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協働を進める取り組み

ラウンドテーブルしが

第21回「滋賀県の地域医療について」協議概要

  • 期日:平成20年(2008年)10月17日(金曜日)
  • 時間:10時00分~12時00分
  • 場所:滋賀県庁別館4階 しが協働ル~ム
  • テーマ:「滋賀県の地域医療について」

開会

県民活動課から「ラウンドテーブルしが」と今回のテーマの趣旨説明、および会議運営ルールの説明

出席者

  • NPO・関連団体等関係者
  • 特定非営利活動法人 お産サポートJAPAN 朝比奈 順子氏
  • 特定非営利活動法人 滋賀県難病連絡協議会 葛城 貞三氏
  • 特定非営利活動法人 しみんふくしの家八日市 雲川 弘子氏
  • 特定非営利活動法人 瀬田川リバプレ隊 冨岡 親憲氏
  • 特定非営利活動法人 瀬田川リバプレ隊 美濃部 進氏
  • 安心なお産を願う会 冨江 小夜香氏
  • 世話人
  • 特定非営利活動法人 市民がささえる市民活動ネットワーク滋賀 阿部 圭宏氏
  • 特定非営利活動法人 おうみNPO政策ネットワーク 仲野 優子氏
  • 淡海ネットワークセンターおうみ未来塾2期生 鬼塚 孝治氏
  • 特定非営利活動法人 滋賀県健康福祉会 谷 祐治氏
  • 行政職員・事務局
  • 滋賀県医療政策室 澤 和清、竹内 美知枝
  • 滋賀県健康推進課 角野 文彦
  • 滋賀県南部振興局地域健康福祉部(草津保健所)保健福祉課 金岡 良浩
  • 滋賀県県民活動課 谷口 良一、藤原 久美子、松永 隆士

協議結果

今回は、「滋賀県の地域医療」というテーマで、冒頭の事業担当課からの情報提供と施策説明に基づいて、様々な視点から課題を抽出し、今後のあり方について意見を出し合った。
この中で、出席者の皆さんから多くの意見を出していただいた結果、いくつかの実態や課題などが浮かび上がってきた。
一つは、地域医療の問題は、医療機関や医師、行政だけでなく、サービスを受ける立場の住民にもやるべきこと、できることがあり、これらすべての主体が役割分担あるいは連携して、考え、行動していかなければならない、ということであった。
また、二点目として、地域の医師確保の問題についても、行政が研修医にとって魅力を感じるような仕組みづくりや基盤整備をしていく一方で、皆で、医師の生活を守り、医師同士がお互い助け合えるような仕組み・環境づくりを考えていくことが大事だということであった。
最後に、県内の保健所圏域毎に「地域から医療福祉を考える懇話会」が立ち上がりつつあり、住民が、地域の医療・福祉について、医療機関、行政とともに考え、思いを語る場として、大いに活用されることが望まれる。
なお、今回は、NPOと行政の双方から、さらに話し合いを深め、連携を探る場として、第2回目の開催を期待する声が多くあった。

協議内容(概要)

