次のとおり
事務局から資料の確認をした。
会長:第6回になるが、今日はとりまとめということで、まとまったものを既にお手元に届けてある。これらを中心に議論いただきたい。では、前回検討した事項の確認から始めたい。「県からの情報開示」と「求める提案内容」について検討いただいたが、そのとりまとめについて、まずは事務局から説明願い、そして確認したい。
【1】県からの情報開示
【2】求める提案内容
事務局:資料1を見ていただきたい。「県からの情報開示」についてであるが、事務局から示した意見にプラスして、下線部「4 目的」と「5 協働への目的」を追加してある。「求める提案内容」についても、事務局でまとめたものを提示したが、2番目の「事業計画」に「5 アピールポイント」と、実現性を確認するために「9 実施体制」の項目を入れた。前回の検討事項の確認としては以上である。
会長:ありがとうございました。今説明があったように、県からテーマを提示する場合の情報開示の内容、県民から提案をいただく際に要求する内容の具体的な項目について、前回議論いただいた点を資料1のような形で整理していただいた。如何だろうか。何か御意見があればお願いしたい。こんなところでよろしいか。
(全員:異議なし)
では、特に修正点がないので資料1を当委員会として確認した。これでもって、県として検討していただきたい。
会長:それでは、協働契約書、協定書等について議論いただきたい。前回、協働契約書や協定書等に関する資料E、F、Gが事務局から出されていたが、十分な議論ができなかった。今日もこの後、提言書に関する重要な議論はあるが、この協働契約や協定のあり方に関する議論についても必要であるので、ポイントだけでも議論をいただいて、今後の協働提案を実行に移す段階で、その協定または契約のあり方について、大事なところを議論しておきたいと思う。そこで、まずは前回の資料になるが、資料E、F、Gについて、事務局からまず大事な点を紹介していただきたい。
事務局:では、資料Eについてである。これは協定書の例である。補助や事業協力で出てくるかと思う。ただ、この資料の1ページをめくると、埼玉県の協定書(例)は委託事業の契約書のようにかなり細かい。4ページには、千葉県で示されている協定書の例がある。実際は補助要綱があるので、それに基づいていろんな団体が申請してこういう協定書を交わすことなく、補助金をもらっているのが現状である。それプラス、このような資料をつけるかどうかということもあろうし、本県ではエコフォスターが補助金を出しているが、合意書という形で実施区域と県の役割、エコフォスターの役割、期間を明示している。その辺、補助等の場合はどこまで書くのだろうかと考える。
資料Fについては、委託契約にかかる部分である。6ページに、協働契約書の雛型が項目として書かれている。県の場合には財務規則に、契約書にはこういう項目を設けなさいということが書かれてあるので、基本的にはそれに基づいて契約書を交わす。ただ、その場合は請負契約を含めているので、お互いに協議しながらやるという部分がどうしても抜け落ちてしまう。同じ資料Fの42ページは、私どもの課が協働事例集を作成する際、受託者と話し合ってこういう契約書にした。契約書については、前回、委員からもコミュニティ事業団と結ばれたときの写しをいただいた。このあたりが参考になるのかなと思う。
資料Gの積算については、あいち協働ルールブックにかなり細かく書かれている。6ページに、例えば人件費の積算の表が公表されている資料から掲載されている。高度な専門性が必要な業務の場合は、設計業務委託の国土交通省から出ているもので単価を出している。人件費がなかなか通常のコンサルタントに委託するほどにはNPO等で見られていない。間接経費も要るのに見ずに積算されていることが多い。愛知県等も、間接費については3割を見るということで中には書いているが、3割に限定してしまうと、もともとそれより多く見ていたものが縛られるということもあると、愛知県からは聞いている。
特に、団体と協働事業をする場合の協定書、契約書、積算については、資料に基づいて説明すると以上のようなところである。
会長:ありがとうございました。ただいま御紹介いただいた協働の契約書、協定書のあり方、市民活動部分での委託事業の契約内容に関して、また積算に関して説明をしていただいた。私どもの提案募集についても、いずれはこういう市民活動団体あるいはNPOとの契約や協定、また、何某かの協定、そこでの契約等にあたっての事業費の積算等が議論になってこようかと思う。そのあたりで、留意すべき点、考えるべき点などについて御意見をいただければ良い。質問も併せてお願いしたい。
前回コミュニティ事業団の契約書を示していただいたが、特にここは注意をしないといけないということがあれば、少し御紹介いただきたい。
