1.低入札価格調査について
低入札価格調査制度とは、一般競争入札の執行にあたり、予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申し込みをした者の当該申し込みに係る価格が調査基準価格を下回った場合、低価格の理由を調査し、その者により当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認めるとき、またはその者と契約を締結することが公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがあって、著しく不適当であると認めるときは、その者を落札者とせず、予定価格の制限の範囲内をもって申し込みをした他の者を落札者とする制度です。(地方自治法施行令第167条の10第1項および第167条の10の2第2項)
公共事業費が大幅に減少し地域経済が疲弊する中で、工事等の適正な執行と目的物の良好な品質を確保するため、ダンピングや下請業者へのしわ寄せを防止し、地域の経済と雇用、県民の安全、安心な社会生活を支える建設関連業の健全な発展を促進する必要があります。
昨今の公共工事を取り巻く状況は一層厳しさを増しており、ダンピング防止のため、地方公共団体の調達において、低入札価格調査制度の適切な見直しが求められています。本県においても、低入札価格調査制度については適宜見直しを行い、厳格な運用を図っていきたいと考えています。
また、調査の実施にあたっては、低入札価格調査実施要領に基づき調査対象者から提出された資料の確認と併せてヒアリングを行い、当該応札価格の妥当性や履行の確実性が確認できない場合は「失格」とします。
2.低入札価格調査の対象
(1)工事
・総合評価方式を採用する工事
・その他発注者が必要と認めた工事
(2)業務
・総合評価方式を採用する測量・地質調査・設計・補償関係業務
・その他発注者が必要と認めた業務
>>>詳しくは、入札公告に記載されます。
3.調査基準価格について
滋賀県では、低入札価格調査制度に設ける「調査基準価格」については事後公表としております。なお、低入札価格調査制度を適用しない場合は、原則として「最低制限価格」を設定しておりますが、この「最低制限価格」についても同様に事後公表として扱っております。
4.調査の流れ
【総合評価(施工体制確認型(工事)、履行確実性(業務))の場合】
A.調査基準価格を下回る応札が発生(※1)
(※1)調査基準価格を下回った者でも「通常価格(調査基準価格以上)応札者のうち評価値の最高者」を下回る評価値の者については調査対象とはせず、以降の調査も行いません。
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B.低入札価格調査(STEP1調査)を実施
入札時に各入札参加者から提出された「積算内訳書」により低入札価格調査・STEP1調査における判断基準1(1)(以下、「数値的判断基準」といいます。)に照らして、各基準をクリアしているかを審査します。
審査の結果、「数値的判断基準」を満足しない場合は、以降の調査を実施せず、その時点で「失格」とします。
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C.「数値的判断基準」を満足する入札参加者に対し、低入札価格(調査基準価格を下回る価格)で契約する場合の付加要件が確実に履行できるかどうかの確認(「STEP1調査に係る判断基準1(2)(※2)」)を行います。
(※2)工事において「落札金額の10分の3以上の契約保証金の納付が困難である」、あるいは「配置予定技術者とは別に、他の技術者を当現場に配置するのが困難である」等、業務においては「クロスチェックを行う相手方の確保が困難である」等といった、低入札価格での契約締結時の付加要件の履行が困難であるとの回答を得た場合は、以降のSTEP2調査を行うことなく「失格」とします。
この場合、TELによる確認の後、速やかに書面による「辞退届」の提出を求めます。
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D.付加要件の履行が確認できた入札参加者(対象者)に対し、総合評価方式における施工体制確認型(履行確実性)の審査を実施するため、施工体制確認型実施要領(履行確実性実施要領)に定めた資料の提出をTELにより要請します。
対象者に対しては、資料の提出を要請した日から起算して3日以内(土曜、日曜および祝日を除く)に資料を提出し、提出された書類についての審査およびヒアリングを実施します。また、資料提出期限日までの間に限り、追加書類の提出を行わない旨を申し出ることができ、「施工体制確認型(履行確実性)追加書類提出辞退届」の提出を求めます。当該申し出を行ったヒアリング対象者は、失格とします。
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E.総合評価審査委員会審査部会等における評価および審査による評価値の確定
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F.調査基準価格以上の応札を行ったものが評価値の最高者となる場合、低入札価格調査はここで終了し、その者を落札者として決定します。
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G.低入札価格調査(STEP2調査)を実施
調査基準価格を下回る応札を行った者が評価値の最高者となる場合、STEP2調査を実施します。STEP2調査の対象者に対しては、資料の提出を要請した日から起算して5日以内(土曜、日曜および祝日を除く)に低入札価格調査実施要領に定める全ての資料の提出を求め、提出された書類についての内容審査およびヒアリングを実施します。
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H.低入札価格調査審査委員会による審査
※価格の妥当性や履行の確実性について審査し、適否の判断を行います。
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I.落札者の決定
【総合評価(施工体制確認型(工事)、履行確実性(業務))以外の場合】
上記の流れのうちD、E、Fを除いた、「A→B→C→G→H→I」となります。
低入札価格調査の結果、調査基準価格を下回る価格で応札した者と契約する場合には、要件が付加されます。
詳しくは、各工事(業務)の入札公告・入札説明書・特記仕様書に記載されます。
<工事における付加要件(土木一式工事の例)>
1).契約保証金の増額
当工事において、落札金額の10分の3以上の契約保証金の納付が必要です。
2).確約書の提出等
低入札価格調査実施要領に定める様式により、「確約書」を提出いただきます。また、当工事における「施工体制台帳・工事日報・県の設計書に対応した精算内訳書および下請契約書、下請代金等の支払い状況等の写し」の提出を求めます。
3).配置技術者の増員
配置予定技術者とは別に、同等の要件を満たす技術者を専任で当現場に配置いただきます。
4).施工体制台帳および施工計画書にかかる内容の説明
施工体制台帳および施工計画書の提出に際して、監督職員からその内容の説明を求められたと時は、応じなければなりません。
5).材料、下請代金等の支払い状況の説明
毎月の下請負代金の支払い状況が確認できる資料を履行報告に追加して提出を求めます。
6).工事コスト調査の実施
工事完了後に「工事コスト調査」を実施します。必要書類の提出を求めます。
7).施工管理の頻度
出来形管理および品質管理の測定頻度および試験頻度は、施工管理基準で定められた測定基準および試験基準の2倍とします。
8).入札参加資格の制限
公告日において、調査基準価格を下回った価格を持って単独で契約した滋賀県発注工事(公社・事業団除く)で施工中の工事が2件以上ない者であることが、今後の入札参加資格の要件になります。
(ただし、公告日の属する年度の前年(1月から12月まで)の工事成績が全て70点以上の者は除きます。)
<業務における付加要件>
1).クロスチェックの実施
共通仕様書に定められた各照査段階において、同等の能力を有する他の同業者にクロスチェックを受け、その報告を求めます。
2).確約書の提出等
実施要領に定める様式により、「確約書」を提出いただきます。また、当業務における「業務日報・県の設計書に対応した精算内訳書および下請契約書、支払い状況等の写し」の提出を求めます。
※今回の変更内容は、土木交通部が発注する案件に対して適用します。他の部署からの発注案件については、取扱いが異なる場合がありますのでご留意ください。詳細については発注担当部署にお問い合わせください。
※1 調査基準価格を下回った場合に、低入札価格調査を実施します。
※2 低入札価格調査を実施する工事、業務で、実施要領5に定める「STEP1調査における判断基準」1(1)に 定める「数値的判断基準」を満足しない場合は、失格とします。