1 知事マニフェストについて
新駅跡地の新しいまちづくりである後継プランの基本構想を策定するに当たっては、4自治会の役員の皆さん、自治会ごとに地権者の皆さんと話しを重ねてまいりました。
私自身も、2006年7月20日の就任以降、何度も地元にお伺いして、地元の皆さんの事業中止に対するとまどいや不安、憤り、また、県行政に対する不信など、厳しい御意見を直接お伺いしてまいりました。
こうした話し合いを踏まえ、栗東市と一緒になって後継プランを策定し、現在、骨格道路をはじめとする基盤整備など、具体の取組を進めています。
また、今般のまちづくりの核となる企業の進出については、昨年11月中旬に、企業側からの働きかけに応じて、すぐに部局横断的な組織を設け、新駅問題支援対策室を窓口として、地元栗東市と調整を図りながら、企業の立地が実現できるよう努めております。
これからも、後継プランを一歩一歩確実に進めていくことが地元の皆さんの県政への信頼を回復する道であると考え、新幹線新駅問題解決に一生懸命取り組んでまいります。
1 新駅課題対応基金条例の改廃について
新駅課題対応基金については、協定類終了に係る諸課題への対応のための財源枠を維持するために、(旧)新駅等施設整備促進基金を引き継ぎ、本年3月に設置しました。
本県の危機的な財政状況を踏まえると、県政の全般を預かり、総合的に判断すべき私自身の立場としては、課題に方向性が見えた後においてもなお、財源の枠として基金を残し続けるのは極めて困難なことです。
したがって、これまで県議会で申し上げましたように、この度、諸課題に一定の方向性が見えてきたことから、所要経費を見極めた上で課題対応基金を見直し、新たに基金を設けて、残余を、県民の皆様とのマニフェストのお約束に従い、福祉・教育に活用するため、福祉・教育振興基金に積み立てる提案をさせていただいたものです。
2 現段階で諸課題に「一定の方向性」が見えたと言えるのか。
新幹線新駅跡地のまちづくりである後継プランについては、役員の皆さんのお許しを得て、10月末には、私自ら地権者の皆さんにプランの基本構想を説明することができました。
説明会では、基盤整備等、県や市の支援策を説明するとともに、基本構想に基づく、より具体の計画づくりについて、自治会単位の協議に入らせていただくことの了解を得ることができました。
この結果、後継プランについて、構想づくりから計画づくりへと、一つ、次の段階に進めたと感じています。
また、南部地域の振興については、約1年半にわたり関係7市と協議・検討を重ね、11月10日には、関係首長会議で南部地域振興プランおよび実施計画が了承されました。
このようなことから、諸課題について一定の方向性は見えてきたものと認識をしています。
3 残された諸課題の解決に向けた取組について
後継プランについては、基本構想に基づき、栗東市と連携・協力しながら、基幹道路等の基盤整備を短期に実施できるよう、国庫補助採択に向けた取組を行います。
更に、企業の立地促進や地域のまちづくりに対する支援についても取り組んでまいる所存です。
また、今後のまちづくりの核になることが期待される企業の進出については、事務処理の迅速化を図るために、去る11月20日に庁内関係部局からなる「新駅計画跡地企業誘致推進連絡会議」を設けたところであり、今後とも、迅速に、部局横断的に対応してまいりたいと考えています。
次に、南部地域の振興については、関係7市との協働により10年間の振興プランを策定したほか、3か年の実施計画も併せて策定しており、今後関係7市と連携・協力して、交通基盤の整備や地域産業・広域観光の振興を図ってまいります。
県としては、地元にお約束した後継プランの基本構想や、関係7市と取りまとめた南部地域振興プランを確実に実施していくことが、何よりも重要であり、これらプランの実現に向けて精一杯力を尽くしてまいります。
4 後継プランの実施に係る財源について
地域振興等基金の活用については、県南部地域振興プランにおいては、2億5千2百万円という基金枠を固めた上で、道路整備の前倒し実施等に充てようとするものです。
一方、後継プランの基本構想においては、地元に示した基盤整備等の全体事業費を見込む中で、県の負担分として、15億円を基金で積み立てることとしたところです。
後継プランの実施においては、基盤整備等の事業内容を地元に約束したものであり、基金としては、現時点で適切に見積もったものですが、仮に全体事業費に増減が生じた場合には、その財源について、何らかの措置を講じる必要があるものと考えております。
5 後継プランの実施に関する覚書について
後継プランの実施に関し、栗東市との間で、何らかの覚書を結ぶことが必要と考えています。
覚書には、骨格道路の整備をはじめとする、後継プランの基本構想に基づく基盤整備等の事業項目や、これに対する県の支援内容などについて規定することを考えています。
具体的な内容は、現在、栗東市と協議を行い詰めていますが、これまで地元にお約束した内容を盛り込み、年明け早々にも覚書を締結して、プランの実現に向け、県として責任を持って取り組んでまいりたいと考えています。
