県民文化課から「ラウンドテーブルしが」趣旨説明、ルール説明
滋賀県、NPOが取り組んでいる事業、課題を話した上で、和やかに意見交換を行い、様々な視点で問題点、解決へのヒントを探ることが出来た。農家と障害者の連携に新しいスタイルがあるのでは、また、特に平成19年度以降の国の事業においては、ネットワーク作りは不可欠で、新しい形のまちづくり協議会、コミュニティセンター等の組織の活用が必要であり、また地域へのNPOの関わり方も大切だという意見が出された。
農村振興課:昭和40年代から農業の生産性向上に努めてきて、県内90%以上の圃場整備が済み、農業生産性は著しく向上したが、反面環境悪化を招いてしまったのでは、という声もあった。そのため、平成8年度、「みずすまし構想」を立て、農業生産性を維持しながら、環境にこだわった農業、琵琶湖の環境保全に役立てるために農村地域の水質、生態系、景観を保全し、自然との共生を住民参加のもと推進してきた。現在、構想を推進するため県下に11のみずすまし推進協議会を設置して農村環境保全活動を行っている。平成19年度からは「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策」事業(仮称)を行い、地域、団体等への支援を考えている。
環境こだわり農業課:環境こだわり農産物認証制度について説明。より安全で安心な農産物消費者への供給と、環境に調和のとれた農業生産の確保を目的に平成13年度から環境こだわり農産物認証制度を始めている。
草津塾:草津市で市民農園活動を行っている。休耕田で始めたので、水がない、駐車場の問題、女性の方のトイレの問題等、障壁はいろいろとあったが、現在は多数の利用者に来てもらっている。
社団法人滋賀県社会就労事業振興センター:障害者の給料水準を上げようと社団法人を立ち上げ、障害者就労支援等を行っている。作業所で作る商品の販路拡大、下請け受注の拡大をしてもなかなか給料に反映されず、自分たちで職場を作ろうとNPO法人びわ湖ベジタブルロードというNPO法人を設立し、安全安心こだわり農業を進める方とタイアップしている。また、農業だけではなく、障害者問題も一気に解決しようと園芸福祉士という資格の人と地域社会に入って、最終的には市民と共に公園整備などを行うように出来ないか模索している。
NPOふくし永源寺:個人的に環境こだわり農業を実践している。酪農をしている方から牛糞を無料で分けてもらって。田に入れるという方法で、化学肥料を50%未満としている。集落の組合長をしているが、全戸に採り入れてもらえるようにPRしている。ただ、除草剤が使えないので、草刈り機が必要になるため、高齢者からは敬遠されている。防草シートを使っているが、この処理が難しい。
NPO:田舎の農業者自身は、自分の地元は自分で守るという意識があり、NPOと協働する必要等ないと思っている。
世話人:ある地域の方は、若い間は外へ出て仕事をして、定年になったら帰ってきて農業に従事すればいい、と言っていた。若い世代を育てるというよりは、定年後の世代が農業をやっている。
研修生:我が家は兼業農家だが、地域では農業者自身が環境保全をやっているが人手が足りない。若者は土日しかいないが、土日は忙しくて手伝えず、人手が足りないのが実情。
NPO:農業について意識のある農家は栽培記録を付けているが、データ化するのに手間取ってしまう。農家の方のノートを預かって、ITに秀でた作業者がデータ入力を行うシステムがあればいいのでは。
行政:NPOの方は専門的な知識やノウハウを持っている。地域ではどうしても不足する専門的な分野の活動を、NPOの方から指導を受け、活動するなどの方法により地域と協働できないか。
世話人:データ処理のマッチングは可能だと思う。しかしニーズがない。うまくマッチングすれば全体として効率よくいくというのはあり得る。
NPO:高齢化問題についてだが、湖南地域振興局でなごみ推進事業というのをおこなったが、この時、農業お助け隊事業ということで、忙しい時期にお手伝いをするという企画を行った。具体化出来なかったけれど、面白い事業だと感じた。
研修生:NPOは河川の生態系調査等の活動をされているが、農業者から見ればNPOの方がどこでどんな活動をしているのかが見えない。今後の施策においてはネットワーク作りが大切だと思う。NPOの方に入ってもらいたいと思っても知り得ない。
世話人:平成19年度からの事業では、ネットワークを作っている人が地域にいるとうまくいくと思う。また学校が乗ってこられる仕組み作りが出来れば。町の中に住んでいる人が使える仕組みがあることが大事。NPOが間に入って、学校の総合学習に枠組みを作ってもらって入っていければ。
世話人:最近、コミュニティ施策でまちづくり協議会とか、コミュニティセンターという団体が増えてきている。地域課題を発見しながら、それを課題解決する自治会、実施団体、地域の人、NPO、公募の人がいて、そこの事務局を置いて、一括してやっていこうという構想でやっている。農業そのものが地域課題で、こういうネットワークを通して連携する必要がある。
NPO:野洲市はコミュニティセンターがある。県が新たな事業をするにしてもコミュニティセンターを通してやればいいと思う。
世話人:コミュニティセンター、まちづくり協議会は小学校の学区単位であったり、公民館単位であったりする。これまでのように集落単位で何もかもするのは限界に来ている。H19年度の取り組みはまちづくり協議会的なレベルならやりやすい。H19年度の事業は、交付金的な位置付けのものでもあり、自主財源として考えることが出来れば面白いかも。
NPO:米原市では公民館は指定管理者制度でやっている。米原市全体でNPOとの協働の形を探っているようだ。しかし、市職員の方で分かっていない者がいる。公民館が事業の中心的存在になってきて、NPOが地域の組織のお金の出入りまで関われる形がとれれば、地域のネットワークはすごく早く出来るのでは。
NPO:滋賀県の環境学習支援センターに登録しているが、依頼が来ることがない。小学校では「いつやりますか」と具体的な話になるが、県の方では引き合いがない。
世話人:行政がやっているアドバイザー制度も要請が来ない。
NPO:NPO側も登録だけでは駄目で、情報発信をしていく必要がある。
NPO:費用的な問題がある。補助金、支援金があれば積極的に動ける。しかし助成がなければ会費で賄うということになる。しかし、これではなかなか動けない。
NPO:農業者は農協の組合員である必要はない。ただ、農協を通じて売買を行ったりしているのでほとんどが組合員だ。農協自身も広域合併しているから、昔ほど地域密着ではない。
世話人:鳥取県ではJA職員が地域づくりの中心メンバーであったりする。そこではこだわりがあって、合併しなかったり、結果的に地域のリーダーになっている。でも、今はそういう人は農協の中で肩身が狭い。
世話人:愛東のマーガレットステーションはうまくいっているケースだろう。マーガレットステーションの果樹、野菜の販売など、農家と農協と行政がうまく連携している。あの姿が本来のあり方ではないか、と思う。
行政:環境こだわり農産物制度においては、農協に協力いただき、確認責任者として農産物の確認をしてもらっている。
NPO:行政の縦割りの中で、横断出来るのはNPOではないかと思う。特定のテーマを設けてNPOと協働すれば行政コストは下がるのでは。例えば農業担当部局と福祉担当部局がタイアップすれば施策効果も上がって、さらに行政コストダウンにつながるのでは。
NPO:環境こだわり農産物認証制度は作物単位の認証なので手間がかかるし、金もかかる。農家に認証を与えるというのはどうだろうか。
NPO:協働の一環として、行政側もボランティア休暇をとって、NPOの活動に参画するというのはどうだろうか。
閉会 [12時00分終了]
情報掲載日 2009年01月26日
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滋賀県県民活動課NPO・協働推進担当
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