次のとおり
このたびは、当委員会を設置するに当たり、新川さん、仲野さん、尾賀さん、古谷さん、堤さんに委員としてご参画いただきたいとお願いしたところ、ご多忙中にも関わらずお引き受けいただき、お礼申し上げる。また、森さん、尾中さんにおかれては、協働提案制度の創設に関心を寄せていただき、公募委員にご応募いただいた。心から感謝申し上げる。
さて、滋賀県基本構想では、多様な主体と協働することによって「未来を拓く共生社会」を実現することを、また、「新しい行政改革の方針」においても、協働を促進する仕組みを構築することにより、「対話と共感」による開かれた県政を進めることとしている。
今回、皆様にご検討をいただく「協働提案制度の創設」というのは、社会的課題や県民のニーズが多様化するなかで、これまで専ら行政が担ってきた公共サービスを、企業や地域団体、NPOなどの皆さんと連携・協力することによって、よりきめ細やかで質の高いものを、より効率的に提供しようという動きが各地で生まれ始めている。県では平成18年から19年にかけて、県が実施している施策・事業について事業仕分けを行ってきた。国、県、市町、民間それぞれの役割について見直しをしたところである。今、協働という視点で公の領域をどう見るのか考え直す時期であると考えており、そういった中での対応をしなければならない。
そこで、企業、地域団体、NPO等が行政と協働で取り組むことによって地域課題の解決や公益に資すると考えられる事業の提案により、双方の強みや特性を出し合いながらともに公共政策を作り上げていく「協働提案制度」を創設することを目的として、今回、検討委員会を設置させていただいた。私どもがこれまで協働事業として取り組んできた事業について、今60余りあるが、それについて検証を行おうとしているところであり、今年度は、協働に関する職員の理解を深めるための研修や意識啓発に力を入れ、庁内で横断的に協働を推進するための本部を設置する予定をしている。
昨年の10月に、しが協働推進ボードで新川先生などからいただいた提言を我々としても強く受け止め、その具体化に向けて取り組んでいる。それが、県にとって県民の皆さんと一緒になって協働する、その中のスタイルであり、お互いが理解をしながらやることに大きな意味があるのではないかと思う。また、協働は市町とも密接なつながりがあり、今回も市町から委員に加わっていただいているが、市町との対話システムも今年、システム的に機能することになっていく。そういった意味で協議・連携しながら取り組んでいきたい。
皆様のお知恵を拝借して、より良い制度をつくってまいりたいと考えているので、積極的にご議論いただくようよろしくお願い申し上げ、開会に当たってのごあいさつとさせていただく。
滋賀県協働提案制度検討委員会設置要綱第4条第2項の規定に基づき、委員の互選により新川委員が会長に選出され、副会長には会長から仲野委員が指名された。
これまでの県の協働の取組と今回の協働提案制度創設に至る経緯について、事務局から下の点を説明した。
資料5に基づき、検討の進め方と検討スケジュール、検討項目について、事務局から案を説明した。これに対して委員から特に意見はなく、全体のスケジュールについては事務局案で進めながら、必要に応じて修正を加えていくことに決定した。
会長:では、意見交換の方に進めたい。まずは1回目なので、結論を出す意見というよりは、協働提案制度をどう理解していけばいいのか、そのあたりについて感触をつかんでいただくこともあるし、併せて協働提案制度のあり方についての現時点での各委員の皆さんのお考えもいただきたいと思う。今回の協働提案制度の検討は、最初にご説明があったように、既に提案の方式についてこれまで「しが協働モデル研究会」と「しが協働推進ボード」でもいろいろと議論している。そういう意味では、協働提案の方式について、一定議論の素材・たたき台はあるという前提で進められると思う。恐縮だが、事務局の方でもう一度、これまでの協働提案の内容について、資料として先ほどお示しをいただいたが、ベースになるところを説明していただき、その後意見交換していければと思う。
事務局:(資料3のP20に書かれている「留意点等」について、詳しく説明) 会長:ありがとうございました。協働提案制度の検討について、私たちが議論していく素案になるようなたたき台をご説明いただいた。今日は第1回ということもあるので、ご理解を深めていただき、疑問や意見を自由にいただきたいと思っている。
