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流域治水基本方針に関するQ&A

更新履歴(今後、随時更新していきます。)

(表)
平成23年12月20日 流域治水基本方針に関するQ&Aのページを作成しました。
平成24年1月19日 Q4からQ14の質問とその回答を追加しました。

Q1)流域治水基本方針(案)とはどのようなものですか?

  • 滋賀県では、(1)どのような洪水にあっても、人命が失われることを避け(最優先)、(2)生活再建が困難となる被害を避けることを目的として、自助・共助・公助が一体となって、川の中の対策に加えて、川の外の対策を総合的に実施する流域治水を推進しています。
  • 流域治水基本方針(案)は、流域治水政策を効果的に推進するため、県内各地の水害リスクを明らかにし、そのリスクを回避・軽減するための基本的な考え方をとりまとめたものです。

滋賀県流域治水基本方針(案)

Q2)流域治水基本方針(案)は、一部の犠牲を前提としているのですか?

  • 流域治水基本方針(案)は、県内の水害リスクを明らかにし、そのリスクを回避・軽減するための基本的な考え方をとりまとめたものです。この内容は、特定の市町民・県民の犠牲を前提にしたものではなく、犠牲をできる限り少なくすることを趣旨としております。
  • むしろ、県内の水害リスクが明らかとなったにもかかわらず、危険性の高い箇所で実施可能な対策を講じないことこそが、「一部の犠牲を前提とした考え方」と言えます。

Q3)流域治水基本方針(案)の策定過程では市町の意見に耳を貸さなかったのですか?

  • 県内市町とは平成19年8月より、流域治水検討委員会(行政部会)および、流域治水検討委員会(行政部会)ワーキンググループでの議論を重ねてまいりました。最終的には各市町から「意見なし」との回答を得て、平成23年5月10日に開催の第5回行政部会の場において、基本方針(案)については原案のまま正式な方針として策定手続きを進めることに同意をいただきました
  • 基本方針(案)は、このような長年にわたる市町参加の下での議論を経て策定したものであります。今日に至り、この策定経過についてご認識いただけていないということについては、誠に遺憾であります。

(流域治水検討委員会(行政部会))
第1回平成19年8月22日、第2回平成20年11月27日、
第3回平成22年8月24日、第4回平成23年2月3日、
第5回平成23年5月10日
※県内7市町(大津市、草津市、守山市、湖南市、長浜市、高島市、竜王町)の副市町長等、国、庁内関係課長(防災・健福・農政・土木)で構成

(流域治水検討委員会(行政部会)ワーキンググループ)

第1回 平成19年8月22日、第2回 平成19年9月13日、

第3回 平成20年2月18日、第4回 平成20年9月17日、

第5回 平成20年11月27日、第6回 平成21年3月24日、

第7回 平成22年6月30日、第8回 平成22年10月1日、

第9回 平成22年11月9日、第10回 平成22年12月1日、

第11回 平成23年1月24日
※県内19市町、国、庁内関係課(防災・健福・農政・土木)の担当者で構成

(文書による意見照会)
第1回 平成20年9月17日、第2回 平成20年11月27日、

第3回 平成21年3月24日、第4回 平成22年10月1日、

第5回平成22年11月9日、第6回平成22年12月1日

  • 各市町から頂いた意見および反映状況については、流域治水検討委員会(行政部会)、流域治水検討委員会(行政部会)ワーキンググループにおいて報告しています。
  • 水害リスクを考慮した土地利用のあり方については、平成20年8月8日付で琵琶湖湖南流域水害に強い地域づくり協議会※より提言書をいただいております。

※琵琶湖湖南流域水害に強い地域づくり協議会には、近畿地方整備局琵琶湖河川事務所長、および県関係各課長に加え、行政委員として大津市副市長、草津市副市長、守山市副市長、栗東市副市長、野洲市副市長が参加されています。

Q4)基本方針(案)は県が作成している「地先の安全度」をベースにさまざまな政策が記載されていますが、「地先の安全度」は想定が過大ではありませんか?

  • 「地先の安全度マップ」で想定する浸水深は、各河川の浸水想定区域図と比較しても過大ではありません。むしろ、各河川の周辺では、水防法に基づき作成した浸水想定区域図の方が、より大きい浸水深を想定している場合が多くなっています。

Q5)「地先の安全度マップ」で想定するような降雨が県下一様に降るようなことは、ほとんどあり得ないのではないでしょうか? このように過大な想定を示すことで、いたずらに県民の不安を煽ることにならないでしょうか? また、この想定に基づく対策を求めることは、県民への過剰な負担とならないでしょうか?

