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令和5年度第2回滋賀県総合教育会議の開催結果

開催日時

 令和5年7月21日(金曜日)午後3時15分から午後5時15分まで

開催場所

 県庁北新館5-A会議室(大津市京町四丁目1番1号)

出席者

知事、副知事、教育長、教育委員

議題

(議題1) 次期「滋賀の教育大綱」の策定について

(議題2) 不登校対策について

報告

子ども政策推進本部の活動状況等について

会議録

(福永教育長)

 本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから令和5年度第2回滋賀県総合教育会議を開会いたします。

 本日の出席者につきましては、お手元の「出席者名簿」および「配席図」の配布により紹介に代えさせていただきます。本日は議題2のゲストスピーカーとして、東近江市立蒲生北小学校の川越ちづる先生、守山市教育委員会教育研究所の脇阪久徳所長、フリースクールひとつぶてんとう園の西村静恵様にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、本日の会議は、会場での傍聴と併せて、ウェブ会議システムを活用してオンラインでも視聴をいただいておりますので、ご承知おきください。

 それでは開会にあたりまして、知事からご挨拶をお願いいたします。

 

(三日月知事)

 皆さん、暑中見舞い申し上げます。また、大変お忙しい中、今年度2回目の総合教育会議にご臨席いただきまして、誠にありがとうございます。また、教育委員の先生方には、日ごろ滋賀県の教育行政に多大なお力添えをいただいております。感謝申し上げます。

 この会議の前に記者会見をしていたのですが、滋賀県知事として3期目、ちょうど一年が経過したということで、メディアの皆さんからどのようなことが課題で、どのようなことに力を入れていくのかということを問われてきたところでございます。コロナを乗り越え、みんなで「健康しが」をつくろう、その取組をバージョンアップさせようと、私たち人の健康と、人と人との関わり合いである社会・経済の健康と、土台となる自然の健康、特に人の健康の面では「子ども、子ども、子ども」、子どものために子どもと共につくる県政ということを表明しておりますし、今、様々な分野で人手不足ということが言われておりますので、人づくりというものについて、更に力を入れていきたいということなどについても表明させていただいたところでございます。

 今日から夏休みという子ども達も多いということですが、先ほどニュースで福岡では小学生3人が川に流されて、意識不明という報道がありました。また、酷暑の中ですので、熱中症対策、また若干コロナが増えていることから感染症に気をつけながらの夏休みということになるのかもしれませんが、子どもたち、県民の皆さんの安全安心のための取組も更に力を入れてやっていきたいと考えているところであります。

 今、高校野球を始め、スポーツが熱戦を繰り広げておりますし、文化部の人たちも高校総文を始め、色々な取組をされております。女子サッカーワールドカップの戦いも始まったようですし、近江八幡市出身の乾選手が世界水泳で快挙を成し遂げてくださったことも、大変嬉しいニュースです。是非、地域を、また、それぞれの分野を盛り上げていけるように、折しも今日が2年後の国民スポーツ大会までちょうど800日前という日だそうですが、2年後の国民スポーツ大会、障害者スポーツ大会に向けても、更に機運を盛り上げていければと考えております。

 世界との関わりということで二つ嬉しいニュースがありまして、一つは国宝、彦根城が世界遺産に向けて事前評価制度という新たなステージに上がり、世界の専門家の皆さんと対話をするということになりました。これは、これまでの努力が実った大変嬉しいステップアップだと思うのですが、単に城が綺麗で素晴らしいということだけではなく、当時、戦のない平和な時代を築いた拠点が彦根城であったということ、武士が刀や槍を持たずに、のみや鍬を持って仕事に打ち込むことが出来たこと、また、藩校を中心に、子どもたち含め子弟に対して教育を充実して行ったということや、また、様々な文化の取組が、茶の湯を含めて営まれたということ、そのようなことを是非世界に向けて、発信していくきっかけにしたいと考えております。