委員:経緯の方は、しが協働モデル研究会の一部を取り出したので、ちょっとわかりにくいかもしれない。例えば、後援や補助のあり方など他にもいっぱいあり、その中のひとつが提案制度である。委員会に来てみて難しいと思ったのは、一からスタートして理念から積み上げるのではなく、既にあるものがあり、やり方を決めていくという委員会であるので、スタートが揃わないといけない。たぶんこの提案制度と淡海ネットワークセンターの基金・助成金制度、もっと広げれば民間の競争入札などのような制度と、どう違うのか混乱すると思う。少なくともネットワークセンターの基金制度と今回の制度はどう違うのか説明していただくとともに、スタートラインが揃っていないのでまず分からないことをどんどん出してもらいたい。
事務局:ネットワークセンターの基金は平成14年度に5千万円県から出資してさせてもらっている。基金創設のときにはNPOの自立を支援していくということで、長くても3年ということだった。NPOが本来地域で自立していくときに課題があるので、そのための資金支援だった。また当時、人件費まで支援する他の助成がなかったので人件費を含めて支援することにより自立を促している。最近は、内容によって事業的な部分の支援や、金が回る仕組みがない中間支援組織への支援、あるいは実際にものを整備する場合の支援なども昨年度からさせていただいている。あくまでも、基本的にはNPOが自分たちのミッションを達成するために資金支援するのが基金である。今回については、税金を使うことになるので、公共性の高いもので、NPOと行政がお互いにこれなら税金を使って良い事業だなということに対して提案を受けて一緒にやっていくことになる。NPO独自の活動支援か、公益性の高いものについて県が担うところを一緒にやる事業か、というのが基金と今回の制度の違いかと思う。
仕組みとしては、入札とか随意契約などをしているが、個別に実際提案を受けているものもあろうかと思うが、ここでは協働の質を高めたいということで、本来のNPOなどが持っている特性を最大限活かせる形の制度にしていきたいので、これまでやってきた委託とか随意契約や入札も協働でないとは言えないが、さらに質を高めたい。
委員:たぶん仕様書・契約書の内容などが随分違うんだろうなというイメージがある。
委員:おっしゃるとおりスタートラインが全然違うので、幅広い内容の協働だから、公共と民間とが一緒に事業をしようというとき、どんな事業をするのかというレベルの問題がある。公共性のレベル、つまり私益の部分が強いが公共的なものもあるなど。あるいはエリアという滋賀の地域性、つまり全域にわたる公共性を求めるものなのか、市町のような地域なのか、NPOは地域をベースに仕事をしているので、どこまでオーソライズするのか。また、時間軸の問題もある。協働というのは10年、20年と長く成果を出すものなので、継続していかなくてはならないが、例えば「県の予算がなくなってやめた」ということが起こった場合どうするのか。そうなると、3~5年の短期的なものを中心に提案制度を進めるのかという時間軸の問題、あるいは空間的なものもある。公共性のレベルなどある程度整理しないと、ざっくばらんになっては、もう少し絞ってやらないと空中分解する。どう整理するのか、これを検討するのかさえもわからない。非常に幅広い。
事務局:確かに、行政が担う部分か、市民が担う部分か、その中間にあるのかなど、提案を受けた場合にいろいろ出てくる。選考委員会や審査委員会も難しくなるだろうが、そういう部分の判断が必要になる。漠然とした提案を受けるといろいろ出てくるので、ある程度限定して提案してもらうという方式もあろう。先ほど申したように、幅広い創造型なら、県か市か、市民だけなのか、中間あたりなのかなど、いろいろあるので、まずスタートはどうしていくのかということをこの委員会で検討していただきたい。エリア分けについても、県の本庁と振興局がある。出先の事業は地域密着だが、場合によっては市町の事業ではないかということもあり、市町との調整も必要になる。今回、市町に委員に入っていただいている。市町と一緒に制度ができるまでに十分調整が必要になる。
