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協働を進める取り組み

ラウンドテーブルしが

第25回「農山村地域における空き民家の活用と都市との交流について」協議概要

  • 期日:平成21年(2009年)8月25日(火曜日)
  • 時間:14時40分~16時15分
  • 場所:米原市甲津原交流センター 2階会議室
  • テーマ:「農山村地域における空き民家の活用と都市との交流について」

開会

県民活動課から「ラウンドテーブルしが」とテーマの趣旨および会議運営ルールの説明

出席者

  • NPO・関連団体等関係者
  • 東草野まちづくり懇話会:法雲 俊邑氏
  • 特定非営利活動法人 おおつ市民協働ネット:森川 稔氏
  • 特定非営利活動法人 環境工房ころころ:田中 萬祐氏
  • 特定非営利活動法人 瀬田川リバプレ隊:冨岡 親憲氏
  • 特定非営利活動法人 はちまんまちづくり間の会:石井 和浩氏
  • 特定非営利活動法人 ホタルと清流の里:米澤 一銭氏
  • 湖北移住交流支援研究会:豊田 綾氏、亀山 芳香氏
  • 結いの里・椋川:是永 宙氏
  • 淡海ネットワークセンター(財団法人淡海文化振興財団):膽吹 憲吾氏
  • 世話人
  • 特定非営利活動法人 市民がささえる市民活動ネットワーク滋賀:阿部 圭宏氏
  • 特定非営利活動法人 おうみNPO政策ネットワーク:仲野 優子氏
  • 淡海ネットワークセンター おうみ未来塾2期生:鬼塚 孝治氏
  • 特定非営利活動法人 滋賀県健康福祉会:谷 祐治氏
  • 行政職員・事務局
  • 米原市 農林振興課:大橋 守氏、関沢 匡司氏、香水 伴政氏
  • 米原市 伊吹市民自治センター自治振興課:伊藤 淳司氏
  • 米原市 政策秘書課:土川 徳之氏
  • 甲良町 産業振興課ふるさと交流村運営推進室:長野 寛氏
  • 滋賀県 湖北農業農村振興事務所田園振興課:水谷 智
  • 滋賀県 農村振興課:青田 朋恵
  • 滋賀県 自治振興課:清水 安治
  • 滋賀県 県民活動課:松永 隆士、小寺 隆志

協議結果

今回は「農山村地域における空き民家の活用と都市との交流について」というテーマで、地元米原市役所の担当課に御協力をいただき、初めての試みとして当該テーマに関する取組を実践されている所を会場に設定して開催した。
また、一部の参加者の方々には、JR米原駅から会場までの送迎の道中、いくつかの集落に立ち寄り、現地の古民家の様子などを実際に見学していただいた。
会議では、冒頭に県湖北農業農村振興事務所田園振興課から空き民家の活用に関する意向調査結果等の話題提供があり、引き続いて、地元の東草野まちづくり懇話会の代表の方に地域の現状について具体的なデータなども添えながらわかりやすく情報提供をいただいた。
そして、これらに基づいて、出席者の皆さんから様々な視点で今後のあり方について多くの意見を出していただいた結果、地域が抱えているいくつかの現状と課題が浮かび上がってきた。
一つは、空き民家の活用を考えていくべきであるという地元の方々の意見が多い一方で、実際にすぐに利活用できる民家が意外と少ないことである。
二つ目に、活用方法として、空き民家を所有する地元の方は、永住希望者の住宅としての活用を最も望んでおられるのに対し、現地見学や体験ツアーに参加した方の思いとしては、どちらかと言えば、すぐにでも積極的に定住したいという方は少なく、むしろ観光あるいは一つの体験として農山村に短期滞在したいという意見が多かった。
三つ目に、移住・定住の前提条件として、この地域で生活できる職を持てることが必要であり、そのためには、魅力のある仕事、地場の産業をつくっていかなければ、都市の人の定住を進めることは現実的に難しいのではないか、ということである。また、外からの人を受け入れることだけでなく、現在地元にいる若い人をいかに地域に留めるか、ということも考えていかなければならない、という意見もいただいた。
このような中で、今回会場とさせていただいた地元のように、地域の懇話会を立ち上げ、空き民家対策の検討・実施と並行して、フリーマーケットや地域イベントの開催・支援、特産品の発掘・開発、都市□農山村交流、集落活動へのボランティア協力の受け入れなどを通して、地域外の方に農山村の魅力を発見していただくために、様々な取り組みをされていることがよくわかった。
一方、行政サイドでは、条例制定や実態調査の実施、地域で開催されるイベントのPR協力など、地域の重要な課題の解決に向けて条件整備や支援を行っている。
そこで、これらの具体的な取り組みと並行して、今回のラウンドテーブルのような、地域内外のNPO、関係団体、行政などの主体が、課題解決に向けて、情報交換やそれぞれの役割について話し合い、ネットワークを築いていくための場が有効であり、かつ必要とされていると感じた。また、県内でも、同様の課題を抱え様々な取り組みを行っている農山村地域の関係者が一堂に会する催しも開催されている。
したがって、これからは、地元団体、NPO、大学・小中高等学校などの研究・教育機関、行政などが、それぞれが持つ得意分野や強みを発揮して取り組みを進めるとともに、情報交換や話し合いを通じて、さらに連携を深めていくことも必要と思われる。

