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令和4年度第1回滋賀県総合教育会議の開催結果

開催日時

令和4年5月11日(水曜日)午後3から午後5時まで

開催場所

県庁東館7階大会議室

出席者

  • 知事 三日月 大造
  • 副知事 中條 絵里
  • 教育長 福永 忠克
  • 委員 岡崎 正彦
  • 委員 窪田 知子
  • 委員 野村 早苗
  • 滋賀県スクールソーシャルワークスーパーバイザー 北居 理恵

議題

(1)次期「滋賀の教育大綱」策定の進め方について

(2)困難な環境にある子どもたちの学びへの支援について

会議録

(福永教育長)

皆様、本日はお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

定刻となりましたので、ただいまから令和4年度第1回滋賀県総合教育会議を開会いたします。

本日の出席者につきましては、お手元の出席者名簿および配席図の配布により紹介に代えさせていただきますので、よろしくお願いします。

また、本日はゲストスピーカーといたしまして、滋賀県スクールソーシャルワークスーパーバイザーの北居理恵様にお越しいただいております。北居様どうぞよろしくお願いいたします。

なお、本日の会議につきましては、教育委員の土井委員、野村委員は所用により欠席しております。また、会場への参集とオンライン参加の併用をいたしまして、三日月知事、窪田委員、石井委員におかれましては、オンラインでご出席をいただいております。

また、会場での傍聴とあわせまして、ウェブ会議システムを活用して、オンラインでも県民の皆様に視聴いただいておりますので、ご承知おき願います。

さて、本日の議事に先立ちまして、本年度の総合教育会議の年間予定についてご説明をいたします。お手元の資料1をご覧いただきたいと思います。

今年度の総合教育会議につきましては、昨年、一昨年と同様、個別のテーマに関するご議論いただくことに加えまして、各会議におきまして、次期「滋賀の教育大綱」の策定に向けて、知事と教育委員の皆さんとの協議、報告を見込んでいるところでございます。

各回の議題はお手元の資料の通り予定をしておりますが、資料に※印で書かせていただいておりますとおり、本県の教育をめぐる時勢に応じまして、テーマの変更や追加開催につきましても柔軟に対応してまいりたいと考えておりますので、ご承知おきいただければと思います。

本日は本年度の1回目の会議ということでございますので、まずは次期大綱に関しましては、今後の策定の進め方について提案をさせていただき、ご協議いただきたいと考えております。

次に個別テーマといたしましては、「困難な環境にある子どもたちの学びへの支援について」を議題としてご議論をいただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。

それでは開会にあたりまして、総合教育会議の主宰者である知事からご挨拶をお願いいたします。

(三日月知事)

今日は皆様方ご参加いただきましてありがとうございます。

また常日頃、滋賀県の教育行政について、子どもたちのために、それぞれの立場でご尽力いただいていることに心から敬意を表し、また感謝を申し上げたいと存じます。

ウクライナの情勢が心配です。コロナ禍も長引いています。こういった戦争があったり、感染症が長引くと一番大きな影響を受けるのが、子どもたちだと思います。

今年に入りまして、年頭から私たちは「健康しが」をつくろうということを標榜しているのですが、「子ども、子ども、子ども」と、一に子ども、二に子ども、三に子ども、子どものために、子どもとともにつくる滋賀県を目指そうということで、教育行政ならびに、子どもたちの置かれている環境改善のために、さらに力を合わせて頑張ろうと表明させていただいているところでございます。その意味におきましても、この総合教育会議の意味合いや位置付けがさらに高まってくるのではないかと考えております。

私が知事としてこの会議を主宰いたしまして、中條副知事とともに毎回フルタイムで参加させていただきながら、率直に意見交換をさせていただき、それを政策化したり、組織化したり、予算化したりということに、これからもより精力的に努めてまいりたいと思いますので、委員の先生方、また北居さん含め関係者の皆さん、よろしくお願いいたします。

今も教育長からご紹介がありましたように、滋賀の教育大綱が4年目に入りまして、次の大綱づくりの議論をこの総合教育会議の場でも行っていくこととなります。

おかげさまでいろいろなことが進んできた一方で、もっとこういうことをしなければいけないのではないか、こういうことが課題ですよね、可能性ですよねという議論もあろうかと思います。ぜひこの点も精力的にご議論いただきますようにお願いしたいと思います。

今回、まず1回目ということで、困難な環境にある子どもたちの学びへの支援について県の取組をご紹介すると同時に、北居さんからいろいろな取組をご紹介いただくこととなります。

実は、私は「困難な環境にある」という言い方が、いつもこれでいいのか、こういう言い方をすると、どのように受けとめられて子どもたちに返ってくるのかと、悩みながら使っています。

教育委員会の資料や、予算の資料にもこういった書き方をしているのですが、こう書けば書くほど、言えば言うほど、本当に一緒に力を合わせてやらなければならない、させてあげないといけない、ご家庭や子どもたちに、心が届かないのではないかと思うことがありまして、その辺りについても、委員の先生方や北居さんからお話をいただければありがたいと思っています。

知事含め、行政が発するメッセージというのは、このコロナ禍でも直面しているのですが、正直に受けとめていただくメッセージであるがゆえに、使い方をよくよく配慮していきたいと思っております。

限られた時間ですが、今日もどうぞよろしくお願いいたします。

(福永教育長)

知事ありがとうございました。それでは予定していた議事に入りたいと思います。

まず議題の1つ目、次期「滋賀の教育大綱」策定の進め方につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

(教育総務課長)

それでは資料2、「次期『滋賀の教育大綱』の策定について」をご覧いただきたいと思います。

まず策定の趣旨でございますが、現行の教育大綱につきましてはその終期が2年後の令和5度末となりますことから、来年度中に次期大綱の策定が必要という状況でございます。

教育における環境が大きく変化している中で、大綱の検討につきましては、できるだけ早く、今年度から着手いただきたいと考えております。

また、現行の大綱につきましては、教育基本法に基づく第3期滋賀県教育振興基本計画と一体的に策定されておりまして、次期教育大綱におきましても、教育振興基本計画と一体的に策定いただきたいと考えております。

なお、教育振興基本計画につきましては、県の条例の規定によりまして、県議会の議決を経た上で策定することとされております。

次に、大綱の枠組みでございます。期間につきましては、令和6年度からとなっておりますが、現行の大綱の計画期間につきましては5年間となっております。

基本は5年間と考えておりますが、その辺りも含めまして、またご議論いただきたいと思っております。

次に、策定の主体でございます。地方教育行政の組織および運営に関する法律、いわゆる地教行法の規定に基づきまして、滋賀県知事が策定主体となっております。

なお、資料2ページ目の参考2に法律の条文を記載しておりますとおり、同法第1条の3第2項におきまして、大綱の策定にあたり、あらかじめ総合教育会議でご協議いただくこととされておりまして、大綱の策定について今後の総合教育会議でご議論いただく形になっております。

続いて、大綱の性格でございます。今ほど触れましたように、地教行法に基づき策定いただくものでございますが、法の規定で対象施策の範囲とされる「教育、学術及び文化の振興」のうち、文化振興につきましては「滋賀県文化振興基本方針」、スポーツ振興につきましては「滋賀県スポーツ推進計画」と、滋賀県政における既存の計画がございますので、これらの計画との調和を図っていただきたいと考えております。

次に、策定の進め方でございます。本日の会議を皮切りに、本年度および来年度にかけての総合教育会議におきまして、大綱についてご協議いただきたいと考えております。また、一体的に策定を見込んでおります教育振興基本計画につきましては、滋賀県教育振興基本計画審議会を設置いたしまして、諮問のうえ、答申を得ますとともに、最終段階におきましては、県議会の議決を得る運びを見込んでおります。こうした動きがオーバーラップしてまいりますが、進捗が共有されますよう調整をしまして、策定を進めてまいりたいと考えております。