事務局:先ほど話をしたように、この制度の立ち上げに当たっては、県庁の部分も駆け足で今作業をしている。なぜかというと、今まで協働と言ってきたものが本当に協働か、あるいはまた、県庁職員そのものが協働に対する意識を統一して持っているのかどうか。そういうことを研修でこれからやろうとしている。今おっしゃったような協働型県政を進めるに当たって、住民の皆さん、地域や企業の皆さんと、企業は特にCSRをやっておられるが、そういったものが本当に協働型県政の中にどういう形で入っていくのか。予算があるとかないとか、2年とか3年とかいう話ではなく、意思決定過程のなかで、市民の皆さんと一緒に新たな公共の領域がどういうものかということが出てくると思う。そういったものが、これまでのボード提言の趣旨でもあると思う。県庁の中でも駆け足で進めている。来年度の予算も含めてどう対応していくか。その中で、提案制度で取り上げていただく内容も、いろんなところから出てきて、こういう分野もできるのではないかという、市民・企業・地域団体・NPOなどの視点から見てこういう分野が担っていけるのではないかということがあると思う。例えば、防災・防犯なら既にある程度確立している。防犯でも、自分たちのことは自分で守り、公の領域が固定化されている。そこに、どういうふうにNPOや企業が貢献し関われるか見えてきた。あとは市町との絡みの中で、広域的にするのはどういうことか、そういったものが具体的に出てくるのではないかと思う。あまり、行革の視点で県庁をスリム化するために協働があるというのは好まない。もちろん行革の中には出てくるが、そういった思いの中で私はいない。だから、少なくとも協働型県政を進める中で、どういった形で具体的な提案がどう息づいていくか。我々もどういう形で出していけるのか、いわゆる話が出来るようなものを、提案制度の中で出来ればよいと思う。県庁の中でも土俵は整えていっている。我々も一定の考え方の中で整理をしたい。県庁の中がついてこられないのも困るし、市町に一方的に仕事が下りるのも具合が悪い。
事務局:縦横斜めの見方で行かなくてはならない。新しい公という考えの中で、行革を強く出すのは好ましくないが、県庁全体のあり方が変わらなくてはならないので、そこで協働という概念は大事な欠かせないエンジンだと思っている。そういった意味で、大いに互いに通じ合わないといけない。そういう意味で興味を持っている。
会長:協働提案制度の背景も含めてご意見、ご説明をいただいた。委員の皆さん方、少しは感触をつかんでいただいただろうか。
委員:応募型は何となく分かりやすい。もう少し具体的なノウハウをもったNPOなり地域団体に提案してもらうというのは分かりやすい。創造型は、例えば、由緒正しい池を守ることが滋賀県の歴史を守ることで大事だという団体が出て、一方でそんな臭いものには蓋をしなければならない、これは環境問題だとなったときに、ぐちゃぐちゃになる。ひとつのことに相反する提案が出て、創造型はどちらかというと思いこみが入るので、やめた方がいいぞという可能性が出てくる。2つの大きな柱をつくったとき、創造型はいっこうに前に進まない。もっと仕掛けをしないといけない。新しい斬新な発想で提案をしてくださいということにしないと、人様々な思いがある。
事務局:ある程度条件的なものであるとか、それをどう審査するかというものがないと難しい。協働になるのかということもあるし、創造型についても、選考審査、公益性、そういった点を詰めないと難しいと考える。
会長:その他どうか?公募委員の皆さんはここまでどんな感じか。
委員:ちゃんとした形で協働を理解せず、どう関わらせていただけるかひしひしと感じている状況である。
委員:まさか実践に加われるとは、恐縮している。一応、市民側から提案するという気持ちも理解するし、行政から協働を管理する気持ちも分かる。どう関わっていったらいいのか。具体的に提案したいが、していいのかという複雑な気持ちもある。出来る限り委員として積極的に発言していきたい。
会長:県民から公募で選ばれた代表として、むしろご自由に発言していただきたい。
委員:先ほど事務局が、職員の方々の協働を推進していくということをおっしゃったが、具体的にどのようにどこまで権限を与え、どこまで教えていくのか。具体的に協働をこういうふうに進めてくださいと事細かに言うのか、大ざっぱに言うのか。