委員:前提として、NPOが行政と一緒に委託や指定管理者、またはいろんな協働の仕組みでやろうとすると、非常に歴史が浅いので、資料Eではかなり充実しているが、いろんな市町のNPOの事例を聞いていると、人件費がなかったり、もちろん間接経費もなかったり、双方で意味が分からないという問題が発生する。苦労して、とりあえず、我々はコミュニティ事業団と一緒に理想的なものを作ってみようということでやってみた。
ポイントとしては、ひとつは人件費の積算ということで、私どもとしては一般事務と専門的な業務に分けた。それはすっと通ったが、ずっと言われているのは、一覧表がほしいということである。逆に提出してしまうとどうかと思うので提示はしていないが、一般的には、市に入っているコンサルタントの業務を参考にしてやっている。すごく悩みながらやっている。ひとまち政策研究所さんは、かなりしっかりやっておられる。
また、先ほどの間接経費はなかなか分かりにくい。行政の皆さんは慣れておられるが、いろんな仕事をする時に、事務所で座ってパソコンなどをやっていると、そこには光熱費や家賃も発生する。私どものNPOは、発足当時の理事が会社の経営をしていたので、事業ごとに固定経費を分けた予算立てをしている。最初はなぜそんな面倒くさいことをするのか分からなかったが、今になってそれが分かってきた。NPOはそういう会計処理に慣れていない。これからが大変である。
もうひとつはお金の入れ方で、最後に終わってからということが多い。前も申し上げたように、借りることがなかなかできない。その辺で非常に困る。事業団の場合は3分割し、最初と中盤と後にもらっている。
もうひとつは、成果物に気をつけている。基本的に、私たちはどちらも使えるということでやっている。冊子を作ったら、私どもも売っている。それが収入になる。
それから、協議の部分である。例えば、解約はどちらからできるのかとか、どういう問題が起こったときにどういう協議の仕方をするのかなど、かなり場を設定して考えておかないといけない。他の契約書を見ると「甲は乙に・・」ばかりが多い。
会長:ありがとうございました。5点ほど重要なポイントをいただいた。具体的な協働の協定の中でも、契約の中でも、どうぞ今の関連でも良いし、付け加えることがあればお願いしたい。
協働コーディネーター:協働事例集を作るのにヒアリングに回っている。NPOが持ち出しをしているケースが多い。人件費であるとか、講座をやるのに指定された回数以上やっていたり、講師をふんだんに取り揃えてきたり、あまり講師に払えていないことも実際ある。事業としての成果を出したいというのがあるので、こういうことが前面に出てしまう。別に行政が分かってくれたらよいのだと思うが。ただ、委託の場合、もう少し柔軟性を持たせて、販売できるとか入場料を取れるなど臨機応変にできれば、自前で不足前を補えると良いと思う。いつもそこのハードルが越えにくい。委託をしているから金を取ってはいけないというのはどこの自治体でも起きている。それによってどれだけ埋められるかという問題はあるが。
会長:しかし一般的に、委託の場合は、事業本体について勝手に値段をつけるわけにはいかないので、プラスα事業としてどこまで何ができるか、相乗効果をねらって追加事業を柔軟に認めていくかということがポイントになる。とにかく、契約内容等について、ある意味では契約の精神はNPO側に極めて薄い。これは約束であるから。それはどちらにしても守っていただかないといけない。それから、それを超えるところは自己責任になってくる。もちろん、超えるところでNPOらしさ・市民活動らしさが出てくるのは間違いないが、難しいところである。
協働コーディネーター:もともとの設定金額が低い。県だけでなく市もだが、金額がこれだと言われると仕方がない。回数を減らして帳尻を合わせるしかない。どうしてもこれだけでやって欲しいと言われたら、工夫はするが仕方がないと思う部分もある。難しい。
会長:県の予算システムの問題もある。
協働コーディネーター:部局間で統一されていない。財政の査定も、統一的な財政課の単価表があってもそれでやっているわけでない。同じような事業であっても額が違う。
委員:逆に行政の立場から言うと、金額がその都度動くとなると如何か。もともとは一般の民間の場合でも、入札制度で一定の金額の中で入札をしていくという経過があるので、そこは話し合いの中でどの額が一番正しいかである。そこの線を崩してしまうと、100万で200万の仕事をしてしまったという話が後から出てきても良いのかどうか。100万追加するというのは困る。やはり金額的な一定の部分は、最初から話し合いの中でコンクリートしてしまうのだろう。そこで話が折り合わなければ、その話は終わるという形の方が良い。