【話題提供】

県健康福祉部医療政策室から、別添資料『滋賀県の地域医療について』に沿って、県の施策・事業等の概要を説明。

  • 医療政策室は健康福祉部内の医療に関連する6課の横軸の連携をしっかり取る。そして、縦割り型でなく、県民の生活に視点を置いた中で、医療と福祉の連続性をもう一度捉え直して、そういった中から中長期の方向性を共有し合い、個々の事業担当課が具体的な戦術として施策を展開してもらえればと思う。
  • 医療は県民の生活を支えるという視点が重要。保健と医療と福祉の連続性「医療福祉」をきっちり確保していく。このためには、県民の参加が非常に重要。保健所が核になり地域の方々と連携をとって、課題を共有し合い、施策を展開していきたい。
  • 定義(「医療福祉」とは)がしっかり出来れば、もう7,8割は問題解決ができると思っている。但し、定義が曖昧になると、課題や解決方策、あるいは価値観といったことなどが共有できない、ターゲットが絞りきれないということになる。定義は色々な場面で重要。
  • 滋賀県は、若い県と言われているが、若い県ほど高齢化が急速に進む。滋賀県は人口増加県であるが、若い人が増えているというよりも、高齢者が増えているということをしっかり認識していく必要がある。
  • 滋賀県では、全国と比較して入院する人の在院日数が少ない。
  • 人口10万人に対する医療施設従事医師数は隣の京都府が全国1位。滋賀県は32位。診療科別では産科が特に厳しい状況である。
  • 大津・湖南では常勤医師数が増えているが、それ以外では減っており二極構造になっている。
  • 地域医療は、提供者側の医師だけでなく、医師とサービスの受け手側の地域住民がお互いの良好な関係の中で創り上げられていくものであると一部で定義されている。
  • 第5次医療法改正では、従前と大きく変わり、医療の提供者側と患者・地域住民が十分に話し合って理解し合いながら医療計画をつくるというのが、大きな改正点の一つである。
  • これからは、それぞれの圏域毎に、保健、医療、福祉の連続性を考慮した、切れ目の無い医療の提供を目指していくことになる。地域から医療福祉を考える懇話会を立ち上げていただきたいと考えている。各保健所圏域でこれから立ち上がってくるので、多くの方に参加いただき、色々な展開をしてもらいたい。
  • 兵庫県立柏原(かいばら)病院の「小児科を守る会」の丹生(たんじょう)さんは、週二回別途お勤めの傍ら、頻繁に各地の講演に呼ばれている。この会は12名程のこじんまりした会であるが、柏原病院の小児科の先生は、小児科医療の崩壊を防いだ奇跡の実例だと言われ、賞賛されている。地元紙の記者が医療関係者と住民との溝を埋めるために情報提供し、住民が産科分娩廃止の危機や小児科医の不足を知った。「守る会」で署名活動をし、県に要望されたが、柏原だけを何とかするわけにはいかないとの回答を受け、もう県には頼っていられないということで、自分たちでできること、三つの約束をされた。コンビニ受診をやめ、かかりつけ医を持ち、医者に
  • 将来自分がどこでどのような形で亡くなるのかを考えれば、資源が不足し連携が不十分であることに気づく。このとき、住民参加をどうしていけばいいのか、みんなが力を合わせて考えていくことが大事。
【ラウンドテーブル】
地域の医療に関する住民の役割について

NPOほか:終わりよければ全て良しというが、やはり先行きが見えないということが不安である。どんな状態になっても安心だということがしっかりしていたら、迷うことはないと思う。ここがぐらついていると、高齢者はいろいろ不安に思う。自分の思うようになるよう努力しているが、連携を取って解決していく必要があると思っている。それにはまだまだ、市民サイドもやるべきことがいっぱいある。
NPOほか:滋賀県は、今はまだ若い県と言われていても、本当の意味で、滋賀で若い人がしっかりと支えてくれる社会にしないといけない。核家族が多くてお年寄りと触れ合う機会がないため、大事な命の貴さを学ぶ機会がない。自分もそういうように支えられる立場になる時代が来るということを教えていかないといけない。
NPOほか:今何が世の中で語られていないかというと、家で産み、家で逝くということの自然な流れである。それを病院に丸投げすれば助けてもらえるのではないか、というところが一番の大きな問題である。自分が自然の中で生きている、と感じることは大切で、政策をしておられる人は、病院のことばかり考えるが、理念が欠けた状態でやろうとしてもだめだと思う。
NPOほか:立場、立場で、地域の住民としてできることがあると思う。赤ちゃんと高齢者が接する場所が少ないということで、お年寄りと学童が接する場をつくっている。お母さんの話に高齢者がこうしたらどうかとアドバイスすることなどもあるかと思う。これをしたら大丈夫ということは絶対にない。出来ることから出来る者がするということが今一番大事。
世話人:福祉というのは市民が主体者になれているが、医療はどうしても受ける側で敷居が高い。病院への送迎などをやっている団体があるが、もう少し我々市民も医療に関わらないと行政、医療機関だけでは難しいと思う。