協働コーディネーター:いつも言っているが、協働は行政用語である。県庁職員は協働事業をやっていると言うが、実際はそうではないものもここに挙がっている。逆に挙がっていないのに協働事業だと私が思えるものもある。形ではなくて具体にやってきたかというプロセスが大事である。どうも協働が目的化してしまって、課題解決につながっていない。そういう視点で考えることが大事である。先週、人材育成指導員研修会をやって、200人ぐらいの人にそういう話をしたが、その方々が各所属の職員に研修をする。直接ではないのでその方が理解した上で協働の研修をする。非常に難しい。自分が分かっているかどうかと、人に教えることとは違う。ひとつずつ事例を言っていかないと仕方がない。住民を巻き込んだら協働なのだと思っている人がいる。いわゆる形は協働だが、実際は違うということがある。もともと、協働提案制度というものの根本は、しが協働モデル研究会で新川先生に座長をやってもらい、こういうのをやりましょうというのは我々NPO側が県に提案していった。それも、企画提案応募型の委託事業も県として結構挙がってきたが、とんでもないのが出てくる。これは違うということがあった。形はそうだが実はそうじゃないというのがあるので、一定の基準をつくっていただけないかと思う。大きい組織だからなかなか難しい。
委員:協働というのは、職員自体が分かっていないのが大半であるとうちの職場でも感じている。18年度から現在の所属にいるが、私の地域ではNPOが少ないし、職員が協働を意識する必要がある。県の事業仕分けもあるが、私たちは17年度からいち早く導入した。昨年度から、一つの仕事を分析する方法(協働化分析)をやっている。例えば、固定資産税というひとつの業務を取り上げると、まず建物の調査をして評価し、決定して課税通知を出し、徴収して、もし出来なければ督促し、それでもだめなら差し押さえという、一つの業務に7つの仕事があるとすると、その中で、行政がどんどんスリム化するなかで、何を行政が担っていくのかというときに、課税と差し押さえではないかということで、そういう分析を一部のプロジェクトでやっている。全事業をそういうことでやったときに、その中で何を地域や企業などと協働できるのか。そういう考えは非常に大事である。確かに行革ありきではないが、市町は特に厳しいので現実には直面している。ただ、それだけでなくて、地域や市民が元気になる仕組みをつくろうということを始めようとしている。例えば、県と市町を分けることができるのかという整理を今回してみたい。やはり、分かりやすく県民に見せていきたい。
会長:今おっしゃったように、滋賀県がやっている仕事を丁寧に見ていくと、協働と言っているフレームでできないものというのは、ひょっとするとほとんどないかもしれない。逆に、きちんと分析するとかなりのところが県民・企業等と一緒にやることで成果が上がったり、効率や水準が上がったりすると思う。これまで手が届かなかったことに手が届くなら、それは協働でやった方がいいだろう。県民の側から提案を出していただくという方式を考えるということではあるが、もう一方では行政の側の分析も大事かと思う。もう一点は、提案の中身によって、県か市町かという議論は必ずある。そのときにどう審査するか、提案制度の中でどう整理するかというのは今後ぜひ議論したい。市町の事業に属するものは、従来から県としてモデル事業で先行的にやってきたものがあるが、しかし一方で、県として本来やるべきことを役割として明確にした方がいいというご意見も当然ある。こういうことも提案制度を考える中で見ていきたい。
委員:協働に対する理解度は行政側・受け手側とも難しい。ボード提言にも協働が随分触れられているが、それでも理解できないところがある。検討項目の中で、どのような事業を対象にするのかというのがあるが、そのひとつの参考資料として、資料7から今後進めることをイメージするのかと思ったが、事業名や内容を果たして事務局から出してもらえるのか。
事務局:これは基本的に、それぞれの課の判断で出した協働事業である。それぞれの課は協働だと思って出しているが、本来の協働ではないと思うものもある。原課の方でチェックしてもらわなくてはならないと思っている。協働の質をさらに高めていかなくてはならないと思う。今回提出したものは、確かにこれが全て協働だと思ってもらうと違うかもしれない。現況として、外にはこういうものが出ているということである。
