出席者(敬称略)
委員長
委員
助言者
事務局
【事務局】
みなさん、本日はお忙しい中、流域治水検討委員会にご参集いただきまして、まことにありがとうございます。
私、本日の司会進行を務めさせていただきます流域治水政策室長の中谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、河川政策担当の土木交通部技監勢田よりごあいさつを申し上げます。
【委員長】
今紹介いただきました土木交通部の技監の勢田でございます。今日は、午前中から来ていただいている方もおられるかと思います。非常にお忙しいところを多数お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本滋賀県流域治水検討委員会、本日、第1回目ですが、この趣旨は、皆さまもご承知のことかと思います。昨年の7月、嘉田知事になられた後の治水政策についての新たな取り組みという形で1年少々たちましたが、いよいよ立ち上げさせていただくということでございます。言わずもがなでございますが、治水につきましては、県だけでもなく、市町だけでもなくて、住民の方々も含めて三者で一生懸命やっていかないと実りあるものにはならないというところです。その意味で、この会議が今後有効に議論されていきますよう、お願いいたしまして、あいさつに代えさせていただきます。よろしくお願いします。
【事務局】
はい、ありがとうございました。
私の方から当委員会の組織立てについてご説明をし、ご了承をいただきたいと存じます。
その前に、本日お配りしております資料ですが、まず、本日の会議の次第、資料1「流域治水検討委員会について」です。資料2月1日、2月2日は、パワーポイントのコピーですので、また後ほど使用します。資料3、一枚ものですが、「流域治水基本方針の骨子案」をお配りしております。もし不足があるようでしたら、事務局の方へお申し出ください。
それでは、今お配りしております資料1の1ページをご覧いただきたいと存じます。当流域治水検討委員会、今技監のあいさつの中で少し触れましたが、今までは河川改修なりダムなり、川の中での治水対策、洪水対策をしてきたわけですが、昨今の気象状況等々を鑑みまして、なかなかそれだけでは追いつかないということもありますし、川の外での対策も併せて考えていく必要があるだろう。そうしたときに、河川管理者のみではなく、当然県の行政もそうなのですが、周りの市町との連携も必要になり、流域治水という大きな観点でとらえますと、山の上の方の土砂災害等々も含まれるわけですが、水害というところに着目しまして、まず具体的な場所を申しますと滋賀県の中ほどに琵琶湖があるわけですが、その周りの平野部での治水対策について幅広く検討をしていくということです。
そうした中、1番目のところに縷々記載しておりますとおり、県だけではなくて市町の行政との密接な関係がありますので、その辺をしっかりと意見交換させていただき議論していくために、まず行政部会というものを立ち上げて進めていこうということです。
そうした中、2番目には構成を書いておりますが、委員として9市町にお願いをしました。書かせていただきましたとおり、大津市、彦根市、草津市、守山市、湖南市、高島市、竜王町、湖北町、高月町にお願いをしました。これは地域的なバランスなり、そこにあります河川の状況、また、現在県が洪水予防を進めておりますし、そうした関係でのハザードマップの進み具合等々を鑑みまして、当方からお願いにあがったところです。
国の関係では琵琶湖河川事務所長さんにお越しをいただいておりますし、県の関係では、もちろん先ほど申しましたように河川だけではなく、周りのさまざまな施策に関係するところ、地域振興、県民活動、防災危機管理局、健康福祉政策、農政、土木の砂防、都市計画、住宅、建築というような構成メンバーで組織立てをしていきたいと考えております。
なお、委員会につきましては、例えば都市計画審議会なり既存の法律に基づく必要な組織があるわけですが、これから目指すところについてじっくりした議論をさせていただきたい。そういう性格の委員会ですので、資料1の5ページに、検討委員会の行政部会の設置要綱案として付けさせていただいておりますが、目的としまして、「流域治水基本方針を検討するに当たり、潜在的な水害の危険性を共有し行政間での連携した実効性ある対策等を検討するため、国、県および市町の関係者からなる滋賀県流域治水検討委員会(行政部会)を設置する」ということにしております。
所掌事務につきましては、そこに書いておりますとおり、流域治水を検討するに際しまして二つの観点。一つは、まちづくり政策に関すること、もう一つは水害に備える防災体制に関すること。大きく分けてその二つの観点から検討を進めればどうかと考えております。今ほど申しましたとおり、委員会の性格として十分な議論を進めていきたいという性格でもありますし、また、何かを決定してどちらかを選ぶという委員会ではありませんので、ここは構成するメンバーの中から、委員長につきましては河川政策担当の技監で進めさせていただいてはどうかというように考えております。あとは、会議の持ち方なり、後ほどお話しをしますが、ワーキンググループなりについて記載しております。今申しましたとおり、9市町、国の関係、県の関係課を含めた構成メンバーで流域治水検討委員会を進めていきたいわけですが、そうした中で、主催します委員長につきましては、河川政策担当の技監ということで進めさせていただければというように考えております。もし特段のご意見等ございませんようでしたら、そのようにして以後の進行については、委員長の方で行うということにさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なしの声あり)
【事務局】
はい、ありがとうございます。
それでは、この構成メンバーで、委員長は土木交通部技監ということにさせていただきまして、これから後の進行は委員長の方にお願いいたします。
【委員長】
それでは、今、委員長を拝命することになりました。改めて勢田でございます。よろしくお願いいたします。座って進行させていただきたいと思います。
今のお話にもありましたとおり、本日の委員会、あらゆる立場の方々がそれぞれの立場で集まっていただいていますので、できるだけ取りまとめの方向には努めようと思いますが、まずもってつなぎ役ということで、皆さま方のそれぞれの立場を認識しあいながら、いい方向へもっていけるような議論を進めさせていただきたいと思っています。
本日の進め方ですが、1時から2時ごろまで会議運営のやり方についてご相談させていただき、2時以降に意見交換、大きな方向性の議論をさせていただきたいと思っています。2時以降につきまして、嘉田知事ならびに、今日午前中講演いただきました片田先生にも来ていただきまして、皆さま方の意見交換も聞いていただきながら議論に加わっていただければと予定しているところです。
【委員長】
それではまず進め方ですが、若干お話もありましたが、事務局案について説明していただきたいと思います。流域治水検討委員会運営要領について説明していただけますか。
【事務局】
皆さまのお手持ちの7ページをご覧ください。
流域治水検討委員会、行政部会の運営要領としまして、先ほどご説明しました設置要綱第8条の関係で、運営に関し必要な事項を定めるということで、会議としてはその性格上、2条ですが、原則として公開するものとしていきたいと考えております。公開ですので、傍聴についても認め、また、その内容については会議結果の公表の方法により行うものとするということです。傍聴に関しては傍聴要領を定め、それに従っていただくということです。
3条には、会議結果の公表として、会議結果の概要を取りまとめ、県のホームページに掲載していく。ただ、ご発言等につきましては、当然公表に先立ちまして取りまとめたものを各委員にお諮りをし、確認を得たものを公表していくというように考えております。
会議概要については、議論の中身を考え、公開することが必要でない部分については事項を公開しないこととすることができると記載しておりますので、内容に関しては判断の上、公開、非公開を決めていくということです。大きなところは2条に書いてありますとおり、会議については公開ということで進めさせていただきます。
【委員長】
ありがとうございます。もともと流域治水検討委員会を立ち上げようということで関係の皆さま方にご相談させていただいたときには、公開の議論という、その運営までのご説明を事務局からしていませんでした。ただ、今日の午前中のお話を聞いていただいた方もおられると思います。治水については、何度も言いますとおり、行政だけではなくて住民の方々の意識も含めてみんなで取り組んでいかなければならないということで、行政の中だけでの議論であれば、その後の住民の方々との意見交換も円滑に進まないのではないか、行政の中で議論していくものについて十分プロセスをお示ししていくことが大事なのではないかという趣旨で、今お示ししました運営要領の「公開」という形で進めさせていただいてはどうかと考えているところです。
この第3条までに至る要領の中で特段何かご意見があれば挙手していただいて、意見交換していきたいと思います。
それでは本日、運営要領が認められたということで今後進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
次に、今後の進め方ということで、委員会のざっくりした流れの話と工程の話。皆さまのお手元でいくと1から3ページ目までのポイントについて事務局からご説明してください。
【事務局】
まず1ページをご覧ください。3番目に委員会での検討イメージということで記載しております。
まず流域治水を考えていく上でさまざまな情報があるわけですが、四角囲みの中にありますとおり、これまでの情報としまして主要河川、これは流域面積が大きな河川ですが、水防法で定められた洪水予報を前提にした浸水想定区域図の公表は国なり県が行っております。市町におかれては、その情報ごとにハザードマップの作成をいただいているところです。
次に太字で書いておりますのは、今後新たに加える情報としまして、今までは大きな河川での情報しかなかったわけですが、もう少し規模の小さな河川、県下に500ほどの一級河川がありますし、琵琶湖へ直接流入する一級河川の数は118あります。その中から先ほど申しました規模の大きな河川を除く。規模の大きな河川は具体的に名前をいいますと安曇川、姉川、高時川、日野川、大戸川、芹川等々あるわけですが、それらを除く小さな河川についても浸水想定区域を一度解析してみようということで、現在流域治水政策室で作業を進めております。
今日、午前の講演を聴いていただく中でも少し出てきたのですが、水深だけではなく、例えば堤防の高さ等々を鑑みまして破堤した場合に、その近傍での流速やそれの到達範囲、当然川に一番近いところは水深が大きく流速も速いということですが、その辺の状況もシミュレーションしてみようということです。
そうした情報を生かしまして、次の箱に書いてありますとおり、水害に強い人づくり、家づくり、地域づくり、まちづくりという観点で、具体的なところは次のページ以降に書いておりますが、防災教育、建物の耐水化、自主防災組織等による地域防災力の強化、土地利用誘導や規制など、その辺を視野に入れながら住民と行政の協働型治水の検討というところで、幅広い観点からの検討を進めていきたいというところです。
次、2ページをご覧ください。基本方針検討スケジュールということで、県においての流域治水の基本方針を取りまとめていきたいというところが最終の目標ですが、そのためには本日お集まりいただいておりますとおり、まずは行政部会でしっかりとした議論を進めていきたい。本日8月22日には、検討の体制や去年の秋以降検討してきたところを説明させていただくためには、委員会とワーキンググループと合同ということでたくさんの皆さんにおいでいただいているわけですが、その機会を持たせていただいたところです。ワーキングを3回と書いておりますが、これは実際の検討に当たりまして、当然さまざまな施策の直接の担当課なり担当部署と意見交換なり協議を進めさせていただきたいということで、ワーキングを設置したいと考えておりますので、それを進めていく。年が明けました辺りで、それらの取りまとめを持って委員会に報告させていただいてはどうかというところです。それをもちまして、表の一番左の列二つについては、県庁内で部局横断での検討の組織ですので、次回の委員会で取りまとめできたものを一度県庁内の組織で考えていこうというように考えております。今回お集まりいただいているのは行政部会ということですが、その次のステップにおいては学識経験者の意見を聞く機会、あるいは県民の参画をいただいて意見を聞く機会、そのような仕組みを考えていきたいというところです。この表にあります2月以降の工程については具体的には詰まっておりませんので、今回の委員会なりワーキングの議論を進める中で、その辺りの仕組みも併せて考えていきたいところです。
