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仕事と生活の調和推進シンポジウムを開催しました

平成24年11月の「仕事と生活の調和推進月間」における取組の一つとして、仕事と生活の調和が実現する社会づくりに向けて、事業者、労働者、NPO、行政など関係者が一堂に会して情報交換を行うとともに、社会全体の課題として取り組む気運を盛り上げる機会として開催しました。

  • 日時 平成24年11月21日(水) 13:30~16:30
  • 場所 滋賀県立男女共同参画センター(近江八幡市鷹飼町80-4)
  • 参加者 約100名
  • 内容

●基調講演

●事例発表・意見交換

●情報交換・交流会

基調講演 「働き方革命が始まる!ワーク・ライフ・バランスの現状と課題」

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の必要性など基本となる考え方について、お話をうかがいました。

  • 講師
  • 濱岸 末雄さん

(中央職業能力開発協会講師、(財)関西カウンセリングセンター専任講師、(社)日本経営協会専任講師ほか)

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(概要)

  • 仕事と生活の調和とは、本人が希望するバランスを実現することをいう。
  • 仕事と生活の調和は、しばしば意味を誤解されて捉えられる。例えば「仕事と仕事以外の生活を同程度に重視する」という画一的な理解や「既婚女性の子育て支援策」という少子高齢化対策としての理解、「経営的にゆとりある企業だけが取り組むことができる『新しい福利厚生施策』」という理解などがあるが、いずれも誤解である。
  • 仕事と生活の調和には、「仕事生活(work life)」「家事(housework)」「余暇生活(leisure life)」の3つの要素がある。なかでも「余暇生活(leisure life)」で『学び』を取り入れると、自分のスキルが増えて長く社会人として現役でいられるなどメリットが多い。
  • 仕事と生活の調和を実現する上での企業の役割として、「社員の仕事への高いモチベーションを引き出し、労働生産性を上げる」ことが挙げられる。
  • 仕事と生活の調和を実現する取組として、「働く時間の制約を前提とした『仕事管理』や『時間管理』を行い、働き方を変える」ことが挙げられる。具体的には、仕事の「納期管理」や納期へ向けての「着手管理」をすることなどである。

事例発表・意見交換 「わが社流ワーク・ライフ・バランスの実践」

事業所における取組事例を交えて、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実践の広がりに向けた意見交換を行いました。

  • 取組事例発表者

1 社会福祉法人大石福祉会介護老人福祉施設リバプール

施設長 堤 英幸さん

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2 株式会社アイテス

管理本部総務 係長 津田 裕一さん

  • コメンテーター

濱岸 末雄さん(基調講演講師)

鹿田 由香さん(滋賀子育てネットワーク代表)

(堤さん)

  • 全国的に介護施設では職員の離職率が高く、人材確保が困難となっており、問題となっている。各種休暇制度や福利厚生等の制度があっても、制度を利用できる仕組みがなかった。そこでワーク・ライフ・バランス委員会を発足させ、取組を始めた。
  • ワーク・ライフ・バランスに取り組む目的は、優秀な人材の確保、職員の定着、職員の達成感、意欲、満足度の向上を通じて、コスト削減、質の高いサービスの提供を行い、社会福祉法人としての使命を達成することである。
  • ワーク・ライフ・バランス委員会での取組として、職員意識調査を行った。その結果をもとに新たな制度・規程を制定した。例えば「健康増進及び自己能力開発援助制度規程」や「常勤職員転換制度規程」などである。
  • 離職率は、3年前(平成21年度)と比べて下がってきており、取組の成果があらわれてきたと考える。
  • これまでは若い世代の支援を中心に取り組んできたが、中高年の職員や親の介護を抱えている職員のサポートも忘れてはならない。

(津田さん)

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  • くるみんマーク(次世代育成支援事業主認定マーク)の取得に向け、中小企業特有の問題である人員や資金に余裕がない中で、社内の現状を踏まえた制度の策定を進めるなど、取組を行ってきた。
  • 具体的な制度としては、「育児短時間勤務適用期間の拡大」「配偶者出産時特別休暇の全従業員一律付与」「有給消滅分の積立休暇制度」「フレックス勤務適用者の拡大」が挙げられる。
  • くるみんマークを取得できた要因として、社内風土や労働法規に詳しい総務担当職員がいたこと、そして法改正による条件緩和が挙げられる。
  • ワーク・ライフ・バランスへの取組企業数が少ないと、取組に積極的な企業の制度が率先して利用され、その反面、取組に消極的な企業は負担なく仕事に専念できる形となり、企業競争のハンディキャップとなる。
  • ワーク・ライフ・バランスを実現していくためには、企業努力だけではなく、社会全体で取り組んでいく必要がある。