 今月末から中国の湖南省に出張させていただくのですが、高校生、大学生と一緒に行くこととし、約50人の訪中団を組成いたしました。中国の湖南省とは洞庭湖と琵琶湖の繋がりで友好姉妹を提携してちょうど40周年の節目になります。近い歴史の中では、戦争の悲しい歴史もございますが、長い交流の歴史の中で、是非、平和の交流、更に両国がより親しくなれるような交流を、高校生、大学生と一緒に、現地で体感して、交流して、きっかけを作ってまいりたいと考えているところでございます。一過性のものに終わらせることなく、今後に繋げてまいりたいと考えておりますので、どうぞお力添えをよろしくお願いいたします。

 今日の議題は次期「滋賀の教育大綱」の策定について、先般も教育振興基本計画審議会から答申をいただきましたので、それを基に議論させていただきます。また、二つ目の議題として、私自身も力を入れて取り組んでいかなければならないと表明しております、不登校対策について、現場でご奮闘いただいている方々からお話いただき、今後の施策に活かしていきたいと考えておりますので、限られた時間の中ですが、忌憚なく、実りのある会議になりますことを期待いたしまして、冒頭の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

(福永教育長)

 ありがとうございました。早速ですが、議事に入りたいと思います。まず議題1の次期「滋賀の教育大綱」の策定について、事務局から説明願います。

 

(會田教育総務課長)

 第4期滋賀県教育振興基本計画も兼ねております次期「滋賀の教育大綱」について、これまでよりこの総合教育会議においてご協議いただきますとともに、滋賀県教育振興基本計画審議会や、県議会などにおいてもご議論いただいてまいりました。また、知事からの紹介にありましたように、6月23日には滋賀県教育振興基本計画審議会より答申があり、このことを踏まえ、この度原案を作成いたしましたので、その内容についてご説明申し上げます。

 それでは、資料1-1をご覧ください。1に記載のとおり、この大綱は、地方教育行政の組織および運営に関する法律の規定に基づき策定するものであり、本県におきましては、教育基本法の規定に基づき策定する、滋賀県教育振興基本計画をもって、滋賀の教育大綱として位置づけることとしております。また、計画期間は、現行の大綱と同様に、令和6年度から令和10年度までの5年間としたいと考えております。

 次に原案のポイントですが、資料1-2に原案の概要を掲載しておりますので、これに基づき説明いたします。

 まず、計画策定の背景ですが、1ページの左側に記載しているとおり、本県の教育を取り巻く環境や、将来の滋賀を担う人づくりを進めるにあたり求められる取組の視点として、未来社会を見据えた学習者主体の人づくりや、コロナ禍の経験から得た「気付き」等、7項目を掲げております。また、現行の第3期計画の実施状況を踏まえた成果と課題については、「子ども一人ひとりの個性を大切にし、生きる力を育む」をはじめとする3つの施策の柱ごとにそれぞれ整備をしているところです。

 こうした背景を踏まえまして、まず基本目標ですが、普遍的に求められる資質の育成が重要であるという認識のもと、本県教育の不易の目標として、現行大綱に引き続き、未来を拓く心豊かでたくましい人づくりを基本目標として掲げたいと考えております。また、サブテーマは、これまで近江の心として本県における道徳教育の中で大切にしてきた理念である三方よしを引用しながら、教育を通じて、子どもたち、教職員や家庭、地域社会の皆さんの幸せの実現を図ろうとする方向性を示すこととし、「三方よし」で幸せ育む滋賀の教育とさせていただきたいと考えております。

 次に全体的な方向性につきましては、3項目を掲げております。まず一つ目は社会の皆さんが愛情をもって自分を大切にするとともに、相手を尊重し、地域にも誇りと愛着を持つことができる人づくりに取り組む姿勢を示すべく、すべての人が愛情をもって取り組む教育を掲げさせていただいております。二つ目は、一人ひとりの学習者を学習の主役と位置づけ、その成長の過程を支援していく姿勢を示すため、学習者が主体の教育としております。また、三つ目といたしましては、本県の豊かな自然、歴史、文化や地域社会を教育資源とするとともに、先人が培ってきた近江の心から学ぶ姿勢を示すべく、滋賀に学ぶ教育を掲げているところです。