6 後継プランの実施に向けて
後継プランの実施については、基盤整備の事業量を明示するとともに、実施に要する経費等に対しても、県として支援していくことを地元にもお約束しています。
また、周辺のまちづくりにおいても、企業の立地促進に努めるとともに、地域のまちづくりの計画策定など、まちづくりに対する支援に取り組んでまいります。
県としても、新駅計画の中止による地元の地権者の皆さんへの影響を最小限にするよう、このような取組を進め、精一杯努力することで道義的・政治的責任を果たしてまいりたいと考えています。
1 新駅課題対応基金条例の改廃について
課題対応基金については、県南部地域の振興や、土地区画整理事業への対応といった、協定類終了に係る諸課題に対応するための財源の枠を維持するとともに、当面の課題に対応するために設置したものです。
したがって、これまでから県議会でも申し上げておりますように、諸課題に一定の方向性が見えた段階においては、所要経費を確保し、基金条例の取扱いについて検討することが必要と考えております。
現在の諸課題の進捗状況を見ますと、(仮称)南部地域振興プランについては、県および栗東市を含む関係7市で構成する南部地域振興会議において事務的な詰めを行っているところであります。また、後継プランについては、栗東市とともに、地元地権者の方々にも新たなまちづくりの方向性など、説明をさせていただいておりますが、いずれのプランについても、現状では、関係の皆さんのご理解をいただいたとまでは言える状況ではありません。
先の提案説明では、今後も継続して、課題の解決に向けた取組を進めることにより、できるだけ早期に解決を図ってまいりたいという強い思いから、課題に一定の見通しを立てた上で、11月県議会には、現行基金条例の改廃を提案してまいりたいと申し上げたものであります。
したがいまして、今後とも早期の課題解決に向け、栗東市をはじめ関係市や地元の皆さんと精力的に話し合いを重ね、皆さんにご理解いただけるよう努めてまいります。
また、現行基金条例の整理に当たりましては、県議会と十分協議させていただき、県民の皆さんのご理解を得てまいりたいと考えております。
2 見切り発車のような形で、この基金を取り崩さければならない理由は何か。
新幹線の新駅問題については、3年以上、地元の皆さんにも、また県民の皆さんにも御心配をおかけしています。できるだけ速やかに解決を図ってまいりたいと考えており、そのためにも、県南部地域の振興、土地区画整理事業の対応の基本構想について、確実に見通しを立て、それらに対しての基金の配分などもさせていただく、その大事なステップとして、今が、まさにその時期だと理解をしております。
3 医療と福祉と教育に金が必要だが、手当する金が減ってきたので、この基金の金を使わせてもらえたらという発言があったが、そのように思っているか。
3年前のマニフェストで、新幹線の新駅をやめて浮いたお金については、財源不足に対応し、併せて、福祉や教育に回させていただき、県民の皆さんの思いに応えさせていただくという約束をさせていただきました。そのような約束を実現することも必要だと思っております。
4 南部地域振興プランにおいて、交通基盤の整備については、10年後にどういう交通網になっているのか。
南部地域振興プランの交通基盤の整備というのは、主に鉄道輸送力・利便性向上対策プロジェクトと産業・観光道路ネットワークプロジェクトであり、この両者の利便性を高め、目指す姿としては、交通渋滞の解消、あるいは広域観光の展開といった社会基盤の整備ということです。
1.栗東市に対する財政上の対応についての県の考え方について
県としては、新駅の中止は、正当な政策変更であり、県に違法性はなく、損害賠償責任が生じるものとは考えておりませんが、栗東市が新駅事業に関わって投資した経費により、結果的に栗東市の資産の減少を招いたことも事実であり、特に、栗東市が基本協定に基づいて実施した事業に伴う支出については、県として見過ごすことができないものと考えております。
そうしたことから、一旦スタートした共同事業を円滑に終了させるための必要なコストとして、一定の財政的な負担は、避けられないものと考えているところであり、凍結を主張した県の行政上の責務として、栗東市に対して財政上の対応を行わなければならないと考えております。
そのため、昨年の春以降、対応策の内容について、滋賀県・栗東市新幹線新駅問題対策協議会の財務関連検討ワーキングなどにおいて協議を重ね、専門家の意見を聴きながら、今回、双方が納得できる金額として、基本事項に合意することを確認したものでございます。
県としては、新駅の中止により、JR東海に対する工事費負担金の支払い、あるいは周辺整備、周辺整備の支払いなど、百数十億円もの巨額の県費の支出を回避することができ、将来にわたる県民の負担が軽減されたことを考え合わすと、新駅の中止は、全体として十分に財政的な寄与ができたものと考えており、県民の皆さんにも御理解がいただけるものと考えております。
