平成18年6月
滋賀県男女共同参画審議会
滋賀県における管理的職業従事者に占める女性の割合(資料出所:総務省昭和55年〜平成12年国勢調査)が、全国で下から2〜3位に低迷しているという状況から、滋賀県固有の要因を分析し、必要な施策の推進に資することができれば、という理由から、調査研究テーマに「職場における男女共同参画」を設定しました。
別添「職場における男女共同参画」に関する調査結果概要報告書のとおり
国では、政治、経済、社会、文化などあらゆる分野における政策・方針決定過程への女性の参画の拡大について、「2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する。」との目標を掲げています。男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善していくことが必要です。
今回の調査は、その中から、職場における企業と女性労働者双方の意識について、男女共同参画の視点からの調査を実施したという意味で、非常に意義ある調査であったと考えています。とりわけ、社団法人滋賀経済産業協会のご協力によりきわめて高い回収率を得ることができたことは、調査の精度を向上させることができたこと、そして、滋賀県における男女共同参画社会実現に向けて、県と経済界とが協働して取組を進めていくうえでの大きな足がかりとなった、ということで高く評価できるものと考えます。
本県における管理的職業従事者に占める女性の割合は、平成12年の国勢調査で8.7%、全国平均11.2%と比較しても低いという状況にあり、この要因を探ることが本調査の発端でした。
今回の企業調査においても、管理職に占める女性の比率は5.4%と低い数値となっており、1人も女性の管理職がいない企業が全体の67.5%にのぼっています。また、業種別にみると、回答企業の75.8%を占める製造業における管理職に占める女性の割合は2.2%、非製造業では8.3%と、非製造業における割合が高くなっています。
女性労働者調査において、「新入社員研修」「階層別研修」「業務の遂行に必要な能力を付与する研修」のすべてを受けた人は12.5%あります。教育訓練に関する項目の回答の割合を、これら研修を受けた人と回答者全体で比較すると、自らがキャリアアップのために取り組んでいる、管理職になりたいと考える、既に管理職になっている、職場での配置転換に積極的に応じる、などにおいて比率が高くなっており、研修を積んでスキルアップしていくことが、キャリアアップへのモチベーションの高さにつながっていることが伺えます。
また、今後の教育訓練については、「キャリアアップの動機付けとなるような研修に参加する機会がほしい。」が4割近くあり、「管理職になりたくない」「わからない」と答えた人の中でもその割合が最も高くなっています。
企業調査において、女性社員の教育訓練について、研修等の教育訓練を実施している企業が67.5%、正社員のみ実施している企業を合わせると、84.1%の企業において、男女を問わず教育訓練が実施されています。今後、さらに積極的に研修機会を提供し、女性社員の能力を開発する機会を提供していくことが必要であると考えます。
女性労働者調査によると、働き続けるうえで必要なことの1位は「育児や介護をしながらでも働き続けられる制度や職場環境」(61.4%)、2位は「家族や周囲の理解と支えがあること」(49.6%)、3位は「やりがいが感じられる仕事であること」(48.3%)と続いています。
女性が働き続けるためには、職場においては、育児や介護と仕事の両立支援制度の整備と、制度が利用しやすい職場環境が整っていること、家庭にあっては、家事や育児・介護への男性の参画が不可欠であるようです。
企業調査によると、約7割の企業が、これからの人事戦略において「女性社員の活用および登用」を「重視する」「やや重視する」と回答しており、その理由として「女性社員に自己の能力を十分発揮してもらうことが、会社の利益にとっても必要」を挙げています。
また、「育児・介護休業法に規定する内容を上回る両立支援制度がある」企業も約4割にのぼるなど、女性が働き続け、能力を発揮することができる環境は整いつつあると考えられます。
男女共同参画社会を形成するためには、家庭や地域に男性も女性も参画できる働き方の実現が必要不可欠です。企業において、さらに両立支援制度の充実が進み、男性も女性も能力が発揮できるための取組が実効あるものとなることを期待して止みません。
女性の登用や両立支援などの取組は、大企業だからできると思われている方が多いかも知れません。しかし、今回の調査では、管理職に占める女性の比率は、従業員規模が300人未満の企業が上位を占めています。
そのような企業では、男女の採用人数が半々であったり、女性の配属部署が増えていたり、教育訓練の機会や会議等への出席も男女同等、人事戦略として女性社員の活用や登用を重視する、などの共通点がみられます。また、妊娠、出産後の就業継続の状況においても、「ほとんどの者が継続している」が5割近くあり、育児・介護休業法に規定する内容を上回る制度や正規職員としての再雇用の制度も3割以上あります。
今後、このような取組が、さらに広がることを期待します。
今後に残された課題としては、仕事や働き方に対する男性の考え方もしっかり分析する必要があります。また、社会経済情勢の変化を踏まえて、どうすれば働き続けることができるか、女性の管理職の割合を高めていくことができるかについて、議論を深めていくことも必要であると考えます。
県におかれては、企業における両立支援制度の充実がさらに進み、働き方の見直しにつながるよう、男性も女性も能力が発揮できる男女共同参画の取組が実効あるものとなるよう、積極的に企業に向けて働きかけるとともに、今後、こうしたデータの蓄積に努められ、次期以降の審議会においてさらなる議論を深める場を設定されることを希望します。