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滋賀県環境影響評価審査会(平成18年8月30日)概要

  • 日時: 平成18年8月30日 ( 水 ) 9時30分~11時40分
  • 場所: 滋賀県厚生会館別館4階大会議室 ( 大津市京町四丁目 3-28)
  • 議題: (株)レッキスホースパーク( 仮称 ) 信楽ホースパーク建設事業に係る環境影響評価実施計画書について
  • 出席委員:8名 ( 西村委員長、浅見委員、石川委員、来田村委員、野部委員、早川委員、林委員、三田村委員 )

■審査概要

事業者から、事業計画の変更および審査会委員から出されたこれまでの質問事項について説明があり、その後、審査会意見について協議した。
審査会意見については、事業者から提出される追加資料を事務局で審査した後、各委員に最終の確認を行い、とりまとめを行うこととなった。
委員: 設備計画に観光客用の施設はないが、一般観光客の受け入れを行うのか。
事業者:馬主などの施設見学者を考えているが、観光客等不特定多数の見学者は予定していないため、表記の修正を検討する。
委員:水質汚濁防止法の特定施設は設置されるのか。
事業者:500平方メートル以上の馬房施設が特定施設に該当する。
委員:汚水処理計画に水質検査は定期的に実施するとあるが、どの程度実施するのか明記していただきたい。
委員:馬糞の処理に関して、搬出方法はどのようにされる予定か。
事業者:トラックの荷台から飛散しないよう専用のトラックで搬出を計画している。馬の尿を含んだ敷藁は汚水が落ちる状態ではなく、臭気についても殆ど問題ないと考えている。
委員:類似施設における水道水源の対策例について、どれくらいの排水量で、どのような処理を行っているのか、明記してほしい。
委員:給水計画では、1日あたりの必要水量を 30立方メートルと見込んでいるが、これで用水量は十分賄えるのか。既に井戸を掘り、揚水試験を行っているのか。また、本当に井戸水が確保できるのかどうか、井戸の場所、掘削深度、柱状図で示していただきたい。
事業者:現在調査中で、最終的な報告がまだ出ていない状況である。岩盤の上の帯水層から取水を予定しており、取水深度は約3mである。
事業者:木の根と枝葉をチップ化して、基本的には法面にマルチング材として使用する。大半はマルチング材で利用する計画であるが、余った場合は、バーク堆肥の原料として業者に引き取ってもらう予定である。
委員:チップは量的に相当多くなり、はたして処理しきれるのかを懸念する。量的にどの程度発生するのか教えてほしい。また、事業実施予定地のうち、造成が行われるのはどの程度か。
事業者:現段階でのチップの推定量の発表は控え、準備書で明らかにしたい。樹木を伐採して造成する面積は、全体の3分の2程度である。
委員:補足説明資料において、対象事業の目的が修正されているが、これは本来事業計画の変更資料に記載すべきものではないのか。事業目的が変わったのであれば、事業内容が変わるわけだから、事業目的を書き直して明確にしていただく必要がある。また、アセスの手続きはやり直す必要があるのではないか。
事務局:本アセス案件については、土地の造成事業という位置づけで行っており、事業内容は変更されているが、主要な施設計画は変わっていないと考えている。
事業者:不足している説明資料については、事業内容の変更も含めて整理し、事務局へ提出する。
委員:事業計画の変更に伴い、従業員が10名増えている。本当に10名必要なのか。
事業者:10名の内訳を記載するなど、資料の修正をする。
委員:廃棄物については、実施計画書に殆ど記載されていないが、従業員が75名いて、観光客も見込まれている。施設の供用によって多量の廃棄物が排出される心配があるので、事業系一般廃棄物と産業廃棄物に区別して、発生量・処理方法・最終処分先を明記した処理計画を作成すべきである。
委員:開発工事に着手できるのは、評価書の公告を行った後と理解しているが、開発申請は事前協議を含めてどの段階で実施可能か。
事務局:評価書の公告まで、県の許認可手続きは進められない。アセスは、全ての許認可事務に先立ち、最優先に取り組んでもらうべき手続きである。
