7月1日は「びわ湖の日」。
滋賀で暮らす人びとの「琵琶湖を守りたい」という思いから生まれた大切な日です。
県では一年を通じて、美しい琵琶湖を引き継ぐためのさまざまなな活動が行われていますが、この日の前後はとくに、県内全域で湖岸や河川の清掃活動が行われるなど、琵琶湖を守る活動が行われ、多くの人びとが参加しています。
「びわ湖の日」は、琵琶湖への思いをみんなで共有する象徴的な日といえます。
水中の植物プランクトンが大量に増えることで海や湖が赤褐色に変わる現象を赤潮といいます。赤潮が発生すると魚介類などが死んだり、悪臭が発生したりするなど生活環境にいろいろな影響を与えることがあります。
滋賀県では、1977年に家庭からの排水などにより、淡水赤潮が大発生するなど、琵琶湖の汚れが大きな問題になりました。
淡水赤潮が大発生した原因の一つは、肥料や、当時当たり前のように使用されていた合成洗剤に含まれる「りん」でした。消費者団体をはじめとする様々な団体や県民が中心となって、りんを含む洗剤の使用をやめ、代わりに天然油脂が主原料の粉石けんを使おうという運動が始まりました。こうした運動が「石けん運動」と呼ばれています。
琵琶湖を守るために粉石けんを使おうという大きな流れの中で、1978年、主婦層を中心に「びわ湖を守る粉石けん使用推進県民運動」県連絡会議(通称:石けん会議)が結成されました。この「石けん会議」が中心となり、行政に対して「早急に実効性のある対策を講じるように」と強く求めました。
その結果、1980年に、りんを含む家庭用合成洗剤販売・使用・贈答の禁止や、窒素やりんの工場排水規制を盛り込んだ「滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」(通称:琵琶湖条例)が施行されました。
この翌年の1981 年7月1日に、県と大津市が「身近な環境を考えるつどい」という県民討論会を開催しました。この討論会において、7月1日を「よみがえれ碧いびわ湖の日(通称:「びわ湖の日」)」 と決定しました。
高度経済成長期の最中でありながら、いち早く環境の大切さに着目し、琵琶湖のきれいな水を取り戻すために取り組んだ一連の動きは、滋賀県の環境政策の歴史の中でも特に重要な出来事となりました。
1971年に設立された「美しい湖国をつくる会」は、設立当初から琵琶湖の一斉清掃を企画し、数万人の方々が毎年活動をされていました。1981年の「びわ湖の日」決定以降、一斉清掃の活動は広がりをみせ、例年県内外を含め多くの方が参加する「びわ湖の日」を代表する取組になりました。
「びわ湖の日」を定めてから40年以上が経った現在、「琵琶湖をきれいにしよう」、「豊かな琵琶湖を取り戻そう」、「琵琶湖にもっと関わろう」の3つの柱で多様な主体との連携のもと、琵琶湖の恵みをいただくなど、一斉清掃活動に限らず、様々な形で琵琶湖に関わりをもつ取組を進めています。
石けん運動や琵琶湖の一斉清掃などの取組の原動力は「琵琶湖をなんとかしたい」という一人ひとりの思いであり、琵琶湖を守るためには、人々の琵琶湖への思いや関心が何よりも大切です。人々の琵琶湖への思いや関心を呼び起こすためには、現代の暮らしを踏まえながらも、琵琶湖と人々を「近づける」ことが必要です。
そのために県では、琵琶湖と関わるさまざまな活動、「びわ活」を推進しています。より多くの人に「びわ活」を実施してもらおうと、7月1日の「びわ湖の日」から8月27日の「世界湖沼の日」までを「びわ活」重点期間として、琵琶湖に関連する事業を集中的に展開しています。母なる琵琶湖「マザーレイク」に対し、水を育む山は「ファザーフォレスト」と呼んでおり、琵琶湖を守るためには「森-川-里-湖」のつながりを意識して、一人ひとりがそれぞれのライフスタイルに合った方法で琵琶湖と関わることが大切です。
関わり方には、琵琶湖や水辺で遊ぶことはもちろん、県産木材を使うこと、湖魚などの琵琶湖の恵みをいただくこと、琵琶湖の歴史を学ぶことなど様々な方法があります。
「びわ湖の日」は環境問題を背景に制定された日ではありますが、環境を守る取組を行うだけでなく、「びわ湖の日」をきっかけとして、様々な「びわ活」に取り組んでいただき、琵琶湖の多様な魅力に気づいていただきたいと思います。
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びわ活とは?・・・・琵琶湖で泳ぐ、琵琶湖の写真を撮る、琵琶湖をただ眺める、おいしい湖魚を味わう、湖岸のごみを拾う―といったびわ湖と関わる様々な活動のこと。
● 滋賀県環境政策課公式インスタグラム
● びわ湖の日PR動画
● ショート動画 「びわ湖のすごいとこ!」
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● びわこのちからチャンネル
「びわこのちからチャンネル」は、琵琶湖の魅力や底力について、動画を通じて知ることができる、琵琶湖博物館公式YouTubeチャンネルです。
琵琶湖博物館のおすすめの歩き方から、水中ドローンによる湖底遺跡の調査、江戸時代の製法による「ふなずし作り」など、ワクワクするような動画が盛りだくさん!
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「びわ湖の日」音声ストーリーは「琵琶湖にまつわるいろんな音編」「琵琶湖と人々との暮らし」の2作品で、「聴く」ことを通じて、子どもたちが琵琶湖の価値を感じ、自らが琵琶湖について考え、琵琶湖のためにできることを行動するきっかけとなる内容です。
● 滋賀県立琵琶湖博物館
● 琵琶湖環境科学研究センター
● 国立環境研究所 琵琶湖分室