協議内容(概要)

【話題提供】
(その1)

県湖北農業農村振興事務所田園振興課から、別添『空き民家活用の手引き』に沿って、空き民家の活用に関する現況・施策の概略を説明。

  • 伊吹と永源寺の一部の地域で、空き民家の現状や今後の活用についての住民意向のアンケート調査をした(「手引き」P.3)。
  • そこでは、「空き民家の活用を考えていくべき」という意見が46.7%(伊吹北部地域)、あるいは、57.9%(永源寺東部地域)を占めた。
  • 活用方法としては、永住希望者の住宅としての活用が最も望まれている。但し、その段階にいくまでには、色々なことをやっていかなければならない。
  • このような空き民家を地域のマイナスの財産とするのではなく、都市農村交流や定住に向けて有効に活用し、地域にとってプラスの財産とすることができる。また、そういったツールとして空き民家が大変重要な位置を占めている。
  • 今回は、地元の言葉(甲津原弁)で「あがいえけぇーよ。」=「わが家へおいでよ。」ということで、米原市、甲津原交流センターの協力をいただき、こちらで開催した。色々とご意見をいただきたい。
(その2)

東草野まちづくり懇話会の法雲座長から、地元地域の現状や同懇話会の設置の経緯、活動内容などについて説明。

  • 山村が過疎化し、我々も何とかしないといけないと思いながら、なかなか手が付けられなかったが、ちょうど合併で米原市が誕生した機会に、市の伊吹市民自治センターから地域の協議会をつくってはどうかという提案をいただいた。そこで、甲津原、曲谷、甲賀、吉槻の4地区で話し合いを始めた。
  • 昭和60年と平成19年とを比較すると、(昭和60年を「100」とした時の平成19年の指数で)人口は62.9%に減っている。また、世帯数も実質的には大幅に減っている。
  • 65歳以上の一人暮らし世帯の増加等もあり、高齢化率も約48%になっている。55歳以上までを含むと58%と、著しい少子高齢化が生じている。
  • 米原駅や高速道路の米原ICまで40~50分で十分に行ける範囲にあるのだが、人口は減少している。そこで、何とかしないといけないということで、平成18年の秋から懇談会を持ち、平成19年2月に「東草野まちづくり懇話会」を設置した。この懇話会のメンバーは、今の4集落の区長や村役がそれぞれ4~5名ずつが入った。
  • そこでは「イベント部会」がフリーマーケットの開催や携帯電話のアンテナ設置要望、地域イベントの支援、特産品の開発などを行い、「空き家対策部会」では、空き家の利活用、甲津原分校校舎の再生・活用、生活基盤の整備などを考えて、毎月1回役員会を開催している。
  • 現在小中学生は20人余り。このままでは、学校、診療所、消防署が無くなり、これらが人口の多いところへ集約されてしまう。果たしてそういうことが良いのだろうか、と考えている。
  • そのようなところへ県の農村振興課に空き家の調査をしてもらった結果、持ち主は、空き家活用の条件として、できれば永住していただいた方が良い、と考えている。しかし、なかなかそうはいかないので、一般の団体にも活用していただくような形になっている。
