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「滋賀 教育の日」2015フォーラム(2015年11月21日)

シンボルマーク

11月21日(土曜日)に野洲市の野洲文化小劇場で「滋賀 教育の日」2015フォーラムを開催しました。
今年は第2期滋賀県教育振興基本計画の基本目標の一部でもある「共に育つ滋賀の教育」について考える機会とし、359名(総参加者)のご参加をいただきました。

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「滋賀 教育の日」2015フォーラムの開催概要について

プログラム

10時30分から12時15分まで
映画上映「みんなの学校」
※映画公式ホームページ(外部サイトへリンク)
13時15分から13時30分まで
オープニングステージ「よさこいソーラン」 (県立野洲養護学校)
13時35分から14時35分まで
式典(教育功労者表彰および児童生徒芸術文化表彰、同受賞者による活動発表)
14時50分から15時30分まで
講演「みんなでつくる みんなの学校 ~すべての子どもの居場所を地域の学校に~」
講師:元大阪市立大空小学校校長 木村 泰子 氏
15時35分から16時55分まで
座談会(木村先生、文部科学省職員、県教育委員による座談会)

オープニングステージ~表彰式典について

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今年は野洲市の会場で開催され、地元の県立野洲養護学校の生徒のみなさんにオープニングステージを飾っていただきました。
夏の全国高等学校総合文化祭「2015滋賀びわこ総文」でも素晴らしいパフォーマンスだった「よさこいソーラン」を踊っていただきました。この日も音楽に合わせて息のピッタリと合った、力強いパフォーマンスを披露いただきました。

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開会に当たって、河原恵教育長から挨拶がありました。
今年で10回目を迎える「滋賀 教育の日」の取組では、県民がこぞって滋賀の教育について考え、社会全体で子どもの育ちを支える環境づくりを目的に、多くの方々が連携・協力しながら取り組んでこれたことに対する謝意や、この取組をきっかけに、県民の皆様と課題を共有し、力を合わせながら、元気よく、明日の滋賀を担う心豊かでたくましい子どもたちを育て、魅力ある滋賀の教育を作るため力を尽くして参りたいという決意を述べられ、さらなる協力を呼びかけました。

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教育功労者の表彰式では、これまで教育や学校保健、学校給食、社会教育等の分野において顕著な功績を収められた個人を表彰しました。
今年は9名の方が受賞され、この日は5名の方に対して教育委員長の藤田義嗣より表彰を行いました(4名は欠席)。

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児童生徒芸術文化表彰では、芸術文化における全国的規模の大会で顕著な成績を収められた児童・生徒の努力と栄誉をたたえ、表彰を行いました。
今年は夏の全国高等学校総合文化祭「2015滋賀びわこ総文」で優秀な成績を残された高校の部活動等、3団体と3名の個人に対し、教育長の河原恵より表彰を行いました。

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続いて、児童生徒芸術文化表彰の受賞者による発表が行われました。
受賞した児童・生徒は、日頃の活動報告をまとめた模造紙や、受賞した作品等により、会場の参加者に対して堂々と発表をされました。
普段なかなか子どもたちの活動に触れる機会のない参加者のみなさんも、レベルの高い発表や取組内容について学ぶことができ、会場からは驚きや感動の声が起こりました。

講演~座談会について

続いての講演では、午前中に上映した映画「みんなの学校」にも出演され、その舞台である大阪市立大空小学校の木村泰子(きむら やすこ)元校長先生から、「みんなでつくる みんなの学校 ~すべての子どもの居場所を地域の学校に~」と題して講演をいただきました。

この映画は大変大きな話題となっており、会場は木村先生の講演を楽しみにされていた多くの参加者で埋まりました。

講演では、主に次のようなことについて木村先生からご示唆をいただきました。

・大空小学校はどこにでもある普通の公立小学校であり、目の前の子どもにとって最善の教育をしているだけ。滋賀県にも必ず作れると確信している。

・社会では多様な価値観を持つ人や世界の様々な国の人がいるのが当たり前であり、そのような中で生きる力こそが社会で生きるために必要である。その力を身につけるのが小学校の6年間であり、そのためには、周りに騒がしい子がいるから勉強ができないというようなことは理由にならない。大空小学校の子どもは、そのような中で学び、聞く力が非常に身についている。

