自主防災活動の手引き集(堀池宏さん)
アドバイザープロフィール
- 所属団体・役職等:元上鈎自治会長・自主防災会長、現在、自主防災会寺内班のリーダー
- 所属団体概要:約580世帯の規模の自治会、自主防災組織員は約50名
- 活動実績(活動歴):平成26年から29年にかけ自治会長任期4年間で、大雨、地震及び災害時避難行動要支援者に関する自主防災の取り組みを計画・運用。学区の自治会長の集まりや個別の自治会に出向き、上鈎の取り組みを紹介
- 行政の支援を受け、地区に顕在あるいは潜在している災害リスクを評価し、人的被害のリスクと物的被害のリスクを把握
- 自主防災は、まずは「自助(自分の命は自分が守る」であり、あくまでも、自主防災組織は住民を支援することを基本に、タイムラインに従い、最低限必要な住民自身の防災・減災行動と出来る範囲の自主防災組織の支援行動に絞り込み
- 自主避難所(緊急避難所)と公的避難所の区別
- 自主防災組織が注力すべき支援行動に対応した班の構成
- いつでも動ける防災員として日中在宅者を地域支援者とし組織化
- 「共助」を機能させるため、又、地震時本部が機能しないことも想定し、班・組単位で支援活動が出来る様体制を構築
- 住民の防災意識レベル向上のための訓練と啓発に注力
- 訓練や実践から得られた教訓をもとに継続的改善
自治会長になる前から、以下の点をきっかけの大雨時の自主防災活動の取り組みの必要性を認識し、自治会長になり取り組みを開始
- 地区の中心を流れている一級河川の流下能力に懸念があり、進められている対策は時間がかかる河川改修だけであるため、すぐに出来るソフト面の対策立案が急務
- 1級河川は天井川の為、内水排除が出来ず、急激な市街化に伴い内水による浸水リスクが顕在化・拡大
- 平成25年の台風18号の経験から、行政だけには頼らない、言い換えれば「自分達が住んでいる地域は自分達で守る」自主防災の必要性を痛感
- 自治会の役員が自主防災会の役員を兼務する「重複型」の防災組織だが、役員の負担軽減と自主防災の経験の蓄積と専門性の面から「下部組織型」に変更予定。自主防災会会長は、自治会長とは別に、自主防災会で選出
- 大雨が予測されたときの支援行動と地震発生時の初期行動に注力するに最低限必要な、消火・誘導班、避難支援・誘導班及び調整池・水路管理班のみを組織化
- 平時は、住民の防災意識を高めるための訓練と粘り強い啓発→訓練は実践方式、啓発は出来るだけ「会う」「伝える」が基本
- 緊急時は、「自助」が基本で、自主防災組織は、あくまでの住民の防災・減災行動の支援
- 訓練や実践後は必ず事後評価し、継続的改善
Q.活動を継続するために、どのような工夫が必要ですか?
- 自主防災活動の規約を制定し、訓練やその他活動の事業化は最低限必要
- 自主防災活動の内容にもよるが、自主防災活動の経験や専門性の担保、後継者育成を考慮した体制
- 住民の防災意識の向上・維持を目的とした訓練を含む粘り強い啓発活動の継続
- 大雨と地震時の初期行動に関する訓練、自主防災組織の機能訓練と住民の自主避難訓練の組み合わせ
- 水路や調整池の点検、水路の清掃(住民の防災意識を高める目的も兼ねる)
- 自主防災要領等の維持管理
- 住民の防災意識向上に向けた啓発活動
Q.地域防災活動のやりがいや面白みはどういうところにあると感じますか?
- 訓練等を通じ、住民の防災意識が高まっていると感じた時
- ・ 西日本豪雨災害等の教訓から、やってきた自主防災活動が役に立つことが確認できた時(例えば、西日本豪雨災害では、住民に対する災害リスクの周知について行政側の大きな課題になっているが、自主防災活動を通じ災害リスクを住民に周知する方法が現実的で効果的)
リスクマトリックを活用した災害リスクの評価と減災対策の検討
自主避難の目安を含むタイムラインに基く住民及び自主防災組織の自主避難行動指針の策定
支援の必要度に応じた「避難行動要支援者」に対する普段の見守り及び災害時支援計画の策定