また、栗東市への財政上の対応のうち、「負担」については、県が栗東市との共同事業である新駅設置事業を清算するために支出をする経費であり、栗東市に対し、平成14年の基本協定締結以降に新駅設置事業として支出されてきた経費について、その全額を「負担金」として支出しようとするものでございます。
また、「支援」についてですが、新駅に関連する事業として、設置市である栗東市が実施された事業や栗東新都心土地区画整理事業に要した経費について、あるいは新駅中止に起因して、市が一定の支出をされている経費などについては、新駅との関連を考慮し、市との合意に基づき、対象経費の2分の1を「交付金」として支出しようとするものでございます。
2.新駅凍結により削減した費用の使途がマニフェストと不整合ではないか。
マニフェストでは、経費の具体的な支出について掲げておりませんが、共同事業を円滑に終了させるためには、一定の財政的な負担は避けられないものであることを、御理解いただきたいと思います。
仮に、新駅事業が、当初の計画どおりに進んでいれば、県では、平成18年度から平成24年度までの間に、百十数億円もの工事費負担金の支払が必要となっていたものであり、新駅の中止により、こうした支出を回避することができたのは事実でございます。
これら支出が回避されたことにより浮いた財源は、県政の各般にわたり活用されているものであり、マニフェストに掲げた県財政再建の赤字削減や福祉、教育、安全といった分野にも活用しているところでございます。
3.「新幹線新駅等施設整備促進基金」についての使い道、公約の堅持との関わりについて本基金については、協定類の終了後においても、県南部地域の振興、土地区画整理事業への対応といった諸課題に対応するための財源の枠として存置することとしていることから、今回、諸課題の現状を考慮し、引き続き財源の枠を維持するとともに、併せて当面の課題に対応するため、現行条例を廃止し、新たに東海道新幹線新駅課題対応基金を設置しようとするものでございます。
今後は、諸課題のすべてにおいて一定の方向性が見えた段階において、課題対応のための所要経費を見極めた上で、この当基金条例の取扱いについて、改めて検討することと考えております。その際に、マニフェストで約束しました「福祉、教育、安全」の分野などにできるだけ有効に活用したいと考えており、その時点で、県民のみなさんの御意見も伺いながら、議会とも十分協議してまいりたいと考えております。
4.来年における金融機関の市公社に対する融資の見通しについて
今回の貸付けは臨時的なものと考えており、資金繰りの問題は、新駅計画の中止により、公社有地の利用目的が不明確になったことによるものと認識いたしております。
このため、栗東新都心地区のまちづくりの方向性を定め、この区域の公社有地の利用目的が明確となり、金融機関にとっても魅力的な地域になることが重要であると考えており、現在、県は栗東市とともに、本年9月を目途に後継プランの基本構想を策定し、土地利用や街区構成、骨格道路網等をできるだけ具体的にし、利用目的がイメージできるようなものになるよう、全力で取り組んでいるところでございます。
5.南部地域振興プランと後継プランを持つ意味について
新駅の凍結に関わって関係者が協議した東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会の正・副会長会議において、県南部地域の将来をどうするかについて県から提示すべきという御意見が各市長さんからありました。
そういう中で、広域行政を預かる県として、県南部地域の活性化は重要な課題であり、新駅を前提としない県南部地域のあり方について、新駅計画の中止による影響を勘案しつつ、関係市とともに検討していく必要があると考えたところでございます。
現在、県および関係7市等で構成する南部地域振興会議においてプランの策定に向けて検討しているところであり、先ほどお答えした経緯を踏まえますと、一般論としての地域の振興計画とは趣旨を異にし、新駅計画の中止という事情も勘案すべきものと考えております。
また、後継プランは、栗東市施行の栗東新都心土地区画整理事業が実施されていた区域を対象に、新駅中止の影響を最小限にするため、県と栗東市において、地元自治会・地権者の皆さんと意見交換を重ねながら、新しいまちづくりに向けて取り組んでまいるものでございます。
まずは基幹となる道路がこの地域には必要であることは市と相談しているところであり、また、昨年の地権者の皆さんの意向聞き取りにおいても、この地域を振興していくためには道路が重要であるとの声もいただいております。
今後のまちづくりを検討する中では、民間活力導入に尽力するとともに、基盤整備に当たっては、できるだけ、国庫補助金等を活用して、効率的・効果的な整備を検討してまいりたいと考えております。
1.後継プラン策定の進捗状況、今後のスケジュールと進め方について、土地利用規制の状況や栗東市の取組状況も含めて問う。
後継プランの一日も早い策定が重要な課題と考えており、現在、「滋賀県・栗東市新幹線新駅問題対策協議会」内の後継プラン検討ワーキングにおいて、県と栗東市で協議・調整を重ねているところでございます。
