琵琶湖に流入する天井川では、流水が伏没する「瀬切れ」が毎年のように確認され、正常流量(流水の正常な機能を維持するために必要な流量)の確保が課題となっています。
正常流量とは、動植物の保護、漁業、景観、流水の清潔の保持等を考慮して定める維持流量、および水利流量から構成され、普段流れている川の水量に着目して定める流量であり、一般に「正常流量検討の手引き(案)、国土交通省河川局河川環境課」に基づいて設定することとなっています。
しかし、毎年瀬切れが発生するような天井川においては、正常流量検討の手引き(案)に基づいて正常流量を設定しても、現実的に流量を確保することが困難です。
このようなことから、滋賀県では、天井川における伏没・瀬切れ特性を踏まえ、「瀬切れ河川における現実的な水環境確保の方策」について検討を行っています。
本検討は、平成24年3月15日に開催した「淡海の川づくり検討委員会」において、瀬切れ河川における現実的な水環境確保方策について県独自に検討することを提案したうえで、 学識者、行政担当者、民間コンサルタントで構成される「滋賀県の河川整備計画における水環境確保のあり方ワーキング」の中で具体的な検討を進めてきました。
平成24年3月15日 | 淡海の川づくり検討委員会・瀬切れ河川における現実的な水環境確保方策について県独自に検討することを提案 |
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平成25年1月21日 | 滋賀県の河川整備計画における水環境確保のあり方ワーキング(第1回)・高時川(滋賀県長浜市)を事例とした検討方針について |
平成26年11月27日 | 滋賀県の河川整備計画における水環境確保のあり方ワーキング(第2回)・高時川(滋賀県長浜市)を事例とした検討結果について |
平成27年6月22日 | 淡海の川づくり検討委員会・瀬切れ河川における現実的な水環境確保方策の検討結果の諮問、答申滋賀県の河川整備計画における水環境確保のあり方について(案)(PDF:4,222KB)滋賀県の河川整備計画における水環境確保のあり方について【答申】(PDF:130KB)議事概要(PDF:130KB) |
高時川(滋賀県長浜市)をモデルとして、瀬切れ河川における現実的な水環境確保方策の検討について、その道筋をとりまとめた手引き書を作成しました。
本手引き書については、今後、滋賀県内における瀬切れ河川において現実的な水環境確保方策を検討する際に活用していくとともに、今後も継続して検討・更新を行っていく予定です。
※手引き書の名称について、検討の過程では「河川維持河相の手引き」と称しておりましたが、より分かりやすい表現とするため、「瀬切れ河川における現実的な水環境確保方策検討の手引き」と名称変更しました。
この取り組みについては、平成27年3月に発行された「水辺の小さな自然再生事例集/小さな自然再生事例集編集委員会」でもご紹介いただいています。
「できることからはじめよう 水辺の小さな自然再生事例集」(2015年3月発行)(外部サイトへリンク)
水辺の小さな自然再生事例集で紹介された小さな自然再生の考え方、留意点、現場の工夫等について、事例集編集委員による座学研修や意見交換を通じて学ぶとともに、事例集でも紹介している高時川に足を運び、現場を歩きながら川の特徴や小さな自然再生の進め方を議論し、参加者とともに小さな自然再生の知見を共有する現地研修会が開催されました。(主催:「小さな自然再生」事例集編集委員会、共催:滋賀県、日本河川・流域再生ネットワーク(JRRN))
「第2回 小さな自然再生現地研修会@滋賀県高時川 開催報告」(2015年12月発行)(外部サイトへリンク)