会長:どちらもなかなかそこまでは思い至らない。
委員:あまり折り合うと、これから予算制度自体が成り立たない。
会長:事業に着手するまでの協議の積み重ねが大事だし、協定を結ぶ段階で金額が決まらないような協定の結び方もあるかもしれない。むしろ、協議をしていく中で協定書をどんどん変えていって、そんな中で金額をコンクリートするということがあっても良いと思う。当然、一般の契約書は双方の合意で契約内容を変えられるはずなので、そのあたり、NPO等の場合には従来にはない仕事をするという観点からすれば、補正予算ではないけれども、柔軟に対処できるような仕組みもきちんと入れておく。そういう点では、委員がおっしゃったように、一般の甲乙関係の「甲から乙に」ばかりでなく、「乙から甲へ」というルートもきちんと書いておくことも大事かもしれない。
協働コーディネーター:協働委託に関して、ひとまち政策研究所の事例を出してもらっていて、話は結構通ったのだが、ひとつだけだめだったのが情報公開の仕組みについてであった。協働契約で市民活動情報センターの今瀬氏がずっと言っていることであるが、これまで守秘義務を負わせていたところを、協働の関係では情報公開だということであれば、もちろん個人情報はだめとしても、契約の中で知り得たことを他に漏らさないという条文は要らないのではないかという話を一度してみた。そこだけはうまくクリアできなかった。それだけがこの契約の中で残っている。協働の原則が公開であるというところと、契約内容をどこまでオープンにできるのかということの問題がある。
会長:しかし、契約内容についても当然公文書だから、情報公開条例の対象になる。むしろ適用除外とする、つまり非開示とする事項以外は公開が原則になると思う。守秘義務はかからない。そうすると、何がどこまで、どういう項目を秘密にしないといけないのか、そこのところを詰める必要がある。
協働コーディネーター:例えば、協働事例集のヒアリングについては、NPOの情報で事例集に載るものはもちろんオープンだし、どこまでだめかと言われると、決算や事業報告書も公開になっているのだから、非公開にするものがあまりない。
会長:あるとすれば、NPOが特定の他の企業から何某かのノウハウを買っておられるなどの取引関係が明らかになると、それが営業妨害になるかもしれない。あるいは、特定の事業者が儲けているという事実自体は良いが、相手先を出すと問題かもしれない。せっかく開発したものをむざむざ他の人に知らせてはまずいということもあるだろう。しかし、それ以上にあるだろうか。行政の方はまずいことがあるか。契約書の単価はどうせオープンだろう。
協働コーディネーター:従来の契約なら守秘義務に入るだろう。
会長:契約書そのものは、情報公開されるはずである。
事務局:契約書そのものは問題ない。問題は積算の判断だろう。
協働コーディネーター:積算は契約と関係なく、事務的・内部的なものである。
会長:積算単価を書類として出すのは秘密にしないといけないし、その範囲内では守秘義務がかかるだろう。契約書自体はあまりないような気がする。滋賀県の場合、協働の契約については、特段に秘密とすべき事項以外は原則公開だろう。
協働コーディネーター:「業務の処理上、知り得た秘密を他に漏らしてはならない」とあるが、何があるだろうか。現実はないのではないか。
会長:基本的には情報公開条例の適用除外事項に沿った形で、それ以外はオープンにしていけば良いと思う。それぐらいの考え方で大丈夫ではないか。何か危ないことはあるだろうか。
委員:県では公開請求があった場合、相手側に対してこういう情報を開示するということを事前に提示する。相手がそれは困るということであれば、意見書を添えて判断をさせていただく。そこのやりとりさえきちんとすれば大丈夫かと思う。
会長:情報公開条例に則って公開を原則にやるという考え方で、契約の守秘義務についても極力オープンにしていきたいという方針で良いかと思う。
そのほか、如何か。委員がおっしゃった人件費の積算で、積算単価の一覧というのは、例えば建設とかコンサルタント関係は国土交通省の単価表がある。しかも公表されている。そういう種類のもので考えれば別に面倒なものではない。しかし、それを市民・NPOと行政の協働事業に翻訳できるかという問題はある。上手に翻訳しないですっと出してしまうと、先ほどの3割の話のようにそれに縛られ、それしか認められなくなって実際動きにくくなるかもしれない。
事務局:協働事業だから、丸々全部見るということはない。
事務局:専門性の度合いで人件費の単価は変わる。
会長:共通単価の人件費は、専門職で技師AとかBとかあるが、あの基準もよく分からないし、NPOならどこなのかよく分からない。