「赤ひげ先生」と地域の医師確保について

NPOほか:基本的には私の理想は、「赤ひげ」のお医者さんがもっとたくさん増えること。そういう人をどうやって増やしていけるのか。必ずしも金儲けが大事ということではないと思う。地域医療を考えたとき、やはり「赤ひげ先生」のような人をどう増やせるかが大事。
NPOほか:最近は特に、若い先生が過疎地域になかなか行ってくれないことを実感しており、これがこれからの課題であると思う。行政の問題ではあると思うが、研修医が都市部に集中している。
行政:住民が、都市部と郡部で同じ量・質の条件のものを望んでいるとは思わない。量・質が違っても、安心できる、納得できるということについて、共有できる部分が多いと、若い先生も育ち、赤ひげ先生のような人も登場してもらえると思う。若い先生が地域で生活しながら、市民と一緒に育っていけるのが目標である。
研修の場所選びが自由になっているので、「滋賀は魅力がある」、「よく理解をしてくれている」、「医療・福祉を学ぶ土地柄である」、など色々な情報が発信できると、滋賀でしっかりと医療の基本を学習したいと思ってもらえる。総合的に滋賀でスキルを高めてもらえるような仕組みづくりが必要。そういう観点は、これまでの施策展開にはなく、時間はかかるが、医療が地域を守るのではなく、地域が医療を守り育てることによって、地域のまちづくりがうまく展開できる。
医療はやはり生活を支える要であり、生命を支える医療という土台、裾野はしっかりすべきである。
世話人:お医者さんの立場からすると、都会で最先端医療のスキルを上げることができるところで、医師としてのレベルもあげたい。これは当たり前だと思う。そのなかで、「赤ひげ先生」が出てきたら良い、というのは地域の理想だと思うが、医師としてメリットはほとんどない。
もう少し、魅力があるような仕組みづくりというか、赤ひげ先生のインターンシップの戦略をもう少し踏み込んでいかないと机上の空論になる。例えば、滋賀では、地域とのコミュニケーションスキル、病院経営のノウハウも身につけられるなど、そういうことがあって初めて少し引っ張ってこられると思う。滋賀の医療ブランドを持った上でインターンシップを呼ばないと、現実性がないと思う。
行政:「赤ひげ先生」というのも、「現代の赤ひげ先生」という発想がないといけない。医者も変わっているが我々の生活・環境も変わっている。今は電話一本で呼べるので、医師を便利使いする。医者の生活も考えてあげないといけない。24時間、365日いてくれというのは無理。お互い医者同士が助け合えるような仕組みがあれば、それは、現代の「赤ひげ」と呼べるのかもしれない。「赤ひげ先生」が休みを取れる環境づくりを考えましょう、と言っている。先ほど、NPOの方が「赤ひげ先生をつくっていこう。」と良いことをおっしゃった。住民が育てていくことが大事。現代の「赤ひげ先生」も滋賀県内には結構おられるが目立たないだけ。医者不足といわれるが、果たしてどの程度が適正なのか。例えば、滋賀県で小児科医が不足しているかというと、決して少なくはない。但し、医者が過重労働をしなくても良いようにする必要がある。看護師もそうであるが、今の医療は専門職が専門的なことだけしていればよいという状況にはない。患者さんと話をする時間が一番大事なのに、それ以外の書類書きなどで本当に忙殺されている。そのような環境を変えていくことによって、かなり良くなるのかなと思う。
NPOほか:医療は体と心。心の部分が今すごく少ない。これは市民サイドの問題である。
行政:入院した方は、病気の時だけでなく、退院した時に、かかりつけ医のところへ一度顔を出して無事に元気になって還ってきた姿を見せることが大事。

地域医療の懇話会について

NPOほか:やはり各医療圏で懇話会を行うことは非常に大事だと思う。保健所の機能と懇話会との関係について、話が聞きたい。
行政:保健所は、地域の医療と福祉に関して一番住民に直結しており、地域状況がよく把握できるところである。色々な問題を抱えてどこへ行ったらいいのか、ということで電話などをして来られる。地域の問題点や意見を集約して、さらに一保健所から、県全体へ動かしていくシステムが必要であると思う。
行政:地域の医療は地域の住民が一番よく知っているということを目標にしたい。そのためには情報をしっかりと共有したい。
世話人:県内では今2つの傾向があり、医師がいない地域と、私がいる湖南のように病院に丸投げするタイプがある。学校では、家で治療する部分まで学校に投げてしまうという実情がある。お医者さんに感謝するという運動はすごく大事。懇話会で都市部ではそういう周知も必要である。救急車をすぐには呼ばないなど。情報発信の中身についても懇話会で話し合ってほしい。
行政:懇話会にもルールがあり、すべてホームページに議事や資料を載せており、地域で取り組んでいただく場合も公開を原則でお願いしている。但し、これまでの長い取組のなかで、市民と一緒に語り、共有し合っていくという日常習慣がまだまだ無い人から見ると、どういうふうに出席者を選んでいいのか分からない。そうするとどこかの地域の代表の方が選ばれるような従来型になってしまう。そうではなく公開をして、参加してくださった市民から住所を教えてもらえたら次も案内する、という輪を拡げる取組をしており、保健所にもお願いしている。徐々にそのような形で変わっていくのではないかと期待している。

