【新川委員】: 10月25日に提言をしたが、知事としてもかなり積極的に受け止めていただいていて安心しているが、来年予算は大変厳しいからどうなるのかは分からない。緊急提言ということですぐにやってほしい実現可能性の高い形で出したつもりもあるので、皆さん方の力添えでできるものと思う。
先日の「協働推進セミナー」については、協働について話す機会をいただいた。いろんな話を聞いてもらって、役立つ人に話すというのも大事だと思う。しかし、そういったところに来ない人にどうして伝えるかというのも大変だ。来る人は真剣に、今後協働をどう進めていけばいいのかを考えている方が多い印象を受けた。それはそれなりによかった。一緒に議論いただいた浅野委員委員はどうだったか。
【浅野委員】:すでに市民活動に入っている方がかなり多いのではと感じた。興味ある人が来るという構図になっている。いきなりハードに「市民との対話だ!」「協働とは」となると機能停止になるかもしれないので、来年度は「市民と一緒にできて楽しかったこと」というような、もう少し現場レベルの身近な感性を磨くような形でやることが大切である。
セミナーのちょっと前というレベルから始めて、意識の部分をきっちり積んでいけば、協働については、適宜、提案制度などの制度が入ってくるので、やっていけるのではないか。
あまり概念的にならずにまずは現場を知るということが大事で、そういうことをするのと、県民活動課だけがするのではなく、すでに市民活動、協働をやっている職員が自分たちの仲間に対して行うというスタイルの研修もあっていいのではないか。また、自然発生的にできる形にならないと。
協働にはいろんなやり方があると思うので、そういうことを職員が自ら学ぶということがいいのではないか。NPOに入るというのもあるが、所属を越えてやっている方と一緒につくるというのも大事である。
【新川委員】:協働推進セミナーでは、部活報告も鼎談もそうだが、実績のある人向けというのがあって、形もある意味では、協働ありきとして入ってしまった。むしろ、その中の手法論、技術論に入ってしまったので、その点でもああいう形のセミナーで得るところの多い方もいるが、それ以前の職員や、市民、県民にどう理解を広げるかが課題である。
その辺り、いろんな接点の作りかたを具体的に検討いただければいいと思う。特にステップ1,2,3。もう少し理解しやすい、単に華やかさというのではなく、納得、理解のしやすさを工夫してもらいたい。
また、社会問題が多様化、多元化している中で、地域組織がどこまでできるのかという限界があるから、両方の力を存分に引き出せるような、それこそ「協働」というのがあるといいなと思うが、残念ながらどちらにもそういう意識がない。行政もNPOも地域組織も、市町村もどちらにも、それぞれの持ち味があって、上手に役割分担したり、仕事をしたりするともっといい結果が出るということに気づいていない。協働を検討する側からも積極的に働きかけをするべきだと思う。
また、県庁職員自身がそういうふうに考えてないということもある。単に行政とNPOの間の議論だけではないと理解してほしい。
【浅野委員】:研修についてだが、市民活動、地域で活動している講座、企画に出席するのも研修に入れるということにならないか。初歩講座の前段の人たちで、市民活動、NPOとは?分からないという人に行ってもらうところ、行っていただきたいところには、どういうものがあるのかは、県庁のホームページやONCのホームページにも掲載されているから、そういうところに参加してもらってから研修を受ける方が理解が深まるのではないか。いきなり抽象的なことをやっても言葉の整理だけではすぐには分からない。
現場を見るという意味で、土日や夜が多いが、自分の興味のあるNPOに参加したり、フォーラムに出て、見ていただくというのも大事ではないか。
【新川委員】:セミナー、研修、県民との対話、そういう機会を、協働をやっていく上での大事な財産と整理した上で、それらの情報収集して全庁的に知らせるだけでも意味がある。県民の活動、協働、NPOといっしょに考えるとか、県民参加とかいくつかのキーワードで、これからの行政の大事なところです、関心もってくださいと呼びかけをしてもらえればいい。そういうところに研修の一環として行ける体制が組めればもっといい。
【青山委員】:予算がない中で、商品を揃えたが、この研修パッケージだと1000人ほどである。こういうものに触れる機会を出すということについては関係各課と話してみたい。
【新川委員】:各所属長は職員を必ず順番に行かせないといけないというルールがあればいいかもしれない。
【古川委員】:県では、参事、課長級は福祉施設の現場に行く強制研修がある。
