河川整備計画の策定にあたっては、流域の皆さんの生の声を計画に反映するために、
公募によるメンバーから構成される『川づくり会議』を開催しました。
東近江圏域では、「愛知川」、「日野川」、「長命寺川(蛇砂川)」、「西の湖」でそれぞれ川づくり会議を開催しました。
川づくり会議でいただいた様々な提案は、『淡海の川づくり検討委員会』で議論された後、この河川整備計画に反映しています。
このようにして取りまとめました東近江圏域の河川整備計画は、関係地域の住民の皆さんに縦覧し、関係市町長の意見を聴いたうえで、変更案を国土交通省へ認可申請していましたが、平成22年7月26日付けで、認可されました。
今後は、この河川整備計画に基づき、東近江圏域の河川整備を推進していきます。
「淀川水系 東近江圏域 河川整備計画」は、本文並びに説明資料を公表しています。公表場所は次のとおりです。
また、本文のPDFファイルを添付しますので、ダウンロードしてご覧になってください。
河川整備計画の策定にあたり開催された川づくり会議や淡海の川づくり検討委員会での意見や提言を
東近江圏域の川の将来像」としてとりまとめました。
東近江圏域では治水・利水・環境面で、健全で多様な機能が発揮され、流域の人々が様々な恵みを享受出来る川を目指します。そのためには、流域の人々が、豊かな自然、風土に培われた歴史・文化を認識し、人と川との絆をさらに強くすると共に、多様な生物が生息し、清流とみどり豊かな河川を構築し、生活の豊かさと自然環境の豊かさが両立した「東近江の川」を目指します。
これらを実現するためには、河川だけでなく流域を視野に入れた総合的な管理を行うとともに、河川管理者のみならず、関連部局、住民・企業・自治体等の緊密な連携と協働が必要です。
(1) 豊かで安心・安全な地域をつくる川(治水)
住民が安心して豊かな生活を営み、持続可能な節度ある社会の発展を進めるために、天井川の切り下げや河道の拡幅などのハード対策により洪水の危険から地域を守るとともに、想定される浸水区域の公表や避難経路を示すなど、被害を軽減するためのソフト対策の展開を図ります。
さらに、流域での土砂移動を踏まえた対策や、災害への迅速な対応など、安心・安全な地域となるよう川づくりを進めます。
(2)清らかな流れを支え、健全な水循環系を構築する川 (利水・水量・水質)
流域にふさわしい適正な水循環系を確立するため、流域内の行政・住民・事業者等の各主体が、流域の水循環の現状を把握し、共通認識を持った上で、各主体の合意のもと、適正な水利用のための総合的な施策の展開を図ります。
具体的には、地域の実情を踏まえた上で、川としてふさわしい水量・水質を確保するために、たとえば、森林や農地、市街地の浸透貯留域の保全や向上、水の反復利用など流域全体での水源涵養による河川水量の確保に努め、また下水道整備などによる汚濁発生源対策や琵琶湖・内湖・河川への流出過程での汚濁負荷の削減対策の展開を図ることにより水質の保全を行います。さらに、住民の積極的な参画により、山と里そして琵琶湖を結ぶ、健全な水循環を構築する川づくりを目指します。
(3)豊かな自然と共生し、多様な生物が生息する川(生態)
琵琶湖及びその周辺地域には多様な自然生態系が発達しており、河川は琵琶湖湖辺域と山地森林を結ぶビオトープネットワークを形成する骨格となっています。そのため、治水・利水機能との均衡を図りながら、多様な生物の生息・生育環境の確保に努め、豊かな生態系を有する自然と人間とが共存・共生でき、将来にわたり水と緑豊かな自然環境の恵みを受け続けられる川づくりを目指します。
(4)地域の原風景を復活し、「ふるさと」として誇れる川(利用・景観)
水とみどりの空間としての河川は、人間と生き物たちの共生の場であり、人々が自然と触れあうことにより豊かな情操を育むとともに、生態系や水環境の大切さを学ぶ環境学習の場となります。また、貴重なオープンスペースとしての河川は、人々が余暇時間を有意義に過ごせるために、憩いの場や散策の場、健康増進のためのレクリエーションの場となります。そこで、河川空間の持つ水辺の魅力を高め、水に親しみふれあうことができ、快適な水辺を実感できる川づくりを目指します。
さらに、ヨシ帯と家並みなど、まわりの自然とまちの景観がとけあい、地域固有の水辺の原風景を大切にして、美しくて心のやすらぐ「ふるさと」として誇れる川づくりを目指します。
(5)新たな文化の創造と流域単位の連携・協働・交流を促進する川(歴史・文化)
愛知川河川敷の大凧あげなど、地域に伝わる川や水にまつわる歴史・文化を継承する水辺の整備を図るとともに、個性のある流域文化を育むために、流域住民の相互の交流を図りながら、人と川との係わりをなお一層深められる川づくりを目指します。
さらには、多くの地域住民が一同に集まる水辺での催しなどを通じて、感動と共感を持って文化を共有するなど、川を軸に流域単位での取り組みや水にまつわる地域文化交流の輪を広げ、流域単位で水とのかかわりを踏まえた川づくりを目指します。