そうした中で、栗東市においては、「栗東新都心地区まちづくり基本構想」を作成すべく、9月市議会において補正予算を計上され、今年度中には、各種調査を行い、来年度の上半期のできるだけ早い時期を目途に基本構想を取りまとめられる予定であり、県もこれに積極的に参画し、市と連携を図りながら、地元の皆さんと十分意見交換を重ね、かつ、スピード感を持って、この基本構想をもとに、後継プランの具体化に向けて取り組んでまいる所存でございます。
土地利用規制の状況については、栗東新都心土地区画整理事業区域において、地権者の皆さんには、土地区画整理法により、土地利用規制がかかっている状況であることから、県においても、一日も早く規制解除ができるよう、取り組んでいるところでございます。現在、栗東市においては、土地区画整理事業の廃止手続きを進められており、今後、事業の廃止公告がなされることにより、年内には土地区画整理法上の規制は解除されることになります。
また、土地区画整理事業が廃止されても、都市計画法による土地利用規制が継続するため、栗東市と十分協議・調整の上、事業区域の都市計画決定については、来年度第1四半期を目途に、また、都市計画道路の都市計画決定については、必要性の見極めを行い、来年度上半期の早いうちに見直してまいりたいと考えております。
2.地権者との対話の中で、どのような意見を聴き、それにどのように対応するのかについて去る10月9日に、地元4自治会の自治会長と地権者代表の皆さんから、「新幹線新駅中止に伴う地権者対応について」の申し入れを県・栗東市それぞれいただき、県に対しては、「新駅に値する代替プランの提示」、「栗東市と地権者に対する支援」などの申し入れをいただいたところでございます。
これを受け、県と栗東市は、去る10月31日と11月24日の両日に地元の代表の皆さんと協議の場をもつとともに、11月30日から12月4日にかけて4自治会ごとの説明会を開催したところでございます。
この中で、先程お答えしたとおり、後継プランや都市計画の見直しの取組状況と今後の進め方等について回答し、説明させていただいたところ、地元の皆様からは、都市計画決定をもっと早期に廃止すべき、土地利用規制の廃止と後継プランの策定にかかるスケジュールなどを明確に示すべき、また、栗東市の財政状況が大変厳しくなっていることから、県として支援すべき、といった御意見をいただきました。今後、こうした地権者の皆さんの御意見などを踏まえて、市とも十分協議・調整を重ね、問題の早期解決に努めてまいりたいと考えております。
3.後継プラン策定作業への積極的な参加と栗東市を支援する姿勢について後継プランの策定に当たっては、現在、県と市が一緒になって、早期のプランの具体化に向け取り組んでいるところであり、私としても、新駅を中心としたまちづくりに懸命に取り組んでこられた地元の皆さんの思いを十分くみ取り、新駅中止後の新たなまちづくりを早期に進めていく必要があると痛感しており、県として汗をかき、栗東市とともに精一杯努力してまいる所存です。
4.財政再生団体に陥る可能性のある市が県内にでてきたという事態についてそれぞれの市町においては、地方公共団体財政健全化法の趣旨を踏まえ、指標を分析し、自らの財政上の課題を明確にし、一層の健全化に努めていただいているものと認識しております。栗東市においても議会や市民と真摯な議論を重ね、「財政再構築プログラム」を策定されたところでございます。
そのような中で、栗東市において財政再生団体に陥りかねないような状況が生じていることにつきましては、まずは市の財政運営の問題として、市民や議会に情報開示を行いながら、対応していただくことが必要と考えております。
私としましても、このような栗東市の状況については、大きな課題として受け止めておりまして、市からお話をお聞きしてまいりたいと考えております。
1. 栗東新都心土地区画整理事業の現在の状況と事業取りやめに向けての今後の進め方について 土地区画整理事業の施行者である栗東市におかれては、去る7月10日に事業の取りやめを決断され、その後、滋賀県公共事業評価監視委員会の審議を経て、9月2日から15日まで土地区画整理法の規定を踏まえた事業計画取消し図書の縦覧をされました。
今後、県は、9月29日まで利害関係者からの意見書を受け付け、意見書の提出がある場合は、県都市計画審議会の審議を経て、知事として認可取消しができるものと考えており、この知事の認可取り消しにより、栗東市による事業計画取消しの公告が行われ、年内には、一連の土地区画整理事業の廃止手続きが終了するものと見込んでおります。
2. 土地区画整理事業の区域内における後継プランの策定など今後の対応方策について 県と栗東市による新幹線新駅問題対策協議会内に設置している栗東新都心土地区画整理事業後継プラン検討ワーキングにおいて検討しているところです。そのため、県としても、本年の5月下旬から7月下旬にかけて栗東市が実施しました地権者への意向聞き取りにも同行し、ほぼ全ての地権者の皆さんから生の声をお聴きしたところでございます。