【青山委員】:そうするためには、相手方の了解を得て、職員が行くというジョイントもしないといけないが、考えてみたい。
【萩野委員】:NPO協働研修では最初(13年度)2日間だったが、そんなに大変ではなかった。翌年から増えて、2人ずつ延べ20日間となった。7月に研修生とNPOのマッチングがあるから、半年間で20日はけっこう濃い。うちはイベントのときに来てもらった。それでも、そんなにおおげさなことではない。
【新川委員】: 2週間ぐらいの方がよかったと思うが、なんでやめたのか。
【事務局】:応募が減ったということが大きい。
【萩野委員】: 20日間というのが長いようだ。
【堤委員】:うちは60日間だった。夕方から。
【萩野委員】: 20日でも中途半端だが、18年度は10日になった。20日のときは一つの事業をしてもらえた。
【堤委員】:前から言っているが、強制でやることが必要である。
【新川委員】:手があがらなければやめるのではなくて、強制でしょう。そこでやめるのは管理者側の責任だ。組織的にそれを仕事だと思わなかったからいけない。
【萩野委員】:研修生自身が事業をやりたいと言って、それを教えてあげるという形でやった。
【新川委員】:県がどれぐらい腰を据えてやるか、ということになる。
【萩野委員】:NPO側の問題もあったようで、電話番に使ったということもあったらしい。
【新川委員】:それはお願いする側からすれば淘汰すればいい。
【堤委員】:受け入れ側も固定化された。できる人材が来たときにその能力を活かす能力がNPOに欠けている。毎年、同じ顔ぶれになる。受け入れ側もどうすればいいかというプログラムが組めるから継続して受けた方がいい。受ける側も強制的にやるほうがいい。
【萩野委員】:なぜか一つのNPOが受け入れのコーディネータになった。そこがやったことで、「協働の研修」になった。どこをもって協働研修というのか。今まで一緒にやっていたところが前に出てコーディネートし始めて、仕組みも変わったし、お金のやりとりも変わった。NPO側の声もそれまでは直接上がったのが、そこを通さないと声が通らないようになり、それも原因ではないか。
最初は担当者が直接各NPOとやりとりしていたが、最後2年で変わった。最初は8団体あったが、1つのNPOが窓口になって、そこと県が決めるようになって、謝礼の額や出し方等全部変わった。なんでそうなるのかと不思議な感じであった。
最初は各NPOがそれぞれやっていて、研修センターもいろいろ勉強しながらの、協働のスタイルだったと思う。
【新川委員】:本来は県と各受け入れ団体と個別具体的に話しながら、職員が行くというのが本来の姿なのに、なぜか間に別の団体が入ってきて、半分県のような顔をして、半分NPOの顔をしつつ、直接、NPOの声は通らない。
【堤委員】:そこまでのことができる中間支援団体なんてない。本当はいろいろ問題があっても、直接やってきたことに意味があった。
【新川委員】:それを誰かがどこかで合理化しようとした。
【萩野委員】:最後の年には、うちははずされた。理由がわからない。子どものNPOを入れたいということが理由だった、一から一緒にやってきたのにという思いがあったのに、もっと他に理由があったんじゃないのかと残念だった。
NPOにもいろんなカラーがあって、なかなか寄るような機会がなかった。15年には、受入れNPOとNPO活動促進室で話をし、協働を考える会を立ち上げてとにかく話そうというきっかけになった。研修目的だが、実は私たちも意見交換会ができ、分野が違うのに、最後は期せずして同じようなところに結果が出てきていたのは面白かったし、悩み、問題点を上げたりして、互いに勉強になりすごく良かった。
【堤委員】:印象的なのが、研修生が希望していたところに行けなかったが、知らない世界を体験できたというだけでもものすごい収穫だ。実体験をもっているから、その財産の方が大きい。極端な話、希望を聞かない方がいい。機械的に、家に近いとか深く考えない方がいい。命令で行かせる方がいいと思う。
【萩野委員】:うちの研修生で、県と市町の職員の2人がたまたまギターをやった。僕たちでコンサートやらしてもらえないかと。それで県内の行政職員を集めてコンサートをやった。これもネットワークですねとなって、発展していく形があった。
【新川委員】:貴重な財産を作る機会をなくしてしまった。面白い事業だった。
【萩野委員】:NPOにとってすごくいい情報源だった。
【浅野委員】:そういうのがいい。学びの場をつくるべき。安易にNPOに委託を出して、セミナーやってくださいという今のやり方は危険だ。滋賀県は危険な状態だ。
