令和5年5月12日(金曜日)午後3時から午後5時まで
県庁東館7階大会議室(大津市京町四丁目1番1号)
知事、副知事、教育長、教育委員
(※第1回はゲストスピーカー無し)
次期「滋賀の教育大綱」について
(福永教育長)
ただいまから令和5年度第1回滋賀県総合教育会議を開会いたします。
本日の出席者につきましては、お手元の「出席者名簿」および「配席図」の配布により紹介に代えさせていただきます。
なお、本日の会議は会場とオンラインの併用で開催しており、石井委員におかれましてはオンラインで御出席いただいております。また、本会議は公開で開催しており、会場での傍聴と併せて、ウェブ会議システムを活用してオンラインでも視聴をいただいておりますので、御承知おきください。
またお手元に資料1として、今年度の総合教育会議の年間予定を整理した資料を配布しております。簡単にご説明申し上げますと、今年度の総合教育会議は年5回の開催を見込んでおります。本日の第1回から第4回会議では次期「教育大綱」の策定に関する協議や報告を行いますとともに、第3回から第5回では、資料に記載のとおり、本県の教育の振興に当たり、重点的に講ずべき施策に関する個別の議題を予定しておりますので、御承知ください。
それでは冒頭の説明が長くなりましたが、本年度の第1回会議の開会にあたりまして、知事から御挨拶をお願いいたします。
(三日月知事)
それぞれにお忙しいところ、新年度になり、第1回目の総合教育会議にご臨席いただき、ありがとうございます。また、塚本委員にも新たに加わっていただいたということですので、どうぞよろしくお願いいたします。
この総合教育会議で議論されるテーマは、私自身、政治家として、最も時間を割き、心を入れて対応しなければならない課題だと思っております。また、選挙で選ばれた知事として、知事の大権は謙虚に行使していきたいと申し上げているところでございます。同時に県民の感覚、県民の思いを大切にしながら、皆様と議論していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
色々なものを乗り越えて健康しがを作ろう、そして新時代を作っていこう、と呼びかけているところでございます。後の議論にも関わるかもしれないので、3点申し上げたいと思います。1点目は乗り越えていくという意味で、コロナとの闘い、5月8日で感染症法上の分類が変わりました。こうしてマスクを外して会議をする、また事業をするということも、徐々に行われつつあります。この3年余りの感染症対策については、今、県として振り返り、検証しております。検証しながら次の波、新たな感染症に負けない社会をつくるためにどのようなことが必要なのかということを見出していきたいと思っております。とりわけ教育行政では子どもたちとの関わり合いも含めて大変悩ましい対応が沢山ありました。現在も続いているのかもしれません。是非このようなこともしっかり検証をして、これからに繋げていきたいと思っております。同時に悪いことばかりでなく、このようなウェブ会議や、GIGAスクール構想が前倒しで進むということなど、良くなったこともあると思いますので、そのようなこともきちんと捉えながら、これからの教育行政を一緒に考えていきたいと思います。
二つ目はこども、こども、こどもということで、今こどもと共につくる県政を大事にしているところです。こどもを三つ重ねている意味は、以前も申し上げたかもしれませんが、一人一人主体としての子ども、社会の一員としての子ども、未来への希望という意味での子ども、この三つのメッセージを思いを込めて申し上げているところです。折しも国でも子ども家庭庁が創設され、県でも子ども政策推進本部を立ち上げたところでございます。そのような意味で、この総合教育会議で議論する多くのことは子どものことでもありますし、例えばこどもとしょかん、子ども基本条例のことについても議論していいただく予定になっておりますので、是非子どものために実りある議論が出来ればと考えているところです。
また、子どもの笑顔を作る上で先生の笑顔が必要だ、大事だ、子どもに夢を語る前に大人が夢を持てているかということなど、子どもの議論をする時には跳ね返って私たち大人の姿勢が問われ、考えが正されるという点もあろうかと思いますので、そういう意味も込めて子ども政策をこれからしっかり前進させていきたいと思っております。
最後三点目は、教育長ともよく議論するのですが、分かったということも大事にしたいのですが、分からないと言える学校づくり、助けてと言える社会づくりを是非皆さんと一緒に追求していければと思っております。兎角強みを強調したがる昨今、世の中ではありますが、弱さとか、分からないということとか助けてということを、みんなが気軽に口に出来る、言い合える、そういう社会が実は本当の意味で強いのではないかと思っており、コロナと付き合う三年間で、私自身が見出した一つの境地でもあります。ぜひそのようなことなども、この総合教育会議もしくは今日から議論をする、教育大綱の中でも、皆さんと一緒に共有できればと考えているところです。限られた時間ですが、有意義なひとときにしたいと思いますので、よろしくご指導賜りますことをお願い申し上げまして、私の言葉といたします。
ありがとうございます。頑張りましょう。
(福永教育長)
ありがとうございました。
それでは本日の議題であります次期「滋賀の教育大綱」についての議論に入りたいと思います。まずは事務局から本日の資料について説明をさせていただきます。
(教育総務課長)
教育総務課課長の會田でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは私の方から、次期「滋賀の教育大綱」についてご説明申し上げます。
まず、資料2-1のファイルをお開き願います。1の見直しの概要をご覧ください。第4期滋賀県教育振興基本計画とされている次期教育大綱について、昨年度中に素案まで作成し、ご説明申し上げたところです。作成いたしました素案に対して、この総合教育会議を始め、教育振興基本計画審議会、県議会、さらには3月の教育総合総合教育会議に出席された中学生、高校生などから貴重なご意見をいただいたところでございます。また、先月には、各市町や保護者団体、福祉団体、経済団体など、素案に対する意見照会を行ったところで、様々な意見が寄せられました。この度、こうしたご意見やこども基本法の施行など、諸情勢の変化を踏まえ、所要の見直しを行うとともに、各施策に応じた目標を新たに設定し、素案ver2.0として取りまとめたところです。