  • 大阪、京都、名古屋方面からの方に現地見学ツアーに参加いただき、農家民宿や二地域居住という形で土日にこちらに来ていただく、あるいは講座やスクールに活用するといった意見をいただいている。また、地域として望ましい受け入れ方としては、中長期的な滞在やセカンドハウスとしての利用を模索してはどうか、という意見が出た。
  • ツアー参加者のアンケートでの意見としては、「いきなり移住するというのは少し抵抗がある」、あるいは、「永住はできないが短期で住んでみたい」、「自分の今までの仕事の資格(薬剤師)を活かせる職場が近くにあれば移住を考える」、などの意見をいただいた。
  • 日帰りコースに参加いただいた皆さんの意見では、積極的に定住したいという意見は少なく、どちらかというと観光的・体験的にこの田舎に暮らしてみたいというのが多かった。
  • それらをふまえて、地元ではどのような受け入れが可能か、という点では、フリーマーケットや農山村体験ツアーの開催があった。本来の目的ではないが、都会の人達に来ていただいて地域をよく見て、良さと魅力を知っていただく、そのような中から一人でも二人でもこちらに永住しようと考える方が出てくれば・・・、そのような考え方から様々なイベントを開催している。
  • 都市住民をボランティアとして受け入れて、この土地のファンになっていただきたい。例えば、棚田の保全や雪下ろしのボランティアを募集し受け入れる。京都からでも短時間で来てもらえる。
  • 今年も9月下旬にフリーマーケットの開催を予定している。松茸御飯や栃餅など、この辺りならでは物産品の販売を考えている。
  • 地元の力だけではだめなので、「ふるさと地域力発掘支援モデル事業」を農林水産省から助成を受けて事業を展開しようということになった。これは協議会を立ち上げ、都市□農山村交流などの事業を行い、空き家もそれで整備していこうと考えている。また、米原市には、「水源の里まいばら元気みらい条例」を制定していただいた。これは、おそらく全国でも2番目になると思われる。この水源の里の理念は、上流の人が下流を思い、下流の人が上流の人に感謝する、というものである。
【ラウンドテーブル】
参加団体の活動概要について

NPOほか:当団体は、家庭で不要になったものを捨てるのではなく、必要な人にうまく循環していくようなシステムを作ろうということで、女性グループのボランティアを中心に始まった。しかしお客の入りの割には収入があまりなく、現在は公の施設の指定管理も引き受けている。
NPOほか:湖北一円を舞台に、湖北に移住したいという人の手伝いや、受け入れても良いという人をつなげる活動をしている。空き民家の見学ツアーや、湖北のことを知っていただく事業をしている。貸すことができる空き家があまりないので、実際に紹介するというのはなかなか難しい。地元の方や行政の協力がないとなかなか難しいのではと考えている。
NPOほか:地元で暮らしている住民と、外部の方でその地域を応援したいという人とが一緒になって会を立ち上げた。メンバーの中には山歩きで偶然ふらっと来ていただいた人が、そのまま村のことが好きになったということもある。また、個人的に村の人に呼びかけてイベントを5年くらい前からやっているが、参加された人が何度も足を運ばれて一緒に会を立ち上げた。具体的な活動としては、将来の村づくりをどうするか、高齢・過疎の村なので水路の草刈りや溝掃除など。もちろん村の人も来られるが、外部の人にも呼びかけて、ワイワイとやっている。