一番右には建設管理部単位で滋賀県内の河川の状況を代表するようなモデル的なところを選んで具体的に細かなハード施策の展開やソフト対策についても並行して検討していければと考えております。先ほど申しましたように小さな河川での氾濫解析などの作業を進めておりますので、その辺の作業の進み具合に応じて具体的なところも検討していきたいと考えております。
今のフローについて具体的なメニューを書いたのが3ページです。一番上の四角囲みについては、本日実施しております第1回の委員会ならびにワーキングの合同会。第2回につきましては、総まとめで検討しますとかなり範囲が広いですので、ワーキングについては、まちづくりの関係、防災の関係と分けまして、そこに記載しております情報の扱いやその活用方法なり、また具体的には水害に強い家、まちづくりはどうか、また人づくりに向けたところはどうか。そういったところをまちづくり、防災の二つの観点に分けて検討を進めればと考えております。ワーキングには26市町全部ご参集いただきたいということも考えております。そうしますと具体的には数も多いということで、できれば例えば北と南に分けて別々に実施させていただくということも考えつつあるところです。
第3回、第4回については、まちづくり防災の観点を別々に施策の取りまとめなり今後どのようなアクションプログラムが考えられるか、第4回のワーキングのところに書いていますとおり、県と市町の役割分担も含めて検討し、第2回の委員会ではそれを取りまとめたところを報告させていただき、今後の対応方針をご議論いただければどうかと考えております。
そうした検討のアウトプットのイメージについては、4ページに記載しておりますとおり、まちづくりなり防災の観点から検討した具体的なメニューはどういうものを考えられるかというところを列記したものです。これは去年来、当県庁内で検討してきた結果に基づき、こういうところが考えられるのではないかというものです。都市計画マスタープランの関係、土地売買時の重要事項の説明。あるいは現に草津市では条例を作っておられますが、浸水が想定される区域についての建築構造等を規定するといったところも考えられます。県下ほとんどの地域で解析結果がうまくが出ましたら、浸水深の想定ができますので、そういったところを都市計画の線引きに生かしていただくことも考えられるのではないかというようなところも含めて考えております。
また防災の観点においては学習会や、今日も午前中の講演で話が出ていたハザードマップの作成。一言で作成といいましても、そのプロセスにおいてはいろいろな方策が考えられるかと思います。また、現在あります消防団、自主防災組織の訓練等々。また最近ではよく言われておりますが災害時要援護者支援体制等々を考えていけばどうかというところです。以上です。
【委員長】
今事務局から説明がございました。改めて質問なり今後の進め方で提案がありましたら、挙手していただければありがたいと思います。はい、お願いします。
【高月町】
高月町の田中です。本日は、ご苦労さまでございます。
1点なのですが、今回の流域治水の考え方については私も大賛成です。ただ、流域治水でいろいろ作業があるわけですが、例えば地元との調整が困難だとか瑕疵や不作為などの要因によっても被害が起きるといった場合の責任の所在をあらかじめ明確にしておいた方がいいのではないかと思っております。今日のペーパーでも住民と行政との協働型治水というような言葉は非常に美しい響きがあるのですが、ややもすれば不測の事態に対して責任の所在があいまいになる恐れがあるのではないかと思います。
今回の検討の前段としまして、個々の具体的な活動を進捗過程や対応の状況ごとに地元や地元の自治会、市町、県などの対応主体の責任の所在を明確にして、最悪の場合、訴訟などが起こったときにも耐えられるような形の法的な部分の検討もして、そのようなカテゴリーの中で個々の活動をどこまで求めるのかということをしておくべきではないかと思います。そういうことをすることによって、各主体に対して課された責務を全うできるような動機づけになるのではないかということが考えられるのですが、非常に難しい部分もありますので、その辺を念頭に置きながら検討していっていただければありがたいと思っております。
具体的な中身に入ったらまずいですか。
【委員長】
どうぞ。
【高月町】
今日は、都市計画課の方もおられるわけですが、土地利用の規制の現実性ということです。土地利用規制によって誘導していくということは理想的だと思っております。ただ、現実問題として制度的な課題が大きいのかなと考えています。例えば高月町は、木之本・高月の都市計画なのですが、現在のところ未線引都市計画です。分散した小集落が点在しているという状況にありますので、市街化区域や市街化調整区域に区域区分するのが現実的になじまない状況であるということです。
また、未線引都市計画の区域を例えば浸水区域の観点から区分して市街化調整区域を設定した場合、市街化調整区域と浸水区域の両方の観点で地価を押し下げるように規制されるということになります。補償の部分も書いてあるのですが、多大な補償をするというような説明をしたとしても、一般的に住民に受け入れられないような可能性が大きいのではないかという感じがしています。土地に対する想いと、安全に対するリスクに対する想いがバランスするような制度構築や指標設定が必要になってくるのではないかと思います。
さらに一般論ですが、逆線引きの話が書いてありますが、現に市街地が形成されている、あるいはされつつある市街化区域において、一定の浸水深が想定されることから、逆線引きするということは、秩序ある都市を形成するというそもそもの都市計画制度の根幹に反してくるのではないか。都市計画基準としては線引きするときの基準としては溢水する所はというのはあるのですが、すでに線引きが終わって都市が形成されているようなところを逆線引きにしてしまうところも中には出てくるような気もします。制度的には作れるのでしょうが、実際使えるような制度とするためには、ちょっと無理があるような気がしています。ただ、そういうことができるとすれば、非常にそこは理想的になるのだと思いますがということで、ちょっと心配点です。感じたことを申し上げました。以上です。
【委員長】
はい、ほかにありますでしょうか。
【守山市】
すみません、守山市役所です。
今回の流域治水は非常に大事な考え方だと思います。ちょっと教えていただきたいのは、今回の考えることになったきっかけですが、財政難を理由とするようなものなのか、それとも最近の気候変動が激しいということで、そういったものを踏まえたものなのか、そもそも何が背景かというのを明確にしていただけないかというのが一つです。
また、目的としまして、どれくらいの雨量に耐えられるような対策を講じていくのか。そこの前提のところもお話しいただきたいと思います。以上です。
【委員長】
そうしましたら、一番初めに申しましたとおり、今の幾つかのご懸念、ご心配について、私も委員長というより、一委員として私の個人のお話しをさせていただいて、もしそれに対して議論があるのであればここで議論をさせていただきたいと思います。
まず高月町の方の、特に1点目の責任の所在についてです。確かに行政をしておりますと、責任の所在がどこまでかという議論が真っ先に出てくると理解しております。ただ、この場合は、責任があろうがなかろうが、川の整備がどこまで進もうが、それ以上の大きな洪水が出て被害が出る可能性がある。それを小さくするために、それぞれの立場の人がどれだけ議論できるかというところですので、まず、責任論も含めて将来あるべき方向を当然議論させていただくべきものだろうと思っています。ただ、行政としてどこまで責任をもてるのかということを視野に入れて議論をさせていただければと。もしくは、今まで行政の責任の範囲としてやっているところについて不十分なことがもしあれば、そのようなところの改善も含めてというようには考えております。
それから土地利用のお話。これは今の高月町さんだけではなくて、どの関係者の方も皆さん思われていると思います。事務局の作りました特に4ページ目のアウトプットイメージについては、実現性が非常に難しそうな部分も十分あるようには理解しています。ただ、これも現存のいろいろな制度の枠の中で議論していくと、今までの部分を越えられない部分もあるのではないかということで、他の法令を抜本的に変えるというところまでの視野は入れるつもりはありませんが、現行法令の中で弾力的にできる部分はどこかというものを、まさにひざをつき合わせて議論させていただければと思います。
なお、私のイメージですが、基本方針というのは、まさに県で一つの基本方針を作るわけですが、それぞれの市町で立場も異なりますし、地形特性や歴史的な経緯もあります。ということで、基本方針に定めたものについてすべて押しなべて県下のみんなでやりましょうというものではなくて、基本方針というのは大きな方向性を示すこと、その方向性を実現するのに幾つかの考え得るメニューを引き出すことを主眼に置かせていただきたい。そのメニューをそれぞれの地先でどれだけ実現できるかというのは、各個別地域で議論していくべきものだと理解しております。その意味でも、自分のところで現実的に難しいからというのではなくて、非常に軟らかい頭でまずは議論させていただければ、その中で現実的な議論も併せてさせていただければと考えております。
それから守山市さんのご意見です。まず流域治水の背景ですが、財政難や異常降雨、異常気象のお話がありましたが、基本は財政難というよりも異常気象の意識です。どれだけ河川で整備をしても、流域の市町の方々が減災のために努力をされたとしても、想定以上の降雨により被害が出てくる可能性があります。ですから、そういう被害について、どういう形で小さくするかという議論をさせていただきたいと考えているところです。一番初めに申しましたとおり、この会は行政部会ということで、行政だけでさせていただいておりますが、当然、自助・共助・公助の三つの切り口からしますと、住民の方々の理解、意識も含めてみんなで取り組んでいかないと駄目だということですので、そういう中で考えていきたいと考えております。
本質的な議論ですので、入口論の懸念については十分時間を尽くして議論させていただきたいと思いますが、私の考えも含めまして何かございましたら、挙手していただければと思います。
【事務局】
委員長、ちょっとよろしいでしょうか。もうすでに議論の中身に入っているのですが、準備していますワーキングの説明をさせていただき、資料2の1をご説明させていただいてはどうか。今更その辺の資料ということもあるかもしれませんが、そのような進行でいかがでしょうか。
【委員長】
今の本質的な議論というのは非常に大切な事ですが、その議論につきましては、2時以降に嘉田知事が来ていただいた後の方が、私ども十分議論ができるのではないかと思っております。ということで、一度ここで切らせていただきまして、あと、決めていかないと駄目なのが、8ページです。全体の進め方ということで、事務局から、ワーキンググループでさらにひざをついて議論をさせていただく場をというお話がありました。その運営要領にかかわるところです。事務局の方から説明をお願いします。
【事務局】
それでは8ページをご覧いただいておりますが、ワーキンググループを設置しまして、その運営要領というところをご説明させていただきます。