委員:間接費についてであるが、間接費の率を決めてしまうと、場合によっては使いづらいということも出てくるかと思う。人件費を専門家より安い単価で設定してしまったら人件費単価に影響されてしまい、そうすると事務費が使えなくなる。その辺の比率をどうするかという問題がある。逆にそちらの方が手間がかかる。
会長:むしろ、間接費をきちんと積算の中に入れましょうという原則を立てておいて、どれぐらいの割合にするかについてはそれぞれの事業に基づいて当然違ってくるし、実際は協議の中で決めていくということだろう。
それから、NPOだけでなく、コミュニティで活動している人も、その活動については専門家であるという認識で契約することはある種大事である。奉仕でやっておられるというのは、確かに心はそうだが、実際に体を動かしておられ、事業に一定の専門性を発揮しておられるわけである。そういうのをちゃんと双方で認め合えるようなものであってほしい。
委員:会長と同じことを考えていた。どこかの中間支援機能を持つところが説明をしたり相談にのったりと、たくさんの仕事が発生すると思う反面、一番大変なのは、「人件費は要らない」という団体を説得することである。
事務局:何を持ち合うかは、具体の事業を見ないとわからない。例えば、県が協働でやる場合、機械は県が出しますよ、あとはそれぞれの団体が自分たちの人手でやりますよ、ということであれば、お金は要らない。いわゆる県が発注する部分だけの話である。具体の事業を見ないと、技術経費でもみんな違う。そのルールは作っていかなくてはならないが、全体として何もない世界で「これはこうだ」と言っていても仕方がない。
委員:お金が発生してコミュニティが壊れることもある。今まではバランスよくやっていたのに。その辺は慎重にやらないといけない。
協働コーディネーター:実際コミュニティの場合は、その人に還元されないこともある。積算してもらっても、人件費が個人に還元されるかは別の話である。払うとなると、中でも難しい。NPOの場合はルールがしっかりしていて、有償と無償がきちんとされている。
事務局:NPOの場合でもそれはある。私が入っているNPOでも、通常はボランティアでするが、あるところから「これはお金を出してください」、「領収証が要ります」となると、出す人と出さない人という二極が出てくる。それぞれのところが配慮すべき話ではないか。
会長:私どもとしては、出し方はそれぞれのNPOや団体の考え、事務の性質によるが、ただし適正な価格でということだけは確保しなくてはならない。実際に、積算根拠は別に相手側にきっちり言ってあれば良い。やはり、かかるものは基本的にかかる。実際にどう使うのかはそれぞれの団体で違うので、それに合わせて契約を結ぶ必要がある。
そのほか、如何か。
考えておいていただきたいのは、事業が終わった後の評価や途中段階での見直しである。途中での見直しを協働でやっていくということも大事である。それぞれ県で検討するのだろうし、NPOとしてもやるのだが、やはり一緒にそれぞれの評価を突き合わせてみるのが大事だろう。この辺をぜひ、協働の契約や協定の中で実現したい。
それから、役割分担の議論になるのかもしれないが、問題発生時の解決の仕方やある程度予想されるリスクなど、そういうリスクマネジメントみたいなものは、だいたいパターンが建設系のルールで分かると思うので、通常のリスクマネジメントはその応用ができる。そういうものをパターン化されたもので予め協議しておくということが必要だと思う。それで使えないところは、大原則で協議してまた考えるということで良いと思う。
そのほか、何かお気づきの点はないか。
委員:割とうまくいっているところは、協議を定期的にやっている。何か起こっても起こらなくても、協議だけはやっておくと、だんだんお互いの思いこみが少なくなっていく。
会長:雛型的には、「できるだけ定期的・定例的な協議を組まれている方が望ましい」ということぐらいは盛り込める。協議自体は大原則だから当然入ると思うが、「事業の開始前から終了するまで協議することが望ましい」ということは入れられる。
そのほか、如何か。
(全委員:特になし)
それでは、ただ今いただいた協働契約、協定、積算の契約書面の内容に盛り込まれる条件等々については、一応御意見とさせていただく。ただ今いただいた御意見は、一定方向性が見えてきたと思うので、この後は事務局にお任せいただいて、最終県の方で意見を含めた協働提案制度を作り上げていただくという方向でお願いしたい。報告書に入れるのはちょっと大変なので、今回は最終の検討委員会ということで、恐縮だが、協定書等については追加ということで、委員会が終了した後で御確認をいただいたものを、県の方で今後の協働提案制度の推進事業の中に出していただく。そういう方向で今日のところは事務局に任せたい。それでよろしいか。
(全委員:異議なし)
