文字サイズ

みんなで考えるシリーズ人権教育(令和8年度)

滋賀県教育委員会発行の保護者向け情報誌「教育しが」に掲載しています。

4月「グラウンドで学んだ多様性」

休日の朝、私は小学六年生になる息子のサッカーの試合を観戦するため、近所のグラウンドに行きました。試合開始前、両チームの選手たちが整列しています。相手チームを眺めると、外国にルーツがあると思われる子どもたちが半数近くいました。その様子を見て、私は隣の友人に何気なく口にしました。

「相手チーム、外国にルーツのある子が多いね。体も大きくて強そうだし、なんかずるくない?」

友人は静かに言いました。

「それって、偏見かもしれないね。」

「いや、そんなつもりで言ったわけじゃないんだけど…。」

そう返事をしましたが、試合が始まっても、友人の言葉が頭から離れませんでした。改めて相手チームの子どもたちを見てみると、上手な子もいれば、思うように動けず悔しそうな表情を浮かべている子もいます。

試合後、息子が汗だくで駆け寄ってきました。

「今日の試合、どうだった?」

と聞くと、

「楽しかった! みんな一生懸命がんばっていたよ。」

私は、さっきの自分の言葉を思い出しながら、少し迷って尋ねました。

「相手チーム、外国にルーツのある子が多かったね。」

すると息子は、不思議そうな顔で言いました。

「え? うちのクラスにもいるよ。みんなで遊ぶし、サッカーも一緒にやってる。外国の子も日本の子も、得意なこともあれば苦手なこともあるし、それぞれ違うんじゃないかな。」

私は「ハッ」とすると共に感心しました。今の子どもたちは、小さい頃から当たり前に一緒に遊んだり、勉強したりして自然と多様性を受け止めていたからです。

片づけをしながら、私は友人に声をかけました。

「どうやら自分も偏見を持っていたようだよ。」

友人は少し考えてから言いました。

「相手チームの監督が高校の先輩で、さっきしゃべっていたんだけど、『外国にルーツのある子の中には、言葉が十分に伝わらなかったり、文化の違いで戸惑ったりして地域で孤立している家庭の子もいる。だから、サッカーをしている間くらいはのびのびやらせてあげたい』って。ルーツに関係なく全ての子どものことを大事に考えている先輩を改めて尊敬したよ。」

その言葉を聞いて、今までの自分の見方を少しずつ振り返りました。いかに表面的に物事をとらえ、外国にルーツのある子の困難やその奥にある思いを考えもしていなかった自分を恥ずかしく思いました。そして、職場で、地域で、家庭で、何気ない会話の中でも「多様な在り方を尊重できているか」と一度立ち止まり、互いの違いを認め、活かし合える関係を大切にしていきたいと強く思いました。

お問い合わせ
教育委員会事務局 人権教育課
電話番号:077-528-4592
FAX番号:077-528-4954
メールアドレス:[email protected]