現在、市では、後継プラン策定に係る基本構想作成のための補正予算案を9月市議会に提案されており、県としても、地権者の皆さんの不安や不満を一日も早く払拭できるよう、聞き取り調査による意向を踏まえながら、市と一緒になって後継プランの検討に取り組むとともに、栗東市の新しいまちづくりに資するよう、精一杯努力してまいる所存でございます。
3. (仮称)南部地域振興プランの現在の進捗状況と今後の進め方について 本年3月24日には、新駅を前提としない県南部地域の振興に係る中長期的な指針を検討するための組織として、県および関係7市の部長級職員で構成する南部地域振興会議を設置したところでございます。
去る9月12日には、第2回の南部地域振興会議を開催し、プランの基本的事項として、県と関係7市がプランの策定主体となることや、「地域産業の振興」「広域観光の振興」「交通基盤の整備」の3分野を施策の基本的な方向に位置づけ、分野横断的に施策を展開し、ソフト・ハードの両面から県南部地域の振興を図っていくこととしております。
今後は、こうした基本的事項をもとに、県と関係7市でプランの検討を進め、各分野のプロジェクトなどの具体的な振興策について、関係市の首長や経済界などの御意見も伺いながら、来年の春ごろを目途にプランを策定してまいる所存でございます。
4. 実効性あるプランの策定について 施策の基本的な方向として位置づける3分野において、県と市の施策を横断的に組み合わせて相乗効果を発揮させるとともに、事業の重点的な実施を心がけ、経済団体の参画も得ながら、実効性のあるプランを策定してまいる考えでございます。
なお、諸課題を考慮し、東海道新幹線新駅等施設整備促進基金を存置しているところでございますが、今後、これらの課題に一定の方向性が見えた段階で、基金の取扱いについても、県議会と十分協議させていただいた上で対応してまいりたいと考えております。
1.東海道新幹線新駅の事後処理について 財政状況が大変厳しい中、協定類の終了により、新駅設置に関わる多額の負担金を削減することができました。また、このことは、「将来の県民負担の最小化」を図るため、県民の皆さんの支持を受けた適正な政策の変更であり、県民から負託を受けた知事として、果たすべき役割であったと確信しております。
しかしながら、新駅設置事業とともに土地区画整理事業を進めて来られた栗東市、および土地区画整理事業に協力された地元自治会・地権者の皆さん等に対しては、新駅凍結を主張してきた県として、その影響を最小限にするべきものと強く認識しております。
そのような中で、諸課題の解決に向けて、今後も栗東市と協議を重ねながら、地元の皆さんには、不安や不満を一日も早く払拭していただけるよう、そして行政への信頼を回復いただけるよう、精一杯対処させていただく覚悟でございます。
2.対策会議の設置について 県と市では、新駅凍結に伴う土地区画整理事業への影響に対する対応策を協議・調整する場として、副知事、副市長をトップとする「対策会議」の設置に向けて調整を進めてきております。
この「対策会議」において、区画整理事業や都市計画をどうしていくか、また、区画整理事業の事後処理や損失補償等についても協議・調整を進め、県と市が、それぞれの役割分担に応じた適切な対策、支援を行うことで、責任を果たさせていただきたいと考えております。
3. 県南部地域の振興について 東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会正・副会長会議でのこれまでの議論を踏まえ、新駅を前提としない県南部地域のあり方等について、現行の新駅計画の中止による影響を勘案しつつ、検討していく必要があると考えております。
去る2月14日に開催されました促進協議会正・副会長会議の場において、県南部地域の振興の中長期的な指針となる「(仮称)県南部地域振興プラン」を、県と関係市との協働により検討する組織である「(仮称)南部地域振興会議」の設置を県から提案させていただきました。関係市からは、その設置について賛同いただいたところです。
4.(仮称)南部地域振興プランの策定について 県南部地域振興プランの策定については、年度内をめどに県と関係市等で構成する(仮称)南部地域振興会議を設置し、概ね1年程度の検討期間を経て、平成21年の春頃をめどにプランを策定する予定でございます。
また、プランの策定主体については、県南部地域の振興を効果的に図っていくためには、県と関係市が、地域が抱える課題や地域振興に関する中長期的な指針を共有し、適切な役割分担と費用負担の下で、相互に連携・協力しながら、必要な施策を講じていくことが求められておりますことから、県と関係市との協働によるプランを策定してまいる所存でございます。
県としては、会議の事務局を所管することと、広域自治体としての責任を果たしてまいる所存でございます。
なお、この「県南部地域の振興」を含めた諸課題を考慮し、「東海道新幹線新駅等施設整備促進基金」を存置しているところでございます。