(意見交換)

濱岸さん:(津田さんへ)有給休暇消滅分の積立休暇制度を活用すると、長期間継続して休むことが可能となるが、代替人員の確保等で、人件費が増加した事例はあるか。
津田さん:この制度は、疾病や介護を前提に長期休暇せざるえない状況下を想定した制度であり、創設後利用した者はまだいないので、そういった例はない。今後、もしそのような事例が発生した場合、役職者等重要なキーパーソンであれば、対応を考えなければならない。
鹿田さん:全ての企業でワーク・ライフ・バランスに取り組むことは困難と考えているが、なぜ2企業では取組が進んだのか。トップの意識や企業風土が影響しているのか。
堤 さん:トップが多様なライフステージの職員の時々のニーズを把握し制度を作り、その意味・目的を職員にフィードバックし、お互いが意識を変えるように努めたからであると考える。
津田さん:日本アイ・ビーエムから独立した会社ということでスタート当初が中小企業の企業風土ではなかったこと、労働法規に詳しい人事労務担当者が制度を策定したこと、また、その制度を毎年会社の経営状態に見合った形へ制度設計をしたことであると考える。
鹿田さん:育児休業からの復職者に何を望むか。
津田さん:育児休業中に、知識を増やしたり資格を取得するなど、何らかの努力をしてほしい。育児も仕事という認識はあるが、そうすることであまりブランクを感じずに復職後、仕事がスムーズに遂行できる。
濱岸さん:制度利用者が偏り、利用しない者に負担が生じていることはないか。
堤 さん:リフレッシュ休暇については、公平性を担保するために、年度初めに年間休暇計画を作成し、重ならないように現場で調整をしている。自己啓発に対する援助の制度は、利用者が偏っている。制度を知らない職員が多くいるので、周知に努めたい。
津田さん:休暇を取得する人と取得しない人で二極化している。また育児休暇制度や子の看護休暇制度は、男性で取得する人がわずかであり、女性が取得していることがほとんどである。


(質疑応答)

質問:産休からの復職者について、何か対応しているか。
回答(堤さん):産休中から復帰に向けて、人事担当者から電話で連絡を取っており、復帰しやすい雰囲気を作っている。
質問:今後、男性の介護による退職が増加すると思うが、そのことへの対応は何かしているか。
回答(津田さん):有給消滅分の積立休暇制度は、疾病や介護を対象に制度化したものである。なので、この制度を利用すれば、ある程度介護問題へ対応できると考える。しかし、介護は突発的に起こり、いつまで続くか分からないため、状況に応じてその都度対応を考えなければならない。
回答(堤さん):介護休暇制度については、まだ取得者がなく、これからの検討課題である。

情報交換・交流会

会場に展示された家庭・地域・事業所における取組事例を話題に、参加者で情報交換を行いました。

・展示物一覧
団体等名称 展示コーナー
生活協同組合コープしが 「ささえあいサポート活動」の紹介、夕食宅配サポートの紹介
一般社団法人 滋賀経済産業協会 「女性力活性化研究会」の活動展示
滋賀子育てネットワーク 滋賀子育てネットワークの「つどいの広場事業」活動概要
滋賀労働局 「働き方・休み方改善ワークショップ」の紹介
高島市 市民活動支援課 高島市イクメン写真コンテスト作品展示
彦根市 人権政策課 彦根市男女共同参画センター 平成24年度上半期事業紹介
大津市 人権・男女共同参画課 「ハーモニックおおつ」の配布
滋賀県 県民活動生活課 ワーク・ライフ・バランスに関するチラシ等の配布
滋賀県 人事課 「お父さんの子育て促進プロジェクト」「県庁子ども参観日」等パネル展示
滋賀県 労働雇用政策課 H22・H23年度 「働くあなたへ 絵てがみ作品展」 入賞作品展示
滋賀県 生涯学習課 「子どもを育む地域・家庭教育力推進事業」の紹介
滋賀県 男女共同参画課 イクメン・カジダン等啓発冊子「ファミリースマイルUP!」展示および配布
滋賀県立男女共同参画センター ワーク・ライフ・バランス関連本の紹介、情報誌「G-NETしが」・男性向け啓発用パンフレットの配布
仕事と生活の調和推進会議しが・滋賀県 「男性の家事・育児参画フォトコンテスト」作品展示
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滋賀県商工観光労働部女性活躍推進課 
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