滋賀県では、生物多様性の保全や持続可能な利用をめざした取組を推進するため、平成25 年度(2013 年度)と平成26 年度(2014 年度)の2年間をかけて、「生物多様性しが戦略」の策定を行ってきました。この戦略を策定する過程から多くの県民の皆さんに参加していただくため、平成25 年度(2013 年度)には、希少種保全、外来種対策、里山里地里湖、観光、事業活動など11のテーマでワーキンググループを開催しました。また、平成26 年度(2014 年度)には、県内6か所でタウンミーティングを開催し、議論や意見交換を行い、平成27年3月に「生物多様性しが戦略」を策定しました。
滋賀県には、鮒ずしなどの湖魚料理など、自然と人とがうまく関わることで育まれてきた多様な文化があります。一方で、田上山など大規模に植生が破壊されるなど、過剰な利用により自然が損なわれる経験もしてきました。
このような自然と人とのかかわりの歴史と経験の中で用いられてきた言葉として、「守り」という表現があります。たとえば、「山の守りをする」「田んぼの守りをする」などという言い方をします。ここでは「守り」という言葉を、人が自然を管理するという人間中心の考え方ではなく、自然の状態をよく見ながら、自然本来の力にゆだね、人間は必要な手を加えるという考え方と捉えています。すなわち、自然を人の所有物として自由に扱うのではなく、預かったものと捉え、責任をもって次の世代に引き継ぐことが重要です。この考え方は、滋賀の生物多様性を保全し将来にわたって持続可能な形で利用していく上で、取り入れていくべきものです。
滋賀らしい「自然とのかかわり」のあり方を発展させることにより、生きものと人とが共存し、自然の恵みから生み出される多様な文化が展開する社会が実現されている。
生物多様性の危機に対して、緊急の取組が実施されている。
社会経済活動における生物多様性の保全・再生への配慮の組み込みと、生態系サービスの持続可能な利用の取組が進んでいる。
生物多様性に関する県民の理解が深まり、各主体による生物多様性に配慮した行動が広まっている。