空き民家の活用方策と役割分担について

行政:農林水産省、総務省、文部科学省の3省連携で、「子ども農山漁村交流プロジェクト」が進んでおり、県内でも高島や日野はモデル指定地域として、小学生の受け入れについて取り組もうとしている。
また、資料の『空き民家活用の手引き』で大久保の「大門坂荘」を紹介している。ここは「伊吹の源流を考える会」が主体となって、田舎暮らしの体験ツアーのような形で「お試し居住」できる施設として立ち上げている。
NPOほか:地元のニーズとしては、定住人口と交流人口の両方を増やしたいが、やはり定住する人のための空き家活用をぜひやっていきたい。ただし、なかなか借りることができる空き家が無い。
また、農山村の家は、普段は空き家でも、親戚がやって来て草刈りなどをしてくれる。それで借りる側も、すごく気をつけて綺麗にするようにしている。来た人が空き民家をどんな風に使ってくれるか、先例がすごく大事だと思う。私も田舎暮らしをしたいという相談を受けるが、お金を払って借りているから自分の家、と思ったらダメだと言っている。これは地域の家だ、というくらいの意識がないと僕は勧められない。もちろん村の共同作業に出るのは当たり前である。そこで、村の人と外から来る人の意識には相当なズレがある。そういうことをしっかりしておかないといけないと感じている。
世話人:定住する人を増やそうと思うと一定のルールが必要だが、それを誰が担うのか? 市町レベルで難しいのであれば県レベルではどうか?行政:借りることができる民家が少なければ定住は進まないと思う。一方、空き家、古民家の再生はニーズとしては顕在化している。但し、信頼できる人、責任のある団体が介在しないと、なかなか地元の人が心を開いてくれるのは難しいので、その仕組みづくりをしている。
まず、地域に入って行くのは行政の役割になる。一方で空き家は個人の資産であり、それを流通させるのは行政では難しいので、そこは民間で担うことになる。「個人の不良資産は必ず地域の優良資源になる」という思いを持っている。地域の方が現在の様子を見れば、これからさらに空き家が増えていくのは明らかである。今の段階から仕組みづくりをしないといけない。
NPOほか:持ち主は民家をどのようにして活かしたいのか、というのを見ると、信頼できる団体が責任を持って活動する、ということである。この場合の「団体」は、私は地元の団体だと思う。行政は責任の持ちようがない。斡旋はするけども、地元団体がOKしないといけないし、地元の責任を明確にしておかないといけない。地元は自覚をもって外部の人を受け入れる、その為に責任をもって人を選ぶ必要がある。
NPOほか:行政に期待する役割としては、そのようなことのPRをしてほしい。お客さんが来てくれるならば、ルール作りや案内は我々がやる。
NPOほか:行政と民間の働きという点では、行政には限界があると思う。あくまでも情報発信や公的な面が出てきたときの調整などを行政がやることとなる。民間としては、住んでいる人が本気になって、この町が好きだ、と誇りに思えることが大前提である。そういう気持ちの中で、いかに次の若い人を巻き込んでいくかを今考えている。長い目で考えたときに定住が一番重要かなと思う。定住を考えたときに、そこには暮らしがある。暮らしをしていくには、必ず仕事がついてくる。
地元の資源を見直し、他のまちに無いものは何か?と歴史的なものを考えたときに、そこには町家の文化、近江商人の郷という文化があり、そこにヴォーリズが来た。これはどこにもないことである。そして近くには水郷や淡水湖上の島に人が住んでいる希少な島がある。これはどこにもない資産である。その資産に対して住んでいる人がいかに誇りに思うかが大切である。
例えば、その地域でしか食べられないもの、その地域が生んだ食というのが必ずあると思う。こちらなら、蕎麦が日本で最初に栽培されたのは伊吹ではないか。これは滋賀県の県民においても誇りだと前から思っていた。また、地域で取れた山菜など、色々なものがあると思う。
一番大事なのは、そこにある資源を輝かそうとする人が、他の協力してくれる人を呼び込み、さらにその人が魅力を感じて移住し、ここに一つの拠点を持ちながら全国展開することが、この時代は可能である。インターネットの普及により、地域の物産のインターネット販売が増えてきている。ここで生産したら、各地に売りに行かなくても、全国へ向けて販売することが可能である。
もう一つは、若い人が空き家を借りて、そこでオリジナルの照明器具を作っている。全国で個展を開き、単に商品を売るだけでなく、地元のまちの素晴らしさをPRしている。こんな素晴らしいまちが日本にあったのかいうことで、また外の方が地元に来られる。その商店以外の場所も見ることができて相乗効果が出てくる、という展開が拡がっている。交通至便な場所かどうか、というのは関係無くなってきている。そこでしか食べられないものがあれば、そこに1,2時間かかっても車で来る。それが広まってどんどん展開していけるのではないか。
NPOほか:単純に空き家があるから活用しよう、ということでなく、これだけ素晴らしい家というのは豊かな歴史を持っている。ここは大きな家が多く、今もそうであるが、すごい繁栄の時代があったと思う。そういう歴史を大切にしながら考えていく必要がある。ここの歴史にマッチしたまちおこしでないと、行政がいくら空き家を活用すると言ってもだめである。そのようなことも行政は考えるべきである。但し、あまり焦らずにじっくりとやった方が良い。
NPOほか:やはり「住みたい人」ではなく、「住むことができる人」がここに移住してくるべきである。「住むことができる人」というのは、ここで生活できる職業を持った人。そのために地場の産業を作っていかないといけない。そうしないと空き民家の活用は現実的に難しいのではないか。
NPOほか:私達が今課題であると感じているのは、都会の人から問い合わせがあったときに、すぐに紹介できる空き家が少ないことである。そこで空き家の「掘り起こし」をしていかないといけないが、東草野まちづくり懇話会のような地域の人が空き家をなんとかしたい、と思っている地域でないと受け入れてもらえない、と感じている。また、漠然と湖北に住みたい、と思っている人もいる。そういう人から相談があったときには、直接すぐに空き家自体を紹介するのではなく、まず地域を紹介できるような引き出しをこれからたくさん持っていきたい。