今ほど申し上げました流れをスケジュールに落とし込んだものが資料の「4.今後のスケジュール」でございます。令和5年12月策定を目標に、今年度の総合教育会議におきましては、計画の素案まで進めていただきたいと考えているところでございます。説明は以上でございます。

(福永教育長)

それではただいま説明のありました次期大綱の策定スケジュールについて、皆様と共有を図って取組を進めたいと考えておりますが、皆様からご意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。

(岡崎委員)

説明ありがとうございました。説明の中で大綱の期間についても協議するとのことでしたが、現行大綱の期間5年は変えたほうが良いのでしょうか。

(教育総務課長)

5年とは決まっていない前提で、改めてご協議いただければと思っております。

(福永教育長)

他に特にご質問やご意見等がないようでしたら、資料のとおりのスケジュール感で進めていきたいと考えております。

なお岡崎委員からご質問がありました大綱の期間でございますが、現在国におきましても、教育振興基本計画が策定されていますが、こちらも5年の予定で計画策定が進められております。

それでは、本日から次期大綱に向けたスタートを切らせていただき、策定につきましては、県の計画の場合、ほとんどが2月県議会で議決され3月末の策定となりますが、少し余裕を持ってスタートするために、12月の策定を目指して取組を進めていきたいと思っております。

あわせまして、今後8月以降の総合教育会議で策定の状況や方向性を協議し、骨子案、素案と進めてまいりたいと考えておりますのでよろしくお願いします。

そして一番大きな点ですが、現在の「滋賀の教育大綱」と教育振興基本計画を一体的なものとして策定を進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

知事の方から何かございますでしょうか。

(三日月知事)

委員の先生方からご異論がなければ、そういう方向でぜひ進めていきたいと思いますし、5年間でいきましょうか。

資料1にありましたように、それを議論するための総合教育会議、今日は今年度1回目なのですが、事前に事務局から説明を受けますと、私も毎回楽しみにしているのですが、年々回数が減ってきています。今年度は4回ということになっていますが、以前は6回開催していたのではないでしょうか。

お忙しい先生方にお時間を割いていただくのは恐縮なのですが、今年度から精力的に議論しようとしていますので、年度中に5回、6回と増えるかもしれませんが、ご協力いただければと思います。

またパブリックコメントで県民の皆さんのご意見を聞くような場も、できる限りフレキシブルにできたらいいなと思っています。子どもたちからも広く声が寄せられるような、そういった機会もつくりながら、この大綱の議論を進められればと思いますので、よろしくお願いいたします。

(福永教育長)

ありがとうございました。それでは、教育委員の皆様方の日程等を調整しながら、総合教育会議で滋賀の教育について様々な議論をできるように、段取りをさせていただきますので、ご協力よろしくお願いをいたします。

それでは大綱の策定については以上とさせていただきまして、本日の議題2「困難な環境にある子どもたちの学びへの支援について」に移らせていただきます。

この議題の進行につきましては、まず教育委員会事務局から説明をさせていただきました後、本日のゲストスピーカーであります北居様からの発表を踏まえまして、子どもたちの学び、あるいは子どもたちへの支援の取組の方向性について皆さんと意見交換をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

それではまず事務局から、困難な環境にある子どもたちの現状について、説明をお願いいたします。

(生徒指導・いじめ対策支援室長)

事務局から困難な環境にある子どもたちの現状について、本日は三つの視点でデータによりご報告させていただきます。

1点目は虐待・貧困についてでございます。

本県の虐待相談件数は、資料3ページのグラフにありますように増加傾向にございます。子ども・青少年局が発表しています令和2年度のデータによりますと、虐待相談件数は8,201件で、前年度比328件増、+4.2%となっています。

虐待の種別につきましては、「心理的虐待」が全体の38.8%と最も多く、「身体的虐待」33.6%、「保護の怠慢ないし拒否(ネグレクト)」26.6%、「性的虐待」1.0%となっております。

4ページに年齢別のグラフを示しておりますが、「小学生」が全体の37.9%と最も多く、次いで「3歳から学齢前児童」が18.7%、「0歳から3歳未満」が18.1%、「中学生」が14.9%となっております。

この3年間の状況でございますが、同ページ下のグラフにありますように、「0歳から3歳未満」を除いてすべての年齢別区分において増加傾向でございまして、特に「小学生」が171件増と最も多く増加をしております。

続きまして、主な虐待者の内訳でございますが、5ページ上段左の円グラフにございますように、「実母」の割合が多く全体の62.5%。「実父」が31.5%であり、これらも前年度と比較すると、右の帯グラフにありますように、ともに増加しております。

また、下の段にありますように、「新規ケース」が2,201件、「継続ケース」が6,000件であり、これも前年度と比較しまして、ともに増加しております。

続いての資料6ページは子どもの貧困率についてでございます。茶色の折れ線グラフにありますように、平成24年は過去最悪の数字で16.3%となっております。平成27年には13.9%、平成30年には13.5%に減少しておりますが、約7人に1人は貧困状態となっております。

また、県内のひとり親家庭の世帯数の経年データによりますと、近年増加傾向にあることがグラフから見てとれます。

続きまして7ページですが、昨今よく話題に挙がっておりますヤングケアラーについてでございます。令和2年度に厚生労働省が大規模な調査をされ、全国の市町村の要保護児童対策地域協議会を対象とした調査結果では、ヤングケアラーという概念を「認識している」が76.5%、「昨年度までは認識していなかったが、認識するようになった」が16.8%、「認識していない」が6.6%となっております。

また、全国の中高生の子どもたちに聞いた調査の結果では、「世話をしている家族がいる」と回答した中学生が5.7%、これは約17人に1人です。高校生が4.1%で、約24人に1人ということでございました。

続きまして二つ目、日本語の指導が必要な外国人児童生徒等についてでございます。

滋賀県の外国人人口は資料9ページのグラフにありますように、平成26年以降、増加傾向が続いており、令和2年12月末段階で、3万3,000人を超えました。

これは計算しますと、外国人人口の割合は県全体の2.3%、県民のおよそ42人に1人が外国人ということになります。国籍別では108の国や地域から来られているとのことです。

次に滋賀県における日本語指導が必要な外国人児童生徒の在籍数でございますが、下のグラフのような推移となっております。

令和2年から3年にかけては、コロナ禍の影響もあり、小中学校での増加はなかったものの、小学校で概ね約1,000人強、中学校で400人強、高等学校で100人ぐらいの子どもたちが在籍しています。

次の10ページの円グラフは、日本語指導が必要な児童生徒の言語別割合でございますが、ご覧の通り、ポルトガル語を母語とする児童生徒が半数以上を占めており、続いてスペイン語、タガログ語を母語とする児童生徒が多くいます。

続きまして不登校のデータを紹介します。資料12ページをご覧ください。文部科学省の調査によりますと、全国の小中学校の不登校児童生徒数は年々増加傾向にあり、その増加率は近年さらに高まっております。

特に平成28年12月に、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法が成立し、その理解が進んだこともあり、これまで以上に児童生徒が自らの進路を主体的にとらえられるよう、子どもたちの意思を十分に尊重しながら、個々の状況に応じた支援を行うようになった側面もあり増加をしていると、文部科学省でも分析しております。

