安土城は、織田信長が琵琶湖岸に築いた大城郭です。天正10年(1582)本能寺の変のあと天主を中心とした主郭部が焼失し、天正13年(1585)八幡山城(近江八幡市)築城に伴い廃城となります。日本史上、はじめて高層の天主を持ち、城全体が高石垣で覆われた石の要塞です。その豪壮華麗な姿は、遠くヨーロッパにまで伝わっていますが、城が建っていた期間が10年と短く、安土城について記した資料がほとんどないため、その姿は謎に満ちています。今では、かつての建物は失われ、石垣と石段に往時の姿をしのぶほかありません。
滋賀県では、全国的な知名度を誇る安土城の実像を明らかにし、目に見える形で復元して世界に誇れる安土城の魅力を広く発信することを目的に、「幻の安土城」復元プロジェクトに取り組んでいます。平成31年度(2019)にスタートしたプロジェクトは、令和8年(2026)の安土城築城450年を目標に、安土城の実像の解明と現地の保全、安土城見える化の検討、安土城復元に向けての機運醸成の3つの柱で事業を進めています。