資料Aのとおり
資料Bのとおり
今年度は「協働事業を進めるためのルールづくり」(公共事業における協働方針)を中心に議論することが第1回ボードで決定したが、協働の取組に関する評価・助言機関というボードの性格を踏まえ、具体的な事例をもとに協働の仕組みをつくっていけないかという委員からの提案を受け、それを考察しながら公共事業における協働を進めるための意見交換を行った。
委員:協働の理念そのものに異論はないが、景観隊の事例で三点問題がある。一つ目は、河川管理者としての適性の問題。木を植えているのだから知らないということはないのではないか。二つ目に、どの時期に起きたのかという点。除草委託事業と景観隊の活動時期がずれているときには、誰が管理状況にあるのか。いわゆる公共事業を受託する期間中の管理責任は受託者にあるわけだから、そことの摺り合わせをどうするかは発注段階で明確にすべきことである。発注後に起きていることで受託期間中に起きていることであれば、甲乙と協議すべきである。大事なことで確認する必要がある。三つ目は、仮にその二つがクリアされて景観隊に作業をお願いしようとなったとき、手続きとして何があるかという話も出てくる。三つ目のことはこのボードで議論していることだが、最初の二つはそれ以前の問題である。
事務局:土木交通部には、地先を調べた上で確認してもらうことはまだ出来ていない状態である。よって、もう一度尋ねてみないと分からない。
提案委員:全部の区間の管理は県であり、景観隊は市民環境会議、要するに近江八幡市の環境課のもとで取り組んでいるもので、市との協働の団体である。
事務局:琵琶湖環境部循環社会推進課の淡海エコフォスター担当者に尋ねたところ、制度に参加したいという申請が上がってきたときには、その区域について、道路であれば道路課に、川であれば河港課に対して、既に入っているボランティア団体がないかまず確認しているということであった。今調べの途中で分かっていない部分もあるので、もう少し調べたい。
委員:エコフォスターは随分増えた。こういう意識がエコフォスターから企業に広がっていると思う。
提案委員:業者選定のひとつになっているのだろう。これは大きい。企業選定のひとつのポイントになれば、さらに意識して単に請負をするというだけでなく広まっていくと思う。
委員:水利組合が意外とネックになるのではないか。
提案委員:水利組合は、ここについてはあまり関係していない。また、反対側の田んぼまできれいになるので農業者がすごく喜んでおり、農業者もこの団体に入ろうという意識になっている。
委員:では、単純に県と市の調整だけか。
事務局:環境部局と土木部局の連携も必要だろう。
協働コーディネーター:桜を植えるときには当然許可を取っているはずである。
提案委員:市から県にあがっているはずである。
協働コーディネーター:日野町の下迫(しもはさま)には迫谷川という一級河川が集落にあり、地域で川ざらえをやっている。平成17年の区長が町に言ったら、町が一級河川ということで地域振興局に相談したところ、「どうぞやってください」ということになった。既決予算の中から27,8万円出して、自分たちで道上から重機をおろしてやった。次の年は本格的にやりたいということで、50万ぐらいの予算が付いてやられたそうだ。50軒の集落のうち10人重機オペレーターがいる。ダンプ10台、それもすごい量を2年かけてやったそうだ。地域にそういう人がいると、県にとっては本来管理すべきところをやってくれる。今年は逆に予算がついてしまって県内に広げるということらしいが、逆のやり方をしてしまうと、地域に押しつけてしまうことになる。
委員:進めていくときにネックになるのは、安全管理である。
委員:昔からの地域は土木関係者、重機のオペレーターがいる。地域によっては人材は豊富だと思う。それを地域がうまく活かせるかどうかである。
提案委員:シニアの社会参画が大事である。生き甲斐と健康推進にもつながっていく。また、若い学生も地域に入りながらいろいろと吸収し、公共心が育っていく。就職してからも、仕事をしながらもう一方、まちづくりにも参画する。そのような流れがつながっていくと、そういう子たちが将来退職したときにすぐに社会参画できる。
委員:地元の人ができることは地元の人がした方がいい。それをどうするかというのは、公共事業の協働方針に関わってくる。