組織立てにつきましては、先ほど来申していますように、9市町、国、県庁関係課の参加により構成されるわけですが、実質の議論としては、各市町、それぞれ要素も異なりますし、一度全部の市町のご意見を伺う機会も必要であろうということもありますので、ワーキングについては、26市町の参加をいただき進めてはどうかと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
併せて9ページをごらんいただきたいのですが、まちづくりの観点、防災の観点ということで、参加をいただくところの委員を構成していただくメンバーについては分かれていただき、26市町には関係部署の参加をいただき、それぞれ二つの観点で検討を進めればどうかということにしております。当然、同じところから出ていただきますので、まちづくりのワーキングをするとき、防災のワーキングをするときには時間をずらして進行することになろうかと思います。それを踏まえていただきまして、今申しましたようなところは第2条に書いていますが、ワーキングの座長には、私、流域治水政策室長が当たらせていただき進めさせていただければどうかというように考えております。会議の運営につきましては、議論の中身の性格上、柔軟に対応できるようにということもありますので、座長がグループを招集するとともに、また必要があれば範囲を越えて参画をいただくということにもしておりますので、柔軟な運営ができるようにしたいということです。
ワーキングを設ける。二つの観点で議論を進める。26市町全部の参画をいただく。そして県関係、国関係については、まちづくり、防災、それぞれ9ページに書いておりますとおり、分かれて議論をさせていただくというようなことを考えております。以上です。
【委員長】
ただ今の事務局の説明、運営要領について、ご意見がございますでしょうか。
それでは、これで運営要領を認めていただいたということで、今後も試行錯誤しながら、もしこの進め方でうまくいかなければ順次変えていく形で弾力的に考えていきたいと思います。本日をもって施行させていただきたいと思います。
【委員長】
それでは、時間がなくなりつつありますが、お手元の資料2の1、滋賀県の水害等にかかわる共通認識ということで事務局から資料が作られていますので、それを2時まで説明をお願いいたします。
【流域治水政策室】
流域治水政策室の中田と申します。私の方から、資料2の1を使いまして説明をさせていただきます。資料2の2については、全国の事例や滋賀県の流域治水に関連する事例を集めております。これは次回、ワーキンググループで活用させていただきたいと思っております。今日は、資料2の1を使ってパワーポイントで説明をさせていただきますが、大変時間が押しておりますので、割愛をさせていただきながら、2時には終わらせていただきたいと思っております。
(以下、パワーポイント併用)
まず、現状の理解ということで、過去の水害時の説明をさせていただこうと思っておりました。昭和28年、昭和34年の伊勢湾台風、平成2年、平成7年など各年で水害が起きております。
また、昨年の7月には姉川、高時川の出水で、もう少しで溢水するというような状況になってきたというところです。
また、当然川の整備もやっておりますし、ダムの建設もいろいろやってまいりました。
また、ソフト対策につきましても、洪水情報の発表、浸水想定区域図の公表、
それに伴いまして各市町の皆さま方には洪水ハザードマップを作っていただいて地域住民の参画をいただきながら進めていただいているという実態があります。
また、雨量水位情報ということで、平成17年からは携帯電話を活用した雨量水位情報を見ていただけるシステムも開発をしているところです。
次に問題の認識、治水上の課題ということで整理をしております。国土交通省のホームページですが、1時間50ミリ〜100ミリがだんだんと発生回数が増えているところです。
ところで滋賀県はどうかというようなことで調べてまいりました。当然滋賀県は水害が少ないので、100ミリというのは過去経験がありません。50ミリでも年に1回ぐらい起こったかなというような程度です。滋賀県ではそういう傾向はまだ見られないという状況です。
ただ全国的に見ましたら、例えば16年では1時間雨量の記録を更新したところがたくさん出ていると、今までの記録を上回る雨量が記録されたところが出るということで、温暖化等の影響によって頻発化しているということが読み取れるのではないかと思います。
滋賀県の周りでの水害の状況を見ますとこのようなことになっておりまして、平成7年から16年の間の10カ年では本県は全国で一番水害が少ない県です。ただ、滋賀県の周りでは2000年以降、各地で大きな水害が起きておりまして、滋賀県にも起きる可能性は十分あると考えているところです。
一方、地域防災力の点ですが、全国では消防団員が減少してきた。また、サラリーマン団員比率が増えてきたというような状況です。滋賀県については昭和45年から各市町村の取り組みのご努力によりまして現状を維持していただいているところですが、ただ、高齢化率やサラリーマン団員比率は全国的な傾向と同じように増えているというような状況です。
災害時要援護者の割合ということで、全国各地で犠牲になられた方の大部分が高齢者の方ということ。それと避難に要する時間が通常の方よりも遅いということで問題になっております。滋賀県におきましても、今後65歳以上の高齢者の方、後期高齢者の方が増えていくということで、この問題は重要な課題になっているという状況です。
これは、薄れる「そなえ」の意識ということで、特に滋賀県は47都道府県中最も水害の経験が少ないということで、水害による被害を受けないのではないかというような意識を持っておられる方が非常に多いのではないかと危惧しているところです。
一方、土地利用につきましては、県全体として農地がだんだんと減って、逆に宅地面積が増えてきた。当然人口が増加している県ですので、被害ポテンシャルが増えてきているのではないかと思っております。
これは彦根の芹川ですが、芹川の左岸側では昭和28年当時は水田が広がっていたのですが、近年では開発がされて川の両側で市街化が進んできたというような状況です。
また、これは東近江市の愛知川(えちがわ)の霞堤の部分です。赤い色が霞堤、青色が本堤ということで、洪水で水位が上がりますと、この部分に水をとどめて下流の水量を減らすわけですが、この部分の中に住宅の開発が進んで、皆さん住んでいらっしゃるというような状況も見受けられます。
一方、河川の整備につきましては頑張って整備を進めてきているわけですが、10年確率雨量に相当する河川整備におきましても17年度末でようやく半分を超えたばかりというようなことで、10年確率の治水安全度を確保するだけでも今後60年以上必要ではないかと予想しております。
このようなことから、限られた財源の中では河川整備には非常に時間がかかって整備途上で被災する危険がある。また、例え完成しても計画以上の洪水が発生する恐れがあるということで考えているところです。
このように課題を踏まえまして、これからの滋賀県の流域治水対策をどう考えていくかということをまとめたものです。これまでの対策は一定規模の洪水を河道内で安全に流下させる(氾濫する頻度を減らす)というようなことで進めてきましたが、今申し上げましたような近年顕在化しております気象条件、河川整備の限界、社会状況の変化、財政状況の変化なども考慮しますと、これからの対策につきましては、まずは県民の皆さんの命を守ることが最優先課題で、2番目として床上浸水のような壊滅的な被害を防ぐというような目標を掲げて、自助、共助、公助を組み合わせてハード対策とソフト対策を連携しながら対策を進めていく必要があるというように考えております。
このため滋賀県では、これまでの対策に付け加えまして、「ためる」「とどめる」「そなえる」というような三つの対策をそれぞれの流域で組み合わせてやっていこうと。これが滋賀県の流域治水対策の概念です。
そのイメージですが、上がこれまでの対策で治水安全度を向上させていこうということで、計画を立ててやってきたわけですが、下の減災安全度、あふれた後の安全度についてどうかと見ていきますと、地域防災力の低下や土地利用の高度化により、逆に減災安全度はだんだんと低くなってきているのではないかというような感じがしております。このために治水安全度をこれまで同様頑張って上げていくのですが、それと併せまして、下の減災安全度のとどめる対策、備える対策を展開しながら安全性を飛躍的に高めていくことが必要ではないか。それを組み合わせていくのが今後の滋賀県の流域治水対策であるという考え方をしているところです。
流域治水検討委員会の進め方につきましては、先ほど説明がありましたので簡単にさせていただきますが、今後、流域全体の安全性を新たな情報としてお示ししたいと思っております。一つは河川の流下能力であり、一つは流速を含めた浸水の危険度をお示ししたいと思っております。これらの新たな情報を活用して、この委員会では水害に強い人づくり、家づくり、地域づくり、まちづくりをどのように県民の皆さんと一体してやっていくのかということを議論させていただきたいと思っているところです。
一つのイメージですが、流域全体の安全性を評価しますと、一つは、将来にわたり命や壊滅的な被害の危険性がある地域、その他の地域、水害に対しては安全であろうと思われる地域に分けられると思います。
将来にわたって危険性のある地域、例えば築堤河川の堤防周辺、築堤河川のY字型に合流したところについては、河川を改修しても危険性はなかなか減らないということで、将来的にも水害の危険性のある地域ではないかというように思っております。
そのような地域の市街地化が進んでいないところにつきましては、土地利用規制をし、住宅が入らないように規制をする。現に市街化が進んでいるところについては氾濫流を制御したり、土地利用の誘導を図り、例えば家屋を建て替えるときには耐水化を高めた住宅にしていただくなり、建て替えの際には移転していただいたりというようなことが考えられないかと考えているところです。
また当然、市街化が進んでいる地域、その他の地域ともに確実な避難をしていただけるような施策を打ち出していかなければいけないと思っているところです。
アウトプットイメージは、先ほど説明がありましたので、省略させていただきまして、今後検討委員会、まちづくりワーキンググループ、防災ワーキンググループに分かれながら、来年1月中旬に一定の方向性を出すということで進めていきたいと思っております。
このような議論を通じまして流域治水基本方針を最終的にまとめさせていただきたいと思っております。
絵に描かれていますように、川の中での対策を河川管理者として今までやってきたわけですが、これからは川の外、氾濫原の対策を危機管理としてやっていく必要があります。ただ、氾濫原では都市計画法、農振法、建築基準法、道路法などたくさんの法律があり、関係者がたくさんおられますので、本委員会での議論このような中での対応を通じながら、川の外、氾濫原の対策の基本的な考え方を探っていき、共通認識として一定の基本方針として取りまとめていきたい。それで基本方針と河川の整備と連携しながら一体的な治水安全度を高めていきたいと思っているところです。行政部会の報告をいただいて、その後、学識者部会。この学識者部会は、大学の先生だけではなく、いろいろな関係者の方も幅広く入っていただいて助言をいただきながら、基本方針の案を決定させていただき、パブコメを経て平成20年度末には基本方針を策定していきたいと思っているところです。
基本方針の骨子につきましては、資料3に案を明示させていただいております。これはまだイメージですので、今後皆さま方との意見交換をしながら、基本方針が実効性のある方針となるよう検討を進めていきたいと考えているところです。
簡単ではございますが、事務局からの説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
【委員長】
はい、非常に時間的に厳しいところをざっと説明をしていただきました。今後の議論をする前に、まず資料の中での幾つかのご疑問等がありましたら、それについて時間を設けたいと思いますが、何かございますか。
【湖南市】