次の13ページのグラフは全国の高等学校の状況でございます。小中学校と傾向は多少異なりますが、多くの不登校生徒がいることが伺えます。

次の14ページのグラフは三つありますが、本県の公立学校の状況でございます。全国と同様に増加傾向となっております。

公立の小学校における不登校児童数は851人であり、これは過去最多でございました。在席率は1.05%であり、この数字も過去最高になってしまいました。

公立中学校は1,358人、在席率は3.49%で、在席率が過去最高となっております。

県立高等学校は692人で、在席率が2.33%となっております。

続きまして15ページですが、不登校児童生徒の欠席日数の状況をグラフにしました。不登校は長期欠席の理由の一つで、病気や経済的理由を除き、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因、背景により登校しない、あるいは登校したくてもできない状況にあるため、年間30日以上欠席したものと定義されております。

このグラフは30日を大幅に超えた90日を基準とし、「30日から89日欠席」、「90日以上欠席」に分けてグラフを作っています。県内の状況でございますが、中学校を見ていただきますと、長期の不登校生徒が多いことが見てとれます。

続きまして16ページは、要因でございます。不登校の要因についても調査をしておりまして、どの校種も「無気力、不安」が一番多くなっております。2番目に多い要因は学校ごとに違いますが、小学校では「親子の関わり方」、中学校では「生活リズムの乱れ、あそび、非行」、全日制の高等学校では「学業の不振」、定時制の高等学校では「生活リズムの乱れ、あそび、非行」となっており、発達段階によってその背景も様々でございます。

次の17ページのグラフを見てください。これは県内の小中学生における関係機関連携についてですが、先ほど申し上げました教育機会確保法の施行以降、教育支援センターや、民間団体・民間施設の利用者数は増加傾向にあります。

これらのことを踏まえて、最後18ページの資料でございますが、県教育委員会としまして、今年度「困難な環境にある子どもたちの学びへの支援」というテーマでご覧の五つの事業を中心に支援を図ってまいりたいと考えております。

本日は数値データをもとに、現状を説明させていただきました。以上でございます。

(福永教育長)

ありがとうございました。

それでは続きまして本日のゲストスピーカーとしてお越しいただいております、北居理恵様から教育・福祉の現場における取組と課題について、ご発表いただきたいと思います。よろしくお願いします。

(北居氏)

よろしくお願いします。

2年前に一度、NPOでの子どもと大人の居場所づくりの報告と、スクールソーシャルワーカーとしての活動を報告させていただきました。ちょうどコロナによる緊急事態宣言の半月前のことでした。今日はあれから2年間の報告を聞いていただけるということで、ありがとうございます。

まず「困難な環境にある子どもたちの学びへの支援」という表現について、私はいいのではないかと思います。私の印象としては、例えば「支援を要する家庭の子ども」といった表現よりもずっといいのではないかと思っています。

それでは、この2年間の出来事を三つに分けてお話しさせていただきます。

主に福祉的な課題を持つ家庭への支援について、二つ目は月1回、6年間やってきました子ども食堂について、三つ目は不登校支援でやっております、学校に行きづらい日に来ることができる居場所についてお話ししたいと思います。

2020年2月28日に休校の発表がありました。その時に、スクールソーシャルワーカーとしても、しんどい家庭の子どもたちもずっと家にいなくてはいけなくなって大変だな、それを支援する活動が始まるな、と思ったのと、もう一つはNPOとして、地域での受け皿を何とかできないだろうかと思いました。

その結果、やれる範囲で、やれることをやろうと思って決めたのが「おひるまLiaison」で、毎日は無理だと思いましたが、月水金の11時から3時に、お昼ご飯を食べたり宿題をしたりできる場所を作ろうと思いました。

そこで、3月1日の日曜日にチラシを大急ぎで作って、近所の小学生、中学生のいる家庭にポスティングしましたのと、米原市と長浜市の子育て支援課さんに持って行きまして、お困りの家があったら渡してあげてください、送迎も必要だったらやりますと伝えました。学童や学校を開いてくれても、連れていくことができない家庭があるのではないかということが話題になっていたので、連れて行くお手伝いをできるのではないかと考えて配りました。

そうしましたら、次の写真(掲示割愛)のように合計9名が来ることになりました。まず初めに反応があったのがこの子ですね。この女の子は2年生でした。お母さんからLINEで「この子の居場所がなかったので助かります」とすぐに連絡が来ました。「やはり学童はお金がかかるので入れられないし、本当に助かります」と言っていただき、来るようになりました。

次に連絡があったのは6年生の女の子でした。誰とでも付き合える、話せるタイプの子どもではなかったのですが、一度子ども食堂に来たことがあり、「近くで連れて行きやすくて助かります」と、来ていただくようになりました。

次の男の子二人は兄弟なのですが、この子どもたちの場合は、休校が始まって2週間ぐらい経った頃に、小学校の先生と福祉の家庭児童相談室から、心配な子どもたちがいるので見てあげてほしいと電話がありました。この兄弟の下にあと2人、弟と妹がいて、養育能力的にも大変で心配だということで、特別支援学級に在籍する2人を迎えました。1年生と3年生でした。1年生で入学したての4月にやってきました。

次の子どもたちも兄妹で、学校から連絡がありました。5月に入った頃かと思いますが、ストレスが溜まっていて、兄妹げんかが激しく、包丁を持ち出していて限界だということで、何とか見てあげてほしいと連絡がありました。

最後にこの男の子は近所の子どもで、冬でも一人で半袖で歩いていたりする、やんちゃな子なのですが、「家に1人でいたら物音がして、怖かったから飛んで逃げてきた」と言ってやって来ました。2時頃だったのですが、お昼ご飯を食べたか尋ねると、食べてないということでした。いろいろと話しを聞いていて、「きっとお母さんも1人でお昼ご飯を何とかすると思っているんだね、信頼されているんだね」と言うと、「信頼も何も、冷蔵庫の中に何もなくて、それで何とかできると思う?」と言って、それから来るようになった子どもです。

この写真を見るといつも涙がにじむといいますか、本当に、共に乗り越えた仲間のようで、3ヶ月間、月水金と一緒に過ごす中で、段々ときょうだいみたいに呼び捨てで名前を呼び合うようになっていった子どもたちですので、コロナが出会わせてくれたという感じです。

その後、6月1日に学校が再開されることになったのですが、子どもたちのことがとても気になって、これからも何らかのサポートをしたほうが良いのではないかと思いました。学校や家庭児童相談室とも相談して、もしよかったら毎週水曜日に「トワイライトステイ」をやっているので、そこで見てあげられないかと、家庭のお母さんにチラシをお見せしたところ、「ぜひお願いします」と言っていただいたので、6月からは毎週水曜日の夜に来るようになり、今現在まで続いています。先ほど女の子と男の子の兄妹がいましたが、その下の弟も小学生になったので、今は一緒に来ています。

最初に紹介した二人の女の子はトワイライトステイで見なくてはならないほどの家庭ではないので、来ていません。このような形で現在も関係が続いております。

この写真(掲示割愛)のように、毎週水曜日に宿題をしながら、触れ合いをしながら、お風呂に入って夜8時ごろ送って帰るということをやっております。次の写真(掲示割愛)は調理を一緒にしているところですね。

次に、月1回やっております子ども食堂についてです。だいたい月末にやっていたのですが、緊急事態宣言の中でどうしようかと考えました。

子どもたちが発散できる場所として外遊びを企画したり、屋外にテントを立ててであれば、緊急事態宣言の中でもできるのではないかと考えて、写真(掲示割愛)のようにテントを立ててやるようになりました。

次の写真(掲示割愛)ではキックベースボール大会を企画して、小中学生が入り混じってチーム対抗で開催しました。とてもよかったと思っています。

 4月に入ってからは「5分の1ルール」というのがありましたよね。それで5月9日に延期をしたのですが、それでも緊急事態宣言が解除されなかったので、お弁当配布にしました。