次に2の主な見直し内容をご覧ください。今回見直しを行ったもののうち、主なものを掲載しておりますが、時間の都合上、新設した項目を中心にご説明申し上げます。まず表番号2番です。全体的な方向性の一つである、学習者が主体の教育におきまして、本県独自の取り組みとして注力してまいりました読み解く力の育成について示すことができないか、とのご意見がございましたことを踏まえ、社会の形成に主体的に参加していく目的のもと、読み解く力の育成に取り組むことを追記したものでございます。また、その下3番ですが、本年4月の子ども基本法の施行を踏まえ、柱1の施策である豊かな心の育成に掲げる、子どもの権利の尊重の内容を充実するとともに、子どもの最善の利益にも言及することといたしました。次2ページの8番です。3月の総合教育会議において中学生からの郷土学習をきっかけとして、地域に興味を抱くことができたというご意見を踏まえ、地域を題材とした学びの推進について取り組みを追記いたしました。また、9番、10番におきましては、柱1に掲げる部活動への支援について、先にスポーツ庁や、文化庁が打ち出している部活動の地域連携や地域移行の方向性を踏まえ、部活動を持続可能で適切なものとして方向性を示すこととしたところです。次に3ページの11番です。教職員による声かけなどが生徒の安心に繋がるという高校生の声を踏まえ、学校生活を安心して送るための取り組みを追記するとともに、12番の教育DXの推進においては、ICTの活用とともに教育データの利活用も重要であることから、追記を行いました。最後に4ページ17番におきましては、学びの居場所の確保について、フリースクールとの連携などを念頭に学校内外の連携を追記し、18番におきましては、義務教育の学齢期を過ぎた人の学びを支援する取り組みについて、具体的なキーワードとして、夜間中学を示すこととしたものです。以上が主な見直しの内容です。
続きまして、この度新たに設定した目標についてご説明申し上げます。資料2-2のファイルをご覧ください。計画の概要版3ページの施策体系と目標をご覧ください。計画に掲げるそれぞれの施策に対応する目標として、全27項目を設定いたしました。今回設定した目標につきましては、教育の充実を図るに当たり、数値にとらわれすぎることを避ける観点、また、例えば、現状6割のものを8割に押し上げたことで良しとするのではなく、教育の充実のためには、不断の改善を求め続けるべきではないかとの考えから、従前の計画とは異なり、到達すべき具体的な数値を明示しないこととしました。それでは主な目標項目について順次ご説明いたします。まず柱1の施策について、(1)1確かな学力の育成におきまして、子どもたちが分かった、出来たと実感できる授業の実現や、夢や目標を持つことができる学びの実現が重要となることから、授業の内容をよく分かると答えた児童生徒の増加の割合の増加、将来の夢や目標を持っていると答えた児童生徒の割合の増加の2項目を設定しております。
次に(2)1社会参画、社会貢献意識の育成におきましては、将来を見据えて果敢にチャレンジする子どもたちを増やしていくことが重要でありますことから、インターンシップに参加した高等学校生徒の割合の増加、海外留学をした高等学校生徒の増加の二つの項目を目標として設定しております。
また、(3)2部活動の持続可能で適切な運営への支援におきまして、部活動を持続可能で適切に運営していくためには、部活動指導員をはじめ、地域の力を活用、推進していくことが重要となりますことから、部活動指導員や外部指導者等の指導を受けている生徒数の増加を目標として設定いたしました。
続いて柱2の施策について、(1)1働き方改革を通じた笑顔あふれる学校づくりの推進におきましては、教員の多忙な状況を改善し、時間外在校等時間を縮減することが急務でありますことから、月平均教員1人当たりの時間外在校等時間の減少を目標として設定しております。次に(2)1子どもの心理的安全性の確保におきましては、誰一人取り残されることなく、相談や支援を受けられるようにしていくことが求められますことから、相談、支援等を受けていない不登校児童生徒の割合の減少といたしております。
同じく3教育DXの推進におきましては、ICTを活用した学びを、必要に応じ、いつでも行うことが重要となりますことから、ICT機器を活用した事業を1クラス当たり毎日行った割合の増加を目標に挙げております。次に(3)1特別支援教育の充実、インクルーシブ教育システム構築の推進におきましては、これまでは個別の指導支援計画の作成率に着目してまいりましたが、今後は次の段階といたしまして、その利活用を推進していく必要がありますことから、個別の教育支援計画および個別の指導計画に係る活用率の上昇を目標として掲げたところでございます。
また(4)1幼児教育、保育の充実および小学校教育等の円滑な接続におきましては、文部科学省が、幼保小接続の充実に向けたプロセスについて、基盤作り、検討・開発、実施・検証、改善・発展サイクルの定着という4段階のフェーズを示しており、幼児教育、保育との接続状況のフェーズが、第3段階または第4段階である小学校の割合の増加を目標として掲げたところでございます。
続きまして、柱3の施策についてです。まず、(1)1生涯学習の振興におきましては、地域や社会における活動に生かすために学ぶ人を増やしていくことが重要と考えますことから、学びの動機が、地域や社会における活動に生かすことである学習者の増加を目標として掲げております。
また(2)1地域とともに取り組む学びの推進におきましては、地域との連携協働のプラットフォームであるコミュニティスクールの設置を引き続き促進していくことが重要となりますことから、コミュニティスクールを設置する公立学校の割合の増加を目標として設定いたしております。さらに、家庭とともに取り組む学びの推進におきましては、家庭における生活習慣の安定や、地域のみんなで家庭教育を支えていくことが重要とされますことから、目標といたしましては、朝食欠食率の減少、家庭教育支援チームを組織する市町数の増加の二項目を設定いたしております。
最後に(3)2多様な学びの機会や居場所の確保についてです。困難な環境にある子どもたちへの支援に当たっては、専門職であるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの支援を子どもたちにしっかり届けることが重要となりますことから、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが支援に関わった児童生徒数の増加を目標に挙げております。以上が目標についてのご説明でございます。
なお、これまで申し上げた見直しの内容や目標等を落とし込んだ素案ver2.0を、資料2-3として掲載しておりますが、時間の都合上、説明は省略させていただきます。
資料2-1のファイルへお戻りください。最後に、大綱の策定に向けた今後の流れについてご説明いたします。5ページの今後の予定をご覧ください。この後、今月24日に開催予定の第4回教育振興基本計画審議会におきまして、本日の協議結果などを踏まえ御審議いただき、また6月8日に予定している第5回の審議会において、答申案についてご審議いただいた後、6月中には審議会より答申をいただくことを見込んでおります。その後、7月開催予定の第2回総合教育会議におきまして、原案についてご協議をいただいた後、7月から8月にかけまして、県民政策コメントの実施を行った上で、最終的に県議会11月定例会へ議案を上提、議決を得た上で、12月には計画策定となるよう、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
(福永教育長)