また、中間支援というのは、テーマ型でやっているNPOでこそ中間支援機能があればすごくいいということもあるので、あまり既存の中間支援センター群にとらわれずに、幅広に中間でコーディネータに入れる団体、と定義しながら、協働研修もやられたらいいと思う。少し硬直化していると思う。
【萩野委員】:これをきっかけにたとえ2日でも全員行けとなれば貴重な体験になると思う。県の職員の名札をはずして、1NPOでやってみるというのは体験しないと分からない。
【堤委員】:代わりにNPOが行政のカウンターに座るのも貴重かもしれない。NPOが行政を研修するって将来的にはあるか。
【萩野委員】:協働モデル研究会で、行政とはこうだと説明すると「
【萩野委員】:は行政の人のようだ」と言われた。信じられなかった。
【新川委員】:本当は行政が何を考えて動くかをNPOも分からないと。行政もNPOが何を考えて動くかを知らないと。そういう状態をどうやって作っていくかが大事で、両方が両方を経験する人材を増やす必要がある。
【堤委員】:よく分からないが、市と町で県の対応の仕方を変えるというのはどうか。県の応援が必要なところというのは町であって、市は独自にやっている。県が町だけに行くというのもあるかもしれない。
【新川委員】:組織としての取り組み姿勢で違う。トップの判断もあるが、たいていの町では手がまわらないという理由である。そういうところで必要性がないかというとそうではない。そこは全県的に欠けているところを補うのも県の役割で本当の補完行政である。一律、分権だから市町もしっかりしろという話ではない。基盤作りの手伝いはしないといけない。住民活動、協働的なものの意味を理解して、それを大きな柱にしていくような人材、雰囲気、文化を多少でも入れ込んでいくようなことには、県が動かないとできない町があるかもしれない。
【青山委員】:特に町では地域がしっかりしているから不自由していないと思っていて、NPOもそんなに立ち上がっていない。NPOは英語だからハイカラだというイメージがある。そういう地域でNPO活動をすると、変わり者だと言われてしまう。
【新川委員】:そういう人から話を聞くと、地域から阻害されるので、何もできなくて外でやる。それは地域にとってマイナスである。環境や教育問題など、地元だけでできないというのは何か。町の問題はそこで、町の文化そのものを変えていかないといけない。
【青山委員】:狭間にあって、気づいている人は気づいている。自治会ではそれは県の仕事じゃないでしょうという人がたくさんいる。
【新川委員】:中心でやっている方は放っておいていい。県庁内にいる100人ははずして、何とか幅広に。そのためには無理矢理、職務命令で、年間10日は現場に行けとならないか。
【萩野委員】:気づきがあって、目覚めるかもしれない。
【堤委員】:若い人がいい。
【萩野委員】:主査級。20代後半から30前半。
【新川委員】: 2,3回異動してきた人がいい。その年代は本人たちも無理もきく。あとは割り当てで、各部署人数割りで、何人出せと。必ずこの年代階層は出せというやり方を研修体系の中で作ってしまうしかない。それをやらないと昇進昇格がないとか。各階層でやるのと同じだから。
【萩野委員】:それは時間がかかるけれど、確実で理解が早いと思う。
【新川委員】: 20日というのに抵抗があるなら、2日は短いが10日でもいい。半年でいいから10日間出る。この研修はコストはかからず、事務局の手間だけで済む。
【萩野委員】:予算はいらない。
【新川委員】:将来を見ると、職員にお金をかけていい人材を育てるぐらいしか県の財産はない。どこも人材だけで、職員を大事にしないといけない。
【浅野委員】:NPOでは行政職員が来てくれないかと思っている。すごく優秀だから。そういう行政職員の事務処理能力のストックがたまれば、NPOの基盤強化になる。
【新川委員】:県の方も仕事のやり方、質が変わる。
【堤委員】:互いにカルチャーショックでいい。異文化交流、異文化コミュニケーション。
【新川委員】:多文化共生。
【萩野委員】:NPOが専門家のプロだとしたら、行政は事務方のプロ。NPOは事務が大変だ。だからみんな勉強になっていた。10日ならなんとかなると県職員も言っていた。
【浅野委員】:県民活動課がこんなNPOがあるではなくて、職員が自分で講座に参加しながら、こんなところいいな、ということで仲介してもらって、手をあげてもらって行かせてもらう、そういう口利きを県民活動課にしてもらうというのもいいのではないか。県民活動課が持つNPO情報と違うチャンネルからも入ってくる。マッチングに負荷をかけずに、フィルターをかまさずにやる方が現場の意見が直接来るのかもしれない。
【青山委員】:既存の講座を活用する、フリーなプランを出すということは行政には難しい。何でもいいというのは得意じゃない。