5.(仮称)南部地域振興プランのコンセプトについて 県南部地域振興プランにおいては、「地域産業の振興」「広域観光の振興」「交通基盤の整備」の3つの分野を基本として、「広域的な見地から実施すべき施策」等を盛り込んでいく予定です。
「広域的な施策」としては、市域を越える課題に対応する施策や、県と関係市が適切な役割分担の下で連携して取り組むことで効果が期待される施策を想定しており、そのために、県と関係市との協働により検討していくことを企画しております。
また、この3分野においては、従来の分野別計画のように、それぞれタテ割りで検討するものではなく、施策の組み合せ等を含め、分野横断的に検討していくことで、全体として分野間での相乗効果が発揮され、好循環が得られるよう留意してまいります。
したがって、「分野横断、横串を刺す」ということ、また県と関係市が「協働」しながら、施策の効率的かつ効果的な推進を図っていくことで、従来にない成果を発現する、このことがプラン策定にあたっての「コンセプト」であると考えております。
1.栗東新都心土地区画整理事業への今後の対応について
土地区画整理事業は、栗東市の「まちづくり」そのものでありまして、事業の施行者である栗東市が、地元地権者をはじめとする市民の方々の思いや市議会の意見等を踏まえつつ、今後の方向性について判断されることが基本であると認識しております。
しかしながら、県としては、土地区画整理事業が新駅と手を取り合って進められてきたというこれまでの経過を踏まえ、栗東市とともに適切な役割分担の下で相互に連携・協力しながら、この問題の解決を図ることで、県としての責任を果たしてまいりたいと考えております。 既に栗東市とは事務レベルでの協議の場を設け、仮換地指定に伴う土地利用の制限など、地権者の皆さんが直面している課題について協議し、今後の土地区画整理事業の方向性等について検討を始めております。今月中には栗東市とともに、事業計画決定後に中止となった他地域の事例を調査するとともに、専門家を招いた検討会を開催することを予定しております。
今後、県として、この協議の場が一層実効あるものとなるよう、栗東市との連携・協力関係を密にして検討を重ねながら、できるだけ早期に最善の方策を見出すとともに、適切な支援を講じてまいりたいと思います。
なお、新しい組織体制については、今回の協定類の終了に伴い、新駅問題が新たな局面に入ったと考えられることから、今後、それにふさわしい体制の構築が必要と考えておりまして、県と栗東市との協議の進捗状況を考慮しつつ、県として適切な対応を検討してまいります。
2.地権者との話し合い(11月17日)の概要と今後の対応について
去る11月17日、地元4自治会の会長と地権者代表の皆さんにお会いし、新駅にかかる協定類が終了したことを報告するとともに、地元に御迷惑をおかけしたことへのお詫びをさせていただき、また、今後の対応等について率直な御意見をいただきました。 その中で、行政への不信や、今後の方策を早く示すようにとの御意見、また、方向性が定まらないまま地元を回っても意味がない等の厳しい御意見をいただきました。
今後とも地元の御意見を真摯に受け止めさせていただきながら、栗東市と精力的に協議を行い、諸課題に対して出来るだけ早く適切に対処していかなければならないと、改めて痛感したところでございます。
今後の地権者の方々への対応については、去る11月17日の話し合いを受けて、近日中にも、私からのお詫びと話し合いの概要を書簡にてお知らせする予定でございます。 地権者の方々との話し合いは、今後とも引き続き、誠意を持って続けてまいりたいと考えており、今後の対応策につきまして栗東市とともに協議を重ね、一定の方向性が定まった段階において、私自身、栗東市とともに地元へお伺いしたいと考えております。
3.栗東市土地開発公社の先行取得用地について この用地は、栗東市が自らの責任で、当該地域において土地区画整理事業を計画され、新駅設置に係る基本協定の締結以前から、市土地開発公社に先行取得を依頼されたものと認識しております。 かねてより、土地区画整理事業に対する栗東市の対応については、県としても適切な支援を行うと申し上げてきたところでございますが、その一部であります先行取得用地の取り扱いにつきましては、土地区画整理事業の方向性を協議する中で、栗東市が主体的に判断されることを基本に、できるだけ有効かつ適切な土地利用が図られるよう、支援していくことが適当ではないかと考えております。
もとより、県と市や町は、共に地域住民の福祉の増進に努めていく責務がありますことから、今後とも、しっかりとした信頼関係のもと、県と市町との連携・協力関係を築き上げてまいりたいと考えております。
4.「県南部地域振興」に関する今後の予定について
県南部地域の振興は、新駅設置の如何にかかわらず、広域行政を預かる県としては重要な課題であると認識しております。こうしたことから、去る10月12日に開催された東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会正・副会長会議において、「県南部地域における地域振興の方向性に関する県の考え方(案)」を県から関係市に提案したところでございます。
