滋賀県の森林は、戦後造林された人工林を中心に利用可能な時期を迎えています。今後、増加が見込まれる主伐後の再造林に向け、自然環境条件等に適した産地・系統、耐雪性や花粉が少ない等の遺伝的に優良な種苗を選択する「適地適木」が大切です。そのために必要な優良種苗を安定的に確保し、森林の適正な整備を通じて、森林の多面的機能が持続的に発揮されることが重要です。
滋賀県では、優良な林業用種苗の安定供給と確保を支援しています。
林業種苗法でいう「種苗」とは、林業生産に利用される樹木のために用いられる種子、穂木、茎、根および苗木(幼苗を含む)を指し(林業用以外の盆栽・庭園樹に用いられるものは除く。)、次の8種がこの法の適用を受けます。
1. すぎ
2. ひのき
3. あかまつ
4. くろまつ
5. からまつ
6. えぞまつ
7. とどまつ
8. りゅうきゅうまつ
ただし、ケヤキやコナラといった広葉樹等の種苗も森林整備のために利用されています。
林業用優良種苗の安定供給と適正な流通を促進するため、生産者からの生産情報や造林者からの需要情報といった需給情報の収集整理や情報の共有を進めています。
優良な種苗を造林に用いるためには、優良な形質をもった親木から採取した種や穂木を苗木に育成する必要があります。滋賀県では林業種苗法に基づき普通母樹林および育種母樹林を指定しています。またこのほかに、有用広葉樹母樹林や育種により育成された母樹で整備した採種穂園があります。
表:指定採取源等の箇所および面積
普通母樹林 | 育種母樹林 | その他 | 計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
箇所数 | 面積(ha) | 箇所数 | 面積(ha) | 箇所数 | 面積(ha) | 箇所数 | 面積(ha) |
31 | 49.05 | 1 | 0.2 | 21 | 19.06 | 53 | 68.31 |
育種母樹林:優良な実用種穂の供給源のうち育種により育成されたもの
普通母樹林:育種母樹林以外の優良な実用種穂の供給源
その他:有用広葉樹母樹林や育種により育成された母樹で整備した採種穂園
他の者への配布(販売)を目的として、上記の林業種苗法で定められた8樹種の種子や穂木を採取し、または苗木を育成する事業を営む者「生産事業者」は、都道府県知事の行う「生産事業者講習会」を受講し、その住所地を所管する都道府県知事の登録を受ける必要があります。
また、他の者が採取した種子や穂木または育成した苗木の配布(販売)を事業とする者「配布事業者」は、住所地を所管する都道府県知事に届出を行う必要があります。
登録、届出後に、登録事項や届出事項等に変更があった場合は、知事に対して申請や届出が必要です。
手続きは住所地を所管する県内の各森林整備事務所(高島市にあっては西部・南部森林整備事務所)で行ってください。
生産事業者の登録を受ける際に受講が必要な講習会です。林業種苗法で定められた8樹種の種苗の生産事業や配布事業に必要な知識を習得するために開催しています。開催については、県のホームページや滋賀県公報でお知らせします。
生産事業者や配布事業者は、林業種苗法で定められた8樹種の種苗を配布(販売)するときは、容器または包装の外部に生産事業者表示票を添付しなければいけません。ただし、例外として生産(配布)事業者が他の者を介さず、直接造林者に種苗を配布する場合は、生産(配布)事業者表示票の記載事項を表示した書面(表示書)を添えて直接配布することができます。