【萩野委員】:そこはNPOが得意だ。
【石井委員】:研修の結果として、メリットがあったという情報共有していく必要がある。例えば職員新聞に流すとか。職員だけの情報として、参加していない方にもこういうメリットがあるとかすると、研修に行っていない職員も誘発されて、行ってみたいと思ったり、研修者がキーになって申込が増えるとかなれば、よりいいものになるのではないか。
研修や今まで活動してきた中で、必ず共通用語、キーワードがある。それを抜粋すると、総合的な視点が協働にはふさわしいとか、例えば“つながる”という意識とか、情報をいかに交換し合うとか、公共の視点に立ってとか、現場・生活者の視点に立って関わってみるとか、いくつも共通言語がある。それを抜粋して、ネタ帳ではないが、もっておくとかしてはどうか。
協働を実践していくときに、ざっとみながら繰り返し、反復して、ここが足りないと自己評価するとか。そのうちに意識が身について、共通用語を理解して実践するようになるのではないか。実践して効果が出てくると思う。
例えば「ベールに包まれた感じ」とあるが、なんでベールに包まれていると感じたのか詳しく聞いたうえで、どうストレートに言ってほしかったのか、分析した結果として、それを解消していくということも大事ではないか。
【青山委員】:ストレートに言うと、県民の方は本当のことが知りたいと言う気持ちが強い。お金がないのなら、なんで金がないのかとか。
【石井委員】:権利行使にしても、わかりやすく表現するという工夫がされている。イラストにしたり、漫画にしたり。非常に重要だ。的確に市民が現状把握するというのが大事だ。協働も言葉だけが走っていて、県民にわかりにくいという課題がある。
「実際に体験するとわかる」というのが一方であるとして、言葉の意味として、分かりやすく表現するために工夫する余地はある。
【青山委員】:協働については知事をはじめ県職員は何回も使うが、何が何とどうなのかと分からない。ふわーっとしている。
【萩野委員】:実践しないと。NPOもそうだ。
【新川委員】:事業ベースで考えないと、協働なんてうそだ。
【石井委員】:協働によって成果が正確に出てくる、つながりを持って出てくる。そうなると、「あっ、なるほど」となる。協力しあって、向き合って、成果が出たと言い換えればいいのでは。1+1=2ではなく、2.5になったと。
【新川委員】:事業、活動で実際に協働をやったから、初めてこれはちゃんとした協働になっていたかと議論ができる。それがないとぼやっとしか理解できない。
【石井委員】:予算的にも、協働することによって安くなったということもあると思う。
【萩野委員】:知事だけの責任ではないと思うが、我慢してください、予算削減します、ではなくて、その先のビジョンを出して、これを達成するために皆さんの力を貸して欲しいと、これはまさに協働ではないか。そう言ってくれないと納得できない。
【萩野委員】:もっとわかりやすく「協働」という言葉を使わなくても、県としてこうしたい、そのためには県と皆さんとが力を合わせて、と言えばいい。それはまさに協働ではないか。逆に今、チャンスである。
【石井委員】:行政側から言うとお仕着せ的になる。以前のようなことは困難だという現実を踏まえて、行政として、結果として互いが役割分担しながら進めようという認識も自然に広がって、自然に県民が理解してくれたらいいのではないか。
【萩野委員】:行政は予算がないのでできないで終わる。これだけの額がほしいけれども、つけられないと。その予算がない部分を、そこを皆さんの力でやり遂げようとしないのか。それがリーダー、行政は県民のリーダーなのだから。
【石井委員】:もともと滋賀県には「もったいない思想」がある。その意識は滋賀県固有のものだ。
【萩野委員】:本当のもったいないは我慢しようではなく、本質を活かそう、というのが本来の意味、本来の精神。ただのケチではない。
【新川委員】:元々の意味はそうだが、取り違えている人もいる。今の議論は中長期的議論に入ってくる。
今後は中長期的な事項について議論していただくが、その中で職員の意識改革、研修はすぐやれと意見もあるが、その辺も含めて意見をいただきたい。また、4つ目のところで少し書いてあるけれども、市町の関係もある。今後、どういう関係を考えるかということについても別立てで考えないといけないかもしれない。
【浅野委員】:NPOへの資金支援であるが、補助金、委託は所属ごとにばらばらであるが、表なりで整理していただければありがたい。どこにどういうお金が出ているかが分かるようなもので。