注文を取ったところ80個の注文がありました。何とか家で親子が団らんできて楽しめるように、謎解き問題の紙を入れたり、メッセージカードをつけたりしました。給食に並ぶはずだった食材が大量に余っているので取りに来てくださいと、社協さんやフードバンクさんからご案内をいただいて、大変助かったことを覚えています。

5月末でも緊急事態が収まらず、6月6日に延期しました。野外を活用して、小学生と中学生で時間を分けて開催しました。写真(掲示割愛)のように、対面で食べるのを止めて、時間差を設けました。

あと屋外でイベントをやろうと考え、天体望遠鏡を持ってらっしゃる方が地域にいらっしゃったので、天体観測をしました。お月様が見えて、これもとてもよかったです。

その当時に「すまいる・あくしょん」を滋賀発の新しい行動様式として設定してくださったのは、とてもありがたかったです。

「おとなあくしょん」という、こんなコロナの時代だけれども、子どもたちの笑顔を消さないための指針を設定してくださったんですね。

この会議でも知事にお会いすることができましたけれども、本当にありがたかったです。なぜかというと、やってよいのかどうかわからないときの、考え方の指針になりました。今、米原市に子ども食堂は8つぐらいあるのですが、開け続けているのは2つ、3つです。長浜市には13くらい子ども食堂があるのですけれど、半分くらいしか開けられていないです。

開ける側も、やってよいのかどうなのか分からず、開ける意義を自分たちで考え出さないといけない。そのようなときの考え方の指針を示していただけて、これは全国でも珍しいことだと思うので、とてもありがたかったです。

12月までは何とかこのように時間差を設けて、テントを張って、月1回子ども食堂を開催して、大体4、50人が集まりました。

さすがに12月になると寒さで開催が難しくなり、泣く泣くお弁当にしました。

この時も、お弁当を配布する意義があるのかと、一生懸命考えたのですが、やはり続けることに意義があると思いました。1ヶ月2ヶ月やめてしまうと、だんだん子どもたちの心の中から存在が消えていくと思うのです。どんな形でもいいからやはり続けよう、お弁当を受け取りに来てくれる時に出会えるし、会話ができると思ってお弁当の配布をしました。

今回は120個の注文がありました。いろいろと助けてくれる人もいて、メッセージカードをつけて、何とか喜んでもらおうと思ってやりました。

1月もお弁当の配布をして、この時は104個でした。節分バージョンのお弁当を作って、メッセージをつけました。給食で残った材料をいただけて、とても助かりました。

2月、3月はテントを張って集まる形でやらせていただきました。2021年度もそのような形でやらせていただいて、イベントを開催して、なるべく親子で参加できるようにしました。寄せ植え体験や、紙芝居とピアノを一緒にした音楽紙芝居をやっていただいたり、焼き芋大会では、たくさんのお父さんたちが炭起こしに来てくださって、とてもありがたかったです。この写真(掲示割愛)では、地域の植木職人さんが、竹を割って植木鉢にする寄せ植えを教えに来てくださいました。次の写真(掲示割愛)は音楽紙芝居をしている様子です。

次の写真(掲示割愛)はつい先週なのですが、良いお天気だったので、屋外で音楽祭をさせていただいたものです。70人ぐらい集まりました。

これが子ども食堂の2年間です。ひやひやするような綱渡りの状態でしたが、ありがたかったことは、こんな時に何をやっているんだというクレームが一つも届かなかったことです。クラスターになることもなく、ここまで続けさせていただきました。

最後に不登校支援の「ほわっとLiaison」についてですが、これも月水金の午後に開催しています。この2年間につながった子どもたちについて紹介させていただきます。

まずは中学3年生の男子。(個人の特定につながるおそれのある情報に該当するため説明内容の掲載を割愛。)

次に6年生の女の子です。(個人の特定につながるおそれのある情報に該当するため説明内容の掲載を割愛。)

次は小学3年生の女子です。(個人の特定につながるおそれのある情報に該当するため説明内容の掲載を割愛。)

次に中学3年生の女の子です。(個人の特定につながるおそれのある情報に該当するため説明内容の掲載を割愛。)

次に小学4年生の女子です。(個人の特定につながるおそれのある情報に該当するため説明内容の掲載を割愛。)

これは高校1年生の女の子です。(個人の特定につながるおそれのある情報に該当するため説明内容の掲載を割愛。)

このような形で活動を続けてまいりました。ご報告は以上でございます。どうもありがとうございました。

(福永教育長)

ありがとうございました。

家庭の支援、子ども食堂での取組、不登校の子どもたちへの支援の3つの視点でご発表いただいたところでございます。

それでは事務局の説明、また北居様からの発表について、皆様からご質問がございましたらよろしくお願いいたします。

(岡崎委員)

不登校児童生徒数の推移について確認したいのですが、グラフでは増加傾向にありますが、在籍率はどのようなデータをもとに算出されているのでしょうか。

(生徒指導・いじめ対策支援室長)

在席率は、公立学校に通う子どもの数を分母、不登校の子どもの数を分子として算出しています。

(岡崎委員)

不登校児童生徒の数が平成28年度の教育機会確保法の制定後に急激に増加しているという報告があったのですが、これは法律によってきめ細かく現場を見るようになった結果、具体的な数字が把握しやすくなり増加したという理解でいいのでしょうか。

(生徒指導・いじめ対策支援室長)

法律制定後に文部科学省が基本指針を出しました。それまでは不登校の子どもへの支援については、学校への復帰を目標として、我々教員も保護者の方も取り組んでおりましたが、その対応が変わり、地域の教育支援センターに行っている場合や、また民間施設・民間団体、いわゆるフリースクールに行っている場合でも、社会的自立を目指して連携をしていくことになりました。

不登校という状態が問題ではなく、休養が必要な子どももいますので、本人にじっくり考えさせ、エネルギーがたまってから自己決定して、自分の進路を考えられるような支援をする方向性になったことで、そもそも不登校が生じない学校を作っていこうという大前提はあるのですが、今申し上げたように支援の形が変わったことで、不登校児童生徒数が全国的にも、滋賀県でも増加しています。

(岡崎委員)

対応が変わったことで、把握される数字が変わってきたということですね。

(福永教育長)

資料17ページには教育支援センターと記載していますが、以前は適応指導教室という名称で、学校に適応できるように指導するための教室という表現でしたが、その学校に子どもたちが合わせられるようにするのではなく、それぞれの子どもたちに合った教育についてアドバイスする仕組みだと私は理解しております。

本日のテーマである困難な環境と言っても様々な状況がございまして、今回は、虐待・貧困や外国人の児童、そして不登校の子どもたちなどを取り上げておりますが、総合教育会議の場でもございますので、子どもたちにとって必要な支援として、どのようなものを考えていけばよいのか、あるいは教育と福祉の連携をどのように進めていけばよいのか、皆様と意見交換をしていきたいと思っております。

様々な視点からご発言をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

(岡崎委員)

私も最初に知事がおっしゃった「困難な環境にある」という呼び方については少し引っかかるところがあります。文章表現の中でも、「子供」ではなくて、ひらがなで「子ども」と書いたり、PTAでも、「お父さん、お母さん」ではなくて「保護者さん」という言葉の選び方をしたりすることがありますが、やはり子どもたちに与える印象につながると思います。先ほど北居さんは今の表現でよいのではないかとおっしゃっていましたが、私は変えてもいいのではないかと思います。

実情としては「学びたい時にしっかりと学ぶことができない子どもたち」なのかもしれないのですが、未来が明るく感じられるような呼び方ができればいいのではないかと思いました。

