一級河川及び二級河川
河川は道路や下水道と同時に、地域の経済活動や人々の生活を支える重要な施設であるが、その河川が流れる地域内の人口や資産、将来の発展性といった社会環境、また自然環境によって、それぞれの河川の位置づけ(河川の重要度)は異なっている。このようなことから全国の河川は、一級河川、二級河川等といったランク分けが行われている。
一級河川とは、その河川が洪水等により大きな被害を受けた場合、国土の保全や国民の経済活動に大きな支障をきたす恐れがある河川で、国土交通大臣が指定した河川をいう。
二級河川とは、同様にその河川が洪水等のより大きな被害を受けた場合、その地域の保全や経済活動に大きな支障をきたす恐れがある河川で、都道府県管理の河川をいう。
なお、滋賀県域はほとんどが淀川水系に含まれ、その他、木曽川水系、北川水系の河川があるが、いずれも一級水系である。このため、滋賀県の法河川には、二級河川はない。
河川管理施設
洪水や土砂流出の制御及び調節、利水のための流れの制御及び誘導、又は、河川環境の維持及び改善等のために建設されたもの。ダム、堰、水門、堤防等がそれに該当する。
河川区域
一般に堤防の川裏の法尻から、対岸の堤防の川裏の法尻までの間の河川としての役割をもつ土地を河川区域と呼ぶ。
基本高水流量
基本高水は、洪水を防ぐための計画で基準とする洪水のハイドログラフ(流量が時間的に変化する様子を表したグラフ)。この基本高水は、人工的な施設で洪水調節が行われていない状態、言いかえるなら流域に降った計画規模の降雨がそのまま河川に流れ出た場合の河川流量を表現している。基本高水流量は、基本高水の最大流量から決定された流量の値。
魚道
河川を横断して設置される堰等に設置されているもので、魚などが上下流に上り下りできるように作った道。
計画規模
洪水を防ぐための計画を作成するとき、対象となる地域の洪水に対する安全の度合い(=治水安全度)を表すもので、この計画の目標とする値。
計画高水流量
基本高水をダム等の洪水調節施設で調節した後に、下流の河道に流下する最大流量で、河道を計画する場合に基本となる流量。
洪水到達時間
雨水が地上に達してから、河川のある地点に洪水として流れ着くまでに要する時間。
洪水ハザードマップ
洪水時における人的被害を防ぐことを主な目的として作成する地図で、浸水が想定される区域からの住民の安全な避難に必要な情報として、想定浸水深、避難所の位置及び一覧、緊急連絡先、避難時の心得等が記載されている。
洪水予報
大雨などにより災害が発生するおそれがある場合に出されるもので、気象台から発表される洪水予警報と、国土交通省または都道府県と気象台が共同して発表する洪水予警報がある。
COD
化学的酸素要求量のことで、水中の被酸化性物質が一定条件のもとで、酸化剤によって酸化されるに要する酸素量をいう。水の有機物質による汚濁の指標に用いられる。
洪水浸水想定区域図
台風や梅雨の豪雨などで浸水の恐れがある区域を事前に調査し、示したものを洪水浸水想定区域図という。河川の氾濫による被害の軽減を図り、洪水時の円滑で迅速な避難の確保を目的として作られている。水防法が平成13 年6 月に一部改正され、浸水想定区域を指定・公表することになった。
水系
同じ流域内にあって、共通の河口を持つ全ての流路網である本川、支川、派川およびこれらに関連する湖沼の総称。
水防団
水防団とは、水防管理団体が水防活動行うために設置するもの。市町村の消防機関が水防活動を行える場合、水防団を設置せずに消防団などの消防機関が水防活動を行うこともある。
瀬 ・淵
一般的に瀬は水深が浅く、流れの速い箇所であり、淵は水深が深く川の流れが穏やかな箇所である。この瀬と淵の組み合わせは、魚類にとって必要不可欠な生息環境要素となっている。
渇水時などに、上下流の流れが途切れて、川底が露出する状態を瀬切れという。
治水