また、NPOの資金運営については、ファンドのこともある。最近話題に出た、琵琶湖のふるさと条例とか、寄付条例とか、そのかねあいがどうなるのか。琵琶湖だけに寄付が行ってしまうと困る。
びわこ銀行も滋賀銀行もそちらの環境の寄付にまわってしまって、他には行かなくなる。他の市民活動と対峙してしまう。その整理を担当課としていただきたい。いろんな補助金が出るのはいいが、どうなればトータルで市民活動支援ができていくのか絵がないと、航路なき海図で船ばかり、ハーバーばかりで、ということになる。そこを整理する必要がある。
京都から見ていると滋賀県はお金が出ていると思うが、全体的にどうか、というところが気になる。ファンド創設もそうだが、現状把握というところもしてほしい。
【青山委員】:NPOに寄付しても、損金算入ができるなど税金面での免除というのができない。勉強したいが、現状としてはできていない。県だけではできないので、内閣府に要望したい。半分ぐらいの県がやれば国も動くと思うので、内閣府をうまく動かしてできないかと思っている。それができれば、ファンドにしてもそういうものがないとなかなか難しい。
【石井委員】:京都のまちづくりセンターではファンドを創設して、京町屋を再生しようと実践している。その中で、個人の固定資産に対してファンドを使うと税金の面で問題が出ているようだ。対象によってはよく考えて、ファンドを使っていく必要がある。
【新川委員】:ファンドはなかなか難しい面がある。市民活動、NPO的なものとこれまで行政の下請的、補助的にやってきた組織との違いがある。それを民間に出ているお金だから、ひとまとめに議論するのは荒っぽいという感じがしている。今まで、各種団体に出ているお金をどうするのかという議論は、それはそれで本当に意味のあるお金かどうかを議論しないといけない。
それとNPOにどれぐらいのお金をどう振り分ければいいのかを考えないといけない。両方をやらないといけないと思う。困るのは、県は「部あって、県がない」というところがある。各部ごとに関係するところお金を出す仕組みというのができてきているし、協働事業は部門ごとに、それぞれの思いで補助金を出したり、委託に出したりしている。それを県全体として、その仕組み自体を括り直してできるかというとなかなか難しい。
ここで我々が考えるファンドの性質、対象、目的をもう少し具体的に固めないといけないと思う。私自身はそんなに複雑ではなく、滋賀県でやらないといけないのは、どうお金を集めるかよりも、まちづくりや教育、福祉や既存の制度など、これまでの行政関与型の公益法人的な事業の枠内でまわるところとまわらないところがあるので、まわらないところに対してどう応援ができるか。そういう力を、そういう活動とか志の火を消さないためにどうするかということを最低限考えないといけないと思う。
そうすると、運営費であるとか、最低限度活動できるだけの資金的な支援を継続していく、垂れ流し続けるのもひょっとすると県の役割かと考えている。いい活動をしようと頑張れば頑張るほど、みんな貧しくなってだんだん嫌になってやめいってしまうという構図だけは最低限度なくしていく必要がある。もちろん、どう見極めるのか、どこに出すのか、そのお金をどう調達するかという議論はしていかないといけないが、安定的な資金支援はそう考えたい。滅私奉公のボランティアでは続かない。
【萩野委員】:実際にやっている側としては、金貸し屋になってほしくない。
【新川委員】:つなぎ資金というか、精算払いまでの資金繰りをどうするか。NPOの場合はそこが問題である。もちろん民間企業でも同じだけれど。NPOは黒字倒産するので、キャッシュフローをどう確保するかも問題だ。ファンドというより、金融になる。
事業が大きくなればなるほど、最初からお金がかかるが、行政からは途中にしかもらえない。そういう構造だから、そこをどう乗り越えるか。いくつかの府県でやっているのは、県と金融機関が組んで受託事業、補助事業がある場合に、事業開始前に事業の上限まで貸すというのがある。
【萩野委員】:会社と同じだから。非営利であるだけで。
【堤委員】:先に貸してくれるだけでいい。
【萩野委員】:普通の会社はそうだ。借金抱えながらやっている。資金繰りとしてはそれがないと。
【堤委員】:ざっくりした言い方だが、ボランティアベースなら補助金は何十万。事業は前払い何百万円あればなんとかなる。銀行はあてにならない。
【萩野委員】:自立しようとすれば必ずそうなる。文化行政もそうだが、今までのばらまきをやめようと、結局、50万円、100万円とお金を出しているが、贅沢な補助金になっている。ほとんどがボランティア団体だからもらえたらやろうとなり、それをやったから発展していくというのではない。本当にやる気があるかどうか分からないというのがすごくある。お金の苦労は自分でしないと。ただでもらえるんならいくらでもほしいけれど、自立にはつながらない。県職員に言っても実感がないから分からないでしょう。