会長:では、私どもの当委員会としての提言書、まとめの案というのが手元にある。これについて、残り1時間ほどでとりまとめをさせていただきたい。これについても、事務局の方で資料3の説明をお願いし、その後議論したい。
事務局:お手元の「滋賀県協働提案制度の創設に関する提言書(案)」というような形でまとめた。これを県にいただくという形にしたい。内容は、毎回御確認いただいたものをまとめたものである。ページを開けていただくと、「提言にあたって」を事務局で案を考え、新川会長に御確認いただいてまとめた。
3ページから具体的な提言が書かれている。ページごとに簡単に説明する。まず3ページに、「滋賀県が平成21年度に創設される『協働提案制度』については、次のポイントに基づき設計されるよう提言します」ということで、それぞれ項目別にまとめている。1の「提案制度の類型」、2の「対象事業」については、応募型・創造型とすることについて第2回で検討していただいた。3番目の「求める提案内容」は前回御議論いただき、今回最初に確認していただいた事項である。先ほど申し上げたように、事業計画に「アピールポイント」と「実施体制」を追加するということで書いている。4ページの「提案者」については、原則として個人・団体を問わないということで、第2回に議論した。5の「県からの情報開示」は前回議論いただいたものを今回確認し、「目的」と「協働への期待」を入れた。6の「提案制度の進め方」については、5ページに全体の流れを示している。第3回、第4回に協議いただいたものである。6ページの「審査・選考方法」は、7ページの中断まである。第3回、第4回の中で議論していただいたことをまとめた。8の「評価」については、先ほども話があったように中間評価も行う。第4回に議論していただいた内容である。8ページ以降については、検討委員会の設置要綱、委員名簿、これまでの検討の経過を付けている。11ページについては、昨年10月25日にしが協働推進ボードからいただいた提言である。これに基づいて協働提案制度を検討したので、最後のページに抜粋を載せた。これが提言書全体の構成である。
会長:ありがとうございました。ただいま説明していただいたように、私たちの提言書としてとりまとめていただいた。どこからでも良いので、御意見・御質問・確認をいただきたい。
委員:では一点だけ教えていただきたい。1ページの第2段落、上から8行目に「公平・平等」という言葉が出てくる。私どもは「公平・公正」という言い方をする。「公平・平等」という考え方はどの辺にあるのだろうか。平等という言い方にひっかかっている。公平も公正も同じ意味だが、平等というとだいぶ言葉が変わってくる。どういう意味だろうかと思った。
会長:公平の要素の中に公正さと平等さは一定入ってくるので、公平と言えば済むことは済む。ただやはり、改めて限られた財源ということを考えると、本当に必要なところに、しかし県民の皆さん全体に実質的に平等になるような、そういう資源の向け方をこれからしていかないといけない。逆に言うと、ますます従来NPOが活躍してきた領域には、行政は入りにくくなってくる。そういうイメージはある。だから、行政としての役割が、ある意味ではどんどん責任領域が小さくなるということではなく、行政としてとるべき手段とか直接行動を取れるやり方、その手段に対するいろんな制約・制限がますます厳しくかかってくるだろうという趣旨で、「平等」という言葉を使うことができるかと思った。読んでいて、なかなか厳しいなと思う。
事務局:行政セクターと企業セクター、市民セクターの特性を比べるときには、行政なり政府はこの表現をよく使う。
協働コーディネーター:わかりやすさで言うと、「公平・平等」と言ってしまう。
委員:「平等」と言ってしまうと、高いところも低いところも等しくという感じになる。「公正・公平」というと、高いところには行かないという発想がある。ちょっと異質かと思った。
会長:今の話で言うと、低いところで何とか少なくともそこには揃えましょう、というのがこれからの行政の役割かもしれない。いわばセーフティネットである。
委員:逆に言えば、社会的に必要な部分について、いわゆる下位層と言っていいのか分からないが、社会的に必要なところに同じような光をあてて、同じような対応でやっていく。例えば公共事業であれば、所得にはかかわらず良好な影響が出てくるわけだから、それをどういう形で等しく出していくのかというのは難しい。
会長:むしろ、そういう役割のところで行政のあり方を考えていかないといけない。高いところにはこう、低いところにはこう、などとやっていくと、そのポストはこれからはとても担えないだろう。そういう意識はある。
別にこだわるところではない。「公平・公正」でも良い。意味内容はそんなに大きくは異ならないと思う。
