平成20年度の我が国経済は、米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的金融危機がリーマンブラザースの破綻を機に一層深刻化したことを背景に、輸出が急速に悪化したことを受け企業業績が大幅に減少するなど百年に一度といわれる景気の低迷が続いた。
このような中、本県でも、主力の法人二税で世界的な需要の減少や円高あるいは株価の大幅な下落等により製造業を中心として企業業績が減少したことから、大幅な減収となり、また、法人二税以外の税目でも、新車販売台数の減少や軽油需要の減少あるいは昨年4月の暫定税率失効により自動車取得税・軽油引取税で大幅な減収となるなど多くの税目で減収となった。
こうしたことから、県税全体では前年度決算額に比べて4.7%の減となり、ITバブル崩壊の影響を受けた平成14年度(前年度決算額比18%の減)以来6年ぶりに前年度決算額を下回った。
税収総額1,823億6,369万円
(平成19年度決算額 1,913億2,848万円)
(平成20年度現計予算額 1,814億7,000万円)
不動産取得税(△7千万円(徴収猶予除く))、自動車税(△5千万円)など税務職場をあげた徴収強化の取り組みにより全体で 2億608万円の減少
平成19年度 | 平成20年度 | 増減 | |
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収入未済額 | 52億7,102万円 | 50億6,494万円 | △2億 608万円 |
法的に認められた徴収猶予を除く | (40億3,761万円) | (41億1,941万円) | (+ 8,180万円) |
うち個人県民税以外の収入未済額 | (18億 386万円) | (16億 349万円) | (△2億 37万円) |
平成19年度 | 平成20年度 |
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97.20% | 97.10% |
世界的な景気低迷や円高・原材料高・株安等の影響により、特に製造業において法人の所得が減少したことから、前年度決算額に比べて7.9%の減収となった。
【業種別の状況】
◎製造業
窯業・土石製品製造業は前年を上回ったが、情報通信機械器具製造業、電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業などの輸出関連産業で大きく減収となり、製造業全体の現年課税分は対前年度比12.4%の減となった。
◎非製造業
銀行業と情報通信業・運輸業で前年を上回ったが、景気の低迷などの影響で卸売・小売業、建設業、サービス業などで減収となり、非製造業全体の現年課税分は全体として前年度並の0.4%の増にとどまった。
平成19年度 | 平成20年度 | 前年度比 | |
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納税義務者数 | 67万3,136人 | 68万1,263人 | +1.2% |
1人当たり税額 | 78,247円 | 75,946円 | △2.9% |
世界的な金融危機による株式市場の低迷などにより大幅に前年度を下回った。
配 当 割 4億 9,878万円…… △6億 8,298万円 (△ 57.8%)
株式等譲渡所得割 1億 8,270万円…… △6億 4,194万円 (△ 77.8%)
維持コストの少ない小排気量の乗用車や軽自動車への買換が進んだことや景気の低迷に伴いバス・トラックの課税台数が減少したことから減収となった。
昨年4月の1ヶ月間暫定税率が失効したうえ、原油価格の高騰などにより軽油需要が減少したことから、前年度を大幅に下回 った。
年度末の納期限が休日にあたる影響により翌年度に一部収入が繰り越されたことなどにより、譲渡割が減少したことから、全体として減収となった。
景気の低迷に伴い大口の新築および承継取引が減少したことから、前年度を下回った。
昨年4月の1ヶ月間暫定税率が失効したことや景気低迷により自動車販売台数が大幅に減少したことから減収となった。
健康志向から喫煙率が低下傾向にあり、売渡本数が減少したことから、前年度を下回った。
景気低迷に伴う個人消費の停滞を受け、物品販売業や請負業などで課税人員および所得額が減少したことから、全体として減収となった。
郵便貯金において、10年もの定額貯金の預け入れ当時の利率が前年度より低下していたことから、20年度に発生した支払利子が減少したものの、銀行預金利子が増加したため全体として前年度並みとなった。
利用料金の引き下げによる一人当たりの税額は低下傾向にあるものの、前年度に比べて冬期の天候による利用人員の大幅な落ち込みがなかったことから、前年度を上回った。
県外中間処理業者からの産業廃棄物の搬入量が増加した一方で、製造業、建設業による搬入量が減少したことから、全体と して微減となった。
平成19年度 | 平成20年度 | |
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課税標準量 | 72,620トン | 71,816トン |
鉱区税、狩猟税ほか。
平成18年度に導入された琵琶湖森林づくり県民税(法人県民税および個人県民税均等割に上乗せして課税)は、納税義務者の増により前年度をやや上回った。