【新川委員】:NPO向けの融資制度はそんなに面倒ではないので、やろうと思えばできる。民間の京都NPOセンターと労働金庫、労働者福祉協会の3者で始めた。上限10,000千円でこの春からやっている。
【堤委員】:それを聞いただけで京都に行こうと思う。
【新川委員】:基本的に委託、補助を受けたところがその総額まで貸すという仕組み。
【堤委員】:資本金の蓄積ができないから矛盾している。ボランティア前提で、協働では限界がある。前払い制度を行政で作るより、ある種、金融機関としての査定が入るから、この制度を作るほうが楽ではないか。
【新川委員】:民間が動かないときには、宮城県のように県と労金でやっているところもある。
【萩野委員】:お金が動いているのが見えると、事業を拡大しようとか、活動拡大しようとしても回っていける。うちも500万円1件となれば動けない。前金が確保できないから、一定額は貯金している。
【堤委員】:私も個人銀行でまわしている。
【新川委員】:結局そのお金は残って使わないから無駄になる。世の中に実質回るお金になっていない。じゃあ、融資システムからやりましょう。
【浅野委員】:環境系のNPOでも、国の事業を取ったら、350万円でももらえないからどうしたらいいのかと困っていた。理事が持ち出しでという額もこえてしまう。いつも拠出というのも変な話で、そういう相談がONCに入ってくる。
【堤委員】:協働方針で、環境配慮、障害者雇用の視点、これをやると、何かインセンティブが働くのか。環境配慮型の指針というのはよくあるが、ある種、強制というか。
【新川委員】:国庫補助のスキームにある。
【古川委員】:土木の業者の指名選定についてはそういうのがある。
【新川委員】:最近は総合評価方式になっているので、指名基準にも環境の点数が入る。
【堤委員】:環境配慮、障害者雇用は評価しやすくて、次の工事に効いてくるが、協働はどういう形で、業者にとって効いてくるのか、可能なのか。
【新川委員】:可能ではないか。
【堤委員】:公共事業本体として環境配慮しなさい、事業者として雇用しなさい、というのは分かりやすい。そういう流れで行くと、事業そのものを一部でもいいから協働でやりなさい、ということなら可能になる。河川工事を市民参加でやれということですね。材料調達でも何でもいいが、そういう実績を積んでいる業者は評価が高くなるということか。
業者に限らず、NPOにも入ってくると思うが、そういう意味であれば、公共事業、補助事業の中で、これをもって協働ですよというのと、協働度合いと評価軸が必要だ。Aランクの協働とか。
【新川委員】:初期段階はしないといけないかもしれない。
【堤委員】:ある種、面白いと思う。あなたのは素晴らしい協働、あなたのは普通の協働、というふうに。
【新川委員】:どうランキングするかは別にして、協働でやっている度合いとか、協働の点数の積算方法とか。
【堤委員】:業者にとっては、ある種のリスクだ。やったことがない方にとっては。自分の会社にとっても企業認知度が高まっていいと思ってくれる企業はいいので、通常、初めてやる企業は、面倒くさいし安全管理大変だし手を出さない。これが評価軸に入って、必ず効いてくるには、具体例を羅列する必要がある。こういう事業であればこうすればポイントが高いと。契約段階、入札段階で示したり、あるいは県が指針として持っていれば分かりやすい。
【石井委員】:建設業は総合評価制度を始めている。設計は業界が反対しているが。
【新川委員】:設計こそ協働型で、という点数化をすれば意味がある。
【石井委員】: 2年前に、八幡商業高校のファサードは協働でやった。業者にとってはリスクだが、業者に積極的にやる意識があったから成功したと思う。NPOと企業という協働はスムーズにいかない。
【堤委員】:やらざるをえなければやるけれど、普通ならやらない。むしろやることによるメリットがもう少しいると思う。安全管理も大変だ。お客さんに対して提供するときにスタッフはNPOです、と絶対に言えない状況があったりする。それでもやる、やることが互いのためになるというのは何か。お金もあると思うが。
【石井委員】:業界が公共建築に関わって、市民の顔があって、任されてやっているということになると業者の公共心が育つ。今までは人に対してというよりは、モノに対する意識が強かった。ところが、まちの人の顔が見ながら仕事をするということが、イコール結果として、公共心というものを企業の方も敏感に感じてきて、そういう気持ちが宿っていく。