委員:例えば、権限委譲も視野に入れた提案制度も考えていければと思う。
会長:具体的にイメージしてみると、例えばこの提案の中で協働型で進めようと提案があった県事業について、それを地域でやるのであれば、むしろ市町に権限委譲して協働型でやった方が良いという事業も出てくるだろう。そういうときに、権限委譲の議論まで踏み込んでそういうフレームもつくるということまで検討してみてはどうか、ということだと理解する。県がOKしてくれるかどうか分からないが、前向きに検討してみたい。もともと協働提案の考え方の中に、本当は県・市町の仕事をどう振り分けるか、先ほど委員のご意見にもあったが、我々も悩みながらこの提案制度を考えてきた。むしろ良い提案、しかもそれが本来は市町と地域団体・企業・NPOとの組み合わせの方がはるかに良いものになるなら、積極的にそういう扱いができるように、そういう枠組みがあっていいと思う。
協働コーディネーター:NPOは地域を越えて活動すると言われているが、地域密着型の方が実は多く、特に都市部でないところではコミュニティ活動と関わりがあり、市町との方と一緒に考えていかなくてはならないと思う。県からの権限委譲までいかなくてもモデル事業としてありかなと思う。
委員:うちの町にはNPOがありませんというところが県内にいっぱいある。枠組みをうまく作ってNPOが成熟していくという考え方と、NPOを支援しNPOが成熟して制度を作っていくというやり方がある。私は最初、後者を考えていたが、それは無理だと最近思うようになった。ただ、金額の問題で、責任もリスクも負う。いろんなパターンや制度があればいいと思う。とはいえ、支援制度というのはセットであると思う。私も始めた頃は、組織の立ち上げの相談が多かったが、最近は企画書の書き方や会計処理の相談が多い。そういうことを一緒に考えることによって分かったと言われている。聞くところによると、支援制度の委員会もされているとのことだが。
事務局:淡海ネットワークセンターも10年経ったので、今後県域の支援についてどうするか、市町での支援についても高島市のように支援センターを考えているところもあるし、現時点でどういう支援が今必要なのかという部分をこれから検討していきたい。
委員:たぶん、10年前と変わっている。コミュニティ支援とNPO支援が分けられないと思う。
事務局:公の領域の部分をどう協働で実施するのか、その公の領域の中に市町と県との端境があるかもしれないが、ひとつの公の領域で誰が最後に責任を持つのかという話になる。ひとつの公の領域を決めて、その中に市民や企業、NPOが責任を持ったとしても、それが例えば県のテリトリーであれば一定の責任は県にいく。例えば10のうち、半分は県がする、半分はNPOがする。一番具体の例を見ていただけるのは防犯である。あれは明らかにテリトリーが分かれつつある。自らの責任の部分でやっており、そこに公がお金を出していく。半々でもあれば、全部出すこともある。今税金でやろうとしている提案制度については、公の領域の中で、多様な団体からどのような提案をしてもらうのかという形の進め方になる。基本的には、これから新しい公の領域と、皆が税金でやることについて認知できるものがベースになる。以前企画でやった公募型の提案は、公の領域を決めないで、自分の夢をどういうふうに実現するかを出したから、これは県の仕事でないとか、これは税金が使うものではないということでほとんどだめになってしまった。今回の場合は、今後少なくとも5年、10年の中で、これから公の領域を皆が協働しながらどうするかということで、当然広がりや上積みはある。その中には、例えばNPOの側面支援とか、地域団体への側面支援、企業のCSRが公の領域にどこまで入るかということもある。いずれにしても、多様な主体があればすき間が必ずあるはずなので、そのすき間を埋めていくことも重要である。防犯・防災はすき間がないような形で協働が進んでいる。具体に想像していただくには良いのかなと思う。