先ほど川の外の樹木の対応がありましたが、現実に例えば野洲川なのですが、野洲川の石部頭首工から甲賀市の杣川までの間、山、河川の中が森になったり、大きい木であればヤシャという硬い雑木なのですが、直径が40〜50cmになっている状態。堤防の外ももちろん大事なのですが、中が、自然保護団体が切っては駄目だとか、そこにイノシシが繁殖して親子で10頭も20頭もいるというような状態の中で、川の中の方ももう少し考えていただきたいと思っております。浚渫も検討の中に入れていただきたいと思います。
【委員長】
おっしゃるのは当然だと思います。まず川でどこまでできて、その中で流域でどう取り組んでというお話が自然の流れです。川の中の内容につきましては、この場で直接的に議論するというよりも、適宜情報提供させていただきたいと思います。現在、川の中のことについて考えていますのは、ご承知かもしれませんが、河川整備計画を滋賀県のほとんどの河川でこれから作っていかなければなりません。その河川整備計画を作るに当たって、住民の方々と川づくり会議をしながら進めていくことになっております。当然行政の方とも話をさせていただく形になります。そうした中で、住民の方々も含めて川の管理、今の樹木のお話もそうですが、どのようにしていくのかという視点から議論を進めていく予定です。その方向性等については、適宜この場で情報提供をさせていただく。この場の中でも皆さま方の意見があれば、それは承っていきたいと考えております。
それでは、この資料についてのご意見、また後でもお受けいたします。一旦休憩させていただきまして、次に、知事と片田先生が来られたときに、もう一度大きな進め方のお話について、私の方から皆さんの意見を聞かせていただきたいと思います。
それでは、私の時計でちょうど2時1分ですので、2時10分から改めて再開させていただきたいと思います。
【事務局】
それでは休憩をさせていただきますが、入り口のところでお茶を用意しておりますので、もしよろしければ、どうぞご自由にお使いください。
【委員長】
それでは、知事と片田先生にも列席していただきました。途中のコメントの中であいさつも兼ねてお願いしようと思います。時間が限られておりますので、審議を進めさせていただきたいと思います。
前半のところで、行政の責任の議論もありましたが、もう一度私の考え方、これからの進め方について提言をさせていただきたいと思います。
まず、午前中片田先生のお話にもありましたが、水害につきましては、行政の力だけでは住民は守れないというのは共通の認識になりつつあるということです。この委員会も私自身もその認識で進めていきたい。すべてが行政でできるわけではない。ただ、逆手に取れば、逆に行政はどこまでできるのかという議論も、この場の中でしっかりさせていただきたい。行政がどこまでできるのかという話につきましては、皆さまも今までも減災対策についてしっかり取り組んでこられたのは重々承知でございます。その中で、他府県の事例も参考にしながら、さらに磨き上げるものはないかというものが一つ。
二つ目に、河川管理者からは、滋賀県の多くの河川でどこが危ないですと、ここの区間はこれぐらい流れますという川の整備状況の情報、それぞれの小さな河川もそうですが、浸水したらどのぐらいの水深になりますという浸水の情報を一応すべてを出すべく今年度作業をしております。そのような新たな情報を活用すれば、今まで皆さんが取り組んできていただいている防災対策についても、さらに次のステップに移れる可能性もある。そういういろいろな条件の中でこれから行政でどこまでできるかというものについて議論させていただきたいと思います。
その意味で、当面の進め方としては、まず水防の一義的責任という形で現場でご苦労されている各市町の方々の中で、現在の実情や、まさに今言った、行政でどこまでできるという議論で、どういうところが課題で、今ここまで取り組んでいるなど、貴重なお話を聞かせていただければ非常に議事として進めやすいと思っております。
今の私の考え方、基本的な認識のところで非常に大事なことですので、ご意見があればまずそれを議論させていただきたい。それを基に各市町から実情についてお聞きさせていただければと思います。
まず何かございますでしょうか。
【大津市】
大津市です。前のところで高月町さんのおっしゃったこととかなり関連するのですが、流域治水という考え方が非常に重要であるということは私ども十分認識しておりますし、これから積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますが、先ほどもお話がありましたように、現に河川の整備が非常に遅れている。また河川整備計画もあまりできていない。分かりやすく言えば将来の川がどうなるのかという絵姿がきちんとできていない状態の中で、地域住民の方に流域治水の考え方をどれだけ理解していただけるのかということについては、いささか危惧を持っております。
資料の中には入っているのですが、流域治水の考え方が基本的には減災を主眼に置いているというところはある程度はっきりと置いていただいて、河川整備との両輪の片方も非常に重要な軸なのだということをきちんと示唆していただければありがたいかなと考えております。以上です。
【委員長】
ここは委員長というより、河川整備の責任者として説明させていただきます。
まず、河川の整備の見通しについては、おっしゃるとおり、今までのところ、住民にも十分示しきれていません。市町の方々にも示しきれていませんので、今年度から来年度にかけて河川整備計画の策定というプロセスの中で住民の方、市町の方々に十分お示しして議論させていただきたいと思います。
その中で川の中の整備については、どこまでどういう形で考えているというものをお示しはいたしますが、当然自然災害というのは河川の整備計画で目標にしたもの以上のものが発生する可能性があるわけです。整備水準に見合ったというよりも、整備水準はそれであって、それ以上の洪水が来たときに流域も含めて川も含めてどう受け止めるか、という議論をさせていただきたいと考えております。
【高月町】
先ほども少しお話しさせていただいたのですが、流域治水というのは以前から嘉田知事も言われておりますように、予想を超える雨が降ったときは、もちろん施設として対応できないと。それから予算の関係、あるいは段取りの関係もあって、時間軸で予定した整備ができるまでには相当年数がかかると。それまではできたとしても超えるものについては流域治水が生きてくるわけですから、その辺をしなければいけないという話だと思うのです。
高月町の場合には浸水想定図は県の方で今年の6月に高時川は作っていただきまして、余呉川の方は平成20年度、それと重ね合わせてハザードマップを作るということになっています。今各集落、高月町は組織化されているのは32集落あるのですが、そこにいろいろな行政の課題も含めて懇談会をして説明をしております。そのときによく言われるのが、高時川は何で整備しないのだと。要は整備しないからこういうことをしなければいけないのではないかということを言われる場合があるわけです。河川が整備計画に基づいて整備してある、していないということの違いによって、市町の行政なり地元の対応が過重になってくる可能性もありますので、その辺はいろいろな面でご配慮願えればありがたいということを考えております。以上です。
【委員長】
はい、先ほどの大津市と同じご意見かと思います。河川管理者としてやるべきことをしっかりする。当然これからの議論になりますが、河川管理者、水防管理者、住民の方も含めて、住民の方を含めると役割という言い方はちょっと難しいとは思いますが、それぞれできる部分というのがありますので、それを十分議論させていただきたいと思います。
【守山市】
守山市です。先ほどの大津市さん、高月町さんと似た話にはなるのですが、流域治水の考え方は非常に重要だと思っております。しかしながら、市民含めて責任分担をすることの理解を得るのは非常に難しいことだと思っております。この中で確認していただきたいのですが、県の方で財政難の話をいろいろ伺っております。流域治水の話をしますと、県の方でやっている整備がなかなかうまくいかないので、その分を市民の方へ土地利用規制などによって、ある意味押し付けというか、県の方でできないことを市なり市民の方に押し付けるというように見えてきますと、なかなか進まないと思いますので、県の方でやるべきことはしっかりやっていただくというのを前提として進めていただきたいと考えております。
【委員長】
皆さまのそういう声が相当程度あるということを十分心しまして進行させていただきたいと思っています。
ではよろしければ各市町の実情について聞かせていただく中で、今後ワーキンググループで具体に議論されていきますので、その大きな方向性まで示しきれるところまでを本日たどり着けばいいと考えております。よろしければ実情について、水防管理者の立場と、それ以外の立場でも構いませんので、恐縮ですが、大津市さんから何らかのお話をしていただければと思います。
【大津市】
実情と申しますとあれなのですが、いわゆる地域ごとの防災組織の取り組みにつきましては大津市の場合は全部で35学区ある中で、すでに31できておりまして、残りの四つも今年度中に何とか防災組織を立ち上げていただくようにということで進めているところです。
防災組織の立ち上げについてはだいぶ進んでいるのですが、ネックになっておりますのが、防災組織の活動財源でちょっと苦慮しております。今は現実問題として備品の整備などについては県からの補助金を頂きながら町の方にも助成をして大体3分の1ずつぐらいの負担ということで地域に3分の1を負担していただいたり、活動経費についても3年間ぐらいは市の方から助成をするという仕組みをとっているのですが、補助だと自主財源が必要だということなのです。現実に自治会にしか財源がないのですが、そこに頼ると自治会に加入していない方はどうするのか、不公平が生じるのではないかという議論がありまして、極端な話、公平性の観点からいけば税金から何とかするしかないのかなという議論にもなりかねないということで、活動財源について非常に苦慮しているというのが今の状況になります。
ハザードマップに関しては、作成は進んでおりまして、今年すでに該当する自治会等につきましては全自治会に実際に担当官が赴きまして説明させていただいたという状況です。
ちょっと現状とは異なりますが、先ほど出ておりました土地利用誘導をどうするのかということが多分次の議論とし出てくるのだと思うのですが、これについては、先ほどの説明では現行法制の中でというお話がありましたが、正直申し上げれば、現行法制の中で建築物の規制や土地利用の誘導まで規制力をもって行うのは恐らく無理だろうと思います。条例はあくまで努力規定のようなものにしかなりませんし、特に土地の利用につきましては財産権と絡みますので憲法との関係が出てきますから、恐らく法律の中で一定の規定をしていかないときちんとした規制はかけられないだろうという気がいたします。そうなりますと、現行の制度の中ではなかなか使えるものがないのかなというのが正直に感じておりまして、むしろハザードマップも含めた情報の提供をしっかりとやっていって、その中で実際に土地を使われる方の判断にお任せするというのが筋なのかなという気がしております。
ちょっとまとまりませんが、以上です。
【委員長】
はい、ありがとうございました。いろいろな立場の人からのご意見をいただければ、今日はそれでいいと思いますので、次に彦根市さんの方で何かございますでしょうか。
【彦根市】
彦根市としては自主防災組織の設置率を上げていこうということで、私は総務ですので、市内300ちょっとある自治会で組織率を上げていこうと。47都道府県の中でも滋賀県は災害の一番少ない地域だというお話を午前中お聞きしましたが、彦根市民も災害に対する意識が非常に低い。それははっきりと言えるわけです。現在は38%の自治体が設置しておられます。所帯数でいきますと46%で、全国平均は60%ぐらいだと思うのですが、それに比べると非常に低い。
彦根市は城下町ということで、芹川も城下町の堤防右岸が決壊しないような整備がされていたということも聞いておりますが、芹川沿岸でも学区ごとに見ますと、一つの学区では右岸の方では七十数パーセントの設置率ですし、一方、もう少し上流にいくと30%ぐらいの設置率しかない。市民の意識についても、市内でも高いところと低いところが見られるのかなというように思っております。そういう意味で、県も補助を付けていただいておりますが、彦根市でも組織の設置について、整備についての補助を出して、何とか自助、共助で協力していただこうというような形でお願いをしております。