それから、今までの報告や発表を聞いた中で感じたのですが、子どもへの精神的虐待や体罰といった困難な状況の場合について、子どもにはその原因が全くないと思います。

その家庭の何らかの環境が原因になっているのではないでしょうか。例えばご両親が定職に就けずに安定した収入がないとか、先ほど北居さんがおっしゃったように、子どもと一緒にまったりと過ごす時間を取れないご家庭が多いのではないかと思います。

我が家も息子夫婦が共働きで、子どもたちが小さいのですが、幼稚園ぐらいの子どもはやはりお父さん、お母さんにべったりしたいですよね。私が朝の登園に一緒に行った時には、おとなしく園に行ってくれたのですが、

お父さん、お母さんが登園の送迎をする時は、一緒にいたいのか、離れずに、行きたくないと言い出します。

やはりご家庭での父親、母親の役割ってすごく大きいと思います。ヤングケアラーの問題もそうですが、本来はそこに何か働きかけることができないと、この環境は変わらないと思います。ですので、そういったところについてもっと議論する必要があると思いました。

(福永教育長)

ありがとうございました。

家庭をどのようにとらえ、どのようなアプローチで支援をしていけばよいかということは難しい問題であると思います。

(石井委員)

まずNPO法人Take―Liaisonさんのプレゼンをお聞きして、非常にご立派な活動されていることを伺うことができ、感動しております。ご説明の節々に、人を育てていく教育の原点であるハートフルな、失いかけているものを感じました。

また事務局の説明の中で、虐待の実態を知ることができました。非常に厳しい状況であると感じております。

ただこれは滋賀県特有の問題ではなく、OECDの調査で、子どもたちの身体的な健康では世界でナンバー1なのですが、精神的な幸福度や満足度については37番目だったかと思います。そういった部分と相関する問題であると認識しております。

そういった中でどのように改善していくかということですが、三日月知事が「健康しが」をつくっていくと掲げておられます。「健康しが」では、その柱の中で人々のメンタル面での健康が重要視されていくものと拝察しております。

意見になりますが、NPO法人の活動はすさまじい力を持っていると思いますので、表現が適切かどうかわかりませんが、こういった組織とどのようにタイアップし、そのパワーを活用していくかが重要であると思います。

こういった子どもたちの状況に対してはフルパワーの体制を取っていくことが必要な局面であると感じます。産業界としても様々な観点から全力投球すべき問題であると思います。

(福永教育長)

ありがとうございました。特に子どもたちのことを考えるときに、身体の健康も当然ですが、心の健康というのが一つの大きなテーマであると思いますし、また様々な活動をしていただいているNPO法人等に対する社会全体としての支援が必要であると思います。行政としても工夫することがたくさんあるのではないかと思います。

(窪田委員)

まずは、事務局と北居さんに丁寧なご報告をいただき、写真で子どもたちの様子も見せていただいて、居場所があるとこんなに変わるのだなということに気付くことができました。

岡崎委員や石井委員がおっしゃっていましたが、様々な困難は複合して重なっていて、また、それを生み出している社会的な構造もある中で、そこに県としてどう対応していくかは大きな課題だと思います。

北居さんからのご報告でも、コロナ禍で臨時休業になったときに、学校からの紹介で通い始めた兄弟がいらっしゃったということでしたが、教育と福祉の連携について、Liaisonの活動を続けて来られて、地域の中に根付いてきたことで、学校とも同じ方向を向いて、子どものことを一緒に考えていけるようになったことなど、学校との距離感や温度感について、実感されていることがあればお伺いしたいと思います。

また、学校だけが今の困難な状況を生み出しているわけではないので、子どもたちが学校に少しでも行きやすくなっていくために、こういったことを大事にできればよいと感じられることがあれば、教えていただきたいと思います。

(北居氏)

まず、スクールソーシャルワーカーとしての仕事の中に、NPO法人や民間団体、社会福祉協議会とのつなぎの仕事が、近年かなり増えてきたなと思います。

実態としてそれが必要であるということもありますし、また教育機会確保法等によって認めてもらえる世の中になってきたことで、そういった活動内容が増えてきたのだと思います。

小規模な団体でも、子どもたちのため、地域のための社会資源になりうるので、私たちスクールソーシャルワーカーとしては、そこに学校との連携に必要な要素や意識、知識を持ってもらうように助言しながら、一方で学校にはそういった団体のいいところをお伝えする役割として動いています。

また学校に行きやすくなるためにどうするかということについては、教室に入れない子どもたちのために、別室や相談室、特別ルームを用意されることがありますが、学校によってそのとらえ方に差があることを、学校を回っていて感じます。そういった場所の意義を、県下の学校で共通理解できるようになるとよいと思います。それには学校の先生、管理職の先生の意識改革が必要だと常々感じております。

(福永教育長)

ありがとうございました。

NPO法人等の団体の支援があることは非常に重要だと思っております。一つの大きな資源として、価値あるものだと思っています。

それともう一つ、不登校の子どもたちへの見方や対応の仕方を、すべての教職員が共通理解をしながら、各学校で対応していただくことが必要だと感じております。多様な子どもたちがいるわけですから、その多様性を認めることが大切であると思います。

それでは中條副知事から、お感じになったことやお考えになったことがありましたら、よろしくお願いします。

(中條副知事)

今日は貴重なお話をありがとうございました。大変参考になりました。

一人一人の状況を見ながら、きめ細かく対応されていることがお話の中でよくわかりました。

今回は「困難な環境にある子どもたちの学びへの支援」がテーマであるということで、4月に入ってから、私も小学校へ視察に行かせていただきました。その小学校は日本語指導が必要な外国人の方の在籍率が高かったり、特別支援学級に在籍している子どもの割合が、県の平均よりも高い学校だったのですが、それぞれの子どもたちが置かれている困難な状況は異なるので、その学校では、先生方が様々な体制を取りながら、きめ細かく対応されている様子を拝見することができました。

きめ細かく対応するためには、先生方が余裕を持って子どもたちに向き合える状況が必要であると感じたところでございます。

また、先ほど家庭支援についてもお話がありましたが、訪問させていただいた学校でも、子どもへの対応だけではなく、家庭支援も必要となるケースが多くなっていると伺いました。その場合には学校だけで対応するのが難しいということでしたので、今日お話しいただいたスクールソーシャルワーカーさんやスクールカウンセラーさんも含め、それぞれの専門家の方の活用や、それぞれの立場で役割分担をしながら、福祉や地域にある関係機関、団体とも連携して、子どもたちやそれぞれの家庭を支援していくことが必要だと感じました。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

(福永教育長)

ありがとうございました。

教育と福祉、様々な機関との連携の大切さがよく言われています。その点において、北居さんがおっしゃった繋ぎの仕事、コーディネーターの仕事を担う方々が各地にいらっしゃって、それぞれの関係機関をつないでいくことが必要であると思っております。

あわせて大切なのは、その子どもたちが幸せを感じる、楽しく思える状況を作っていかなくてはならないと思います。ですから、どのような状況であれば、より幸せを感じられるのか、例えば不登校の子どもたちや、経済的に厳しいご家庭の子どもたちに、どのような支援をしていくのか。先ほど、すまいる・あくしょんの話もしていただきましたが、子どもたちのスマイルを引き出すために何をしていくかという視点が、すごく大事だと思っています。

この幸せをどのように測るのかは難しい点でありますが、いろいろな子どもたちを見てこられた北居さんが、子どもたちはこういうことで、幸せを感じたり、笑顔が戻ってくると感じておられることはありますでしょうか。

(北居氏)