・学校は大人が「教える場」ではなく、「全ての人が学ぶ場」である。

・良い学校とは、文部科学省や教育委員会から評価される学校ではなく、そこに通う子どもたちが良い学校と思える学校である。

・子どもたちは約束したことをつい破ってしまうこともあるが、反省したり約束をする一瞬一瞬の気持ちは本物。

・子どものトラブルには、大人がジャッジをしない暗黙の理解がある。それは大人がジャッジしても表面的に子どもが納得した気になるだけで、子どもたち同士が学び合うことが大切だと考えているから。

・大空小学校では「障害」という言葉は一切使わなくした。それは大人が「障害」と「健常」を教えて、障害があるからという説明をしてしまうと差別を教えているだけだから。

・子どもに今一番必要な力は「自ら死なない力」であり、大人に一番必要な力は「子どもを自ら死なせない力」である。

・大人が少しでも変われば簡単にみんなの学校は作れる。子どもがありのままの自分でいられる居場所を、皆さんが是非作っていただきたい。

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続いての座談会では、県教育委員会の委員と講師の木村先生、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課の瀬戸 麻利江(せと まりえ)氏による意見交換を行なわれました。
意見交換では主に次のようなやり取りが行われました。

ー当たり前のことを当たり前にやるためには?ー

当たり前の価値観はそれぞれ違う。当たり前を決めつけてしまってはいけない。他人の当たり前を理解することが自分の当たり前を広げ、成長するきっかけとなる。これが学びであると思っている。

ー教職員に同じ方向を向かせるコツは?ー

校長がリーダーシップを誤解してはいけない。校長の仕事は価値観を押し付けることではなく、コーディネーターである。子ども、保護者、教職員、地域の方、これらをつなぐコーディネーターである。今の激動の世の中では日々色々なことが起こり、当たり前も変わる。3.11以降、子どもたちが主体的に考える力の重要さを再認識し、大人もみんなで考えることが大切。

ー開校時に校長自らが大きく反省するような出来事があったとのことだが、その反省後、改めて方向性を決めて取り組んでこられたのか、日々の活動の中で方向性を見出していったのか?ー

子どもから学ばなければ良い学校は作れないということを全教職員が学ぶところから始まった。その後は、改めて方向性を決めて取り組んだのではなく、目の前の子どもが学べているか、学び合っているかということだけを考えてきた。「全ての子どもの学習権を保障する」という学校の理念も数年経ってからできた。

ーアカデミックスキル(※知識や思考、分析等につながる能力)は個別性が高いと思うが、大空小学校ではどのように対応されていたか?ー

医学的に専門性が高いことは教職員ではわからないからこそ、医学的な知識に捉われるのではなく、その子が本当に学べているかだけを考えており、子ども同士が学び合う時間を取るというようなことが自然にできている。

ー早期からの発見と対応について、文部科学省で進めている方向性は?ー

早期発見や対応は、担任の先生だけで抱え込まない仕組みづくりが大切。コーディネーターが専門性の高い人とつなぐ等の対応が大切。そのためには、校長のリーダーシップも大切。

ー子どもたちに対して厳しい言い方も映画で見られたが、どういう意図をもって言っておられるか?ー

思ったことを言っている。校長の私が「たった1つの約束」を破ってしまい、やり直すという回数が1番多かった。しかし、外部の人に対して子どもは職員室のことを「困ったときはここに来れば何とかなる場所」と説明してくれていたなど、本音で対応してきたからこそ、我々大人に対する子どもたちの信頼が高まったのかなと思っている。
ー最近の学校や就学前の幼稚園、保育園も含めて、似た環境にある保護者や子どもたちが集まってしまっており、多様な子どもが学び合うという機会が失われていないかと危惧するが、木村先生はどのように感じるか?ー

特別支援学校は専門性をすごく持っている。特別支援学校のノウハウ、予算、人材を地域の学校に入れてもらえれば、地域の学校で多様な子どもが学べるのではないかと考えている。ただ、日本全国一概には言えない。

ー滋賀の若手教員に対してメッセージをー

管理職の顔を見るのではなく、子どもの顔を一生懸命見てください。そして、教えるという意識を持つのではなく、目の前の子どもから多くを学べる、「学びの専門家」になってください。失敗して、失敗を隠さずやり直しをする、その姿を子どもたちに見せることで、大人になってもやり直しの力がつく。そういう意味でも若い先生は子どもを見ながらどんどん動いて失敗してください。

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