市民防災マニュアルですが、これについては今年市内全戸に配布をさせていただいたところです。以上です。私は建設関係の方は専門ではありませんので、ちょっとまとまりませんが、そんな形で報告をさせていただきます。
【委員長】
どうもありがとうございます。次に草津市さん、お願いいたします。
【草津市】
草津市の浅見でございます。
私どもは、昨年度ハザードマップにつきましてワーキングをさせていただきまして、市民の方に参加をいただき、3回にわたり議論を重ねてハザードマップを作成させていただきました。
ご承知のように、草津もJR琵琶湖線、旧草津川というものがありまして、琵琶湖線については南北、旧草津川については東西ということで、十字で地域がそれぞれ遮断されるような形になっておりまして、交通の便についても地形的には琵琶湖線を越えなければならない、また旧草津川を越えなければならないということで非常に入り込んでおります。そういう中で、一級河川が16河川あり、草津川については国のご努力により新しく付け替ったわけですが、琵琶湖にも面しており、また野洲川にも近いものですから、その辺については浸水の区域をご指定いただきましたので、それに基づいていたしたわけです。
それぞれの地域が平坦地のところから山のところ、丘のところがありますので、避難の仕方が自ずと草津の中でも違う。そういうご意見を重要視させていただき、グループに分かれて、それぞれで何が必要なのかという議論をしていただいて、区域別にハザードマップを避難の個所、経路について議論をいただいて作成をさせていただいたということです。
特に草津駅前については、浸水が80cmする区域になっております。先ほどのアウトプットイメージの中で、まちづくりグループの中でその関連で検討していただく中で、草津駅前は市街化区域ですので、そういうところを都市計画の線引きを変えて市街化調整区域に編入するという一つの課題が挙がっていますが、想定できない件ではないかと。都市計画の逆線引きをして市街化調整区域へ編入するということはありえないなと、先ほどの説明を聞かせていただいて疑問に思っているところです。
現実は市民の方がいかに早く安全に避難していただけるかということが最重要課題だと思っております。ハザードマップを作成して5月1日に全戸配布させていただいたわけですが、5月27日に国交省のご協力もいただいて避難訓練をしたところですが、市民の方がどれだけハザードマップをご利用いただけるか。しかし、現実は雨が降っているときに避難を勧告しても、雨が降っていて窓を閉めておられ、現実は逃げられない、聞こえないというのがありまして、いかに市民の方に情報伝達をしていくかというところが課題であろうかということを訓練では認識させていただきました。町内の組長さんが一軒一軒回られて戸を叩き避難していただくということになりますと、確実に避難していただけるのですが、マイクで言ってもなかなか聞こえないというのが現実で、市民の方も何も聞こえなかったと。その日はちょうどいい天気だったのですが、そんなことが現実で、われわれ行政マンが机の上で考えているような事態が、現実に災害、また多くの降雨があった場合、対応できるかというのは非常に懸念をするところです。
先日の20日に、私ども草津も時間雨量40ミリ以上を超えた集中的な雨が降りましたが、それでさえ冠水してしまったという事態があります。今後温暖化による気象状況を懸念しますと、流域治水については、非常に重要なことだと期待申し上げておりますし、市民の生命と財産を守るためには、何とか早くしていただかなければならない。また、一級河川を早く整備していただかないと、普通河川が流下しないという形になりますと、当然家の前が浸水して避難ができない。これが現実であろうかと思います。ですから、先ほどのお話の中にもありましたように、60年余りかかるということになりますと、到底今お住まいの方が災害に遭わないということは考えられませんので、何とか説明責任を果たせるような形で、われわれ市も努力をさせていただきますし、県、また国にもご協力をいただきたいというのが正直な話です。
ハザードマップを作成させていただいて全戸配布させていただきましたので、これを今後どのように活用していくか、また、どのように活用していただけるかということが課題だと思います。それらを定期的に出前講座的に各町で集会をされたときに、どこに置いておられるかという確認もしながら、啓発をしていくことが大事なことではないかと草津市では考えており、今後それらの啓発に努力していきたいと考えております。以上です。
【委員長】
はい、ありがとうございました。次、守山市さん、お願いします。
【守山市】
守山市です。まず自主防災組織ですが、守山市は70自治会ありまして、すべての自治会に自主防災組織が設置されているところです。自主防災計画というものを作ってもらっておりまして、今のところ49の自治会で作っていただきまして、また残り21の自治会にも作成をお願いしているところです。何らかの訓練については全自治会の方で実施していただいている状況にあります。
うちの守山市長は、ご近所の底力というものを推進したいと申しておりまして、今年度はご近所の底力をより発揮した防災力の向上を働きかけていきたいと考えているところです。
ハザードマップにつきましては今年度作成しているところです。また、その結果を踏まえて市民にしっかり周知をしていきたいと考えております。
また、どこの市町村もそうかもしれませんが、大雨洪水警報が出ますと、市の庁内で出動体制をとっておりまして、警報が出た時点で職員が出動します。守山市の場合は市街地の中に消火栓が多くあります。それらの川がちょっとした雨でも溢水することが多い状況ですので、警報が出ましたら職員が出動しまして、必要に応じて土のう積みを行う等の取り組みも行っているところです。
守山市につきましては、これまで野洲川が一番大きな問題で、昭和28年に大洪水が発生しました。その後、直轄河川に変えていただきまして、国の方で整備いただいて、周辺に住んでいる住民からしますと、これまで大雨が降ると、ろくに寝ていられなかったと。ゴーゴーというすごい音がして寝ていられなかったのが、放水路の完成によって安心して眠れるようになったと、非常にありがたいというように申しているところです。野洲川の整備で一番大きな課題は解決いただいたところです。
残り、県の方で新守山川という、これは新しい放水路なのですが、天神川、法竜川、この三つの河川の改修をしていただく方向で進めていただいているところです。新守山川の放水路については昭和47年から事業着手していただいていまして、実は35年経過しています。3.5kmの放水路なのですが、残り300mというところまできているのですが、今のところ平成24年度までかかるということで、なかなか進んでいないという状況にありまして、地元から一刻も早くという声が挙がっております。今週の日曜日の夕方、大雨が降りましたが、あのときも新守山川が、職員が見に行ったのですが、河床の半分ぐらいのところまで水が流れていたということで、放水路なり河川の整備というのは非常に重要なのだなということをわれわれは改めて認識したところです。また、天神川、法竜川につきましては、これから整備をお願いするということで進めていただいておりまして、引き続きよろしくお願いしたいと考えているところです。
守山の地形につきましては、県内で多分一番平坦だと思います。市内で高低差が10mしかありません。そういう中、放水路なりしっかりした河川の骨格ができていなければ、なかなか市内の溢水というのは防げないのかなというように認識しているところです。
今後流域治水をご検討いただく際にぜひ一つ念頭に入れていただきたいと思っているのが、もちろん安全のためにいろいろな規制を施していくのも重要だと思うのですが、一方で地域の活性化というものも忘れてはならない視点なのではないかと思っております。特に湖南地域については人口も増えております。また、企業さんも積極的に来たいという話をしておられます。そういう中、一律規制をするというようにしますと地域の活性化に支障が生じる可能性がありますので、そこはしっかり地域の実情に合わせた導入というのをお願いしたいと思っております。
企業の活性化という意味で産業の誘致の関係で今県の方で要綱に基づきます調整池の設置等のご指導をいただいているところです。これが1ha以上の開発について適用されておりまして、実はうちの市内の公社が整備したところ以外のところで1haを超える進出というのはほとんどないという状況です。企業さんによりますと、1haを超えるとかなり大きな調整池を県の指導で作らなければいけなくなりますし、また、分析したり非常に時間もかかるしお金もかかるということで、1haを超えない範囲で開発をしているケースが多いようです。こういう形で規制をすると一方で企業進出なり活性化が遅れる状況にありますので、その辺のバランスをしっかりとっていただけたらなと考えています。
なお、今年うちの方に新しく企業が進出する話がありまして、今造成まで終わっているのですが、5haの開発をされまして、調整池の面積は大体1割ということで、操業を開始するにしても、1割の面積を調整池に取られると。さらに調整池の深さが深いところで3mということで非常に深いものですので、調整池を作るのは大事ですが、一方で雨水バイパスの整備等もしておりますが、抜本対策がなければ地域の活性化というのもなかなか進まないというように思っているところです。
次に、土地利用規制の逆線引きという話がありますが、市街化区域を調整区域に入れますと当然私権の制限ということがありまして、しかるべき補償というのをしっかり考えていただくことが必要だと思っております。先ほど高月町さんからの話もありましたが、今までずっと住んできたところで規制を加えられると非常に市民の方の反発も強いと思いますし、しっかりとした説明が必要ではないかと思います。また、守山も市街化調整区域の中にも多くの集落があります。これらの集落は昔からの集落で、また、地域文化が育ってきたところですので、こういったところで一律規制を加えて建物が建たない等のことをしますと、集落の崩壊なり文化の崩壊があり得ると思いますので、そこも、一概に逆線引きや土地利用規制をいきなりやってしまうというのは非常に大きな影響が出るというように考えております。
私の方からは、以上です。
【委員長】
次、お願いします。
【湖南市】
湖南市の産業建設部の谷口でございます。
私ども平成18年にハザードマップを作成させていただきました。そこで、区の自治会の会議が5月にありますので案内を出したのですが、やはりびっくりされたのは天井川が多いことです。湖南市はなぜこんなに天井川が多いのかということを言われました。県の方で随時天井川の平地化を進めていただいています。今現在由良谷川という川を平地化に向けてほ場整備と関連して進めてもらっておりますが、まだ小砂川、大砂川、大谷川、落合川の4本の天井川がまだ残っています。なぜすぐできないのかというと、ここには国道1号とJR草津線が横たわっています。天井川ですので、国道1号なりJR草津線を切り下げしてこなければならない。急に切り下げることができませんので、最低上下で300m以上は下げてこなければならないということがあって、費用がかなりかかると言われています。そんなことで今ずっと見ていますと、5年に1本ぐらいしか天井川が下がっていないというのが実情で、危険な区域でもあります。
それに関連して、湖南市は野洲川を中心とした南北に分かれた住宅地で、昭和45年当時は人口が1万2000人だったのですが、今は5万6000人です。これはなぜ増えてきたのかというと、昭和45年から湖南工業団地の進出がありました。これは関西唯一と言われておりますが、今70社近くの企業が操業していますが、これによって京阪神からかなりの住民が転入してこられたということです。それによってではないのですが、特に野洲川が南北に流れています。その中で、野洲川の中は森か山の状態です。今現在県の管理区になっているのですが、何とか切ってもらえないだろうか。ヤシャという雑木なのですが、大きいものでは直径40cmぐらいの雑木が生えて、森、山の状態になっている。そこにイノシシが野洲川の水を飲みに入ってきているという状態にあります。そんな中で、何とか野洲川の石部頭首工から甲賀市の杣川までの県の管理の河川の中の浚渫をお願いしたい。何回もお願いしているのですが、自然保護団体の方から、切ってもらっては困るということを言われるのです。その辺も、全部切ってくれとは言いませんので、ある程度市の方に任せていただけるのなら、お願いしたいと思っております。