ありがとうございます。それでは次期「滋賀の教育大綱」の策定に向けた協議に移らせていただきたいと思いますが、先ほどの事務局からの説明は大きく分けて2つあると思います。
まず一つ目は今までご議論いただきましたこの素案のver2.0の見直し内容等について、皆様からご意見等をお伺いし、見直していないところも含めて、概要版等にあります全体の方向性や柱、施策の書きぶりについてもご議論いただきたいということです。2つ目は、最後に説明がございました、施策体系と目標について皆様からご意見をお願いしたいということです。このような形で進めさせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。
それではご説明のありました、素案からの見直し内容や、教育大綱全体について皆様からご意見やご質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
(塚本委員)
ご説明いただいた、柱2学びの基盤を支える(1)教職員を支え、教育力を高める、の1において、在校等時間の減少を目標として掲げていただいているとお話を頂戴しました。ご留意いただいているとは思いますが、在校等時間という数字だけに囚われて、例えば、資料を持って帰って仕事をしなければいけないというようなことになっていては、決して働き方が楽になったとは言えないことでございますので、そういった視点がしっかりと盛り込まれていると良いと思いました。
(福永教育長)
ありがとうございます。教職員課長から現在の把握状況等について御説明願います。
(教職員課長)
現在、一人当たりの持ち帰り時間数につきまして、県立学校においては、令和3年度になりますが、月36分という状況でございます。各市町あるいは校長等に基本的には持ち帰りはないように指導しておりますが、健康上の状況で、個人情報等勘案した上で、やむを得ず持ち帰られる方もおられるという現状がございます。できるだけこのようなことがないよう、今後とも対応を進めたいと思っているところでございます。
(福永教育長)
持ち帰りは在校等時間とは別途把握しておりますが、教育の場合、個人情報が多いので、持ち帰ること自体が問題ではないかという問題があります。その点については、十分留意したいと思います。
(野村委員)
3月に聞かせていただいた、中高生のご意見を大綱の中に落とし込んでいただきながら、方向性等を示していただいたのは、すごく意義のあることだと感じました。ありがとうございます。
そして、柱2の学びを円滑に繋げるというところで、初めて子どもたちが集団で遊んだり、そしてその中で、人に対して心も体も沢山の刺激を受けて、成長していくと思うのですが、中にはなかなかそちらの方に対応できないお子さんがいらっしゃったり、環境があったりと、目に見えない部分もあると思います。そのようなところを、幼稚園等に入る前から子育て支援センターに通われているお子さんであったり、地域の中で活動されているところであったり、一緒になって支えながら小学校に上がっていくまでの関わりを持っていけると良いと思いますので、学びを円滑に繋げるということを本当に大切にしていただければと日々思っております。
(福永教育長)
ありがとうございます。保育所や幼稚園に入っている子どもと小学校との繋がりのように思えますが、確かにおっしゃるように、保育園へ行っていないお子さんも当然いらっしゃいますし、そのようなお子さんも含めてどうしていくのか、そのことについては、また色々な場面で議論していく必要があると思います。
(石井委員)
二つ意見があります。一つ目は、データでも身体的能力が少し低下傾向ですので、大々的な県のイベントをうまく活用して、そのような機運を盛り上げていこうということが非常に感じられました。
二つ目は、学びを円滑に繋げるというところで、不登校の比率が急激に増えており、これはコロナ等も災いしてるというような、そういう捉え方も大事だと思いますが、IT化の進展で、IT機器が友達として育った子どもたちが、おそらく一人っ子はそのような状況になりやすいのではと思うのですが、兄弟喧嘩一つもせず、家庭の中で大事に育てられ、そのような中で、自分にとって大変なところに放り込まれたように感じ、ダメージを受け、それをずっと引きずってしまうというような不幸な出来事も十分に想像できるように感じますので、どのようにすべきかと思います。自分のかわいい子どもにそういう危惧があるかもしれないと感じているご家庭に対して、例えば企業などは、最初に入るときにオリエンテーションをやりますが、それに類するような導入の仕方等、工夫の余地があるのではないだろうかと感じております。兄弟喧嘩もできなかった環境で、IT機器ばかりを相手にして育ってきた子ども達にとっては、非常にいきなりタフな環境に放り込まれて、いきなり自分が傷つけられたように感じるシチュエーションが生まれ、不登校にも結びつくというような環境を阻止する必要があるのではないかと感じましたので、発言いたしました。
(福永教育長)
ありがとうございました。子どもたちに運動やスポーツにより関心を持ってもらうための取り組みについて、そして、不登校に関して、子どもたちが他者とどのように交わり、経験を積みながら、コミュニケーション能力や様々なきっかけを見出していくのか、これからそのような機会をどのように作っていくのかということでしたが、非常に大事だと感じております。
(土井委員)
今回改定していただいている部分に関して、説明資料の3の子どもの権利の尊重についてですが、私はこの点は大事だと思うのですが、実際にこれを実施していく上で、最初の方に書かれている子どもの最善の利益、二つ目に書かれている自立した個人の二つの関係がとても難しいところです。子どもの最善の利益というのは誰が考える子どもの最善の利益だという問題が常にあり、それは、大人が考える子どもの最善の利益の実現ということになると、2番目の自立した子どもとは合わないということになります。大体親と子の喧嘩の理由は、親がこれは子どものためにならないだろうということを、子どもはしたいということが多いので、基本的にこの点において微妙な問題をはらんでくるのだと思います。それが5番目にも書かれている学校のルールを誰がどのように決めていくのかという問題にも絡んできます。どちらか一方だけというわけではないことは確かで、子ども自身が自分を傷つけるという場合もありますので、それを止めに入らないといけない場面もありますが、この両立をどう図っていくのかということが、社会で大人が子どもとどう接していくかという意味ではとても重要なことになります。両方書いていただいていることは非常に大事なことだと思いますので、その辺の調整をしっかり考えていければと思います。
(福永教育長)
ありがとうございます。確かに今後どのように取り組みや施策に反映していくのか、ということは難しいですね。大杉副知事から何かご意見やご質問はございますでしょうか。
(大杉副知事)