  • 「地先の安全度マップ」で想定する降雨が全県下で同時に発生することはごく稀ですが、それぞれの地点では設定する頻度で発生すると考えられます。例えば、滋賀県では時間雨量109mmの降雨が100年に一回程度発生すると想定されており(滋賀県降雨強度式)、時間雨量109mmの降雨が県下一様に降ることはごく稀ですが、各地点で見れば時間雨量109mmの降雨は100年に一回程度発生すると考えられます。
  • すなわち、「地先の安全度マップ」における最大浸水深図(100年確率)で示される浸水が、県下全域で同時に起こることはほぼありえませんが、各地点では100年に一度程度経験することを示しています。
  • したがって、それぞれの地域に応じた対策を考える場合には、妥当な想定であると考えられます。

Q6)「地先の安全度マップ」が公表され、基本方針が策定されれば、どのような規制が行われるのですか?

  • 基本方針(案)では、土地利用規制と建築規制を、水害リスクに応じて区分しています。
  • 土地利用規制については、都市計画法、同施行令、および昭和45年通達(現在では技術的助言)※に準じて実施します。この運用は、都市計画法に定められた県知事の権限(責務)において既に実施しており、基本方針の策定の有無に拠らず継続するものです。
  • 建築規制については、建築基準法第39条に基づく災害危険区域制度を活用した規制を行うこととしています。ただし、これには、あらかじめ地方公共団体が条例を定め、災害危険区域を指定する必要があります。そのため、具体的な区域指定の方法や規制内容については、流域治水基本条例(仮称)で定める予定にしています。また、条例検討の過程では、区域指定の方法や規制内容について、各市町のみなさんと十分に合意形成を図ることについて、流域治水検討委員会(行政部会)で確認しています。このようなことから、基本方針が策定されても、ただちに建築規制が行われるものではありません。

※建設省都市局・河川局長通達(昭和45年1月8日付)『都市計画法による市街化区域および市街化調整区域の区域区分と治水事業との調整措置等に関する指針について』

Q7)基本方針(案)に記載のある土地利用規制について、詳しく教えてください。

  • 基本方針(案)では、「床上浸水の頻発が想定される箇所については、新たに市街化区域へ編入することを原則禁止する」としています。
  • ここでいう「床上浸水の頻発が想定される箇所」とは、60分雨量強度50mmの降雨(滋賀県では10年に一度程度発生する降雨)に対する河川整備(一級河川、普通河川を問わず)のできていない区域や、0.5m 以上の浸水が想定される箇所を指します。
  • この基準は、都市計画法(第13条)、同施行令(第8条)※に基づく都市計画基準として、昭和45年の建設省通達(技術的助言)でも既に示されている基準であり、該当する区域については「原則として市街化区域に含めない」とされています。
  • 今回作成した「地先の安全度」で、60分雨量強度50mmの降雨(滋賀県では10年に一度程度発生する降雨)で0.5m以上浸水する区域が明らかとなりました。これにより、昭和45年通達で示された都市計画基準に基づく湛水が予想される区域の判断が可能となったものです。
  • したがって、基本方針(案)に記載する土地利用規制は、都市計画法、同施行令、昭和45年の建設省通達(技術的助言)に基づくものであり、新たな基準で規制を行うものではありません。

※都市計画法施行令第8条第1項第2号ロ「溢水、湛水、津波、高潮等による災害の発生のおそれのある土地の区域」

Q8)土地利用規制により、市町のまちづくりが阻害されるのではありませんか?

  • 現行の運用では、編入制限される区域においても、災害防止のための具体的措置について検討したうえで、浸水に対する安全が確保できれば、市街化区域へ編入することもあります。
  • このように、基本方針(案)で提案する土地利用規制は、都市計画法の趣旨に基づき、湛水等による災害のおそれのある土地の市街化区域編入を制限するものであり、市町のまちづくりを阻害するものではありません。

Q9)基本方針(案)で示されている「土地利用規制」とは、県民の土地に対する権利を制限するものではありませんか?

  • 基本方針(案)の中で述べている「土地利用規制」とは、県民の権利を制限するものではありません。
  • 県が市街化区域と市街化調整区域との区分を見直す際の基準(昭和45年通達(技術的助言))を明文化したものです。

Q10)「地先の安全度」の評価結果として、10年に一度程度の降雨により50cm以上の浸水が想定された個所は、将来的にも市街化区域に編入されることはないのでしょうか?