湖南市は今まで農業振興地域はほ場整備は100%なのですが、市街化区域は組合施工で土地区画整備事業というのを進めてきました。これも市街化区域のほ場整備は土地区画整備事業をするのですよと言ってきました。この中で、まちづくりグループの中で、市街化区域内を調整区域に編入して開発抑制制度、いろんなことから話ができない。固定資産税はもちろん市街化調整区域より高いし、今更都市計画税を返してくれるのかということにもならないかというようなことも心配しています。そんなことで、特に湖南市は8割の人が京阪神から来られて、静かで緑が多くて、地価が安いということで、ここを選んできたのだということを言われていますので、この辺の自然も大事かなと思いますし、治水対策も大事だと思うのですが、そういう形で今まで事業を進めてきた関係もあって、この辺もなかなか難しいかなと思っています。治水対策については、私どもは大賛成ですので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。以上です。
【委員長】
高島市さん。
【高島市】
高島市です。
まずハザードマップにつきましては、土砂災害と地震のハザードマップを今年度中に作成する予定です。洪水につきましては、安曇川が今年の6月に指定されましたので、それと併せてほかの中河川の浸水想定区域図を示された時点ということで、来年度計画しております。
住民の方にお伺いしますと、湖南市が言われるように河川の中の整備が全然できない。計画上は、10年1回とか30年に1回の雨量に耐えられるというようになっていますが、あれだけ竹や雑木が生えていますと、想定内の雨量であっても災害が発生するのではないかというような危惧が持たれていますので、河川内の整備もよろしくお願いしたいと思います。でないと、流域治水と言われても、なかなか住民が納得しないような気がします。
ハザードマップで今一番困っているのは、地震と洪水で広域避難所が違うということです。なぜかといいますと、洪水のときは広域避難所が沈んでしまうというような所にもありますので、それを引きますと、平地部の広域避難所はほとんど使えなくなるということで、地震のときは使えても洪水のときは使えない。その辺の調整をしておりますが、住民の方にとっては、地震と洪水でなぜ違うのかと、なかなか納得していただけない。しかも、広域避難所は住民の住所からかなり離れたところにあるということで、その辺を納得させるのが大変だなと今思っております。以上です。
【委員長】
竜王町さん、お願いいたします。
【竜王町】
竜王町です。午前中、片田先生のお話を伺いまして、いろいろと考えさせられました。その中で、ハザードマップについて、竜王町もすでに作成し全戸配布を行なっているわけですが、ただの地図で終わることなく、生きたマップとして活用していただけるように行政から働きかけをしていかなければならないと改めて思いました。
これも午前中の片田先生のお話にあったのですが、今までの行政施策の積み重ねではあろうかと思うのですが、行政に依存する住民体質ができつつある中で、地域にもよるのですが、住民にいかに自助、共助に気付いていってもらえるか。それを行政という立場から働きかけるということが非常に難しいというのが率直な思いです。以上です。
【委員長】
はい、ありがとうございます。それでは湖北町、お願いいたします。
【湖北町】
はい、湖北町です。湖北町は、現在ハザードマップを作成いたしましたが、もう少し手を加えて、今後町民の皆さまに示していき活用をしていきたいと考えております。
また、町内35集落あるのですが、今現在防災計画を立案しようとしております。いかに行政と住民の方が共同してやっていけるか、戦略を練っているところです。今までは行政主導でしたが、もちろん当然なのですが住民主導で、行政はお手伝いをするという考えの下でやっております。
いろいろと課題はあるのですが、午前中の片田先生のお話を聞かせていただきまして、今日は担当が二人来ているのですが、ヒントをいただけたと思っております。ありがとうございました。
【委員長】
はい、では高月町さん。
【高月町】
すでにいろいろ言わせてもらっているのですが、高月町としましては、自治会数として全部で32集落あります。その中では18集落で自主防災組織ができていまして、取り組みに濃淡はあるのですが、すべてではありませんが、学習会や防災訓練をやっている状況です。ただ、集落に含まれない未組織の戸数が百数十戸ありまして、その辺をどう扱うかというのがなかなか難しくなってきているということです。
それから水防団、これは消防も兼ねるわけですが、当町で282名ということで、人口1万250人からすれば火災に対しては対応できるのですが、水害のような同時多発的に発生する場合には、やはり少ないので、今はまだ自主防災組織が18集落しかできていないので、これを全部の集落に作っていただいて、しっかり学習会なり訓練をしていただくようにしたいと思っています。
ハザードマップの関係ですが、高時川については浸水想定図が今年度できたわけですので、余呉川との重ねあわせという部分がありまして、これができた時点で各集落と相談して作成したいと思っています。というのは、今は第一次、第二次の避難場所は一応決めてあるのですが、ハザードマップができないと逃げる経路が分からないところもありますので、その辺を少し勉強しながら、各集落と共同作成していこうかなということを考えています。
この前も8月19日に半日かけて防災訓練をしました。水防団の3分の1と高時川沿川の区長さんに出ていただいて土のうを積んだり、シートを張ったりというような形でしております。
今日は、片田先生から連絡網という話があったのですが、当町の場合には防災無線を全戸に配布しておりまして、それによって一括で一応連絡はできますし、あるいは集落によっては区長さんのところから区の全戸にできるようになっているところもありますので、その辺をうまく工夫するような形で連絡網をきちっと対応していきたいと思っております。
今日は河川の中の立木の話がかなり出ているのですが、高月町においては、高時川に対してできることからしていこうということで、河川内の私有地の立木については、各集落の区長さんにお願いをしまして、伐採や管理をしてもらえませんかということで、まだ文書は発送していませんが、やっていただこうとしています。
うちの町長が高時川の治水対策促進協議会の会長ですので、協議会に含まれている自治体にはすべてそういう形で動きませんかという投げかけをしているところです。整備はまだできていないのですが、地元自治体としてもできることはやっていこうと。できないことはあるのですが、少しは対応はできるだろうということで、今投げかけをしている状態です。
冒頭にもお話ししましたが、私も実は土地利用に4年半ぐらいどっぷり浸かっていたのですが、土地利用規制というのは、いろいろな法令、それぞれの目的がありますので、いろいろ難しいなと。そのようにゾーニングができれば一番いいのでしょうが、それぞれの法律の整合もありますし、民法や憲法の制限の部分も入ってきますので、どのように条例で定めるのかというのが、私どもストンと落ちないところがあるなという感じです。以上です。
【委員長】
ありがとうございました。一通り市町さんにお話をしていただきました。切り口としては、私の整理する限り大きく四つくらいのお話があったのかなと。一つは自主防災の話。二つ目が情報、特にハザードマップのお話。三つ目が、まちづくり。逆線引きは現実的には非常に難しいというお話が中心だったのですが、そういう議論。四つ目として、河川の中ですべきことはしてもらいたいというお話。大きくはこの四つぐらいに区分されるのではないかと感じましたが、今の段階でよろしいのですが、片田先生、何か。
【片田教授】
話が多岐にわたっておりますので、今日午前中に話しをしたことより大きく出るという話は特に新たにありませんが、私のような立場の者がどうあるべきかというように考えていることと実際に現場の皆さんが地域の住民の皆さんと向かい合っておられる中で上がってくる問題の難しさということをひしひしと感じながらお話を伺っておりました。ただ、最終的にいろいろ障害もあろうと思いますし、いろいろ問題もあろうと思うのですが、いつも最後に念頭に置いていなければいけないところは何かというと、いろいろ難しい問題はある。だけど、最後、災害があったときに住民の命が一人としてなくならないという状況をどう作り上げるのかということを第一番に置いて考えていくときに、いろいろな障害の解決の糸口も見えてくるのではないのかというようにも思うわけです。
今日私が午前中お話しした内容も、そういう視点からの話でして、現場の中で難しいところはいろいろあるのかもしれませんが、先ほど知事ともお話しをしたのですが、私も今日はこういうお話しをしたわけですので、協力できることがあれば、それぞれの市町の中で協力もしていきたいというように考えておりますので、声をかけていただければというように思います。
また具体的な話は、煮詰まった話が出てからだと思います。
【委員長】
やはり主要な方のご意見を聞いておきたいと思います。ある意味河川管理者という意味では同じ立場なのかもしれませんが、国の河川事務所の所長、何か今までの先進的な取り組み事例も含めて何かお話しをしていただければと思います。
【琵琶湖河川事務所】
琵琶湖河川事務所の津森でございます。
先ほどからお話を聞かせていただいて、今琵琶湖河川事務所の方では直轄に関連している大津市さん、守山市さん、野洲市さん、草津市さん、栗東市さん、水害に強い地域づくり協議会ということで、何度か議論させていただきまして、先ほど草津市さんからもご紹介がありましたハザードマップを活用した避難訓練というのがやっとできるようになってきたのかなというように考えています。
着実に市町の皆さんと、こういう場をきっかけに議論をさせていただいて取り組みの輪を広げていくということと、もう一つ思いましたのは、それぞれの行政が抱えられている地理的な条件や歴史文化的な条件が大きく異なる部分もありますので、そこを踏まえた取り組みをやっていかなければならない。われわれが担当させていただいている瀬田川や野洲川、草津川の周りというのは、滋賀県さんの中では、これはどちらかというと全国的にも稀有なぐらい人口が増加し、また産業がこれからでも集積しようとしている地区ですので、そういうところと県内のほかの地区とは違った取り組みがあるのかなと思っていますので、それをきちんと個別具体に考えていかなければならないと思っています。
あと1点、ご紹介ということではないのですが、今日は参考資料として私の方から、「淀川水系河川整備基本方針」というものをお手元に配らせていただいています。これはきちんと各市町さんにご説明しなければならなかったのですが、まだきちんとできておりませんが、8月に国土交通省として琵琶湖も含む琵琶湖淀川水系の河川整備基本方針というものを作っております。これは国直轄の方で行う場合に、大きな河川整備、管理の方針、われわれがこういう目標でやりますというようなものが具体に書いてあるのが基本方針なのですが、そこの10ページを見ていただきたいと思います。下の方を見ていただきますと分かりますが、一つは琵琶湖周辺については明治29年当時、これが実際に起こった洪水ですので、われわれとしてはこれへの対応をしっかりと考えていかなければならないと考えています。
そして、その次の1行空けたまた新しい段落、これが今日の滋賀県さんもおっしゃる、これまでの洪水の実績も踏まえていろいろな予警報や水防活動、また次のページの情報伝達、土地利用計画や都市計画の調整。ここは具体性はまだありません。要はこういうことをやっていきたいということを考えておりますので、われわれが直接管理している区間だけではなくて、淀川水系の中でもいろいろな取り組みがありますので、そういう情報もこの場で提供させていただいて、できるだけ具体化するようにご協力をしたいと考えております。
