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鰐口

鰐口
  • 名称 鰐口【わにぐち】(元亨元年辛酉九月七日の刻銘がある)
  • 員数 1口
  • 所有者 安部居区
  • 所有者の住所 蒲生郡日野町安部居
  • 所在地 蒲生郡日野町安部居
  • 法量 面径32.8センチ、総厚14.0センチ、撞座径6.5センチ
  • 品質構造 鋳銅製
  • 時代 鎌倉時代(元亨元年=1321)
  • 説明

鰐口は銅または鉄で製作された円盤状を呈する梵音具(ぼんおんぐ)で、中心に撞座(つきざ)を設け、中が空洞となり、下半が開いて共鳴するようになっている。通常、社寺の軒先に懸け、前面に鉦(しょう)の緒(お)と呼ばれる布縄(ふじょう)を垂らし、参詣人はこの布縄を振って撞座を叩き、礼拝した。
安部居区に伝えられた鰐口は銅の鋳造製で、鼓面に緩やかな甲盛りをもたせる。鼓面の意匠は表裏同文で、鼓面の外周、外区と内区との圏界および内区と撞座区の圏界にそれぞれ二条の紐帯(ちゅうたい)を廻らせ、中央の撞座には他に例を見ない五弁の蓮華文を鋳出する。
片面の外区左右には「天徳寺大願主沙弥成仏」「元亨元年辛酉九月七日」の陰刻銘があり、「沙弥成仏」なるものが願主となって元亨元年(一三二一)九月七日に施入されたことが判明する。なお、「天徳寺」の所在については、現在のところ詳細は明らかではない。
県内に伝来した鰐口のなかでは比較的古く、年記を伴う基準作として貴重である。また、古式の鰐口らしく、形姿が堂々としており、作域も秀でている。