資料1の内容について、今後もブラッシュアップしていくと思いますが、今、土井先生がおっしゃったことがすごく大事だと思っており、まさに子どもたち自身がそのようなことを考えられるようにするのが正しい方向だと思いますし、先生方自身がそのようなことに自信を持って対処できるような考え方を身に着けられる機会、あるいは仲間に言えるような機会も校則のあり方等様々な議論が深まっていく中で、今までより留意して設けていく必要があるのではないかと思いました。
(福永教育長)
ありがとうございます。知事から次期「滋賀の教育大綱」についてご意見等ございますか。
(三日月知事)
今回のこの素案ver2.0の内容は、特に問題ないと思いますし、今委員の皆様方から、ご指摘いただいた事項についても大事な視点だと思いますので、今後、審議会でさらにバージョン上げていく過程の中でどのように表現、表記していけばいいのか、また具体の施策を作ればいいのかということを、一緒に考えていければと思います。先ほど石井委員がおっしゃった不登校の問題や、土井委員がおっしゃった子どもの権利の尊重に関して、子どもの自立と、子どもの最善の利益の優先の兼ね合い、あと先ほど塚本委員のおっしゃった、働き方改革等、このようなところを、私自身、最近特に重視しながら、どのように言えばよいのか、やればよいのか、悩みながら考えているところですので、この議論の中でより良い方向性を見出していけたらと思います。
(福永教育長)
ありがとうございます。最後に振り返りの時間を取りたいと思いますが、資料2-1に関するご意見をいただきました。併せまして、資料2-2に関してご意見等はございますか。
(土井委員)
基本目標とサブテーマの全体の関係で、三方よしについてどう受けとめたら良いか、どう生かしていくかということで申し上げさせていただきます。三方よしというのは近江商人のモットーということで、本県らしく、非常に良いことだと思うのですが、近江商人の多くは近江におられたわけではなく、全国を回っておられました。全国を回っておられた近江商人にとっての三方よしというのは、親しい者の間での三方よしではなかったと思います。つまり、近江ではない地域に行き、取引をしておられたという文脈からすると、おそらく色々と思いや考えの違う人たちと接した時に、相手を理解してお互いのために何とかならないかということを交渉し、それが全体のためにもなる、互いに信頼を形成していくことが大事だという教えだったと思うのです。その意味では、滋賀の中で良い社会を作るということも重要なのですが、後ろに出てくる多様性をどう考えるのかという問題と繋げると、自分と違う者を理解し、自分の思いとどうすり合わせると、お互いのためになり、社会のためになるのかということを考えていくということになります。これは実はすごく難しいことなのですが、非常に大事なところだと思います。私と相手は時に対立するもので、関係をしっかり築いていくということが大事だという面もあると思いますので、それを考えると、先ほども申しましたが、多様なあり方、あるいは、場合によれば、弱い立場の人たちのことについてしっかり理解をして、一緒に共生していくということはどういうことなのかを考えることに繋がると思います。三方よしという言葉だけを聞いていると、円満で上手くいくというイメージになりますが、それはとても難しいことで、だからこそ、それに取り組まなければならないということをしっかり繋げていっていただければと思っております。
(福永教育長)
ありがとうございます。三方よしという言葉は途中から入れさせていただきました。個人の幸せではなく、三方よしの幸せでやっていこうということで、審議会でも意見が出たのですが、この点に関してご意見はございますか。
(石井委員)
今、土井先生がおっしゃったことは非常に重要な意味があると思います。営業的な視点からも、今後活躍する人材を育てていこうという視点からも見出せますし、重要なことを再確認していただいたのではないかと感じております。
(三日月知事)
「三方よしで幸せ育む滋賀の教育」ということで、なぜ三方よしを入れたのでしたか。どのような議論があり入れることになったのでしたか。先ほど土井先生がおっしゃったことを考えて入れたのでしたか。
(福永教育長)
どちらかというと、個というもの、個別最適な学びということが結構言われていて、1人1人の幸せを大切にしようという考え方があると思いますが、ただ自分だけが幸せであれば良いというものでないので、先ほどおっしゃられたように、自分とは意見の違う人も、逆に言えば、その意見をどうくみ取れば、相手も理解され、幸せになれるか、また、人だけが幸せになっても良いわけではないので、幅広く地域や社会、場合によっては、自然等色々なものが幸せになるということを頭に置きながら、協力して進めていく必要があるのではないかという議論の中で、実は滋賀にはふさわしい言葉があり、滋賀ならではの教育にも取り上げてきましたので、三方よしを入れようということで、変えさせていただいたところです。このことについて、子どもたちにしっかりと知ってもらい、理解してもらう、体験してもらうということもありますが、滋賀の教員をする人にもこのようなことをベースとして知っていただくことも、小学校、中学校、高等学校、あるいは養護学校も含めて大切ではないかなと思っております。個人的には、ある意味、主権者教育というところにも繋がり、多数だけが良いという社会でなく、少数も住みやすいという社会を、学校教育の中でも学んでいくべきではないかということで、具体的には何をどうしていくのかということは、なかなか難しい問題ではあります。
(土井委員)
滋賀らしい教育を作るという意味においてもそうですし、一人一人自分も大事にすると同時に、自分と異なる他のことも思いやり、尊重し、関わりの中で、どうお互いがより良くなっているのかということを大事にしたいという意味においても、このようなサブテーマは大事だと思います。共感もしますし、賛同もします。具体的にどう落とし込んでいくのかという難しさも共有しながら一緒に考えていけたらと思います。
(塚本委員)
他者との関わりの中で自分を見つめていくということや、その関係性の中において自分を確立していくということは、すごく大切だと思います。先ほど不登校というワードが出てきましたが、むしろ他者との関わりがあるが故に、しんどい思いを持ってしまっている子どもたちもやはり存在しているわけで、そうした時に、三方よしという言葉が自分と他者との関わりも大事にしましょうという文面だけで捉えられたらしんどくなってしまうと思います。ですが、三方よしの商売の精神で言うと、売り手よしということで、売り手が第一にきておりますので、自分のことを大事にしましょうということでもあるのだと思います。大切にしなければいけない社会があり、他者との関係もありますが、その中においてやはり自分は自分として大事にしていきましょうということを、例えば不登校やいまいち関係に馴染めない状況にある子どもたちについては、そのような視点を持つことが大事だと思いました。
(福永教育長)
ありがとうございます。確かに色々なところにしんどさを感じ、悩みを抱えるお子さんもいらっしゃいますので、その点についてどう考えていくかということですね。
(土井委員)