そのほか全国的にもいろいろ取り組みは行われているようですので、それをわれわれの経験や知識を活かした形で一緒になって考えていければいいというように考えております。以上です。
【委員長】
ありがとうございました。
さて、これからどう進めていこうかということですが、委員長の立場としましては、次回からは、ワーキンググループの方で議論を深めていただくその方向性の議論をさせていただきたいと思っているところです。その意味で、今まで市町さんからいろいろな現況やお考えについて聞かせていただいた中で、私なりの考えを提案させていただきたいと思います。
先ほど申しましたとおり、大きく分けて四つぐらいの論点が出てきているのではないかと思います。自主防災の組織の話、情報、特にハザードマップの話、まちづくりの話、河川整備、川の中の整備の議論ということがあります。当然それぞれの立場を共有することが大事だと思いますので、最後の4番目に申しました河川整備については、今の維持管理の状況、県の河川管理者としての今後の維持管理の取り組みの考え方等について、できれば次回のワーキングにでも皆さま方にもお示しして、川の中でもとにかくやれることはわれわれとして努力していくということを事務局で資料を作って説明させていただこうと思います。
次に、まちづくりです。イメージのところで逆線引きのお話が唐突に出ましたので、そこに非常に反応があったわけですが、これも問題認識からご意見をいただければ結構かと思いますが、私どもとしましては、やはり川の中もしっかりやれることはやります。流域の減災もやれることは皆さんと一緒にやっていこうと思います。ただ、そうしても守りきれないような状況が出てくる恐れがある。例えば固有名詞は申しませんが、県の中でも霞堤の中で住宅街がある。要は行政で守りきれないようなところで新たな都市開発が出る恐れもあるという中で、そういうものについて規制という乱暴なことまでを想定しているわけではなくて、何らか少しでも緩和していく措置がないものかという問題認識というのは、これは議論していただければいいと思いますが、共通認識として本日持たせていただきたい。そうした中で、県のいろいろな行政の関係課長さんも列席していただいていますので、そういう方々も含めて何らかの策がないかを議論していただけないものかと私自身は考えているところです。
三つ目の情報のハザードマップの話です。これはまさに今日の午前中のお話で、住民と一緒に作るのが効果的ではないかというような貴重なご意見もお伺いさせていただきましたので、これから作るところについて、より良いものを作っていくためにどうするべきかをまず議論を深めていただくのが非常にタイムリーで、非常にいいものではないのかと考えています。
最後四点目の自主防災のことです。自主防災については、幾つかの市町からも触れられました。淡々としたデータのお話だけだったと思いますが、実情は相当苦しいということだろうと思います。ここについては大きな問題でもありますし、これから住民の方々と行政とがどうタイアップしていくかという大きなテーマにもなると思いますので、大きな方向性は示しませんが、今の現状をさらにもう一度つぶさに共通認識を持つ中で、行政と住民との連携という中でどういう方向がありうるのか。まさに行政だけでできるという部分だけではなくて、ここについては住民の方々に意識持っていただくように行政としてどのようにお手伝いしていけるかという視点からのアプローチも非常に大事なのではないかと思いました。そういう視点から議論を深めていただくということで、いかがなものなのかと考えております。
今申しました4点をよく考えてみますと、一番初めにワーキンググループで二つ作らせていただきたいと申しましたが、まず防災ワーキングでは、自主防災の話と情報の話の二つについての議論がそぐうのではないか。まちづくりワーキンググループは、まさにまちづくりの議論がそぐうのではないか。河川整備の話は、両部会に改めて河川管理者としての考えはご説明させていただく場を持つという方向で、大きな方向性ですが、そういう議論というのはいかがなものかというように感じました。
その大きな流れについて、ご意見等ございましたら、十分ここで議論をした中で、ワーキンググループに移していきたいと思います。
【高月町】
基本的にはそれでいいと思います。次回、いつワーキングをされるのか分かりませんが、ワーキングの前に、今日いいと言われた方向性に基づく骨子みたいなものを事前に送付してもらって、そこでもし意見があればという形でやっていただければ、次のワーキングのときには、一度意見を踏まえたものになると思うので、少し前に進むことができるのかなと思います。
自主防災組織などのいろいろな観点が出ましたので、それが一体どうものかということで、統一的な資料収集の様式を県の方で作ってもらえば、そこのところはしゃべって時間をかけるよりは、ある程度資料ができて、それを補足するような形で作業が進むのではないかと思いますので、よければそのようにしたらどうでしょうか。
【委員長】
そうですね。非常に忙しい方々に重要な案件ということで駆けつけてきていただいていますので、次回から円滑に進められるように十分工夫をさせていただきたいと思います。
市町さんの意見を聞くことはできたのですが、県の担当の方からも何かございますか。
【県民活動課】
県民活動課の青山です。自主防災組織の話がたくさん出ていました。最後に高月町さんのおっしゃったデータは、7月末から全市町を回って調査をしております。今でもお出しすることできます。
もう1点、自主防災組織の組織率ですが、昨年は68.9%でしたが、今年は国の調査結果待ちなのですが、78%近くになるということで、約10ポイント上がる。ということは、本日ご出席の皆さま方の市町に熱心にに取り組んでいただいたということになりますので、率が上がったことは非常にうれしく思いますが、50%以下の市町が4町あります。
先ほど大津市さんが市町振興総合補助金のお話をされましたが、本日ご出席の9市町の中で自主防災育成のための総合補助金をほとんどもらっておられない、そういう制度があること自体ご存じない市町がおられる。県の制度が50万円まで出すということになりますと、市町でお付き合いいただかなければならないし、先ほどの大津市さんのお話で地元で同額が必要ということはありますが、まずは自分たちの地域で守っていただかなければならないというのは結論でしかないのですから、そういう制度があるということをご承知おきいただいて、活用していただければうれしい。ただ、正直申し上げますと、今日は九つご出席で、三つがここ5か年もらっていらっしゃいますが、あとはもらっていらっしゃらない。
そういう現況をご理解いただいて、組織率のアップと、地域の皆さん方で立ち上げていただかないとなかなか難しいというのが結論ではないかと思います。県の厳しい財政状況をご承知の上で、なおかつこういう制度がありますので、使っていただきたいというのが結論ですので、次回以降のワーキングで十二分にご議論されて、正直な各市町の数字を見ていただいたらいいのではないかと思います。以上です。
【高月町】
分かります。組織率も大事だと思います。ただ、それぞれがどの程度活動されているかというのも大事なので、その辺も調べた方がいいのではないかという、そういう趣旨なのです。
【県民活動課】
おっしゃるとおりだと理解していますが、それをお調べさせていただいて、どこまで各市町さんが掌握しておられるのかという課題にいくと思います。その点を併せてよろしくお願いします。
【委員長】
ほかにございませんか。
【都市計画課】
今日、アウトプットイメージを見せていただきました。確かに市町さんからも、現実的には難しいというようなお話もありました。一旦市街化区域にしたものを、被害を受けないために開発をさせない。そのために逆線引きするというような考え方を導入するということは、都市計画の基本からいいますと、ちょっと相反する。市街化を促進するということで、市街化区域にしているわけですので、浸水する恐れがある、被害を受ける恐れがあるということをもって、逆線引きするというのは、ちょっと趣旨に合わない部分がありますので、今後の議論が必要かなと思います。
そういうことではなしに、先ほどから自助というお話がありました。住んでいる方も、そこに住もうとする方も、自分はほかから守ってもらえるという感覚だけを主張していただくのではなく、どういう状況にあるのか。ハザードマップも浸水想定区域図も公表されているところが増えておりますので、そういう中にあって、自分の住んでいるところ、住もうとするところがどういう状況だということを理解した中で、自らその地域を安全にするためにはどのような対策をしたらいいのか。都市計画の手法を強いて取り入れようとすればできないことはありません。それは地域の方々の理解の下に地区計画で、草津市の建築条例のような話で義務づけることもやろうと思えばやれないこともないわけですので、その辺をいかに理解を広めていくかということが重要ではないかと思っております。単に制限をしていく、押さえ込むというだけの考え方では、住民の方々の理解を得て進めるというのは難しいと思いますので、その辺はこれから議論をしたいと思っています。
【委員長】
ほかに、市町さん。はい、どうぞ。
【守山市】先ほど県民活動課の方からあった話なのですが、県と市町の役割分担として、県がそういう制度を持っていて、使っていない市町があるのであれば、親身になって、こういう制度があるから一緒にやりましょうというスタンスをとっていただかないと、県は県だと、市町は市町はだと、あなたたちは使っていないよというのはちょっと乱暴な議論ではないか。もっと親身になって、県というのは市町をまとめて全体を見て対応される組織ですから、しっかり市町と連携してやっていく視点をもって今後取り組んでいただけないかと思います。
【県民活動課】
昨年も回らせていただいてそういうことは申し上げております。それをしないと増えませんので、言い方がまずかったのかも分かりませんが、それは申し上げないと伸びないので、当然そういうことは担当レベルではさせていただいています。毎年4月の時点では説明をさせていただくのですが、それは4月の課長会議だけで終わりますので、行って話をしているというのが現状です。
【委員長】
まさにこの場がそういう形で県、市、立場を乗り越えて共同でやりましょうという意識の場だということで認識していただければいいと思います。一緒にやらせていただきたいと思います。
あと、ございませんでしょうか。
【防災危機管理局】
失礼します。防災危機管理局の仙波と申します。
先ほど水防のお話が高月町さんからあったかと思います。最新の今年の4月1日現在、県全体で水防団の人数について数字だけご紹介をさせていただきたいと思いますので、しばらくお時間をちょうだいします。
まず実員数ですが、県全体で今年度の4月で9412名で、条例定数は9788名ですので、充足率としては96.2%でした。さらに、そのうちの女性消防団員数は161名ということで数字を把握しております。この実員数の増加傾向につきましては、昨年の4月1日と比べますと全体の数からいきますと45名。わずかに数字が増えたということで、その内訳としては、増加した市町としては8市町ありまして、逆に合併等に伴う分団数の整理ということで、減少のところが9市町ということでしたが、この9412名というのが、ここ20年間で最も多い数字と把握しております。充足率は、昨年度と大きく変わっておりませんで、96%台でした。また、女性消防団員の数につきましても、先ほど161名ということでしたが、5名増加していただいて、実員数の占める割合としては0.05%で、わずかですが増えまして、1カ所甲賀市さんの方で新規に発足いただいたというような状況です。現在甲賀市さんを含めて13市町で女性消防団の設置をいただいているというような状況です。以上です。
【委員長】
ほかにございませんでしょうか。