地域における医療機関・サービスの課題、行政の役割について

行政:歴史的に言うと、都市部は昔から病院が多かった。郡部へ行くほど医療機関が少ない。そこで国民健康保険で、直営の診療所や病院をつくってずっと地域医療を守ってきた。しかし、郡部も都市化傾向が出てきて、生活も豊かになってくると、車の利用が増えてくる。自分たちが必要な医療機関を、今度は自分たちが選択する数多くの機関から選ぶことになり、結果的に地域で生まれ育ってきた診療所などが経営不振となってきた。
色々な情報を共有し合って、自治体病院だから自治体だけが考えるのではなく、皆が考える場が必要。先ほどの保健所単位の懇話会のような形で地域で考える場が増えてきて、東近江はもともと市民が医療を考えるフォーラム、勉強会を頻繁にされていて、市民が医師の大変な声を聞いているから全体的な理解は高まっている。これが良い循環になってうまく回っていくという期待もある。
NPOほか:地域医療の範囲はとても広い。3つぐらいに分けると、産むこと、成熟、死ぬこと。滋賀プラスワンで、滋賀県で安心してお産ができますか?ということについて取り上げられているが、こんな状況では十分でない。ネットワークを作るとともに、最低限の「産む」・「死ぬ」ところを守るのが行政の役割。それを早急にして欲しい。
行政:出生届を出される際に母子手帳を持っていない方がおられる。出生すると必ず届けを出すが、母子手帳を交付した人との突合がうまくできれば、地元でどういった層の方に交付が出来ていないのか、どういう人に公費負担(健診に対して)が出来ていないのか、という視点を変えた問題意識の持ち方をしていかないと、従来型の発想による取組に対する報告だけではだめである、取り組めなかったところへの対策を講じていかないと、空回りするのではないかと思う。
NPOほか:国の施策が行き届いていない部分があるから、最低限の生活の保障がどうなっているのかということを常に頭に置いて議論しないといけない。滋賀県だけではどうにもならない。
行政:サービスはあり過ぎてはいけないと思う。あり過ぎると皆が飛びつき、やるべきことをしなくなる。何でもあったら良いということではない。また、医療機関は近い所にあったら良いと言う人は多いが、本当にそうなのか。どこからが遠く、どこまでを近いと考えるか、個人のライフスタイルも含めて考える必要がある。

感想、まとめ

NPOほか:色々な議論があってよい。特にそこで切れ目のない連携をどのように構築していくのかについて、近いうちにもう一度話したい。
NPOほか:感謝の気持ちを手紙など形に残るもので伝えることが必要と思った。ふだん健康に過ごしている人がいつの段階で病院に行くのか、普段の暮らし方を見つめる情報提供が少ない。食の安全にも関わるが、マスコミだけでは伝わらない情報がある。市民の実態や行政から直接伝わる情報があったらよい。
NPOほか:今まで、このような地域医療の問題にはあまり関心がなかったが、懇話会等ができればまた参加したい。
行政:懇話会の担当をしているが、頑張らなくてはいけないとエールをいただいたように思った。
行政:このような機会をいただき、改めて気づくこともある。もう少し熟成をして、いただいた言葉の意味合いをもう一度考えていきたい。時間が足りなかったが、できればパート2もやってもらいたい。いずれにしても、こういった地域医療、福祉のことを語り合う場が増えていくこと、せっかくの御縁ができたので緩やかであっても拡がっていく形を試行していきたい。
行政:ぜひ地域で色々と皆さんには話し合いに参加していただき、そうすれば、市民側でも出来ることが見出せるのではないか。
行政:一市民の立場で言うと、医療機関や医師、行政に任せきりではなく、サービスを受ける立場としてどういうことができるのか一緒に考える必要性をすごく感じた。
世話人:今日の資料がよくまとまっていて現状がわかった。但し、その中では、不安に対する対処、つまりマイナスをどうするかというイメージが強く、投資としての医療をどうするかという視点が欠けていると思った。お産や子育て、育児支援など、そういうところの投資が今の医療政策に欠けていると思う。人口が増えていくことは将来への投資である。県ではなく国のレベルでそこを手当てしないとどんどん詰まってくると思う。
お産の無料化など、県の方から国に提言していく事も必要だと思う。緊急経済対策で総理大臣が何かをすると言っているので、今がチャンスである。お産、子育てに関する投資をすべきということを地域から国に言っていかないと今の問題は解決しないのではないかと感じた。
世話人:仕事で某市の地域情報化の基本計画に関わっている中でのヒアリングを通して、一番深刻なのは医療だということであり、今日は参考になった。また、新しいことについても皆で提言していければと思った。
世話人:医療福祉の定義が大事だということを実感した。安全、安心の反対語は危険、不安だと思うが、危険を未然に防ぐのが行政の責務であると思うし、一方、安心で不安にならないようにしていくことは、NPOの皆さんと取り組んでいけることなのかなと感じた。
世話人:活発な議論をしていただいた。ぜひ2回目もやりたい。

参考資料

情報掲載日 2009年01月26日
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