都市部における取り組みについて

NPOほか:多面的にまちづくりをやっていく上では、色々な方に関わっていただいて、色々な視点から見ていただこう、ということで、様々な職業・立場の人でNPOのメンバーを構成している。
旧市街における町家の空き家をどのように活用していくべきかについて、市民の方へのアンケート調査やフォーラムなどを行った。そこで出た意見としては、若干カフェや公共的なコミュニティ施設を望んでおられる方がいたが、やはり定住型の町家として望んでいる方がほとんどであり、住み手の立場から考えたときにこれからまちをどうしていくかという側面と、もう一方で外部の方の意見を聞くフォーラムを開催した。外面的な部分と内面的な良さを複合していって、生活文化、暮らしという観点のなかでまちを残していく、あるいは普段のさりげない暮らし方というのを大切にしていこう、という活動をしている。
具体的には、商工会議所、行政、NPOの協働で「空き家バンク制度」というチームを作って、借りたい人、貸したい人のマッチングをして、先ほどの暮らし文化を大切にしていただける方にそのまちに暮らしていただこうということで、互いにメリットが感じられるような形で橋渡しをするようなシステム、団体を作っていく段階のところである。
例えば、単なる定住型の地元住民だけでなく、都会から在宅勤務される方を地元で受け入れ、そういった方々が安心して暮らして仕事もできる、そのなかで魅力ある文化を守りながら育んでいけるようにしたい。また、店舗を誘致したいという人が増えているが、地域住民の方の意見を聞きながら必要とされる店舗の誘致も進めていきたい。
世話人:農村部の空き家と市街地の空き家では、多分手法は違うかもしれないが、ノウハウでは通じ合う部分がある。

PRのための取り組みについて

NPOほか:フリーマーケットを集落内でやることによって集落の良さを知ってもらうことができる。また、地元の人も外の人と接することで意識が変わることもあるし、自分たちの村を綺麗にしないといけない、という意識も生まれる。
NPOほか:毎年勤労感謝の日に催しをやっている。うちの地域も袋小路になっており、はじめは朝市のような感じで国道口まで出てそこでやった。しかし、物は売れるけれど村には入ってくれない。これでは村を知ってもらう機会にならないな、ということで、休校の体育館で、70~80名くらいの村の人と地域の愛好家と催しを開いた。
当初、村の人に村の中で催しをやりたいと持ちかけても、広い村なので人は歩かないだろうという意見であった。そこで一度試しに炭焼き小屋を案内してみた。そうすると往復で3キロくらいあるが、特に外から来た人はみんな歩いて行く。それでやはり村の中でやった方が良いということで、一昨年からは村の各家でやっている。自分の家だけでは難しければ、隣近所2,3軒でまとまって軒先でやっている。自分達が持っているものを喜んでもらえるということを感じてもらっている。
但し、通常のフリーマーケットのように、外から来て店を出すのはだめである。もし、店を出す場合も村で栽培した農産物の素材を使った食べ物などを売っている。そのような形にこだわっている。
行政:特産品やグリーンツーリズムの関係で地元に入らせていただいて、農家民泊の話を進めている。受け入れされる方々を対象とした研修を開催したところ、興味を持つ地元の方は結構いて、意外と多くの方に研修へ参加してもらえた。しかし、今のところ実際に人を受け入れられるのか、やってみるまでは不安が一杯でなかなか進まないところがあるのかなと思う。但し、来年はこちらに160人規模で宿泊に来られることが決まっているので、各家庭を一軒ずつ回ってお願いをしてでも農家民泊を推し進めたいと思っている。地域の皆さんと一緒に受け入れ体制を整えて、いつでも各学校から来ていただける、また外の方にとって魅力があるような取り組みをしていきたい。
行政:毎年春と秋に、都市と農村との交流のための農業体験の催しをやっている。9月終わりの週末には、毎年リピーターにも来ていただき、春に田植えをされた稲の収穫や、ミョウガの収穫などを通して、地域の魅力を感じていただいている。地元で盛り上がっていただき、行政としてもこのような取り組みに対してPRなどの協力をしていくという体制で進めていきたい。

