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遺伝子組換え作物栽培指針検討委員会(平成17年10月14日)

会議概要

日時

平成17年10月14日(金曜日)14時30分から16時40分

場所

滋賀県庁本館4A会議室

出席者

高橋委員、長谷川委員、大島委員、田中委員、脇坂委員、深尾委員、北川委員、佐野委員、城島委員、西山委員(10名/10名出席)

橋本農政水産部長、寺田農政課長、渡辺農業技術振興センター次長、藤川農政課参事、その他農政水産部関係職員

議事の概要

開会あいさつ(橋本農政水産部長)

座長の選任

設置要領第3条に基づき、委員の互選により、高橋克忠委員を座長に選任

座長あいさつ

委員自己紹介

事務局説明

資料に基づき、事務局(藤川参事)から、指針のねらい・ポイント、指針策定以降の遺伝子組換え作物をめぐる状況および県の取組等について説明。

委員からの主な意見等

(学識経験者委員)
  • 油をしぼる大豆については、世界の大豆の半分以上は遺伝子組換えである。農薬の使用量については、遺伝子組換え大豆の方がトータル的にはかなり少ないことが統計的に明らかになっている。
  • 加工食品の表示義務については、豆腐、油揚げ、味噌等は表示義務があるのに対して、大豆油や醤油については表示義務が無いということで、消費者にとっては非常にわかりにくい。
  • 遺伝子組換え等の現在の表示方法については、5%以上遺伝子組換えを含んでいたら表示しなさい、それ未満なら表示しなくていいとなっているが、実際のところ、検査では遺伝子組換えが何パーセント含まれているかは判別できないのが現状である。
  • 県の活動だけで遺伝子組換え作物の理解の溝を埋めていくのは非常に難しいし、継続した活動が必要である。研究者も正しい知識を得ていただくために普及活動を行っているが、県も一緒にがんばっていただきたい。
  • 今の遺伝子組換えでない食品は、絶対安全だと思っている消費者がかなりおられるようで、遺伝子組換えにした途端、それが不安になり環境に影響があると言う。遺伝子組換えといっても3〜5万ある遺伝子の内の1つか2つ入れ換えるだけで、本質的には大豆は大豆、トウモロコシはトウモロコシであるので、花粉の飛ぶ距離も基本的には全く同じはずである。そうでないと認可は出ない。そこが、専門家と消費者とでいつも平行線となってしまうことなのであるが、世界では食料不足や飢餓の問題があって、組換え作物で救われている人がいる中で、遺伝子組換え作物を買わないのは勝手であるが、作らせない運動をやる人がいることについては、どうかと思う。
  • 風評被害というのは、元々は不安を持っている消費者に対して、十分に応えることができていないのが原因。心理学では、理解と行動の不一致という言葉がある。例えば、遺伝子組換え作物の審査方法について説明したら皆さん納得はされるが、その後遺伝子組換え作物を買うかというのは別。いくら頭で判っても行動に移らないのが人間である。
  • これまでやってきた方式については根本から見直さなければならない。これからは、社会科学的手法を導入して、自然科学との両方から積み上げていかないと、市民と共有できる自然科学の進歩はあり得ないと思う。これまで国や県がこのような場に有識者を呼んできて、一般市民も参加してパネルディスカッション等をやってきたが、そのことで成果が得られていれば、こういう事態にはなっていない。なぜそれができなかったかを考えることから出発しなければならない。
(消費者委員)
  • 大豆のほとんどが外国からの輸入、その多くが遺伝子組換えという現状にもかかわらず、スーパーにおいて目に付く商品のほとんどが、”国内産”の表示がなされていることについて不安を覚える。国内の生産量から考えてみれば、使っていないという表示があっても、何か裏があるのではないかと疑問を持たざるを得ない状況にある。また、”遺伝子組換えではありません”とあえて書くことは、逆に遺伝子組換え自身に何か問題があるのではと疑う気持ちさえ起きてしまうのも事実。
  • 食品としての安全性については、実験で証明できるものと考えられるが、私たちは生態系への影響を危惧している。遺伝子組換え作物の種子が遠くまで運ばれるなどして、本来の自然が壊されるのではないかと心配している。
  • 新聞・TVなどでこの遺伝子組換え作物については、多少なりとも把握しているが、若い人、特にお母さん達にとってアレルギー体質の子供の問題もあるので、今まで以上に心配している人が多い。
  • 生産者にメリットのある除草剤耐性大豆等ではなく、消費者にとってメリットのあるものが最初にできていれば、このような消費者の反発もなかったのではないかと思う。
(生産者・流通関係委員)
  • 現状では遺伝子組換え作物の生産事実があれば即インターネットを介して、全国から農産物を買わないなどの過剰な反応が起こりかねないため、指針を作っていただいたことは非常に有り難いことである。
  • 消費者は、農産物の安全についての情報をよく知っている。農家は生産を拡大することだけにとらわれず、消費者からの意見や要求を聞く必要がある。
  • 滋賀県の大豆については、遺伝子組換えでないから安心であるという評価を得ており、証明書付きで出荷販売しているのが現状。よって遺伝子組換え作物に関する風評被害をたいへん心配しているところであり、消費者の声を聞いての取引なので、今後も消費者からOKをもらわない限り、遺伝子組換えを導入する状況にない。
  • 県の試験場における遺伝子組換え作物に関する研究やその他の研究について、広く消費者にPRしても良いのではないか。農業者は試験場へ良く足を運ぶが、消費者に対して試験研究内容を知ってもらうことによって、消費者に生産者に対する理解も生まれ、生産者の励みにもなる。
  • 風評被害については、一旦事が起こると過剰反応につながり、流通の立場からすると非常に怖い。いくら説明を行っても理解を得るのは不可能に近いと思う。研究者にとっては遺伝子組換え作物の普及を推進していく立場であるが、かなり強い反応を示す方もおられるので、そういう人もいることも想定して生産をしていかなければならないということを理解して欲しい。
  • これまでの遺伝子組換え作物に関する報道と、これらに対する消費者等の反応から判断すると、県の試験場において開放系の試験研究が行われた場合、当該地域で生産されるすべての農産物に対する消費者の拒否反応が起こらないか、特に配慮すべきである。

閉会