協働コーディネーター:「提言にあたって」の位置づけについてだが、これは提言の本文ではない。そういう意味では、1ページの最後のところに書いていただいているような、「県民にもっと分かりやすい」とか「どんどん応募してもらえるような」ということを本文に書ければ良いと思う。
会長:そうなんだろうか。一応、提言で求められていたのは仕組みの創設ということだったので、どうかなと思っていた。
協働コーディネーター:県庁の各部局の話もあって、これを示しても応募型のテーマを一気に出してくれることにならない。やるよという意識を持たせる仕掛けがどこかに要るので、それを本文にちらっと一行でも両方触れるように入れたらどうか。どうだろうか。あるいは、もうちょっと後のところでフォローして、そういう思いも入っているということでも良い。
会長:でも、せっかく入れるのであれば、提言の次のところに、最初にそういう趣旨、つまり「県庁内でもこの協働に向けて積極的に取り組んでいただきたい。県民からいろんな提案が来るように、わかりやすさ等に配慮をされて取り組んでいただきたい」という趣旨のことを入れても良いと思う。そのあたりは、御意見どうか。
委員:1ページの一番下から2ページにかけて同じような文書が出てくる。「県が『ともに取り組んでいきたい』という姿勢を明確にし、できるだけ早い段階から協働による具体化作業を進めていただき、県民の皆さんから『滋賀県が考える協働とはこんなにも豊かで柔軟なものなのだ』と実感してもらえる仕組みにしていただくようお願いします」ということが書かれているから、実際は「きっちりやりなさいよ」ということがここで書かれている。
会長:そうである。ただ、これは「提言にあたって」である。はしがきに書いたという体裁になっている。
事務局:事務局としては、第1回から第5回までの皆さんの発言を全部読み返し、大事なものをエッセンスとして書かせてもらった。「提言にあたって」の方が、全体を覆うひとつの精神にあたるので重要なことかと思い、1ページ一番下の3点と、委員がおっしゃった「豊かな協働」という表現がすごく良いと思ったので、それを入れさせていただいた。
委員:各部局がきちんとこの文書を読んでくれるかどうか。
会長:3ページからだけ読んでくれると困る。
委員:細かく長い間話し合ってきたことを非常にシンプルにしてくれた。まとめる力を感じる。ただ、シンプルになり過ぎているような気もする。提言というのがどの程度書き込んでいたのかなと思う。
ひとつは、例えば4ページの「提案者」について、「個人・団体を問わない」ということであるが、議論の中では企業はどうか、公益団体はどうかという話があった。これで果たして伝わるのだろうか。もう少し、ポイントについては思いを含めて入れた方が良いのではないかと感じた。このままでは、地域団体は私たちに関係ないと思われるのではないか。ただ、会長の最初の文書の中にはある。前の文書と中身の関連性がちょっと分からなかった。
事務局:前文に「いろんな思いを持った人々がどんどん参入できる仕組み」というふうに書いてあるのだから、「だれでも」ということだと思う。だから、提言を受けて県が具体に制度をつくるときに、その趣旨をもって事務局が整理すれば良いのではないか。一番下に「具体化する作業が待っています」ということが書かれている。
事務局:マニュアルのようなものも作るし、募集するわけなので、リーフレットやパンフレット的なもの、あるいはホームページには、「どなたでも」ということではなくて、委員がおっしゃっているように地域団体や企業、NPO等を具体に書き込むということで、工夫したい。
事務局:できれば「待っています」という言葉は避けていただいて、「今後県としてさらに具体化する際には、これこれこういう姿勢・・」と書いてもらえるとありがたい。
協働コーディネーター:シンプルで良いと思うが、提案者のところは、個人と団体に分けることが必要である。個人は改めて事業者を募集し、団体は基本的に提案者がやるということを書いておかないと、提案させて後はどうなるのかということが表を見ないと分からない。要項ができればそこでわかるが、その辺はもう少しここでも明確にしておいた方が良いと思う。
会長:確かにおっしゃったように、事業の担い手が誰なのかということは、もうちょっと書いておいた方が仕組みとしては分かりやすいかもしれない。少し煩雑になるかもしれないが、書き込んでおいた方が分かりやすいかと思う。
委員:この提言書をそれぞれの課が見て構築するには、あまりにもシンプルだという印象があった。ただ、先ほど要項やマニュアルがあるということを聞いたので、それならば、こういうシンプルなものの方が分かりやすい。
事務局:この趣旨を受けて、具体的な提案制度を作ることになる。これまでからずっと議論をいただいてきた。応募型・創造型、その辺をどういう形の提案型にするのかということである。