  • 市街化区域への編入は、計画的な市街地整備の見通しなどのいくつかの基準を勘案して行いますが、その際に、床上浸水の頻発が想定される箇所(10年に一度程度の降雨により50cm以上の浸水が想定される箇所)については、新たに市街化区域へ編入することは、原則として行いません。
  • ただし、浸水による被害の発生防止策が講じられることが確実な場合は、市街化区域に編入することもあります。
  • なお、「地先の安全度マップ」については、河川整備の進捗や土地利用の変化などを踏まえて、概ね5年ごとに見直す予定をしています。

Q11)「浸水の頻発が想定される箇所」がすでに市街化区域に含まれている場合は、どのような対策をとっていくのですか?

  • 「浸水の頻発が想定される箇所」がすでに市街化区域に含まれている場合は、市町との連携を密にして、財産被害の回避・軽減のために、河川整備や下水道(雨水)による雨水排水対策などのハード対策と、避難誘導などのソフト対策をあわせて、重点的に進めていきます。
  • なお、逆に市街化調整区域へ編入することは予定していません。

Q12)10年に一度程度の降雨で浸水する地域については、土地利用を制限するのではなく、10年に一度程度の降雨を排水できるよう河川の治水安全度を上げるべきではないですか?

  • 市街化区域へ編入するためには、都市計画基準を満足する必要があります。滋賀県では、昭和45年の建設省通達(技術的助言)に示される基準を用いています。この基準を満足するためには、県管理河川だけではなく、準用河川や普通河川等の管理者が役割分担のもと、60分雨量強度50mmの降雨(滋賀県では10年に一回程度の降雨)が排水できるよう整備をする必要があります。
  • 河川整備には、財政制約や下流優先の原則、用地買収に係る調整などもあり、その進捗には一定の時間を要します。そのため滋賀県では、大河川(流域面積が50k平方メートル以上)は戦後最大洪水を、それ以外の河川では10年に一度程度の洪水を安全に流下させる整備を優先させ、土地利用の制限をできる限り速やかに解除できるよう工夫しています。
  • 農業用排水路については、ほ場整備と一体的に10年に一度程度の降雨に対応した整備がなされていますが、ほ場内の洪水を一定時間内に排水する整備であるため一時的な湛水が見込まれています。
  • このように、市街化区域へ編入するためには、10年に一度程度の洪水に対応できる河川整備も必要ですが、あわせて、下水道(雨水)等の整備や土地の嵩上げによる造成など災害を防ぐ対策が必要となります。

Q13)基本方針(案)で示す建築規制について、詳しく教えてください。

  • 基本方針(案)で示す建築規制については、建築物の建築を禁止するものではありません。
  • 河川や水路がはん濫し、家屋が水没したり流失したりすると人命が脅かされます。そのため、家屋の水没や流失が予想される区域において、「人命保護」のために必要最低限の措置が講じられていることを建築確認の条件とするものです。
  • 具体的な建築確認の条件については、国土交通省からの通達(技術的助言)等※を参考に、現在検討を進めています。
  • 例えば、家屋の水没が予想される区域では、少なくとも避難上必要な部分(例えば、2階や屋根裏部屋)の床面を浸水面以上の高さにすることなどを条件として考えています。

※例えば、建設省事務次官通達(昭和34年10月27日付)『風水害による建築物の災害防止について』

Q14)建築規制は、県ではなく市町が実施するものではないですか?

  • 基本方針(案)では、建築基準法(第39条)に基づく災害危険区域制度を活用した建築規制を行うこととしています。この建築規制は、建築物の建築を禁止するものではなく、「人命保護」の観点から必要最小限の対策が講じられることを、建築確認の条件とするものです。
  • 建築基準法の規定では、“地方公共団体が災害危険区域を指定できる”とされています。ここで言う「地方公共団体」には、市町村だけではなく都道府県も含まれます。すなわち、災害危険区域の指定は、市町村でも都道府県でも指定が可能ということになります。
  • 「地先の安全度」に関する情報は、市町の協力を得て、滋賀県が整備したものです。そのため、この情報に基づく災害危険区域の指定や建築規制についても滋賀県が実施しようと考えています。ただし、「地先の安全度」に関する情報をもとに市町が独自に規制を行おうとする場合には、地方分権の観点からこれを阻害するものではありません。このような県と市町との役割分担についても、条例の策定過程において市町のみなさんと十分に協議を重ねながら検討していく予定です。
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