提案委員:財源不足になってきたときに、必然的に市民に頼る状況は出てくる。一方で住民側は自分たちでできることはやる。そういう状況にならざるを得ない。
委員:セメントは出すから地元に道の補修をしてくれ、というのは何の問題もない。
提案委員:これからは補修しやすい材料を使い、誰もが補修を簡単にできるようにする時代である。将来なくなるようなものを使うと大変なことになる。
委員:全部業者に任せると、発注段階から道路構造令に基づいた補修になるので高額な金額になる。1割か2割ぐらい高くなる。
委員:逆に材料費だけで発注できるという仕組みを作ってしまえばよい。実はありそうでない。発注は工事全体の発注が通常であり、出来上がったもの全体に検査をかける。材料だけを渡しました、そしてちゃんと使いましたという写真・確認があればよい。委託するときに地元の人がそれで良いと言えば良い。これで経費が激減する。地元にとっては工事を待つのに時間がかかる。すぐやってほしいと思っているので、材料だけあればすぐできる。
事務局:土木交通部だけが公共事業ではないということで、農政水産部に何か統一的なマニュアルがないか尋ねたら、農林水産省作成の「農家・地域住民等参加型の直営施工推進マニュアル」という分厚いマニュアルがあった。県ではマニュアルを作らないけれども、これを基本に仕事をしてくださいということで、部内のイントラネット共有ファイルに保存されている。これを見ていると、労務提供の場合の留意事項がきちんと書かれていて、参画する人が地方公務員の場合に地方公務員法に抵触しないかどうかや職業安定法に引っかからないかなど、すごく細かい検証がなされているマニュアルである。
委員:農林水産省がそこまでやらなくてはいけないとは、行政が仕事を取り過ぎたのだろう。
委員:逆に言うと、仕事を取ってしまったが予算がつかなくなって、にっちもさっちも行かなくなった。
委員:昔の講みたいに税金の一部を地元にため込んでいたら、うまく回るのだが。公共事業の協働方針には書けないだろうが、最後は税の流れである。普請でも寄り合いでもいいので、何かの時にためておこうよという基金のようなことが本来ないとだめである。
委員:実質税の還元システムが良いかもしれない。委託はひとつ、良い手であると思う。とにかく、公共事業の前段階から維持管理のところまで、それぞれの段階で参画・協働を基本原則にしていくというのはあり得ると思う。特に今日の話のように、維持管理段階では、地域の身近さ度合いによって、かなり問題解決、協働型委託ができると思う。委託は協働でないという人もいるが、人も物もお金も両方で出し合って、地域を維持管理していくということが大事である。そのためのルールは難しくない。
委員:公共の仕事を県から出す場合、きちんと仕様を明示していかなければならない。
委員:委託と仕様書はセットである。
委員:ある程度典型的に協働型で進めるならば、仕様書をつくってどうですかという話もあるが、その前段階なので、むしろ仕様書づくりのところからモデルをつくっていくような話を土木交通部にした方がよい。今は金も人手もないので、手間がかかっても今やっておくと先々仕事をやりやすいですよという話をしていくとよい。
委員:基本設計前から考えてもらわないといけない。調査段階でどの程度参加をしてもらって協働型で進める余地があるかを詰めていく作業を、パイロットスタディ的にやってもらうよう提案していく必要がある。それをベースにして、出来る事業・出来ない事業をあぶり出していく手順が必要だと思う。
委員:9月に入って検討し、来年度ルールを作ってしまう。来年度パイロット的に一件でもいいから発注する。今年の事業の中でそういう視点で職員がチェックをかければ良い。委託する必要はない。仕様書のたたき台を作る。仕様書にも大きくふたつにわかれ、基本的な共通仕様書と工事ごとのものがある。本当にチェックリストみたいなものでよい。ここはC、安全管理のここはこう、というようなもの。一件、一件仕様書を作れと言うとみんな引いてしまう。それは中身に応じたらよい。こういうものが来年度ぐらいに固まってくるとよい。こういうスケジュールでどうかということを土木交通部に持ちかけてはどうだろうか。あるいは、あちらの中に委員会を立ち上げてもらってもよい。その場合、そこにオブザーバーをこちらから送ればよい。