三方よしは自分よし相手よし社会よしで、元々商売に関することなので、多数決ではないんですね。多数決で決めようという話ではなく、自分がこうしたいという思いと相手がこうしたいという思いがあり、一生懸命議論をして調整して、一つの方向性に持っていくことなので、自分を大事にしながらチャレンジしていくということになると思います。そういう意味では先ほど知事がおっしゃった「乗り越える」や「新時代を開く」という時においても、自分はこうしたいという思いと相手の思いと、どう結びついていくのかということを考えると、それはとても大事なことなのではないかと思います。
(三日月知事)
皆さんのお話をお聞きし、私は先ほども申し上げたように、このようなサブテーマを大事にしたいですし、具体的にどうするかということはみんなで一緒に考えていきたいと思います。ですが、あまり法律的ではないのかもしれませんが、関連して二つ申し上げたいと思います。三方よしという商売道は、私は誇りとするところだと思いますが、実は良いことばかりをやっていたわけではないという側面もあり、例えばアイヌの人たちから様々なものを搾取して商売をしてたのではないかというご指摘など、光ばかりでなく影の部分も率直に見ながら考えていく視点が大事なのではないかと思っています。もう一つは、なぜこのような商売道が近江で育まれてきたのかということについて、早くかつ広く仏教の教えが広まったことも影響してるのではないかという人もいます。そのような意味で、宗教的情操に対して、この教育大綱ではどう書けば、どう考えればいいんでしょう。あまり宗教的情操については、書こうとしていなかったのでしたか。どの宗教だということではないのですが、そのようなことについて、私たちはどう考えたら良いのか、併せてみんなで議論していければと思いました。
(福永教育長)
ありがとうございました。今回追加で挙げさせていただきました、概要版の3ページ目にあたる施策体系と目標について御意見等ございますか。これは滋賀の教育大綱の目標になりますので、毎年度検証していくというプロセスを経ていくわけですが、その際に検証してどう評価ができるか等の視点を持つ必要があると考えておりますので、この点について御意見をいただければと思います。
(大杉副知事)
3点あります。1つ目は教育DXの推進について、当面はこれで良いと思うのですが、ICT機器を活用した授業を一クラス当たりほぼ毎日行った割合の増加ということで、現況値がほぼ7割近くになってきていますし、もうすぐ100%になるのではないかなと思っています。これが形骸化すると、やれば良いということになりかねませんので、そろそろ次の目標や質的な深まりが必要になってくると思います。色々とサミットが動いていますが、G7の教育大臣会合も金沢と富山で行われ、おそらく週明けには宣言がまとまり、抽象的なものにはなると思いますが、リアルとデジタルを融合した教育の促進のような話が出てくると思いますので、そういった観点から考えた時に、滋賀としてどういう姿を目指していくのか、コロナの最中に量的な整備は進んだと思いますので、質的なものの評価を捉えられる指標をそろそろ考えても良いのではないかと思います。ついでに申し上げるとおそらく宣言内に例の生成AIの話も多分出てくると思いますので、これにどう向き合っていくのかということも、もしかしたら教育大綱全体の中で考えていく必要もあるかもしれないと思います。
2点目は部活動のところについてです。部活動指導員や外部指導者の指導を受けている生徒の増加とありますが、変えていくべき数を増加させることなのか、それとも適切な運営体制のブラッシュアップなのか、後者で捉えるべきだと思うのですが、非常に指標づくりが難しいと思います。手前味噌で恐縮ではありますが、幼児教育・保育のところでフェーズ3フェーズ4と使っていただいておりますが、接続体制がどのような段階にあるのかということを捉えるためにこのフェーズという捉え方を作りました。もしかしたら部活動の支援体制も同じようにどのようなフェーズにあるかということで捉えられるのかもしれません。そのようなことを考えながらご検討いただければと思います。
それから最後は体験活動の部分です。「フローティングスクールの学習を終えて、びわ湖学習のテーマについて自分の考えを持ち、他の人に伝えることができた」児童の割合の増加について、現況値が8割ぐらいになってきており、今後かなり100に近くなっていくと思うのですが、その次どうするのか、また、この部分に関して、私も個人的に研究してみたいと思っているのですが、“滋賀のこ”シリーズの、うみのこ、やまのこ、たんぼのこ、ホールのこ事業は色々な効果があるのではないかと思っております。これが学力テスト以外に体験活動の効果として言えるようになると非常に滋賀の教育の強みとして表せるようになると思います。すぐには難しいと思いますが、この効果について、安易に数値にするということではなくて、正しい形での表し方を是非研究できればと思っております。
(福永教育長)
ありがとうございます。確かにフローティングについて、現在このような表現になっておりますが、フローティングスクールというのは、単に環境学習だけという意味合いではない部分が沢山あると思います。他者との関わりや、先ほどの意見の違う人とどうやって向き合っていくのか等、様々な要素があると思います。子どもたちにどのような良い効果をもたらしているのか、難しいのですが、しっかりと考えていかなければならないと思っています。
部活動につきましては、この段階でどのような目標を作るのが良いのか、今年度も、モデル的に実証していきますが、なかなか難しい段階だと思います。
最後にICTについては、別途情報化推進計画を本年3月に作りましたが、これが元々5年になってるために、少し齟齬をきたしている状況であり、そこでもやはり計画としては3年ではないかという議論がありました。場合によっては3年後にほぼ見直し、または、2年後に見直す等柔軟に考える必要があると思っております。
他に皆さんからご意見等ございますか。
(石井委員)
柱1の知・徳・体を育むというところの豊かな心の育成については、もう少し基本目標と直結させてはいかがかと思います。米国主導のIT関連機器がどんどん押し寄せてきている中で、ここは、産業界とは違い人間を育てるところですので、今こそ普遍的な価値観が問われていると感じております。普遍的な価値観、滋賀県人としての失ってはならない価値観というところを子どもたちにどう醸成していくのか、非常に難しいと思います。メディアは受け狙いの方にいきますので、それに対する価値観をどうしていくのか、まさにそういうことだと思います。そして、それがまさにこの項目だと感じます。現状のこの項目では良いとは言えないと思います。
(福永教育長)
柱1の(1)について、何を目標にするのか難しいところもあるのですが、私なりにも色々考えたところがあります。例えば、地域や社会のために、自分が何かをしてみようと思ってくれる児童生徒、子どもの割合を高めていきたいということや、それから、人が困っているときは進んで助けようと思う子どもの割合であるとか、そのようなことを思っているのですが、少し石井委員の思いとは違うのかもしれません。
(石井委員)
