは遺伝子組換えが日本の耕地面積の何倍もある。ブラックバスやブルーギルのように繁殖力に優れているものに、あっというまに席けんされ、多様性や生態系が取り返しがつかない状況になるのではないか。実際に制御できるのか?在来種や日本の農業、生活価値観を守れるのか、優れているだけに不安が残る。国もこの件についての戦略性が欠如していると認めている。琵琶湖を抱える滋賀県として規制もあるが、どこまで実用性・有効性があるのか見極める必要があると思う。
(生産・流通委員)
  • 市場でも虫が食べていると規格外になる。無農薬でやれば虫が食うことなど、認識を改めて欲しい。
(学識経験者委員)
  • 生物の多様性、資本の寡占について、また戦略性については、留意しておかないといけない。
(消費者委員)
  • 話題提供については、考え方の指標、元になるものと思うので、多くの県民の方に聞いていただく機会があればいい。
  • 情報を知ると新しい不安が出てくる。情報発信のときに考慮が必要と感じる。
  • 最終的に寡占化と環境に対する影響の問題は残り、答えが出るには時間がかかると思う。日本では使っていないので良いが、世界の(影響についての)状況について知りたい。
  • 自己責任、自己判断が大切と聞いているし大事と思う。
  • 中国に対しては、不安・不信と感じながらつきあっている。生協とは信頼関係でつきあってきた。中国に対する不信と生協に対する安心感を秤にかけて、生協が大丈夫といっているから大丈夫と。○○会社だから、県だから・・という判断基準がある。(生協、県、消費者等)それぞれが気のゆるみがないようにお願いしたい。
  • 化学調味料を全く子育てで使わなかったため、子供が大きくなってたくさん食した時に問題があった。100%安全を求めることにも問題がある。
(学識経験者委員)
  • 生物多様性影響評価は大変厳しくされている。
  • 除草剤抵抗性品種は、特定の除草剤のある中では強いが、ないところでは通常品種より生育がよくない。
  • 日本の野菜の種苗関係も大手が多く占めており、特定の企業だけが日本の市場を席けんするようなことはないと考えている。
(学識経験者委員)
  • 専門家の説明だけでは理解されない。専門家がセミナーをすることは、リスクコミュニケーションの重要な一部だが、行政等が一方的に情報を提供することは、一方向からのメッセージであり、リスクコミュニケーションは本来、双方向のものである。
(学識経験者委員)
  • 一般論としては、マスコミは、的確な情報を伝えるべき重要な主体であるが、混乱の源にもなっている。農林水産省でも、マスコミ(新聞社)の科学部と勉強会をしてきている。意見交換や勉強会をして、できるだけセンセーショナルな形で情報が出ないように努めている。情報の出方が、記者の思いこみでないように、バランスがとれていくようにしていけば、少しは変わってくる。しかし、メディアが取り上げるのは、問題が指摘される時なので仕方がないこともある。
  • 風評については避けられない。出てくる情報が少ない状況では、危機回避として仕方がない行動ではある。しかし、日本社会の中で、風評に対してだいぶなれた。パニックにならないようになってきた。(背景としては)積極的に情報を出してきたこともある。2001年のBSEの時と風評に対する考え方についてはだいぶ変わってきている。
(消費者委員)
  • 視聴率重視で、メディアが無用に強調報道してきた。テレビの影響が大きい。
  • 行政としては、正確できちんと正しい情報提供を行うべき。全体の構成(フレーミング)の考え方が大事である。安全性、安心についても一面的に鵜呑みにするのではなく、相対的にすることが大事である。生産者、行政、消費者等、立場の違う人がコミュニケーションすることが物事を相対的・双方向的に見ることとなる。
(学識経験者委員)
  • 遺伝子組換え作物については、消費者と生産者の間のコミュニケーションが進まないと、理解が進まない。
(生産・流通委員)
  • 風評被害はまだまだあり、流通業としてはすごく不安である。農薬は全て悪いとなっているが、使用基準さえ守れば安全であるのに、これも1つの風評被害である。
(学識経験者委員)
  • 一般の認識はその通りである。たとえ正しいを知識与えても、また新たな不安が生じる。これは非常にやっかいである。そこまで踏み込んで議論が必要と思う。
  • 風評被害については指針には記載ない。他の県でも指針作成されているが、また見直す県もあると聞いているが、どの県も風評被害にウエイトが移ってきているとは思うが、栽培指針の中に入れるのはどうか。
(学識経験者委員)
  • 指針があること自体が、安心となる。条例や指針が各府県にあり、風評被害を防ぐ、避けるためにある。無秩序な広がりではなく、慎重にしていることを示すことになる。
  • ある都道府県ではBSE発生のショック大きかった。この影響により関係のない農水産物まで売れなくなったと聞いている。風評被害を避けるため、指針を作ったとも言える。これを作ったことで避けられている。
  • 県民全体が知ることは難しいが、仕組みがあって検討会があり、(検討会が)行われていることを積極的にアピールすることが大事。指針がきっちりしていると風評被害は抑えられる。
  • いざとなったときに情報がいろいろなところであるようにすることがよい。また、その情報が集約されていること、情報自体の信頼性が大事。
(消費者委員)
  • これでもかというくらい丁寧に情報を出して欲しい。
  • 最後は信頼である。県が言っているから大丈夫と言ってもらえるようになることが大事。
(生産・流通委員)
  • 安全は数値で表現できるが、安心は数値でなく個々の判断である。指針に言葉で表現するのは難しい。指針を変えることまでにはならないと思う。
(生産・流通委員)
  • 第3者が安全といっているのではなく、遺伝子組換え作物を作っている者が安全と言っているだけでは、安心ではない。
(生産・流通委員)
  • 遺伝子組換えがどれだけ安全か分からない。不安である。
(学識経験者委員)
  • 消費者は食品全般に関心がある。食品全般に関して、総合的に安全確保の取り組みしている姿勢を見せることが大事。組換えだけでは関心が向かない。食品の安全というキーワードあげれば、数が多い。遺伝子組換えはそのうちの1つである。その意味で総合的にすること大事。
(学識経験者委員)
  • 遺伝子組換え作物についての安全性は、生態系への影響に関心が移っている。
  • 不安は定量的に計れる指標ではない。科学技術者の手の届かないところにある。並行的に、風評被害については常に関心を持ち、考えていくことが大事である。
(座長まとめ)
  • 現行の栽培指針はこのままとして、もう少し社会情勢の変化等を見て、必要により見直しを考えることとする。

閉会

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