子どもたちが一番求めているのは、大人の笑顔と、話を聞いてくれる場だと感じます。

子ども食堂で6年生の男の子が「ここは楽園だな」言っていたので、どうしてそう思うのか尋ねたら、「スタッフの人がみんな笑ってくれて、みんなやさしい」

ということを言ったのです。子どもたちが求めているのはそこだと思いました。

おいしいご飯やたくさんの遊び道具ではなくて、笑顔でやさしいといった、大人の対応なのだと感じました。

あと、コロナ禍で、本物に触れる機会が減ってしまったと思います。本当にやりたいことを我慢することが多くなったので、できる範囲で音楽祭をしてみたりするのですが、そういった機会を増やしていきたいと思います。この状況で、ものづくり体験なども減っているようですが、その中でもできる方法でやっていく意義を大事にしたいと思います。

(福永教育長)

ありがとうございます。今、いろいろなものを体験しようとおっしゃっていただきましたが、来週から始まりますうみのこも、日帰りにはなりましたが、琵琶湖の自然や環境を感じ、また他校の子どもたちと交流する貴重な機会です。

また、今ちょうど始まっております田んぼの子の事業も、それぞれの地域で工夫をしながら、地域の方のご協力を得て取り組んでおりますし、やまのこや、6月に始まります、琵琶湖ホールでのホールの子事業も、本物の音楽に触れる機会として、大切にしていきたいと思っています。

この滋賀の教育で大切にして、なくしてはいけないものの一つだと感じております。

あわせて、大人の笑顔という意味においては、知事もおっしゃっていますが、先生方が笑顔で子どもたちに接することができる学校現場づくりが大切だと感じます。

ここまでの話を聞きながら、知事が感じられたこととか、思われていることがありましたら、お話をいただければと思います。

(三日月知事)

改めて北居さんの発表を聞いて、北居さんをはじめ、周りの仲間の皆さんに、コロナ禍になってからの2年あまりで、本当に大切な活動を積み重ねていただいているということを再確認しました。

福祉的な課題を持つ家庭への支援、また子ども食堂、お弁当の配布、星空観察会、そして不登校支援、ほわっとLiaisonでの取組を一つ一つ聞きながら、子どもたち一人一人に寄り添って、親御さんに寄り添って、本当に大事な活動をしていただいていると思い、感銘を受けました。ありがとうございます。

まず言えることは、北居さんのLiaisonのほか、学校、家庭以外の居場所として、繋ぎ役として、たくさんのグループ、人達が活動をしていただける環境を作ることが大事だと思いました。

それと今日のテーマに関して言うと、私は今の教育大綱の前文を練りに練って書きました。何度も推敲して、当時のスタッフと一緒にこんな教育にしたいという思いで書きました。その一番最初に「私は、日々学ぶことはとても楽しいと感じています。特に、子どもたちには「わかった!」「できた!」という実感をどんどん経験してもらい」と書いたのです。

そのことは間違っていると思っていませんし、とても大事なことだと思うのですが、大事な子どもたちの学び、「わかった!」「できた!」と感じる喜び、その前提をもっと私たちが社会全体で整えていく仕組や繋がりが大事なのではないかと、今日北居さんのお話を聞いて、改めて思いました。

そのためには、一人一人を大事にする視点と、先ほど教育長がおっしゃった、子どもたちの学びをできるだけ楽しく、子どもの笑顔を、それを取り巻く大人の笑顔で包み込んでいける環境を作っていきたいと思いました。

一時的に涙を流したり、難しい顔をしたりすることもあるのですが、もしそうなったとしても笑顔で乗り越えていけるような、そんなものを作りたいと思いました。

そのためには、北居さんにもご紹介いただいた、すまいる・あくしょんの取組を、繰り返し繰り返し、何度もご紹介しながら、もしくはその具体を作りながら、実は「こどもあくしょん」を考えれば考えるほど、「おとなあくしょん」に繋がったというエピソードもあります。北居さんの資料でも、「おとなあくしょん」7項目を紹介していただいています。

そのあたりが今日のテーマになってくるのだと思いました。具体に何をするかは、これから一緒に考えていきたいと思いますが、まず最初の印象をお話ししました。

(福永教育長)

ありがとうございました。

それでは、せっかくの機会ですので、北居さんから、こういう支援があればもっと活動が充実するのではないか、ということがあればお話しいただければと思います。

(北居氏)

米原市で今年度から、フリースクール等へ通う子どものいる家庭への補助金が予算化されました。

これはすごいと新聞にも載ったのですが、実を言うと、それだけお金を出さないといけない、授業料をとっているフリースクールがどれだけあるのだろうという感じです。私や私たちの仲間もそうですが、ほとんどの場所がお金を取ってやっている居場所づくりではないのです。私のところに来ているほとんどのご家庭も、保護者の方からお金を頂けないところです。授業料を取っているフリースクールはそれほど存在しないので、そこに通わせる保護者への補助金を予算化するのではなく、それを運営している団体への補助金が欲しいというのが現状です。そこをご理解いただきたいと思いました。

皆さん運営に困っておられます。補助金がいただけるとスタッフを増加したり、学習教材を買ったりすることができます。

(福永教育長)

先ほど石井委員もおっしゃいましたが、一番大切なのはすべてを行政がするのではなくて、そういった活動を応援したい、支援したいと思っている企業や個人が、応援しやすくなるような仕組みであると思います。

応援しやすくなる仕組みとは、結構ハードルが高いもので、企業も利益を得ながら会社を経営されますので、支援に一定のメリットがなければ、なかなかやりづらいと思います。そのハードルをもう少し低くすれば、いろいろな応援ができるのではないかと思います。

また、世の中にはこういった場所に来られない子どもがたくさんいるのではないかと思います。来られるご家庭、何とか行こうとされるご家庭はよいのですが、それすらなかなか厳しいご家庭、子どももいると思いますので、そういった子どもたちを見つけて、その子がもっと幸せになれるように働きかける仕組みがやはり必要なのではないかと思います。

(北居氏)

そうですね。学校にほとんど来ることができず、家庭にしかいない子どもたちに、なかなか介入できていないケースがあります。先生方にも思いはあるのですが、学校でいろいろと問題が起きて、その対応に追われる中で、なかなか家庭訪問にこまめに行くことができない状況があります。

そういった学校に行きづらい子どもの家庭に訪問して、その子どもが笑顔になれるような活動ができる人材の配置があれば、たくさんの子どもが救われて、人と触れ合える機会が持てるのではないかと思います。

(福永教育長)

ありがとうございます。

それでは教育委員の皆さんから、ご意見がございましたらお願いいたします。

(岡崎委員)

北居さんの感覚として、そういった子どもたちを支援するNPO等の組織の数は十分なのでしょうか。

(北居氏)

もっとあればいいと思います。

(岡崎委員)

先ほど説明資料を見ても、のどかな場所に構えておられて、子どもたちも、保護者の方が連れてこられると伺ったので、車で少し遠方から来られる子どもたちが多いと思うのですが、自分たちの通う学校小学校区の中に、そういう拠点が1ヶ所2ヶ所と、もっと点在しているほうがよいでしょうか。

(北居氏)

今、放課後デイサービスはものすごく増えているじゃないですか。あれは他の事業をやっている団体でも、放課後デイサービスをやるとお金がもらえて、収益になるからどんどん増えていく状況なのです。

それと同様のシステムがあれば、思いがある方が立ち上げやすく、そういった場所が増えていくのではないかと思います。

(岡崎委員)

それぐらい点在している方が子どもたちのサポートとしては理想なのでしょうね。

(北居氏)

その担い手がどれだけいるかという問題はありますけれども、そうですね。

(岡崎委員)