委員:騒音・振動では、道路拡幅計画があるのに、「拡幅工事を実施する場合は」となっているので、実施しない場合もあると読み取れる。「拡幅工事実施にあたっては」に修正してはどうか。
事務局:実施計画書では約400m、県道の拡幅工事が予定されている。現在のところ、誰が事業を実施するのか不明であるため、「事業者が工事を実施する場合は」と表現した。再度、誰が拡幅工事を実施するのか確認した上で、修正を行う。
委員:住民意見で、悪臭の測定記録の有無を再確認してほしいといわれている。実施計画書では、県内および事業予定地周辺では悪臭の測定は行われていないと記載されているが、調査事例はあるはずなので、再度確認した結果を準備書に記載してほしい。
委員:廃棄物について、「事業系一般廃棄物および産業廃棄物の排出量を推定し、再利用を含めた処理計画を作成すること」を追加していただきたい。
委員:工事では、盛土や切土を行う箇所がかなりあるため、土からヒ素や鉛、鉄分が赤水として溶出する可能性がある。下流には、上水道の水源があるため、雨水がそのまま河川放流できない場合が想定される。
委員:植物については、審査会資料をみると、古琵琶湖層に限らず、有湿地群が見つかっているので、地質に限らず湿地性の植物に留意していただきたい。調査ルートについては谷筋をおさえること、また、調査計画の目録を作る際には、ルート毎に希少種の個体数をオーダーレベルで把握すること。湿地性の植物の保全には集水域そのものの存在が必要とされるので、集水域と対策のあり方などが重要である。
委員:文化財の記述について、中世のあとの「江戸時代」という用語は、中世に対する用語として「近世」に修正していただきたい。
委員長:事業者は、事業計画の変更に伴う修正箇所と対象事業の目的をまとめて提出してほしい。それが妥当であれば、審査会意見をまとめたい。
委員:審査会意見は、地元市長あるいは住民意見を踏まえて、それを取りまとめて作ることになっているのか。
事務局:従前から審査会の意見とほぼ同様の内容で知事の意見とさせていただいており、地元市長および住民意見を考慮していただきたい。
委員:住民意見は、条例の制度上、事業者に提出されることになっているが、例えばアセスの担当課に直接提出するように改善できないのか。
事務局:県では昭和56年にアセス要綱を制定し、施行している。その当時は、住民意見の提出先は知事であったが、平成8年にアセス法が制定された後、法の手続き制度に従い、事業者が住民意見の取りまとめ等を行うことに変更している。
実施計画書等の縦覧は、主に県の振興局等の公的機関で行われていることから、事業者において適切に住民意見のとりまとめはされていると理解している。
委員:縦覧をより充実させることが重要と考えている。様々なメディアを利用して、情報公開を行ったうえで、住民意見を聞く必要があるし、意見聴取の方法も検討する必要がある。また、問題点については、事業者との対話集会を開催して、その結果を開発事業に反映させていく必要がある。
事務局:準備書の段階では、住民と事業者が直接議論する公聴会という制度がある。住民意見が提出されれば、必要に応じ、県は公聴会を開催し、事業者は公聴会の結果を事業に反映させることになる。
委員:公聴会は、広く一般住民の意見が聴取できるような仕組みにしてほしい。
委員:地元甲賀市長の意見とは誰の意見か。市の委員会からの意見か。
事務局:甲賀市は、環境担当課が窓口となり、市の関係課の意見を取りまとめられたと聞いている。
委員:甲賀市長意見の中に住民意見は入っているのか。
事務局:甲賀市長意見は、住民意見も反映した形で形成されていると理解している。
委員:事業予定地は地域森林計画の対象区域で、開発する場合、土地利用審議会等の審議を経て土地利用を変更する必要がある。土地利用の変更案が否決されないように事前に関係部局との調整が必要でないか。
事務局:評価書の公告の後、関連の許認可手続きは行われる。事業計画が変更された場合は、軽微な変更以外はアセス手続きの再実施が必要となるので、事業計画の変更の際、再実施の要否を判断することになる。