一方で、市民側も文化的遺産に対する価値とか、こういう人が作ってくれたから大事にしないといけないとなる。それは一つの目的だと思う。
【堤委員】:ちょっと専門的な話になるが、建築と土木は積算が違う。例えば、土木工事で山を切り崩して法面工事をしていて、設計図面にはなかった大きな岩が出たら変更設計の対象になる。予測がつかないこと、自分たちの責任じゃないことで費用がかかったり、工期が延長するようなことになれば設計変更になる。
業者からすれば、市民協働はそういう部分で予測がつかない。やってみたらすごく大変で、その負担をすべて事業者に負わせるべきかどうか。事業効果を厳密には計算できないけれど、それを計上してあげるというのはありかと思う。全部をいきなりやるというのは無理だが、1本でもいいのでモデル事業としてやって、実際その業者の負担はどうだったのか検証するというのはある。その中で、市民はどうだったのか。行政と市民ではなくて、民間企業と市民という新しい協働のパターン、これからの枠組みの中で絶対に必要になってくるものである。その負担を軽減する中でモデル的にやれば見えやすくていい。小さな事業でいいと思う。
【石井委員】:セミナーの感想でもあったが、NPOは隙間を埋める。行政もイベントができない、企画ができない。NPOと行政がお互いに役割分担しながら、隙間を埋めることができたらいい。
【堤委員】:例えば、建設業者とNPOが組んで文化ホールを運営して、NPOはつなぎ役になる。そうするとコーディネーターと業者の協働になる。
【石井委員】:八幡商業高校の事業では、NPOが広報して呼びかけて参加者を募った。ドイツでは実際にやっている。エムシャというところで都市全体を公園化しようというもので、市民が業者を選定して、企画、立案を一緒になってやって、公社を作ってやっている。それで10年間限定で88プロジェクトが生まれた。3500億円を使ったが、国際コンペもして安くなっている。選定するための専門家、学識経験者を市民が選び、工事中も視察してチェックして変更をかけて、常に協働でやっている事例がある。
5年前に、そのプロジェクトが滋賀県に来て、パネルディスカッションした。自然系の川に戻すとか、産業遺産、使われなくなった炭鉱とかを産業遺産に見立てて、活用して、ギャラリーに変えたりしている。企業がそこに魅力を感じて立地している。
【萩野委員】:公共事業は、形は行政とNPOの協働。しかし、実際は、NPOは通訳、つなぎ役、コーディネータだから、行政と県民が協働していく。
【堤委員】:事業単位だから。いい話だけど、今はまだこける。その例は建築設計部門と参加部門は別の仕事だし、そういう部分が評価されている。地域の公共事業の協働マネージャーとして職能として開発される可能性さえある。
【萩野委員】:条件に入っていけばいい。NPOのための事業ではなくて、結果として県民、地域のためになるとはっきり見えるようになればいいと思う。
【堤委員】:行政職員がやるのは大変だし、業者も専門外だから。
【新川委員】:今までは、設計と地元の意見徴収を分けて委託に出していた。それを一緒にするということだから、コスト的にも問題ない。コンサル会社がワークショップなんかを市民参加のときにはやっているわけだから問題ない。そう考えればNPOと組んで市民の本当の声を聞けるように、そしてそれが逆に設計業者自体の活動にも反映させることができる、そういう仕組みを作る方がはるかに県民のための公共事業になる。
【堤委員】:協働マネージャーとしてやる、という点では設計のことを知らなくてもいい。形の上では、行政とNPOの契約になるか、三者契約なるのか。NPOが契約の表に出てくる。
【萩野委員】:大事なのはその先に地域があり、県民があるということが大きな条件。
【新川委員】:それが前提の契約になる。
【堤委員】:仕様書に先に書いてしまう。県にはたくさんそういう組み合わせがあるわけではないが、モデル、パイロットにして、みんながああだこうだと言って積み上げていく仕組みにしてやればいい。いきなりやろうとしたら2、3年はかかる。まずパイロットでやって検証するというのが必要ではないか。全庁的な調整はどうなるかは分からないが。
【新川委員】:まずはやるということが大事。テストケース、モデル事業でまずやってみて、それで問題点を考えて全庁的に広げる。
【堤委員】:人材育成に関してだが、事業としていろいろ上がってるが、こんなものか。未来塾は人材出しているけど、近江環人はまだ。レイカディアあたりはどうなっているのかわからない。
【新川委員】:何人かレイカディアの人と話しましたが、ずっと講座に出続けている人が多い。
【萩野委員】:講座にでることが目的だ。