委員:協働の概念があるのかないのか。2つの協働の概念が錯綜していて、混乱している。本来協働というのは、先ほどの池の話があったが、その池をどうするのか、そこに関わる人が「これを私は持ってくる」、「私はこうしていく」というふうに協議をしながらするのが本来の協働である。ここで言っているのは、そこに行政が入ってくる入り方、それはお金だけでなく規制緩和もあるが、その中の行政との関係というのがあるのかなと思う。
事務局:税金を使うことになるので、行政とNPOになるのか地域団体もあると思うが、そういう部分との協働ということになる。行政の中でも県と市町というのはあるが、民民の提案というのはこの制度に入ってこないだろう。仕組みとしては、例えば協働と言っても委託・補助・共催もあるが、どちらかといえば、補助・委託が中心になるだろうとは思う。
事務局:あまり難しく考えないでいきたい。
会長:共通の理解の仕方は、応募型にせよ創造型にせよ、まずは県としてやってきたこと、本来やるべき事への県民側の提案、これが基本にある。これが委員会でやるべきこととしっかり押さえないといけない。それ以外は別のところでいろいろ議論していただける。協働推進ボードでも議論している。まずは、これまで県がやってきたこと、今やっていること、本来やるべきことに対して提案していく、その提案の仕方をどうしていくか、そしてそれをどう県の仕事として組み立て直してやっていくかということを協働提案として積極的にやっていこうというのが基本的な考え方である。そこから先、どのように募集するかという具体のことを考えて、一番良い県の仕事の進め方、県民の暮らしにとって成果・良い結果が出るように考えるのが第一のターゲットと考えていただきたい。ちょっと都合のよい話だが、もっともっと県の仕事が有意義になるように考えていくのがどうしても出てくるというのは、ご了解いただきたい。一般的に、滋賀県という地域全体で協働を進めるかというのは、ちょっとここでの議論ではないということでご了解いただきたい。
委員:資料9の活動分野をもう少し細かく分けられればイメージできて良いと思うのだが。
事務局:NPO法人の場合、法による17分野になっている。自己宣言の中で選んでいる。選んでいてもこれからやりたいというものもある。それぞれの事業を見て分けるのはなかなか出来ない。
委員:ただ、この表から枝葉をつけることはできるのか。
事務局:実際は、福祉関係が多い。協働の相手方も福祉の部局であるというのは実際出ていると思う。
委員:多分に官製というのがあるのだろうし、もう少し詳しくなると分かりやすいかと思った。
会長:本当は、NPOを認証されたところについては事業報告をつけているので、整理・分析をするのが良いのだが、その整理は大変で難しいだろう。他に協働提案制度についてどうか?先ほど、分かりやすい例として防災防犯の話があった。応募型で仮に防災防犯分野でやったとき、どういう募集ができそうなのか、そのモデルを事務局ベースで考えてはどうか?モデルがひとつあると、委員の皆さんも考えやすい。もちろん、パターンの違いがいくつかあればよいが、ひとつふたつ例があると、委員の皆さんの理解が深まる。別の刷り込みになるかもしれないが。案がもし出来れば工夫してもらいたい。
事務局:市町はある程度やっているので、広域的にやるような提案があれば良い。次回、事務局で出せればと思う。
会長:どういう募集をするのか、広域的な視点であるとか、住民と企業がどう関われるかとか、事例的に試しで結構なので作ってみては?
事務局:結構である。
会長:では、次回はそういう具体の例を見ていただきながら、滋賀県でどういうものがふさわしいか、県政そのものを協働型県政に変えていける、そういう提案をたくさん集められる仕組みについて、次回には例を含めて考えていきたい。今日はこれくらいにしておきたい。委員さん方、この辺でどうか。(全委員が了承)
会長:2時間ぐらいと聞いていたので、およそ時間がたった。今日は方向を出すのではなく、いろんな観点からのご意見、あるいは理解を深めるということでやってきた。あまり厳密に協働とは何かと予め決めてしまうと議論しにくい。ここは少しあいまいに、しかし県との協働の中で、具体的に成果が上がりそうなものを提案制度として前向きに考えていきたい。しばらくこういう形でおつきあいいただきたい。
特に議論すべき事項はなかった。
この場では調整が難しく、事務局が追って調整することとなった。
情報掲載日 2008年09月29日