学校に関わって支援していただける方を地域から探そうとしてもなかなか難しいということをよく聞きます。そこにも手を入れないと子どもたちの支援にはならないですね。

(北居氏)

長浜市では、夜の子どもの居場所として使えるセンターが二つあって、場所は提供していただけて、やりたいという方もいらっしゃるのですが、ネックになるのはやっぱり補助金の問題です。夕食代や送迎の経費に問題があって、そこを保障してもらえるならば、やりたいと言ってくださる方はいらっしゃるのです。

(福永教育長)

そうですね。思いを持っている人が活動しやすくなるような仕組みを作るために、課題を把握して、解決していくことが必要だと思います。

(石井委員)

ありがとうございます。

先ほど北居さんから、子どもたちは笑顔が欲しい、笑顔が大事であると伺いましたが、小さな子どものころから、親と子の人間関係の悩みが始まっていると感じました。

去年か一昨年に、シンガポールや英国では義務教育の課程で人間関係の授業をすると聞いて、非常に重要なことだと思いました。

産業界でも高卒、大卒で会社に入って、最初の3年が勝負だと言われますが、自己実現ができないまま、仕事の面白さを覚える前に人間関係でつぶれてしまうケースが非常に多いです。

それは小さな子どもも一緒だと思います。親は子どもを愛しているけれども、笑顔になれない、笑顔をつくれない状況になってしまうことがある。親の言うに言えない逆境を、子どもにはわからないですよね。そこに負のスパイラルが始まっていて、社会的な損失があると感じました。

(福永教育長)

ありがとうございました。

今、石井委員がおっしゃったことですが、私も高校生と話をするときに、就職する際に何が一番大切か聞かれると、人と人との関係、コミュニケーションであると答えます。上司、同僚、先輩と話して自分の思いがしっかりと伝えられ、ひとの意見をしっかりと聞くことが大切だと伝えています。

また前回の総合教育会議でも、子どもたち同士で話し合あって、一定の合意を得るプロセスを学ぶことが大事だという話がありましたので、そういった学びも必要であると思います。

それは我々大人にも言えることで、自己主張だけではなく、どこに合意が見出せるか考えることが重要であると思います。

(岡崎委員)

どのようなケースにおいても、ゆったりと構えて話し合いができる環境が大事ですね。

(福永教育長)

そういった意味では、先ほどお話しがありましたが、学校現場の先生方が、学校内で問題に対応するために、学校に行くことができない子どもたちに対応しきれていない実情を改善することが必要だと思います。

今は時間外労働を減らそうと取り組んでいますが、なぜ時間外労働が起きるのかという点を解消しないと、根本的な解決には繋がらないので、その点はしっかりと取り組んでいく必要があると思っております。

もう一点、最近増えてきております外国籍の子どもたちへの支援や対応について、皆さんが感じておられることとか、ご意見がございましたら、お話しいただければと思いますが、いかがでしょうか。

(岡崎委員)

まだ北居さんのところには外国籍の子どもは来られていないですか。

(北居氏)

NPOには来ていないですが、スクールソーシャルワーカーとして活動する中で外国籍の子どもと関わることがあります。通訳さんが必要だけれどもなかなか予定が合わない場合があるので、もう少しいていただけるとありがたいと思います。

(福永教育長)

事務局の資料にもありましたが、以前はブラジルやペルーからのポルトガル語やスペイン語を話す外国人の方が多かったのですが、今はタガログ語、フィリピノ語が増えて、状況が変わってきています。特にベトナムの方が増えていて、非常に多くの国の人々が暮らすようになってきています。

今はウクライナから子どもさんもいらっしゃっていますが、すべての言語に対応するのは、工夫が必要だと感じておりますし、一方で、外国籍の子どもたちは、言葉がクリアできれば、学力だけではなく、スポーツにおいても非常に能力の高い子どもたちがたくさんいらっしゃいますので、そういった子どもたちが活躍できる滋賀県を作るために、もっと工夫をする必要があると思っています。

皆さんが何か感じておられることはあるでしょうか。

(三日月知事)

まず私が口火を切りましょう。

ウクライナからの避難民の受入を他の自治体より早めに表明して、現に来られました。学齢期の子どもも、今2人おられます。その子どもの学びを保障するための取組を、それぞれの現場で先生方やスタッフの皆さんに頑張って作っていただいております。このことに敬意を表したいと思います。

コロナで大変だったときに、ブラジル人学校や朝鮮人学校に、分け隔てなく食料を届けました。

企業の皆様からは、例えば人材確保という面から、外国籍の人たちも働き手として来てもらおうというお話があって、それは私も積極的に取り組んでいきたいと思っているのですが、一方で、今、教育長からあったように、多国籍化する地域において、子どもたちの学びを保障していくことの大切さを痛感しています。

ここができないと多文化共生も、異文化との交流も、何より一人一人のウェルビーイングも実現されない。1回行ってみたが、環境も悪く、フレンドリーでもなく、放っておかれるという状況では、その人の人権にとってもあってはならないことですし、もう二度とこの国、地域には行かないということになると思うのです。

従って、ポストコロナに向けて、またウィズコロナにおいても、いろいろな国籍の方々と共に学び、子どもの学びを中心に据えて、地域をつくれるかどうかが、その後選ばれる地域になるための試金石になっていくのではないかと思います。

先ほど事務局からの紹介で、今108の国と地域の方がいらっしゃると説明がありましたが、これは裏返すと108の国と地域の人との国際交流が、滋賀県においてできるということだと思います。

以前は少なかった、いらっしゃらなかった国の方がいらっしゃることは、フィリピンの方、ベトナムの方とも、滋賀県において交流ができるということだと思いますので、ぜひそういう視点も持ちながら、教育を作る、支援内容を作るという発想を持ちませんか。

日本語教育指導が必要であるという視点から始まると、やらなくてはならない、やってもらわなければならないという考え方になってしまいます。

そうではなくて、ベトナムの文化を教えて。ブラジルの食べ物を教えて。フィリピン語でおはようってどう言うのか教えて。というところから始めれば、子どもたちは、もっと前向きな交流をつくり出してくれるのではないかと思うので、そういう視点を持てばよいのではないかと思っています。

(福永教育長)

ありがとうございました。

知事がおっしゃられたように、このことをきっかけに、様々な国のことを、日本にいながら、知り、学び、世界がすごく広く、すごく多様であると知ることも大切です。

あわせて難しいのは、日常の日本語ではなく、学習のための日本語を学んでいただかないと、なかなか日本で充分に勉強ができないところです。

また、バイリンガルとしても活躍できる場をどのように作っていくかといった、いろいろな問題があると思います。

(三日月知事)

例えば、滋賀県の高校入試は、ポルトガル語やベトナム語で受検できるようにするということがあってもいいのかもしれません。

(福永教育長)

入試についてはそういった方法も可能かもしれません。その後の3年間の学びを、ポルトガル語でどのように組み立てるのかという、難しいハードルがありますので、その点についても併せて考えていく必要があると思います。

(石井委員)

知事から貴重なご発言をいただいて、ありがたいと思っています。

経済産業界も、企業として様々な国の人々を雇用させていただいているという発想にならなければいけないと思います。

そのご両親の大事な子どもたちの教育について、どういった立ち位置や立場から貢献できるのか、熟考しなくてはいけないと思います。

滋賀県でもSDGsへの取組を謳っていますので、当然求められるものだと思います。

(福永教育長)

ありがとうございました。

その他にいかがでしょうか。

(北居氏)