公共の空き施設の活用について

NPOほか:こちらの分校の再生について意見を言いたい。以前に東近江地域のある所が過疎になり、どうするのかと考え、芸術家を呼ぼうということになって声を掛けたら、有名な人や芸術家の卵が集まってきて芸術の村を作った。そのような一例があるので、米原市は世界的に有名なヒロ・ヤマガタを生んだ土地でもあり、民家を貸すのは難しくても、分校が空き状態ならば、芸術家たちに貸すことはできないか。空き校舎を利用し芸術家を集めて、年に一度か二度作品のセールをやるなど、そのようなことをやれば、また別の形のイベントができるのではないか。立派な芸術家が生まれた土地柄だから、それを活かして何かをやらないと損だと思う。それを山村でやるから良い場合もあると思う。
世話人:例えば、他地域ではNPOが体験学習などに廃校を活用している。地元の意向もあるが、民家よりも公共施設の方が活用はしやすいと思う。
行政:分校については、貸して欲しいという人を待っている状況である、逆に相談があれば、行政の中で検討して貸せるか否かの話ができる。行政が改修して貸し出せる状態にしても、借り手がなければ同じ状況に戻ってしまうので、何か提案をいただけないかというのが現実である。教育関係であれば、他の施設で資料館として活用しているものもある。夏場の林間学校などに使うことも考えられる。良い知恵をお借りしたい。
NPOほか:絵画クラブでも大抵公共施設を借りている。休校舎をうまく借りることができればすごくありがたい。そういうものを活用して、この地域を芸術の里、芸術の村にするというのも可能だと思う。
行政:地元にも芸術家の方がおられるが、一個人に貸すのはなかなか難しい面もある。良い提案があれば積極的に受け入れたい。

若年者の地元への定着について

NPOほか:地元の者としての視点から話すと、外から受け入れる仕組みを作るのは良いが、今地元にいる若い人をいかに地域に留めるか、ということも考えないと答えは見えないと思う。外からの受け入れの取り組みと同時並行で進めていく必要がある。そのためには、中の人が地元を好きになって暮らしていける、魅力ある仕事をつくらないといけない。
NPOほか:地域の素晴らしさを山村留学という形で評価をされている方にお出会いした。地元の小学校の子ども達の活気が出てくれば良いと思う。子どもが地域の良さをきちんと知らないといけない。子どもは非常に順応性があるので、小さい時の思い出が拠り所になって、一度集落を出ても、機会があればまた帰ってくると思う。そういう形の小さなことから一歩一歩踏み出していかないといけない。
際にそこで生活して冬場に総出で雪下ろししたというのも知っている。相互扶助するという気運が強いところなので、超高齢化してもお互いに生活ができている。小さいことから裾野を広げていくことができれば良いと思っている。

さいごに

世話人:テーマの舞台となっている現場でこのような話をするのは良いなと思った。もう少し話したいという方が多かったと思う。また、さらにじっくり現地を見れば、もっと面白いアイデアが出るのではないかという気がした。皆さんが話していただいた取り組みが県内各地で進むと良いと思う。
事務局:今回は特に開催にあたって米原市役所の皆様に大変御協力をいただき、誠にありがとうございました。
情報掲載日 2009年10月05日
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