今おっしゃった2番目のところが、大事なんだろうと思います。自己愛、本能的に自分を守っていくというのはどちらかというと、人間的に備わっているものだと思います。2番目におっしゃった友達が困っているときにどうするのかということが、本当に豊かな心に繋がっているというふうに感じます。そのため、もう少し検討していただきたいです。
(福永教育長)
ありがとうございます。その点については考えてみます。
(三日月知事)
そもそも論で聞いて投げかけるのですが、大綱や振興基本計画にはこういう目標って必ず必要なんでしたか。
(福永教育長)
そうですね。法律上には書いてなかったかもしれませんが。
(三日月知事)
前回も目標を持ちましたか。
(福永教育長)
前回もありますし、基本構想にも目標があります。
(三日月知事)
教育の中で、こういう目標を作り、数値が増えた、減った、達したというのはなかなか難しいと思っております。また、項目を評価するために、この目標で良いのかなど、なかなか悩ましいと思います。やはり、このような目標はあったほうが良いのでしょうか。
(土井委員)
現行計画までははっきり数値が書かれていたと思います。数値目標に関しては教育委員会でも議論したことがあるのですが、例えば明らかに低い数値や、全国平均に比べて低く、県として何とかしないといけないという数字は取り組む意味があると思いますが、80%を83%にするというような話で、1%足りませんでしたと言われても、その設定がおかしいのではないか、明らかに改善しなければならないものは数字を掲げることもあるでしょうが、それ以外のものは一喜一憂しない方がよいのではないかと話しておりました。
また、このような目標を作るときには、客観的数字として表れる必要があるということがかなりの制約になっていると思います。数値目標に引っ張られて、測りやすさということや、色々な調査で既に集められているデータにどうしても偏ってしまうことがあります。新しい指標を作って、新たに調査するということは、先ほどの働き方改革という関係から問題でしょうし、苦心しておられることは分かります。そして、どの次元で目標を設定するのかということも、とても難しいと思います。
項目の一つとして挙がっている、授業の内容がよく分かると答えた児童生徒の割合の増加という項目は、それを実現するために何が必要かという分析を要し、その実現のためには個々の項目に落としていく必要があるわけですから、いわば究極的な目標になっています。それに対して朝食欠食率の減少などは、最終的な取組項目として数値を上げようという話になります。一見して、実現に意味があると思える目標と、手段の一つとして実現に意味があるが、実現したからといって、それ自体としてどうなのかという印象を思われることもありますので、そこに難しさがあるのだろうと思います。
(野村委員)
柱1の(3)の部活動指導員や外部指導者等の指導を受けている生徒数の増加について、地域やクラブ等が関わらないといけないと思うのですが、生徒だけと捉えるのでしょうか。部活動の地域移行をどれだけされているか、市町がどのように考え、実際に行っているかなどの数がとても大切になってくるのではないかと思います。目標項目については、生徒がそこへ行き、活動をするから生徒数が増えていくのであって、前段階の受け皿とするところがどれだけ増えていくのかということが大切なのではないか感じました。
(福永教育長)
ありがとうございます。中学部活動をどうしていくのかという大変難しい問題が出ました。滋賀県には19の市町、約100校の中学校がありますが、置かれている状況など多種多様であり、一つの市の中でも、中学校によって違うところもあります。恐らくこれが目標ではないはずなのですが、目指すところに行く場合に、今何をやっていかなければならないのか、ファーストステップ的な意味合いの目標になっていると思います。将来的には、大杉副知事がおっしゃったような、このフェーズに達したというような学校を増やしていくということに繋がるとは思うのですが、今は悩みながら考えているところです。
その他に、例えば生涯学習に関して、特に読書や図書館について、何かご意見がございますか。先ほどの土井委員のお話ではありませんが、ここに関しては、分かりやすい数字で取っておりますが、県の調べと併せて全国学力学習状況調査の学習状況調査の方から拾っている数値もあります。その調査結果を政策を進めるに当たっての判断材料にしたいという点もありますが、調査が変わってしまうかもしれないという不安もあります。
(三日月知事)
全国学力学習状況調査を使って、評価するということは良いと思いますが、その割には、全国学力学習状況調査を使っている項目が少ないような印象を持ちました。
(福永教育長)
他にも体力運動習慣等調査など、国の調査もあります。
(三日月知事)
それでも少ないように感じました。「県調べ」に関して、県民1人当たりの県立、市町立図書館で年間に借りる図書冊数などは、毎年調べられており、それを増やすことを目標にしてはどうかということですが、そういうことであれば良いと思います。
(福永教育長)
ありがとうございます。他に何かございますか。
(三日月知事)
先ほど石井委員がおっしゃった、「豊かな心の育成」に係る目標を追加してはいかがかということについては、他にどのような目標の掲げ方があるのか一緒に考えていきたいと思います。
大杉副知事がおっしゃった、DXと部活動と体験活動の目標の書き方は、この書き方ではなく、もう少し先を見てはいかがかという意見についても、納得し、大事だと思いました。特に滋賀に学ぶ体験活動の推進がフローティングのみであるのかということや教育DXに関してICTの目標がこれでよいのかということは私自身も同様に疑問を感じました。
また、教育長からの問いかけとは少し異なるかもしれないのですが、いくつか括弧書きの目標や別途と記載されている目標があり、このような目標の立て方で良いのかと思います。例えば学校施設の整備や私学教育の振興の目標に関してはこれでよいのでしょうか。
(福永教育長)
括弧書きの二つは、扱いをどうするのかも含めて、現在、課題提起的に記載しております。特に学校施設の整備については、予算等様々なものを伴うことになりますので、具体的なことはまた別に行っていくのだと思います。私学教育の振興については、このようなところに記載できる項目であるのかという疑問がありますので、括弧書きにしております。施策と目標を対比できるように並べておりますので、このような記載になっております。
また、第4回の審議会において、本日の会議でいただいた意見等も踏まえ、審議会委員の皆様から同様の資料を用いて改めて議論をしていただくことになります。特に知事から何かございますか。
(三日月知事)
ここで申し上げることは、こちらに返ってくることになりますので言いにくいということもありますが、折角ですので、決意を込めて申し上げます。私学教育の振興についても記載して良いと思います。県民、県議会の皆様から、私学も公の教育として大事にしようということや、保護者、世帯の負担をいかに軽減していくかということをよく言われます。また、柱2の(3)の1特別支援教育の充実の項目に、個別の教育支援計画および個別の指導計画に係る活用率の上昇と書かれており、大事なことではありますが、特別支援学校の数に関してや、個別の指導・教育支援計画はそもそも全部で作成することは出来ないのかなど、逃げずに目標設定をしないといけないというところもあると思います。しっかり記載をし、出来ていない点は県民と共有をして、どうしたら良いのかということを考えるタームにしていくことも良いのではないかと思いました。