この提案については、正・副会長会議では具体的に議論するまでには至りませんが、10月28日に開催された促進協議会総会において、今後の諸課題に対する県の基本的な方針の一つとして県から報告したところでございます。
今後、県としては、改めて正・副会長会議に諮り、この提案の内容に沿って取り組んでいくことについて、関係市等の賛同を得てまいりたいと考えております。 その上で、できるだけ速やかに「南部地域振興会議」を設置するとともに、この会議の場で関係市等とともに、地域が抱える課題をもとに具体的な振興策を検討し、また役割分担を明らかにしながら、関係市等との協働により、県南部地域の振興プランの策定に向け、取り組んでまいる所存でございます。
5.工事費負担金の清算について
12月6日のJR東海の松本社長さんの記者会見の状況は、詳細に確認できた訳ではございませんが、JR東海には、県の新幹線新駅「凍結」という方針により、大変な御心配、御迷惑をおかけしたにもかかわらず、今回、工事費の清算という形で円満に終了していただけるということに対して、心から感謝を申し上げる次第でございます。 今後は、本県における地域の発展のために、JR東海との一層の協力関係を築いてまいる所存でございます。
また、JR東海との工事費負担金の清算につきましては、本年5月の仮清算の段階で、地元が支払った新駅設置事業の工事費負担金6億円のうち2億2千万円が返還され、工事費負担金の負担割合に応じて、県には1,307万3千円が返還されたところでございます。
今回、本清算として、地元に対しては更に約6,700万円が返還される旨、JR東海から報告を受けておりまして、今後、JR東海に対する実績の確認や東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会幹事会での確認が必要でございますが、仮清算と同様に工事費負担金の負担割合に応じて計算した場合、県に対しては約3,300万円が返還される見込みとなっております。
1. 「新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)」について
先の9月3日の東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会正・副会長会議において、県から「新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)」を提示させていただきました。
これは、栗東市や関係市との議論のたたき台として、県の考え方の骨格をとりまとめ、公式にお示ししたものであり、その内容としては、現行協定類の終了、事業費の清算、栗東新都心土地区画整理事業の継続実施への支援、県南部地域の振興の方向性の考え方の提案、東海道新幹線新駅等施設整備促進基金の存置です。今後、この「県の方針(案)」をベースに、さらに議論を深め、関係者の合意による解決に向け、具体的な内容を詰めていく所存であります。
2. 「凍結」の意味について
去る9月3日開催の東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会正・副会長会議において「新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)」をお示しし、現行協定類を履行しないことに合意いただき、協定類の終了を提案したところであり、このことが「凍結」であると考えております。 4月24日に締結した覚書による協定類の終了は、「現行協定類に基づく」新駅設置事業が中止となることを意味しております。ただし、将来の県民の選択を今縛るものではなく、新しい駅の可能性までを否定するものではありません。
3. 「県南部地域の振興の方向性の考え方」について
県南部地域は、製造業が多く集まり、近年、大学が集積するなどポテンシャルの高い地域でありまして、当該地域の活性化は、新駅設置の如何に関わらず、広域行政を預かる県としては重要な課題であると認識しております。
一方、東海道新幹線(仮称)南びわ湖設置促進協議会正・副会長会議でのこれまでの議論を踏まえ、現行協定類が終了した場合に、県南部地域の振興をどのように図っていくべきかについては、新駅の「凍結」による影響を勘案しつつ、検討していく必要があるものと考えております。
こうしたことから、県としては、県と関係市等で構成される「(仮称)南部地域振興会議」の場で、今後の県南部地域における地域振興の在り方等について話し合いながら、その中長期的な指針となるものを、県と関係市等との協働により策定していきたい所存でございます。
4. 土地区画整理事業への対応について
現行協定類が終了した場合における土地区画整理事業への対応は、県としても重要な課題であると認識しており、「新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針(案)」において、栗東市が事業を継続実施した場合の支援を提示したところでございます。県としては、先ずは、栗東市とともに、協定類の終了を前提として土地区画整理事業をどのように実施するのか検討調査を行う必要があると考えております。