洪水の害を防ぎ、利用目的に合うよう水を統制する施策の総称。具体的内容としては、洪水の調整・氾濫防御のための堤防・ダム・放水路の構築、舟運の便を図るための河川流路や河床の整備と運河の開削、農業生産の安定・発展のための灌漑(かんがい) 排水路の整備など。
治水安全度
洪水を防ぐ為の計画を作成するとき対象となる地域の洪水に対する安全の度合いのこと。例えば、50年に1回の降雨により予想される洪水を安全に流下させることができる規模の施設の安全度は50分の1と表現している。
また流域によって降る雨の量が違うため、同じ1時間に50mm の雨に耐える整備を行っても、確率は同じにはならない。
超過洪水
計画高水流量を超える流量の洪水のこと。
直轄管理区間
管理の一部が都道府県知事に委任されている区間(指定区間)を除く区間であり、国またはその出先機関が直接管理に当たる。指定区間外区間ともいう。
直轄事業
国が管理する一級河川で、国が直接行う事業を総称して直轄事業という。これに対し、地方自治体が国からの補助金によって行う事業を補助事業という。
低水路 ・みお筋
低水路は、常に水が流れる部分。みお筋は、川を横断的に見たときに、最も深い部分。
(下図参照)
天井川
川底に土砂が溜まり、川底が周辺の土地より高くなっている河川。堤防が破堤すると通常の河川よりも被害が大きくなる。(下図参照)
南部土木事務所管内では、家棟川、葉山川、北川等が挙げられる。
頭首工
湖沼・河川などから用水路へ必要な用水を引き入れるための施設。普通取水位を調節するための取水堰と取入れ口及びそれらの付帯施設から構成される。
土羽
コンクリートや石などで保護していない土の部分。
根固工
洪水時に、河床や堤防が、川を流れる水によって削られる度合いが著しい場所に、それを防止するために、護岸基礎工の前面に設けられる施設。
BOD(生物化学的酸素要求量)
水の中の比較的分類されやすい有機物が、水中に溶けた酸素(溶存酸素)のもとで生活している好気性の微生物によって酸化分化されるときに消費される酸素の量で、通常20℃で5日間、暗所で培養したときの消費量を指す。汚濁源が人・家畜などのし尿の場合は、汚れの度合いとBOD は比例するので、数値が高いことは有機物の多いことを意味する。
保安林
水源のかん養、土砂の崩壊その他の災害の防備、生活環境の保全・形成等、特定の公共目的を達成するため、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林のこと。保安林では、それぞれの目的に沿った森林の機能を確保するため、立木の伐採や土地の形質の変更等が規制されている。
放水路
河川の途中から新しく人工的に開削し、直接海または他の河川に放流する水路のことで、「分水路」と呼ばれることもある。河川の流路延長を短くして、洪水をできるだけ早く放流する場合、または洪水量が増大して河道の拡張だけでその洪水を負担することが困難な場合、あるいは河口が土砂の堆積などによって閉塞されているような場合に設ける。
掘込河道
一定区間を平均した場合に、計画高水位が堤内地盤高以下の河道でその計画の堤防高(堤内地盤高から盛土又はパラペットの天端までの高さ)が60cm 未満のもの。
水際
河岸と水が接する場所のこと。生物の生息にとって非常に重要な場所である。
落差工
河床に段差をつける構造物。治水計画上の必要性から設置されることが多かったが、近年は自然の川を模して流れの変化を生み出すために小さな落差工を設置することがある。
利水
農業・工業・上水などに水を利用すること。
類型指定
人の健康の保護及び生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準として、終局的に、大気、水、土壌、騒音をどの程度に保つことを目標に施策を実施していくのかという目標を定めたもの。政府又は都道府県知事が河川、湖沼、海域ごとに、利水目的に応じて水域類型(ランク付け)をあてはめるが、この類型あてはめのために水域を指定することを類型指定という。