文字サイズ

8 ウエルシュ菌(Clostridium perfringens)

特徴

人や動物の腸管、土壌、水中など自然界に広く分布し、ボツリヌス菌と同様、酸素を嫌う嫌気性菌です。

本菌は人の腸管内で増殖し、菌が芽胞型に移行する際に産生する毒素(エンテロトキシン)の作用によって食中毒を引き起こします。

健康な人でも腸管内に本菌を高率に保菌しており、耐熱性芽胞形成ウェルシュ菌も健康な人の約15~25%から検出されます。よって、患者糞便からウェルシュ菌が検出されたとしても、それをもって原因菌と判断することはできず、患者糞便中の食中毒起因菌と常在菌の鑑別が基本となります。

食品では、特に食肉(牛、豚、鶏肉など)の汚染が高いようです。

Clostridium_perfringens

ウエルシュ菌の電子顕微鏡写真
(国立感染症研究所ホームページより転載)

毒素型

本菌は、産生する毒素の種類と産生量比によってA~Eの5つの毒素型に分けられ、A型菌が食中毒の原因となります。
しかし、すべてのA型菌が食中毒の起因毒素であるエンテロトキシン産生性を示すわけではありません。食中毒由来A型菌のエンテロトキシン産生陽性率は80~90%ですが、健康な人、動物および自然界から分離される菌株では2~6%と言われています。
なお、C型およびD型の中にもエンテロトキシン産生性を示すものもあります。

病原性

エンテロトキシン産生性ウエルシュ菌を1億~10億個摂取することにより発症します。
食品中で増殖した多量のウェルシュ菌が摂取されると、一部は胃内で死滅するものの、多くは胃を通過して小腸内に到達します。小腸内は芽胞形成とエンテロトキシン産生に適しており、芽胞が形成される際にエンテロトキシンが産生され、その毒素の作用で下痢などの症状が起きます。

温度

本菌は、熱に強い芽胞を作り、100℃、1~6時間の加熱でも死滅せず生き残ります。
食品を大釜などで大量に加熱調理すると、食品の中心部は酸素のない状態になり、嫌気性菌のウェルシュ菌にとって好ましい状態になります。また、食品の温度が50~55℃以下になると発芽して急速に増殖を始めます。
冷凍温度域では菌数は時間の経過とともに徐々に減少しますが、芽胞の生存率は高いです。

症状(潜伏時間)

潜伏時間

約6~18時間。ほとんどが12時間以内に発症します。

症状

腹痛、下痢が主症状です。腹部膨満感が生じることもありますが、嘔吐および発熱の発症率は少ないです。
下痢も1~2日で回復し、症状は一過性で軽く、予後は良好です。便性は一般に水様性で、希に粘血便がみられることもあります。

お問い合わせ
滋賀県健康医療福祉部生活衛生課食の安全推進室
電話番号:077-528-3643
FAX番号:077-528-4861
メールアドレス:[email protected]
Adobe Readerのダウンロードページへ(別ウィンドウ)

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。