そうした検討の中で、栗東市自らが、市民、市議会の意見を聞きながら、まちづくりの方針を定め、施行者として判断されることが基本であると考えております。 県としても、これまでの経過から、土地区画整理事業の問題解決に向けた県行政としての責任を果たせるよう、栗東市と十分協議しながら、適切な支援を行ってまいりたいと考えております。
5. 東海道新幹線新駅等施設整備促進基金の存置について
東海道新幹線新駅等施設整備促進基金は、現行協定類の終了にかかる諸課題を考慮して、一定の方向性が見えるまでは、そのまま存置することとしております。次に、現行協定類の終了にかかる諸課題とは、県南部地域の振興と土地区画整理事業が考えられ、こうした諸課題に対応するための財源の枠として基金を存置することとしましたが、現時点では、具体的に何にどれだけ充当するかについて、決定しているわけではございません。
今後の基金の取り扱いについては、県議会とも協議させていただいたうえで、対応してまいりたいと考えております。
6. 「大規模な重要施策の進め方に関するルールづくり」について
これまで大変長い時間にわたり推進されてきました新駅計画ですが、必ずしも県民の皆さんの思いや願いを反映しているものではなかったと認識しております。必要性や効果が県民の皆さんに十分に理解されず、また、様々な課題や問題点を抱えながら進められてきたため、行政と県民の皆さんとの思いの隔たりを招いたことが、今回の新駅問題の背景にあったのではないかと考えております。
私としては、この新駅問題に取り組んできた経験を通しまして、特に「大規模な重要施策」の立案にあたりましては、計画の初期の段階から継続して県民の皆さんに情報を提供し、それを共有し、皆さんの思いを真摯に汲み上げるとともに、しっかりと説明責任を果たしていくことがいかに大切であるかということを改めて実感したところでございます。
今回の新駅問題を今後の政策立案や施策の見直しにあたっての教訓として重く受け止め、協定類の終了を機に、過去の取り組み経過や新駅「凍結」までのプロセスをしっかりと検証するとともに、議員御指摘のように、県政への住民参加の「ルールづくり」についても研究してまいりたいと考えております。 今後、こうした検討を行いながら、行政改革の方針にも示しましたように、対話と共感が生きる、開かれた協働の県政運営に十分活かしてまいりたいと考えております。
1.なぜ「凍結」するのかについて
現行の新駅設置計画については、県の財政状況が非常に厳しいこと、利便性が低く必要性が低いこと、他の請願駅に比べて著しく事業費が高いこと、の3つの課題があることから、凍結すべきとかねてより主張してきたものであります。その中で、県が昨年10月に実施した「新幹線新駅の需要予測・波及効果の再検証調査」の結果、利用者数、経済波及効果ともに当初見込みから大幅に減少することが明らかになっております。また、県の財政は今後も厳しい状況が続くと考えられます。さらには、栗東市における新駅整備に係る仮線事業費のうち、道路事業と位置づけられた部分を対象とした起債行為差止請求控訴事件が、大阪高裁で棄却された状況もあります。
今回の新駅の設置が、県民の多くの方が支持されていないプロジェクトであり、この非常に厳しい財政状況の下であえて多額の税金を使うものではないと考えております。県においては過去最高となる約8,900億円もの県債残高を抱える状況において、新たに策定する「新しい行政改革の方針」および「財政構造改革プログラム」に基づき、一層の財政の健全化に取り組もうとする中で、将来にわたって県民の負担を軽減するため、改めて新駅は凍結すべきということを申し上げたいと思います。
2.新駅が「凍結」となった場合の地域振興策について
県南部地域の総合的な振興は、新駅設置の如何にかかわらず、広域行政を預かる県の立場として重要な課題であると認識しています。 今後、「地域振興策」としては、「凍結」を前提とした議論をする中で、促進協議会正・副会長会議でも議論し、関係市とも十分話し合いながら、新駅を前提としない公共交通基盤の整備など、長期的な視点を踏まえた効果的な施策を検討していきたいと考えています。
3.新駅が「凍結」となった場合における土地区画整理事業への対応について
「凍結」に伴う諸々の課題の中で、土地区画整理事業への対応が重要な課題であると考えております。その中でも特に、新駅設置に協力されてこられた地元自治会や地権者の皆様方のご心配や不安に誠実に対応していくことが大切であると考えております。もとより、土地区画整理事業は、地元栗東市の「まちづくり」そのものであり、県から一方的に対応策を示すものではなく、「まちづくり」の主体である栗東市が、地権者の方々の意向等を踏まえつつ対応されるべきものです。
その上で、県としては新駅凍結の経緯も踏まえ、栗東市と十分協議しながら、市が講ずる対応策に対して適切な支援策を検討していく必要があると考えています。