【浅野委員】:レイカディア大学、放送大学から学習はもういいと、実践したくておうみ未来塾に流れてくる。
【石井委員】:近江八幡でレイカディアを卒業した人たちが「おやじ連」を作っている。庭木剪定したりとか、かなり活躍している。
【浅野委員】:未来塾出身者がおやじ連の中心に入っている。
【青山委員】:そういう方は、元々の土地の人ではなくて他所から来ていて、退職して、誰かから声を掛けられて、はまってしまって一生懸命に頑張っている人が多いようだ。
【萩野委員】:地の人は地のいろんなつながりがある。
【石井委員】:地域で話す機会がないという人がいる。
【堤委員】:地方に行くと、20代、30代は大歓迎だ。職場の斡旋、家の紹介、極端な話、婿や嫁の紹介までやっている。滋賀県はそれがあまりないと思う。人口増加があるからかもしれないけれど、そういう部分というのは何か。20代30代前半を歓迎する公的な仕掛けは必要なのかどうか。
【萩野委員】:高島市の野球はその一つだ。高島に住むのが条件になっている。それが大きい。琵琶湖ホールの声楽アンサンブルも、ほとんどが県外から通っているが、県内に住んでもらうために来年から住居手当が付くようだ。
【堤委員】:大学でNPO、協働を教えているゼミはどれくらいあるのか。
【萩野委員】:成安造形大学はやっている。
【堤委員】:県立大学でも、龍谷大学もあるけれど、学生だけでは動けなくて、研究室でやっている。大学として動いてくれないと。近江環人は大学院生向けか。その中でそういう講座とか、県大とかにはないか。
【浅野委員】:県立大はある。地域に雇用してほしいと研究室中心にやっている。
【堤委員】:地域に就職させるというのは、本当は大学としてやるべき仕組みだ。
【石井委員】:県立大学は豊郷町と一緒に空き家改造を実践している。
【堤委員】:そういう点で、滋賀県では大学と地域の取組はそこそこあるようだ。
【新川委員】:ここ何年かで進んでいる。県立大学は頑張ってやっている。私学は学内にとまっている。滋賀大学は地域連携センターがあるが、業者と組んでいるのが多い。産学連携はあるが。
【萩野委員】:大学と地域の連携は文部科学省も言っているけどあまりない。
【新川委員】:意味が違うから。多くは地元企業と大学のノウハウの組み合わせというのが多い。
【堤委員】:学生が研修でやっているのがある。単位が出ないと学生が来ないから、半期で単位を出すというものがある。その仕組みがあればいい。県が大学に働きかけて欲しい。単位を出して、地域のNPOでも市民センターでもいい。滋賀県の特色としてあってもいいと思う。
【新川委員】:滋賀県で大学生をやるのなら、滋賀のことを学びながら単位を取るというのはあってもいいと思う。
【浅野委員】:立命館大学はある。社協もある。
【萩野委員】:草津のおうみNPO政策ネットが受け入れている。滋賀大学教育学部はこちらに来てもらうのを単位にしてもらった。しかし、継続しておらず、担当の先生次第になる。
【新川委員】:組織的に動いてほしい。京都はその点ではコンソーシアムがある。
【堤委員】:学生はバイト代が関係する。赤野井湾では損保ジャパンが学生のバイト代を補填してくれる。NPOなら何でもいい。
【萩野委員】:滋賀大学から、去年は授業だからなかったけれど、今年はアルバイト代をつけてくれと言われた。こちらが授業料を付けて欲しいくらいだ。
【新川委員】:学生の希望先がないといけないから、当たりはずれがあるが、僕もここ2年ぐらい来てもらっている。時間数が決まっているが、学生には月10万円ぐらい出る。
【萩野委員】:変な話、ボランティアで勉強のためだけでは無理だ。お金をつければ来る。
【新川委員】:身も蓋もないけど来る。
【堤委員】:行政職員は命令、学生はバイト代となる。
【新川委員】:権限で行くか、金で行くか、ということか。
【萩野委員】:他では1時間1500円もらっていると言っていた方がいたが、うちでは勉強だから1000円にしておいてと言っている。音楽の専門職だからちょっと技術料をつけたけど。
【堤委員】:補助金の使い道としてないだろうか。大学とNPOの協働だと理屈が作れないか。実態はそうだ。単位かバイト料だ。
【石井委員】:ヴォーリズ一粒の会で、年末にヴォーリズ建築の調査を京都大学と一緒にする。急に空き家になって、今調査しないと内部が変更されてしまう。市役所が中に入って調整役にまわって、調査費用は出ないがそれも協働だ。
【新川委員】:いろいろあるが、中長期検討事項は今後も議論をさせてもらって、年度末には改めて、今後の課題という形で協働推進ボードとしての意見書をまとめたいと思う。
情報掲載日 2008年04月15日
基本情報に戻る
滋賀県県民活動課NPO・協働推進担当