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「人権教育のための国連10年滋賀県行動計画」最終報告概要版

1「人権教育のための国連10年滋賀県行動計画」の推進

  1. 基本理念:県民一人ひとりが、あらゆる機会において実施される人権教育を通じて、人権の大切さを認識し、日常生活のさまざまな場面において実践に結び付け、人権尊重の意識が着実に根づいた社会を実現することを目指す。
  2. 基本姿勢:県民が主体となる人権教育を推進するとともに、常に人権尊重の視点に立った行政を目指す。
  3. 取り組みの基本方向:「滋賀県人権教育のための国連10年推進本部」を軸とし、各分野における取り組みとの連携・調整を図りながら、人権教育に係る施策の総合的かつ効果的な推進に努める。

2主な取り組み

  1. あらゆる場を通じた人権教育の推進:県民一人ひとりが人権の大切さを認識し、日常生活のさまざまな場面において実践に結び付けることができるよう、あらゆる機会を通じて取り組みを進めた。
    学校教育における人権教育の推進
    人権教育の取り組むべき内容や方向性を示す「人権教育推進プラン」の策定など、学校における人権教育の体系的、実践的なプログラム整備・具体化に努めた。
    社会教育における人権教育の推進
    地域における社会教育指導者に対する研修会等の開催による指導者の育成など、地域の実情に応じた効果のある人権教育の具体化に努めた。
    企業等一般社会における人権教育の推進
    複数のメディアを組み合わせたメディアミックス手法による啓発活動の実施や、公正な採用選考についての啓発資料の作成、配付など、人権に関する理解と認識を深め、人権尊重の 社会づくりに向けた気運の醸成に努めた。
    人権に関わりの深い特定の職業に従事する者に対する人権教育の推進
    公務員、教員・社会教育関係職員、医療関係者、福祉関係者、消防職員、警察職員、マスメディア関係者に対する人権教育の取り組みを進めた。
  2. 重要課題への対応:重要課題に関してそれぞれの固有の問題点について取り組むとともに法の下の平等、個人の尊重という普遍的な視点からも取り組みを進めた。
    女性
    男女共同参画推進条例の制定や男女共同参画計画の改訂、男女共同参画についての啓発の実施、DV被害者を支援するための援助機関のネットワーク化など、女性の人権の尊重および確立に向けた取り組みを進めた。
    子ども
    児童虐待防止に向けた啓発や、市町村ネットワーク事業、不登校児童に対する教育相談の実施など、子どもの人権尊重および保護・育成に向けた取り組みを進めた。
    高齢者
    老人ホームでの体験学習等による児童、生徒の高齢社会への理解促進や、レイカディア大学の設置による高齢者の社会参加の促進、認知症高齢者等の権利擁護のための相談等の実施など、高齢者が安心して暮らせる社会づくりに向けた取り組みを進めた。
    障害者
    福祉のまちづくりやユニバーサルデザインに関する啓発や福祉サービスに関する苦情解決事業の実施など、障害のある人もない人も地域で安心して生活できる社会づくりに向けた取り組みを進めた。
    同和問題
    就学前教育、学校教育、社会教育における積極的な同和教育の推進、同和問題啓発強調月間における市町村と連携した集中的な啓発の実施など、同和問題に関する差別意識の解消を図る取り組みを進めた。
    外国人
    県の情報や事業を外国籍住民向けに知らせるラジオ放送の制作、放送等外国語による情報提供、外国籍住民に対する相談体制の充実や日本語指導の促進など、外国籍住民と地域 住民との相互理解、相互交流を深めるための取り組みを進めた。
    患者
    エイズに関する検査、相談事業、カウンセリングの実施や、ハンセン病に関する講演会の開催、難病患者に対する医療相談事業の実施など、疾病や患者に対する理解を深め患者の人権を尊重する取り組みを進めた。
  3. 人権教育を推進するための環境づくり : 家庭、地域、学校、職場等あらゆる場における総合的かつ系統的な人権教育の実施に向けた環境づくりに取り組んだ。
    学習方法の整備
    教職員が人権に関わる学習を組み立てる基本となる「人権学習プログラム」の作成やさまざまな人権課題について学べる冊子やビデオ等の教材の作成、参加型体験学習形式での研修会の開催等による学習内容の充実など、あらゆる場における学習プログラムの開発や教材の整備、学習手法の開発を進めた。
    人材の養成と資質の向上
    教員の指導者となるリーダーや地域における指導者を育成する研修会の開催など、指導者等の養成と資質向上に努めた。
    効果的な人権啓発・情報提供
    複数のメディアを組み合わせ、統一的なイメージで訴求力がある啓発の実施、幅広い啓発事業を一体的、総合的に展開した「じんけんフェスタ」の開催など、学習の場への主体的な参 加を促進するための創意工夫に努めた。
    相談支援体制の整備
    人権に関する総合的な相談窓口の設置や、人権に関する相談機関のネットワーク化など、総合的な相談支援体制の整備を進めた。
    民間団体・NPOとの協働
    県民や企業、団体が人権に関する社会貢献活動に取り組むよう情報提供や、啓発の実施、NPOの活動活性化や人材育成等に対する支援など、自発的に人権に関わる社会貢献活動に取り組む気運の醸成に努めた。

