「噛む」「しゃべる」「飲み込む」などの口腔機能が衰えることを「オーラルフレイル」と呼び、早期の重要な老化のサインとされています。
噛む力や舌の動きの悪化が食生活に支障を及ぼしたり、滑舌が悪くなることで人や社会とのかかわりの減少を招いたりすることから、身体的、精神的、社会的な活力が低下するフレイル進行の前兆となり、深い関係性が指摘されています。
オーラルフレイル予防
口腔ケアに期待される効果は、口の清潔を保つことによる、むし歯や歯周病といった歯の病気の予防はもちろんですが、それだけではありません。
日本人の死因の第6位である誤嚥性肺炎(食道に入るはずの食物や唾液が誤って気道に入ることにより引き起こされる肺炎)は、口腔ケアにより約40%を抑制できることが報告されてます。
また、口腔ケアには口の体操やマッサージ等によって、口の周りの筋肉や唾液腺を刺激し、「噛む」「しゃべる」「飲み込む」などの口腔機能の低下予防や機能の維持、向上を図ることができます。
新型コロナウイルス感染症の重症化の原因の一つとして、細菌の重複感染が指摘されており、口の細菌を誤嚥することが重症化に関係している可能性があります。
また、歯周病の原因菌がインフルエンザの感染性を高めることや、下気道の炎症を誘引する因子の一つであることが報告されています。
一方で、口の衛生状態と口腔機能とを管理することにより、肺炎やインフルエンザの発症と、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や糖尿病の進行を予防できることが報告されています。
このことから、新型コロナウイルス感染症の重症化予防のみならず、重症化の基盤となる様々な疾患を防ぐ観点からも、口腔ケアを通じた口の健康管理が重要と考えられます。
口腔ケアには、自分で行う口腔ケアと専門家が行う口腔ケアがあります。
専門的な口腔ケアは、かかりつけ歯科医に定期的に受診したり、訪問歯科診療を利用したりすることで受けることができます。
一方、お口の衛生状態の悪化や口腔機能の低下は時間の経過とともに進行するため、日常的に行う自分でできる口腔ケアもお口の健康を保つために欠かせません。
自分でできる口腔ケアを知り、自宅や、集いの場等で口腔ケアを実践してみませんか。