委員:ぜひともマニュアルができることを望む。先ほどの契約のところでも、委託というとどうしても請負契約ということで、財務規則があるので、そういうパターンになってしまっている。添付していただいたひとまち政策研究所との契約書では双方という形で対等ということが明記されているので、協働契約では大切なことだと思う。
会長:ありがとうございました。
それでは、提言の内容は最低限度の修正にとどめて、シンプルな形で出していただく。ただ、今後実際にこの提言を受けて、県民活動課として全庁的に協働提案制度を展開される際には、県全体として最初の1、2ページに書かれたような趣旨が反映されるようなマニュアルなり、あるいは県庁での周知徹底をぜひお願いしたい。提言のポイントだけが出てもどうにもならない。私たちの提言は、あくまでも「次のポイントに基づき設計されるよう提言する」ということになっている。設計のところを上手にし、理解し実行してもらうための説明をしていただきたい。
事務局:会長、最終の提言書の固めについてだが、委員会としては今日が最終になるので、今いただいた微修正を反映させた後は、例えば皆さんが会長に一任していただけるならば、事務局と会長の間で修正を詰めるということでよろしいか。
会長:できれば直し終わったら皆さん全員に見ていただき、御意見があれば期限を区切って意見をいただくということにしましょうか。最後は恐縮だが、私と事務局の方でまとめるということで今日御一任いただければと思う。あまり大した直しは入らないと思うが、多少は提言の趣旨が誤解を受けるようなところだけはいくつか御意見をいただいたので、それを少し書き加えるということになる。それをもう一度委員の皆さんに送付し、ごく限られた時間になるが意見をいただく。年内には最終の提言を作ってしまうという進め方でよろしいか。
(全委員:異議なし)
事務局としてもそれでよろしいか。
事務局:それで結構である。
会長:年末までに何とか上がれば次年度の準備ができると思う。
少し先走るが、庁内にはこの話はできているか。
事務局:協働推進本部を先日立ち上げたので、この話まではできている。提言をいただいて意思決定をまずして、本部に報告する。ちょうど年内から年明けに、議会への予算に関する説明があるので、この話を入れていくべきかと思う。21年度スタートということで段取りとしてはそうなっているが、できるだけ早い時期に協働コーディネーターも含めて各部に入っていき、具体的な整理を早い段階でやっていきたい。年度というのは役所だけの都合なので。
会長:了解した。少し先走った話になったが、そのほか何か、提言や広報についての御意見はあるか。
(全委員:特になし)では、せっかくの機会なので、こうやって一堂に会するのは最後になる。もしよろしければ、皆さんからひと言ずつ感想を頂戴したい。
委員:ありがとうございました。拙い委員で申し訳なかった。私は個人的には県庁にインターンシップに入り、協働に一生懸命に取り組まれていると感じた。我々学生にも参加できるよう、協働提案制度が良い仕組みになるように期待している。
会長:学生サークルからたくさん提案が出てくると良い。
委員:事実、私の大学でも協働をやってみたいと言っている。出てくると思う。
委員:私自身が思っていた行政の体制とギャップを感じた。思いがうまく伝わる方法で、言葉で伝えることがとても大切であると思う。また、これから若い人々が社会を担うときに希望を持って参加できるよう、滋賀県として流れをつくっていくその第一歩として、この提言書があると思う。その場にいさせていただいてありがたかった。未来の子どもたちに素晴らしい豊かな滋賀県が引き継げるような協働になっていけばと思う。
会長:協働事業が将来の滋賀県を豊かに作り上げていければ素晴らしい。
委員:私はNPOというところからの見方を提供させていただいた。今まで、協働という話でずっと思っていたのは、この辺の空を飛んでいる感じだった。何となく概念が飛んでいる感じだったが、今回参加させていただき、具体的に見えてきた。また、個人的にはNPOというのは日常の実務や仕事の組み立てで社会に貢献していくように考えている。そういう意味で、今までNPOが相談に来られる時、組織論とかビジョンとかミッションとかの話もあるが、これからはこの制度が少し現実味を帯びてくると、実務の相談が出てくるだろうと密かに楽しみにしている。そのあたりがこれからのNPOを持続させるひとつのきっかけになるかと思う。