3今後の展望

  1. 主な評価
    • 全庁的な推進体制によりあらゆる分野を通じた人権教育を推進してきた
    • 重要課題に対する取り組みを推進してきた
    • 意識調査の結果によると県民の意識の中で人権尊重に対する認識が一定進んできた
  2. 主な課題
    • 人権が明るく積極的なもので多様な側面から理解が進むよう人権理念の普及を図る必要がある
    • 引き続き差別意識や偏見の解消に向けて取り組む必要がある
    • 人権尊重のための一人ひとりの主体的な行動をさらに喚起していく必要がある
    • 学校、家庭、地域社会、職場などが互いに補完しながら社会全体で人権を大切にする環境づくりを進める必要がある
    • 教材の整備、指導者の資質の向上、手法の改善を充実し、効果的に活用する必要がある
    • 人権に関わりの深い職業に従事する者に対する人権教育を充実させる必要がある
    • 重要課題への取り組みを引き続き進める必要がある
    • 県民や企業、団体、NPO等による自主的な活動を促進し、連携して取り組みを進める必要がある
  3. 今後の方向性
    • 人権をめぐる課題は決して固定したものではなく、社会の変化により新たな課題も生まれてくるものであり、人権尊重の社会づくりを進めるためには、行動計画に基づく取り組みの評価と課題を踏まえ、「滋賀県人権施策基本方針」や「人権意識高揚のための教育・啓発基本計画」を基に、今後も人権教育、人権啓発を積極的に推進していく必要がある。

※参考

1人権教育のための世界計画

平成16年(2004年)12月の国連総会において、「人権教育のための世界計画」に関する決議が採択され、「人権教育のための国連10年」終了後も引き続き人権教育を推進していく姿勢が示された。

「人権教育のための世界計画」は、3年程度の期間を定めて人権教育を推進していくための重点分野を設定した計画を積み上げていくというもので、第1フェーズ(平成17年(2005年)〜平成19年(2007年))は、初等・中等教育における人権教育の推進に重点を置くこととされている。

2滋賀県人権施策基本方針

人権が尊重される社会づくりに関する施策の総合的な推進を図るための基本となる方針として、「滋賀県人権尊重の社会づくり条例」に基づき、平成15年(2003年)3月に策定。人権の基本理念、基本施策、分野別施策等を示している。

3人権意識高揚のための教育・啓発基本計画

「滋賀県人権施策基本方針」において、県が推進すべき基本施策の1つに掲げている人権意識高揚のための教育・啓発について、施策の具体的な目標や方策を体系的に示し、その総合的、計画的な推進を図るため平成16年(2004年)3月に策定した。

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