(福永教育長)
ありがとうございます。今おっしゃった点に関しても、少し検討させていただきます。
それでは大綱についての意見も出尽くしたようでございますので、この議題については終わらせていただきます。
皆様から様々なご意見をいただきました。1つは、子どもの権利を大綱の中でどう書くのか、どう考えていくのか、また、その際に子どもに関わる大人の意思についてもどう考えるのかというご意見もございました。それから、三方よしを改めてみなさんにお伝えしていくということや、他者との関わりや豊かな心の目標についてもご意見がございました。この目標については、また更に検討を進め、ブラッシュアップをしていく必要があると思いました。本日いただいた意見をまとめまして、次回の審議会にも紹介しながら審議会での意見も併せて審議をしたうえで、素案から次のステップに進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
本日の報告事項であります滋賀県こども政策推進本部の設置および活動状況について、事務局からの説明をよろしくお願いいたします。
(子ども・青少年局長)
子ども・青少年局長の園田でございます。滋賀県こども政策推進本部の設置および活動状況についてご報告させていただきます。
資料3-1をご覧ください。冒頭に知事からも説明がありましたとおり、国において4月1日にこども家庭庁が発足し、こども未来戦略会議やこども政策に関する国と地方の協議の場での議論も始まるなど、大きく動き出したところです。本県においても、子ども政策の推進や、今後の国の政策との連携にあたり、全庁を挙げて横断的、機動的に取り組むため、先月4月28日に知事を本部長として、滋賀県子ども政策推進本部を設置し、第1回本部員会議を開催いたしました。
推進本部の役割としては、施策の総合的な推進および調整の他に、企画立案や財源のあり方まで幅広く議論をするなど考えております。本部員が、知事、両副知事、教育長をはじめ、子ども政策に関係する部局長により構成し、事務局は教育委員会事務局教育総務課、総合企画部企画調整課、健康医療福祉部子ども・青少年局の合同で担うこととしています。
第1回本部員会議の概要について、まず、会議冒頭で本部長である知事から本部設置に向けたメッセージとして、コロナ禍において子どもたちの声が光となって出来た滋賀県の「すまいる・あくしょん」が国における「こどもまんなか社会」の流れに繋がったこと、新時代を作っていく局面において、子どものために、子どもとともにつくる滋賀県を強力に打ち出していくこと、取組にあたっては、ポジティブなメッセージを出していくことや、困難な状況、深い悩みの中にある子どもたちに寄り添っていくこと、行政以外の主体、専門家との協働、市町との連携強化、国への提言等による制度の充実を図っていくことについて、発言があったところでございます。
その後、事務局から県の子ども政策の状況について説明を行った後、国が3月31日に公表した「こども・子育て政策の強化について(試案)」の内容を踏まえ、国の対応策において課題が残ると考えられる項目に関して、国への要望、提案を検討することについて議論いたしました。会議で出された主な意見につきましては、1のように、不登校や事件を起こしてしまう子どもたちなど、様々な制度からこぼれ落ちてしまう子どもたちに対する支援が重要であるといった意見、2のように、子どもの安全の視点が重要であるといった意見、4のように、足りないことばかり着目されてしまうが、現時点で出来ているところ、例えば体験活動の充実など、滋賀県が他の地域よりも先んじているところ、充実して取り組めているところを知っていただく機会にすべきであるとの意見がありました。こうした意見等を踏まえまして、子どもに係る政策提案として取りまとめることや、子どもに関わることは、全部局で意識して取り組んでいくこととなりました。提案内容については、今月中に開催予定の第2回本部員会議で確定した上で、国の骨太の方針に向け、6月初旬に政策提案を実施したいと考えています。
また、来年度の県の施策構築の検討や、国の様々な動き、例えば子ども大綱や予算概算要求等を意識し、子ども施策に関連して全庁的な連携を図るため、タイミングを見て開催してまいりたいと考えています。なお当日の資料やその他参考資料については、後ほどご覧ください。説明は以上でございます。
(福永教育長)
ありがとうございます。皆さんから子ども・子育て政策に関してご意見がございましたら、お願いいたします。
(石井委員)
ポジティブなメッセージを出すという知事のお考えは素晴らしいと思います。夢を作っていく、人を育てるということで、夢を失いかけているという時代になっていますので、なおさら思いや意味などを感じます。
意見交換のところに記載されている、不登校等について、ある段階から欠落することは県にとっても国にとっても大きな損失です。この点をどうするか、繰り返しになりますが、時代が変化し、必ずしもうまく対応できていないのだろうと、偏見もあるかもしれませんが、非常に強く感じます。通勤途上で、みんなが集団登校している中で、母親に連れられている子どもの姿を見かけることがあり、やはりそのようなことが起きているのだと実感しております。時代などが変わってきていることに対して、何らかの工夫をする必要があるということを訴えたいと思います。
(福永教育委長)
ありがとうございます。様々なお子さんがおられ、気になることが多いですので、社会全体としてどのような手を打っていけばよいのか、国、県、あるいは市町、教育や福祉、様々な主体がどのように関わっていくのか、しっかりと議論していく必要があると思います。
(塚本委員)
今から約10数年前に長浜で残念な事件があったことを思い出しました。おそらく、中国籍の母親が地域のコミュニティから疎外感を感じる状況になり、幼稚園児を殺害したというような事件だったと思うのですが、子どもの安全や、地域の中で健全に育っていく環境をつくるというときに、やはり保護者の周りの家庭や地域がいかにストレスフリーな状況を作っていけるか、今申し上げた長浜の件に関しては、外国籍であったということもあるかもしれませんが、そのことに関わらず、最近、子育てにおいてすごく孤立感を抱いていらっしゃる親御さんが多いとも思いますので、しっかりケアをして、ひいては、子どもたちの安全に繋がっていくという、そういう視点を持つべきではないかと思っております。
(福永教育長)
ありがとうございます。外国籍の方も含めすべての人に居場所があるという、そのような社会が大切なのだと思います。
(野村委員)