委員:私は市の協働推進のセクションで仕事をしているので、本当に分かりにくくて、県庁の組織の中のことも市でもそのまま同じ状態だし、担当セクションの御苦労もよく分かる中で参加させていただいた。NPOの考え方も整理できたし、何かもやもやしていたことがすっきりできたと思う。今委員がおっしゃったように、市民とともに豊かな市にしていき、市民の意見を入れて一緒にやっていくというスタンスでいるのだが、なかなかそれが浸透していかないというジレンマもある。やはり一気にはいかない。3年間取り組んできた中では、少しずつ広がっていると思うし、滋賀県が先行的にマニュアルを示してもらえるということなので、大いに市でも使わせていただきたいし、県内に広がることを願う。また、その一歩に参加できたことが嬉しい。
会長:滋賀県全体で、県庁がやっているということだけではなくて、いろんな協働がたくさん出てくると素晴らしい。そのひとつのモデルになればありがたい。
委員:私も仕事柄、こういう検討委員会は庁内でお願いする立場で、正式に委員として出たのは初めてであった。そういう意味では、検討委員として考えることがどういう気持ちなのか分かったし、いろんな方にその御苦労をお願いしているのだと改めて思った。資料の提供の仕方や県の皆さんのやり方について勉強させてもらったし、ある意味、協働という新しいスタイルができると思う。市町との連携も大事だし、またよろしくお願いしたい。
会長:今回の議論にもあったが、市町委員のところでぜひ優先的にやっていただきたい。県と市町とNPOや地域団体がどうやって上手に組んでいけるかという話が進んでいくと、もっともっと力を合わせて、県民生活に何某か貢献できる事業がたくさん考えられれば良いと思う。市町の側からも積極的に働きかけてほしい。
委員:委員ということで県から入らせていただいている。私自身は今まで福祉関係が長かったという経過の中で、民間の方から御意見をいただきながら、協働という形は取ってきたが、委託の形で協働事業を進めてきたという経過がある。一定の数がこなせると、何人かの方は協働に参加してくれるが、それ以上の広がりはなかなか出てこないという悩ましさがあった。今回、この協働提案制度でより多くの方から提案をいただき、それによってひとつの突破口が見えるかと思う。この制度をうまく使って、私どもの分からないところの方もどんどん参加していただき、県内全域で協働事業が進むことによって、県民生活が向上することを望みたい。これから私どもは預からせていただいて頑張らなければならない。引き続きよろしくお願いしたい。
会長:各委員から、最後にあたって、私どもがそれなりに苦労した提言がこれからの滋賀を大きく変えていくような広がりを生む指針として、素晴らしい結果を生み出してくれるよう、発展・推進していっていただきたいという気持ちでお話しいただいた。ぜひ、県民活動課や県民文化生活部だけに期待されても困るかと思うが、全庁でしっかりやっていただいて、今後新しい滋賀県づくりという観点から活かしていただければと思う。これを突破口にして、協働型の地域づくりに活かしていただければと思う。そんなに長い時間を置かないで実現していただきたい。
各委員から素晴らしい御意見をいただいた。一応、当委員会としての検討は以上にさせていただき、ここで事務局に進行をお戻ししたい。委員の皆様、ありがとうございました。
事務局:委員の皆様には、長い間お世話になりありがとうございました。それでは、最後に閉会に際して、県民文化生活部長からお礼を申し上げたい。
部長:ありがとうございました。私も一緒に楽しく話をさせていただいた。6月に第1回の会議を行い、そこから6回、ちょうどきりの良い形でしていただいたと思う。特に、協働が滋賀で進まない。やはり、住民の皆さんがボトムアップで作ってほしいという思いがあり、私も今回そのような中で参加をさせていただいた。その中で、先ほども提言にあたってお話があったように、協働型県政に変わるというだけでなく、参画のハードルを低くし、誰もが参入できる工夫をして作り上げていきたい。それが、公の領域を広げ、いわゆる多様な主体の皆さんと一緒に作り上げていく役割かと思う。協働推進本部を立ち上げ、職員の研修もやっているし、そういうものも両輪にして、具体の相談ができる組織を立ち上げ、できるだけ早期に、これから協働コーディネーターを中心にしてテーマ出しなどをしていきたいが、そういった中でできるだけ早く具体のものを出していきたい。ちょうど議会の時期もあるし、予算編成、人の体制を作っていく時期でもあるが、できるだけスピーディにやっていきたい。
皆さんからいろんな御意見をいただいて参考になった。これからも、よろしくお願いしたい。「あのとき言った話がなかなかできていないのではないか」という話でも結構だし、メールなどでいただければありがたい。
最後になったが、皆さんの今後ますますの御発展と御健勝を祈念したい。どうもありがとうございました。
事務局:それでは、これで検討委員会を閉会する。
全員:どうもありがとうございました。
情報掲載日 2009年01月05日