本事案の対象は、旧RD社が栗東市(当時、栗太郡栗東町)小野に設置した産業廃棄物の安定型最終処分場です。平成11年10月に処分場東側の排水溝で高濃度の硫化水素ガスが検出され、地下水汚染等が問題となりました。県は改善命令を発し、是正工事を完了させましたが、その後、違法なドラム缶等の埋立てが発覚しました。
県はこれらの除去および適正処理を含む措置命令を発しましたが、この措置命令は履行されないまま、平成18年6月に旧RD社の破産手続の開始が決定され、同社による対応が見込めなくなりました。そこで、周辺地下水の汚染その他の生活環境保全上の支障を除去するため、県は行政代執行により対策を講ずることとなりました。
この行政代執行の実施には多額の費用を要することから、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(平成15年法律第98号。以下「産廃特措法」という。)に基づく国の財政措置を受けるため、産廃特措法第4条の規定に基づく実施計画を策定し、平成24年6月7日に環境大臣の同意を受け、地下水汚染の拡散防止を目的とした一次対策工事に着手しました。
その後、平成25年3月26日付で産廃特措法に基づく環境大臣の当該実施計画の変更同意を受け、原因廃棄物等の掘削除去や底面粘土層の修復と側面に露出した地下水帯水層の遮水等を含む二次対策工事を実施し、令和2年度末に工事を完了しました。また、令和3年度から跡地の維持管理のほか、跡地の活用に係る検討やアーカイブの作成などの取組を進めています。
令和4年度には実施計画に定める生活環境保全上の目標の達成を確認し、産廃特措法に基づく特定支障除去等事業を完了しました。引き続き、住民との協定に基づく対策工の有効性の確認等の取組を進めています。
RD最終処分場問題の経緯 | |
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昭和54年12月 | 処分場埋立許可 |
平成10年5月 | 処分場埋立終了 |
平成11年10月 | 処分場排水溝から硫化水素検出 |
平成13年12月 | 県からRD社に対して最終処分場の改善命令 |
平成17年6月 | 改善命令是正工事完了 |
平成17年9月 | 処分場掘削調査でドラム缶5個発見 |
平成17年12月 | 処分場追加掘削調査でドラム缶100個等発見 |
平成18年4月 | 県からRD社にドラム缶等の撤去を命令 |
平成18年6月 | RD社破産手続開始決定 |
平成18年12月~平成20年3月 | RD最終処分場問題対策委員会開催(全15回) |
平成19年2月~平成20年2月 | RD最終処分場問題行政対応検証委員会開催(全13回) |
平成20年5月 | 旧RD社および元代表取締役に対する措置命令 |
平成20年5月 | 実施計画策定の基本方針の公表 |
平成20年7月 | 旧RD社元役員等に対する措置命令 |
平成20年9月 | 旧RD社元代表取締役を刑事告発(措置命令違反) |
平成22年6月~8月 | 最終処分場緊急対策工事(焼却炉撤去、水処理施設修繕、仮設シート工、環境改善工、室内仮置廃棄物保管対策工、水路補修工) |
平成24年6月 | 特定支障除去等事業実施計画に係る環境大臣同意 |
平成24年9月~平成25年3月 | 一次対策工事(廃棄物土掘削、浸透水揚水井戸設置) |
平成25年3月 | 特定支障除去等事業実施計画に係る環境大臣(変更)同意 |
平成25年12月 | 二次対策工事(廃棄物土・有害物掘削工、廃棄物選別工、汚染地下水拡散防止対策工、浸透水処理施設工)着手 |
平成29年11月 | 特定支障除去等事業実施計画に係る環境大臣(変更)同意 |
令和3年2月 | 二次対策工事完了 |
令和5年3月 | 産廃特措法に基づく特定支障除去等事業を完了 |
所在地 | 滋賀県栗東市小野7番地1他33筆 | |||
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施設許可 | 第1面積 | 38,429.46平方メートル | 容量単位 | 320,529立方メートル |
第2面積 | 10,111.47平方メートル | 容量単位 | 80,659立方メートル | |
計 | 48,540.93平方メートル | 容量単位 | 401,188立方メートル | |
許可内容 | 安定型最終処分場(廃プラスチック、ゴムくず、ガラスくずおよび陶磁器くず、がれき類) |