令和5年度卒業の県内高校生(特別支援学校高等部および高等養護学校の生徒含む)のうち、就職試験を受験した生徒延べ1,805名を対象に調査を行いました。その調査の中で、就職試験の面接時に不適正質問を受けたと報告のあった内容についてまとめました。
これまで、高等学校および特別支援学校卒業予定者の採用に関しては、行政機関、関係諸団体等により滋賀県進路保障推進協議会が組織され、公正な採用選考が行われるよう企業等に働きかけてきました。
しかしながら、今も、就職差別につながるおそれのある不適正質問が見られ、本人の適性と能力のみを基準とした公正な採用選考が行われるうえで、課題が残されています。
≪不適正質問の概要≫
○不適正質問をした企業等の数は31社
・・・不適正質問をした企業等の数は、生徒が受験した781社のうち31社で、全体の4.0%にあたります。これは、前年度より6社(0.6ポイント)増加しました。
○不適正質問の件数は32件
・・・不適正質問の件数は、前年度の34件より2件減少しました。
(A)本人に責任のない事項、身元調査につながるおそれのあるもの(家族構成、住所、家族の職業等に関する質問)・・・19件
(B)本来、自由であるべきもの(愛読書、尊敬する人物等に関する質問)・・・13件
不適正質問件数は令和4年度よりも微減しました。一方で、不適正質問をした企業等の数は増加しており、本籍地や出生地を質問したり、面接の中での話題から派生して住所や愛読書に質問が及んだりする事例も見られました。公正な採用選考に対する面接担当者の認識不足や事前の打ち合わせが不十分であったことが、不適正な質問に至った要因と考えられます。
今後も公正な採用選考のあり方や意義について、引き続き理解を求めていく必要があります。
≪不適正質問への対応≫
県教育委員会としては、公正な採用選考が行われるよう関係機関とより一層の連携に努めます。各学校に対して、生徒が不適正質問を見極める力をつけるとともに、面接でそのような質問を受けた場合には、生徒が返答を控える等、適切な対応が取れるように指導していきます。また、県、県教育委員会、滋賀労働局の連名で、差別のない公正な採用選考の実施に向け、そのあり方や意義の理解が一層深まるよう、企業等に要請を行います。
企業等に対しては、公共職業安定所が中心となり、冊子『採用にあたって』(滋賀県商工観光労働部労働雇用政策課発行)を配付し、基本的人権を尊重した公正な採用選考を求めています。今後も、面接選考の前に、十分な打ち合わせを実施すること、あらかじめ面接評価基準を設定することなどの指導を行っていきます。
さらに、不適正質問をした企業等に対しては、公共職業安定所・滋賀県進路保障推進協議会等が訪問するなど、改善に向けた啓発・指導をしていきます。