スクールソーシャルワーカーとして、子育て支援課さんと要対協のケース会議をする中で、かなりの確率で課題になるのが、学校に行く気はあるけれども、通いにくいということです。保護者さんに送迎する力がなく、学校の先生が車に子どもを乗せるわけにもいかないという問題があります。

例えば障害のある方を送迎する補助金制度はあるのです。けれども、学校に行きたいのに行けない子どもの送迎については、やってもいいという人はいるのですが、そのガソリン代などを補助する制度がありません。家庭支援の中で、結構な確率で出てくる問題だと感じています。そこがネックになって、学校に出てこられないケースが多くあります。

(福永教育長)

障害のある子どもについては、特別支援学校ではスクールバスがありますし、本県では、医療的ケアの必要な子どもについて、ごく一部ですが送迎への支援を行っています。

保護者の方のご負担を減らすために、障害はないけれども、学校に行きたくても行けない子どもへの支援が必要ということですね。

また、ヤングケアラーの課題については、家族の介護や支援をしている子どもたちが、なかなか言い出しづらいという問題があります。

相談に来ればいろいろな支援を受けられると言っても、中学生、高校生の子どもが行政に相談に行けないという問題があります。他府県の調査でも、窓口を紹介してもほとんど誰も来てくれない、行けないという話を聞きましたので、そこをどのように解決するかという課題もあります。

相談に来るのを待つのではなく、やりすぎるといけないので難しいのですが、プッシュ型で取り組んでいく必要もあると思います。

(北居氏)

いじめ問題については、必ず学校でアンケートを取るようになりましたよね。

私もいじめアンケートの実施内容について相談に乗ることがあるのですが、いじめに遭っていますか、いじめを見たことがありますか、だけではなくて、家庭で抱えている問題についても聞けるチャンスかもしれませんとお伝えしています。

そういった形でSOSが出せる機会が、ヤングケアラーについてもあるとよいかもしれません。

(三日月知事)

北居さんの意見に賛成です。

早速やりましょう。よいと思います。

(福永教育長)

せっかく小学校、中学校、高校も1人1台タブレット端末を導入しましたので、それを有効に活用して、誰でも相談できる、言える仕組みが作れればよいと思います。

いじめについては法律ができて、定期的に調査をしておりますが、ヤングケアラーの課題についても、どのような形で取り組んでいくのがよいか、考えていく必要があると思います。

(北居氏)

SOSを拾ってあげられる機会を作らないといけないと思います。

(福永教育長)

LINE相談や電話相談などがあって、そこに相談できる人はよいですが、相談できない人もいるかもしれません。それをどのように拾っていくかが重要だと思います。

それでは時間も迫ってまいりました。ご意見をいただいた中で、教育現場と福祉との連携、繋ぎが一番大切なポイントであるというお話があったと思います。

窪田委員からは学校との距離感についてお話がありましたし、北居さんからもつなぎの仕事についてお話がありました。そして行政や教育機関だけでなく、いろいろな活動をしたいと思っておられるNPOやいろいろな団体の方々が、活動しやすくする仕組みをしっかりと考えていかなければならないと思っています。

あわせまして、教育に携わる者として、この困難な環境にある子どもたちがどう思っているのか、どういう支援をしていけばよいのか、しっかりと共通理解をしながら、学校全体として、社会全体として取組を今後進めていく必要があると思っております。

そして本質的に、すまいる・あくしょんにありますように、子どもの笑顔のために、笑顔がある学校づくりが重要であると思っております。

どういった支援が効果的であるか、しっかりと考えていくことが大切であると考えております。

それでは全体を通じまして、最後に知事からお話をいただきたいと思いますがよろしいでしょうか。

(三日月知事)

ありがとうございます。今の教育長のまとめについても異論はないのですが、私から大きく2点申し上げます。

一つは、先月、国の孤独・孤立のワークショップに参加したときに、現場には、「広がらない問題」と「届かない問題」がありますと、問題提起がありました。

「広がらない問題」は、必要な人への支援から始めて、それを交流につなげようとすると、団体がなかなか広がっていかないという問題です。

「届かない問題」は、最初の入口を、例えば子ども食堂でも貧困家庭だけに限定せず、遊びにおいで、食べにおいで、という交流から始めて、どんどん広がってきたのだけれど、必要な方に必要な支援が届かない問題です。

この「広がらない問題」と「届かない問題」が、孤独・孤立の現場でおき始めているというお話を聞きました。

子どもたちの学びについても、同じことがいえるのではないかと思っていたのですが、今日の北居さんの発表の中には、この「広がらない問題」と「届かない問題」を克服していく、いろいろなヒントがあったように思いました。

ぜひ滋賀県内のそれぞれの地域で、子どもたちの学びを、生きることも含めて、しっかりとサポートしていける体制を作っていきたいと思います。

二つ目は、こだわるようで恐縮なのですが、北居さんからはこの言葉でよいのではないかと言っていただき、岡崎委員からは、僕も疑問ですと言っていただいたのですけど、「困難な環境にある子どもたちの学び」の「困難な環境にある」という表現を、どのように考えたらよいだろうかということです。

一歩進んで、今日の議論も踏まえて、一つ提案があるのですが、「困難な環境にある子どもたちの学びへの支援について」という言葉を三つに分けたらどうでしょうか。

まずは、何といっても「子どもたちの学び」を中心に置くのです。これを充実させて、笑顔で楽しく、みんなで作っていくことをまず中心において、左側にある「困難な環境にある」の部分を、私たちが行政もしくは社会の中で、不登校、外国人県民、ヤングケアラーなど、どういう状態になっているのか、どういう支援が必要なのか、もっともっと深掘りして、もっともっと実像に迫っていきませんか。

同時に、右側にある「支援」という言葉について、石井委員、北居さんからもあったのですが、思いを持っている人が活動を始めて、続けやすい環境や仕組みを、いろいろな実例をもとにさらに研究しませんか。

例えば北居さんのような団体がもっともっとたくさんできて、持続可能な活動ができるためにどうすればよいのか。そういう団体がないとすれば、でも子どもたちのために、社会のために必要だとすれば、それを作り、続けるためにどういう仕組みをつくればいいのか。先ほど送迎の話もありましたが、送迎の支援によって、もっともっと学校に、社会に出てこられる環境を作れるとするならば、そういったものを作る議論を始めていきたいと思います。

まとめると、「困難な環境にある子どもたちの学びのへの支援」を3分割して、大事な子どもたちの学びを中心に置いて、困難な環境にあるという実情、実態の深堀りと、そして支援の充実を、教育委員会だけではなく、県全体で作っていきたいと思いますので、ぜひ北居さんをはじめ、教育委員の皆様方のさらなるご指導をお願いしたいと思いました。以上です。

(福永教育長)

ありがとうございました。

知事からもございましたが、一つは学びの充実、不登校の子どもたちが学ばないままに年齢を重ねてしまっているという実情を、どのように考えていくのか、外国籍の子どもが分からないまま日々が過ぎている問題をどう考えるのかという点が重要であると思います。

それから深堀りという点についても、虐待・貧困や外国籍の児童生徒、不登校の子どもたちの実態をもう少し深く、様々なデータを集めながら分析をしていくことも大切です。

そして、いろいろな団体の関係者の皆さんが活動しやすい支援の仕組みづくりを教育委員会、そして関係部局とも連携しながら、しっかりと進めていく必要があると感じました。

それでは以上で、令和4年度第1回滋賀県総合教育会議を閉会させていただきます。皆様におかれましては長時間にわたりご議論いただき、厚くお礼を申し上げます。本日はお疲れ様でございました。

お問い合わせ
子ども若者部 子どもの育ち学び支援課
電話番号:077-528-3456
FAX番号:077-528-4854
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