子どもが生き生きと生活するためには、やはり家庭の中の愛情が満ち溢れていて、そのためには親御さんの生活が安定しており、また地域の暖かい目や手があるというようなことが本当に大切ではないかと感じています。家庭の中に愛情があり、そこで安心して自分が育っていける環境というのがとても大切だと思いますので、育てる親への支援が重要であると思います。そのためには、親の教育という表現で良いのかはわかりませんが、子育てというのは親が子を育て、その子がまた自分の子を育てというように、循環していくと思いますので、どの時点で親がこういうふうに子どもを育てたい、愛情を持ちたいと感じられるか、また、地域や行政などが支援や教育ができるような場所も必要なのではないかと感じています。やはり本当に子どもが毎日楽しいと思って生活できる、安心して生活できる、そんな環境を作っていければと感じております。
(福永教育長)
ありがとうございます。社会教育、家庭教育あるいは地域、社会コミュニティ、様々な表現の仕方があると思いますが、どう考えるのか、これをまさに全ての人が一緒に考えていかなければならない非常に大きな課題だと思います。
(土井委員)
私も、子ども政策推進本部を立ち上げ、取り組んでいただいているのは良いことだと思います。先ほど大綱の施策体系と目標のところで知事がおっしゃられたことで、教育委員会委員として大事だと思いながらも、なかなか言いづらいのが教育への投資についてです。教育に対してどこにどう投資するのか、その投資のために必要な資金をどう確保するのか。私たちとしては定まった予算の中で、具体的な教育について、これをどのようにしていくかは議論しているのですが、それだけではなく、様々な面において、どのような形で投資するのが良いのか、あるいは知事や議会の方からこのように投資するようにという話になったときに、教育だけでなく、他の施策と併せてどのように実現させていくのが良いか、建物を改善していくにしても他の効果を考えてどのようなやり方が良いのかといった点を考えていくのが役割であると思います。その意味では推進本部や、この総合教育会議でも、その部分について知事のお考えを知り、こちら側から要望をするという場でもあると思いますので、色々と知恵を出させていただければと思っております。
(大杉副知事)
先ほど、なぜ数値目標が必要なのかという話題がありましたが、どこに投資すべきか、財政部局も含めお互い納得した形で進めるため、投資してもらうためには、教育現場も頑張るというお互いの理解を作るためという、そのような観点から必要な目標を生成していく必要があると思います。
子ども政策に関して、園田局長からも全庁体制という話がありましたが、そのような意味ではこの教育大綱や総合教育会議の場で議論する中身も子ども施策を踏まえた議論ということで、特に不登校や福祉等の意見も含めて施策を反映していければと思います。また、この教育大綱を教育界以外にも発信していくということも大事だと思います。
今回の素案にある、すべての人が愛情を持って取り組む教育、学習者が主体の教育、滋賀に学ぶ教育、この三つはおそらく教育ということのみならず、滋賀の人づくりの根本理念にもなるのだろうと思います。本日午前中に障害者の先進企業をお伺いしてきましたが、多様性を大事にした働き方を実践するところは、まさにこのようなことが実現できているところだと思います。
そういう人づくりの理念があるところが、多様性を受け入れ、様々な人たちが笑顔で活躍できる場を作っているということだと思いますので、これが社会に開かれた教育大綱であろうと思います。
(福永教育長)
ありがとうございます。確かに教育分野だけではなく、労働行政の中でも当然そのようなことは言えますし、幅広く考えていく一つのテーマとして捉えていただければ嬉しく、色々な場面で発信していくということが大事だと思いますので、産業界の皆さん、あるいは関係者の皆さん、福祉業界の皆さんにもそのことを発信していくことが大切だと思います。
それでは本日の議論を踏まえて、知事から最後によろしくお願いいたします。
(三日月知事)
後半に報告させていただいた子ども政策推進本部の取り組みは、本部長の知事として取り組みますので、教育委員の皆様方ともコミュニケーションを密にして、どういうところをさらに高めていけば良いのか、伸ばしていくべきなのかということをぜひ盛り込んでいき、また、具体の行動にしていきたいと思います。
だからこそ、この総合教育会議を主催させていただき、毎回フルタイムで出席し、知事としての意見を申し上げ、同時に皆様方からいただいたことを、今度はどうやって施策化するか予算化するかということを考える機会としておりますし、決めたことは県民の皆さんに丁寧に説明していく大事な役割があると思いますので、皆様のお力をいただいて、きちんと担っていきたいと思います。
また、だからこそ副知事として大杉さんに来ていただき、一緒にやろうということで頑張っているところでもあります。そういう意味で、子ども政策や教育政策は、ぜひこれからもより力を入れてやっていきたいと思っております。
今回、推進本部を全庁で立ち上げ、年代別、テーマ別、主体別、できれば時間軸でマッピングをしようとしております。どういう施策がどの世代、どのテーマについて行われているのか、できるのかということをマッピングすれば、どこが足りないのかが分かってくるので、今その作業をやっているところです。先ほどからお話にある子どものことを考えようとすると、その親や世帯、もしくは教職員等への手当ての必要性ということは、当然この中で増えてくると思いますし、学校のこと、義務教育のことを考えようとすると、その前段階である就学前のことや、生まれた後の色々な問題、生前の母子のあり方の問題、そもそも男女の出会いの問題等、そのようなことをぜひ子どもを真ん中に置きながら考えていく、そういう取り組みをしていきたいと思っております。
また、先ほど石井委員がおっしゃった、ポジティブなメッセージということは、ぜひ大事にしたいと思っております。兎角メディアの影響なのか、政治の発信の問題なのか、少子化という漢字3文字が出すぎており、後ろ向きの印象を持たれることがあります。もちろん大きな一つの現象として大事に捉えたいと思いますが、むしろ生まれてくる子どもの数が減っているのであれば、以前よりも1人1人が大事にされる、1人1人に目と心を向けられる時間が増えるんだという、取組やメッセージをみんなで発しながら、施策の充実に繋げていけたら良いと思っております。
まだまだ足りないところがたくさんあるかとは思いますが、このような議論の積み重ねの中で方向性を見出していければと思いますので、ぜひ教育委員の皆さん、教育委員会の皆さん、よろしくご参画、ご指導いただければありがたいと思います。一緒に頑張りましょう。
(福永教育長)
ありがとうございます。本日は教育委員の皆様から様々なご意見をいただきました。ご意見については、次の審議会に伝え、改めて議論し、次のステップに進めていきたいと思います。子ども政策についても、本部の中で議論していただく際の一つのご意見として取り扱っていただければと思います。
それでは一通り皆様からご意見もいただきましたので、令和5年度第1回総合教育会議は以上で閉会させていただきたいと思います。熱心にご議論いただき、ありがとうございました。