それでは私から1点、委員長として事務局に検討をお願いしたいことを皆さまにお諮りしたいと思います。今日の資料の2ページ目にフローが書いてあります。「流域治水基本方針検討スケジュール」です。ここの中で、4回までのワーキンググループで、年内もしくは年明けぐらいに第2回委員会。その後に学識者部会を開く流れになっております。当然これも大事ですが、今日の一番の趣旨でもありますとおり、行政だけでやっていてもうまくいかない、住民の方々と一緒に考えていかなければならないということで、住民の方々とこれを議論できる場というプロセスをしっかり作っていただく流れで再検討をしていただくようにお願いしたいと考えております。その辺について、ご意見が何かございますでしょうか。当然これ(検討委員会)はこれでやりますし、また、先ほどからおっしゃっている、個々のハザードマップを作るに当たって、個々の地域の住民の方々との連携というのも当然手法としてあるということでの前提です。
ご意見がなければ、検討していただいた図は次回の委員会なりでお諮りして、進め方についても改めて議論させていただくという形で、事務局、検討をよろしくお願いいたします。
ほか、ございませんでしょうか。手続き上、本日、一番初めにお諮りしましたとおり、傍聴者の方も後ろで聞いていただいていると思います。今日の今までのお話の中で何かご意見等ございましたら、聞かせていただく場を持ちたいと思いますが。よろしいでしょうか。
傍聴者の方にはご意見をお伺いするペーパーも事務局から配っているようにも聞いておりますので、いろいろ意見をいただければと思います。
では最後に嘉田知事から、今日の一日の総括ということでお願いしたいと思います。
【嘉田知事】
今日は、第1回流域治水検討委員会ということで、朝から一日ありがとうございました。特に片田先生、朝早くからご講演をいただきました。また、委員の皆さまには、朝から講演を聞いていただいて、そして一日お付き合いいただきまして、ありがとうございます。
会議中の現状認識の中にもありましたように、本県では幸い過去40年間大きな水害がありません。過去10年間の水害の被害額で見ましても全国で47位。47都道府県ですから、47位ということは、最低ということです。これは大変ありがたいことではありますが、逆にそれだけに住民の皆さん、あるいは私たちの日常の備えが弱くなっているのではないかという心配をしているところです。最も大きな近年の災害が実は昭和28年で、53年たっております。そんなところからも、当時例えば20歳だった方は73歳ということで、ここにいる私たちの世代はほとんど深刻な水害を知らないということです。
そういうところから、本日朝、片田先生のお話の中にもありましたように、まさに日常平安のときにこそ備える。そして、備えあれば憂いなしと言っておりますが、行政としての日常の中で、また、これは朝からの議論にありましたように、住民の皆さんがしっかりとそのリスクを意識していただいて、そして備えていただくということが何よりも大事です。県としましては、先ほどからのご意見にございますように、まず川の中できちんと土砂を取り除いたり、あるいは木を切り整備をするということが必要です。ここにつきましては、皆さんよくご存じのように、自然のいわば鳥類なり動植物が繁茂しているので、逆に洪水のことだけを考えないでほしいという意見も地元にはありますが、ぜひそのあたり、治水なのか環境なのか、それぞれの地域のご意見をおまとめいただいたらと思います。
それと川の中で私どもがやらせていただくところでいつも大きな課題が、堤外民地という私有地があります。そういうところにおいては、それぞれの所有者の皆さんとも協力しながら、まず川の中の整備をし、そして堤防をしっかりと調査しながら補充するべきところは補強させていただくということが河川管理者としての県の責務でございます。一方で、今日のテーマでもあります、どのような洪水に対しても命を失わない、あるいは壊滅的な被害を受けないという形での本来の治水の目的に関して、今こそ私たちはハード、ソフトを含めた形で流域治水対策の検討を進める段階にあると思っております。
先ほどから都市計画の話もあります。行政制度の法制度、あるいは仕組みの中で、いわゆるhowという手続きから考えますと難しいというものも、why、なぜその政策が必要かということを考えていきますと、少し遠いところの方向が見えてくるのだろうと思います。私ども河川につきましては、命を失わず、壊滅的被害を防ぐと同時に、やはり川に関心を持っていただく、365日川に付き合っていただく住民の方が増えてもらうことが大変大事だとも思っております。そのためにも、まさに地域の皆さんとの連携こそが河川政策の柱です。
これから県の方としましては浸水想定区域の基礎情報など出させていただきますし、また、すでに草津市さんでは、全国で初めてという、まさに大雨に備えての建築物の条例を制定されました。このように市町の皆さんが治水対策に動いていただきやすいよう、県の方は情報提供、あるいはバックアップの仕組みも作らせていただきたいと考えております。また、もちろん国の方の国土交通省さんとも協力させていただきながら、国、県、市町、そして水防団、地域住民の皆さんとのまさに重層的なつながりが大切です。今後、先ほどの議論にありましたワーキンググループなど、市町の担当の方々と検討を深めていく予定です。大変お忙しい中ですが、集中的な議論をお進めいただきまして、現場の声をお聞かせいただき、また、ワークショップなど、ぜひともそれぞれの地域で工夫をしていただいた結果を持ち寄って、実効性のある仕組みを、そして水害に強い地域社会づくりを進めていきたいと思っております。
今からこう言うのも少し大げさかもしれませんが、流域治水と、まさに市町、国、県、そして住民の皆さんが共に川に学び、そして川を生かしながら命を守るという仕組みをこの県で作っていけたら、まさに滋賀モデルというような形でのトータルな河川政策に育っていくものと期待をしております。ぜひともこれから半年余りですが、集中的な議論をよろしくお願いいたします。
本日は、大変お忙しいところを朝からありがとうございました。また、住民の皆さんにもご参加いただきまして、ちょっとこういう場面だと意見が出しにくいかもしれませんが、ぜひともアンケートでも結構ですし、担当の方に電話なりでもご意見をいただけたらと思います。また、マスコミの皆さんにも、ぜひとも今のこのような動きをしっかりと県民の皆さんに伝えていただくような支援をお願いしたいと思います。
本日は、どうも皆さん、ありがとうございました。
【委員長】
もう一度片田先生に本日の議論から、滋賀県に肩入れしてご指導していただくようなことも言っていただければありがたいと思います。
【片田教授】
今日ずっと話を聞かせていただきながら思ったことは、皆さん実際の河川の現場で防災に当たっておられて、今流域治水という新しい考え方で滋賀県の河川整備の大きな方向性が示されようとしておられる。それに対して各市町のご意見を伺っていると、従来の市民に対する河川の説明の仕方、河川との市民とのかかわり方というものの中に、新たな側面、つまり単にハードでがんがん治水を進めていくだけではない、流域治水という考え方も大事だよ、だけど従来の河川整備も大事だよという、その両方の枠組みがしっかり根付いて、必要なものを必要な形で整えていくという滋賀県型の河川整備という方向が示されようとしているのかなという感じを各市町のレベルでもお考えになっているということを実感することができました。
幾つかの切り口のいろいろな話が出たのですが、1点、やはり現場の河川の対応ということになると難しい面があるのだなというのを改めて認識したのは、まちづくりと防災のかかわりの問題です。それはまさしく平時の町というものと、そんなに頻度は高くないのだけれども、時々大きな災いをもたらすことに日ごろの町をどのように備えさせておくのかという、この非常に難しい調整問題なのだろうというように思いました。
ただ、災害というのはそんなに頻度が高いわけではない。だけど平時穏やかな河川も時には大きな振る舞いをし、災いをもたらす。この調整の中で、川とうまく付き合っていくにはどうしたらいいのかという、その根源のところで、具体的な問題としては、例えば都市計画の問題、逆線引きなどという難しい問題、建築規制をするのかどうかなどという問題、現実の政策のレベルになるとそういう問題に入り込んで、いっぺんに難しくなってしまうという現実的な問題というのも、日ごろ気付いていることではあったのですが、現場からの声として重く受け止めなければいけないなというように私自身は感じました。
ただ、こういう問題全部に共通する問題としてすごく重要だなと思うことは、例えば逆線引きだとか建築規制だとか土地利用の問題などは、こういう手法を使ってごりごりいくということよりも、例えばもっと重要なことは、市民の皆さん、町民の皆さんに、川というものをしっかり理解していただく。例えばハザードマップというのはまさしくそういうものだろうと思うのです。この地域はこんなに浸かる可能性がある場所ですよという情報発信をしているわけです。そうであるにもかかわらず、そこに家を建てようという人が相変わらず多く出てきているという、この状態が間違っているようにも思うのです。せっかく情報を出しているのであれば、ハザードマップを見て、その結果自然な形として、こんなに川の近くの危険なところであるならば、ちょっと考えようかなというような自然な動きとして出てくる。それは川の情報をしっかり市民が受け止めて、それを行動に具体化させたということの表れなのだろうと思うのです。
こういうソフトな形、まさしくソフト対策と言われるわけなのですが、川というものをよりいい面、悪い面含めて、日々は恵みがあり、ほんの一時なのだけれども災いもある。この両方が川なのだということをしっかり市民に理解をしてもらえば、市民の行動の中にも、あえて強制的に規制をかけるという強い方法に出なくても、市民の普通の生活の中で川との付き合い方というものがうまく浸透していけるのではないかというようにも思うわけです。もちろん、一足飛びにそうなるというようにはいきません、緩やかな形ではあるとは思うのですが、例えばハザードマップを出すときに、それが本当に周知徹底されていくという過程の中で住民の動きも川の動きに合わせた形に自然にフィットしていくというような方向性があるといいなと思います。またそんな中で川の理解が進む中で、県のお考えになっているところの流域治水という考え方、災いをやり過ごしながら恵みを享受するという川との共存の仕方、そういったものが徹底されていくのであろうし、また、どうにもならないところは、やはりハード対策というか、河川整備をしっかりやっていくということも必要というようなバランス感覚というのも理解されていくのではないかなというようにも考えました。
今非常に重要なことは、県民の皆さんと川との距離感をもっと縮めること。いい意味でも悪い意味でも、恵みの面でも災いの面でも川というものを意識した形の生活というものを、川を知っていただくということが今のところは重要なのかなというように思いました。災いの部分をお知らせするのがハザードマップなのですが、何も災いだけではなくて、災いというものをお話しする中で、それだけではない恵みという側面もお話しされながら、その単なる一つのきっかけとしてのハザードマップという使い方で、川への理解を周知徹底していくという形で、ハザードマップも使っていただけるといいのかなというように思いました。
ただ、せっかくこういう形の一堂に会してこれだけの会議が持たれようとしています。新しい地域と川との関係を築く非常にいい機会だと思いますし、滋賀県というところでそれができるのであれば、これは滋賀県モデルとしてぜひ成功させていただきたいというように思いました。
私自身も大変勉強になりました。どうもありがとうございました。
【委員長】
どうもありがとうございました。
委員長の不徳のいたすところで時間がちょっとオーバーしてしまいましたが、本日の第1回の流域治水検討委員会を終わらせていただきます。
では、事務局の方に返します。
【事務局】
委員長ご苦労さまでした。
それでは、ご参加いただきました委員の皆さま、ワーキンググループの皆さま、大変お疲れさまでした。また片田先生には早朝よりご講演いただき、また、コメントもいただきました。誠にありがとうございました。
それではこれで、本日の第1回の合同会議を閉会させていただきます。どうぞ、今後ともご協力をよろしくお願い申し上げます。どうも本日は、ありがとうございました。