協働コーディネーター:各部から協働事業を来年度予算で出してもらう際、土木交通部に川の話でやれば取り組みやすいと呼びかけてみる手もある。後の維持補修までやってもらえるのだから一番良い。
委員:仕様書を発注のときにどうなっているのかを見ていただき、地域としてここまで出せるということを逆に教えていただければ、土木交通部に返す方法がある。
委員:ヒアリングしながら仕様書をつくっていく作業である。仕様書というと難しいが、お互いに分かる言葉でここまでできるということを書く。現場でやっている人からも意見を聴きながら。仕様書をつくるというのが全てだと思う。
委員:白鳥川でもし発注しているなら、除草の仕様書を持ってきて委員に見ていただければよい。まず仕様書を見ていただいて、ここの団体がどこまでやっておられるか見ればわかると思う。
委員:もしもらえるとしたら、仕様書と工事報告書をもらって欲しい。要するに写真である。
事務局:承知した。土木交通部に訊いてみる。
委員:川で考えるのが事例的に分かりやすいかもしれない。道ではここまで盛り上がらない。エコフォスターに登録しているものはきれいに分かれている。業者と市民が一緒にやるということも仕掛けることができるか微妙。
委員:エコフォスターも民民協働を条件に入れるなどもあってよい。官民でなく民民でやってみませんか、ということで。
委員:業者のためには、「市民と一緒にやりました」ということが数年先に効いてくる。
委員:いずれそれが入札の条件になると思う。逆に言えば、地域の人とやればやるほど仕事がまわってくるとすれば民間は動く。協働だけでは動かない。インセンティブをあげないと。そういう仕組みづくりをひとつ、それと、発注前段階から市民と何ができるのかということのチェックも組み合わせると良い仕組みになる。
提案委員:仕様書ともうひとつ、概算をきっちりしておかないといけない。現場を見てしっかり概算をしておくのが大事な時期である。特に改修は非常にはじきにくい。現場の状況によって異なる。地域の人は、ここは気をつけなければならないなど情報をよく知っておられる。地質調査もポイントが少ないので読めないことがある。
事務局:その辺の他府県の先進県はどこになるだろうか。
委員:静岡県の掛川が一番分かりやすい。
提案委員:同県の三島もそうである。
委員:東海道筋ではもともと公共事業が多い。
委員:公共の建物で、一緒に協働でやりましたというのが何かあれば良い。
提案委員:八幡公民館がそうである。山東町の幼稚園が若干そういう形である。住民の意見を集約して発注していくのが大事である。
委員:川と道路の普請が分かりやすい。
委員:川と道路の普請は、仕様前段階からやればできる。建築はちょっと考えた方がよいかもしれない。新築はまずないが、基本設計前の調査段階から議論していけばむしろ協働する余地はある。
事務局から、「協働手続きの整備」に関する庁内におけるひとつの取組として、資料Dの「NPOへの委託マニュアルについて」を紹介した。これは、平成15年3月に当時の県民文化課が経営改革支援室と協議し、NPOに対する委託事業が増えてきたので統一的な方針を示した方がいいのではないかということで、出納局と協議して担当者が作り上げたものである。なお、これは相手方のNPOに対して意見をもらって作ったわけではなく、県の財務規則上の整理である。
協働提案制度の検討、市民活動支援を考える研究会の議論、協働推進本部の設置状況、統一テーマ研修の実施結果等々、様々な取組について報告し、それに対して委員からさらなる助言をもらうタイミングとしては、来年1月あたりに第3回ボードを開催するのが適当ではないかという案を事務局が示した。
ボードの1月開催については了承されたが、委員から「土木交通部に参加・協働型で進める取組を検討してもらいたいというボードからの申し入れを、少なくとも9月早々には行う必要がある」との指摘があり、その内容については、電子メール等で事務局が委員に確認し、その上で同部に提案するという方向でまとまった。
情報掲載日 2008年08月28日
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滋賀県県民活動課NPO・協働推進担当