 次に、ただいま申し上げた計画全体の考えを踏まえ、今後5年間に実施する教育施策について、三つの柱に体系化し、総合的に展開していくこととしております。

 まず、柱1では、「夢と生きる力を育む」とし、確かな学力や豊かな心の育成の他、社会参画・社会貢献意識、情報活用能力の育成、体験活動等の推進、部活動の持続可能な運営への支援などに関する施策を位置付けてまいりたいと考えております。

 また、柱2では、「学びの基盤を支える」といたしまして、教職員の働き方改革や教育DXの推進、特別支援教育およびインクルーシブ教育、魅力ある県立高校づくり、幼児教育・保育の充実と小学校教育との円滑な接続、高等教育機関との連携を、時代の変化に的確に対応し、学びの基盤を支える各種施策として位置づけようとしております。

 柱3では、みんなで学びに関わるとし、生涯学習の振興や読書活動の推進、地域や企業等との連携、困難な環境にある子ども一人ひとりの学びへの支援などの施策を展開してまいりたいと考えております。具体的な取組内容については、2ページ目の施策体系に記載しております。また、3ページ目には、計画に掲げる施策ごとの目標を掲載しております。なお、資料1-3といたしまして、大綱本文を掲載しておりますが、本日は説明を省略させていただきます。

 資料1-1にお戻りください。最後に今後の予定ですが、4に記載しておりますとおり、本日ご協議いただいた後、8月にかけ、県民政策コメントを実施する予定をしており、この結果については、9月に開催予定の、次回の総合教育会議において報告させていただきます。また、この大綱は、先ほど申し上げたとおり第4期滋賀県教育振興基本計画を兼ねていることから、策定に当たり、議会の議決を経る必要がございます。このため、9月定例会に策定状況を報告した後、11月定例会に議案を提出し、議決を得た上で、本年中に策定したいと考えております。この大綱を基に令和6年度からの施策展開に取り組んでまいりたいと考えております。

 説明は以上でございます。

 

(福永教育長)

 お気づきの点や、特に力を入れた方が良い政策等のご意見がありましたら、よろしくお願いいたします。

 

(石井委員)

 ご説明ありがとうございます。全体的な方向性の(2)の読み解く力の育成の表現に関して、大きな概念として使われていると理解しています。一方で第3期計画の成果と課題には、基礎的、基本的な知識技能の習得に課題が見られると、非常にさらりと表現されていますが、教育にとってすごく重みのある反省点だと理解しております。情報が氾濫し、技術革新の進展等、世界が変わっていく中で、基礎や基本といったことは一層重みを増す時代になっておりますので、是非とも滋賀県らしい重要な展開を期待しているところでございます。

(福永教育長)

 ありがとうございます。読み解く力の育成は大切ですが、そのベースとなる基礎、基本も大切にしながら、一人ひとりの子ども達の学びの状況が違いますので、そのことを十分踏まえた上で、子ども達に基礎、基本を身に着けさせることが大切だと考えております。

 

(野村委員)

 期ごとに計画が策定されていきますが、教育とは何かと考えたときに、学校教育や学習の面もありますが、やはりその中に心であったり、体であったり、情報であったり、そのようなものの全てが教育の中に紐づけされていて、その一つ一つを細かくひも解いていただきながら、計画を策定されていると感じます。多方面から考えていただき、滋賀らしい教育を打ち出していけるような大綱を作っていただいていることに感謝しております。

 

(福永教育長)

 確かな学力や豊かな心、健やかな体の育成は一体としてやっていく必要があり、それらの前提として生きる力を身につけることが大切だと考えております。

 

(塚本委員)

 計画策定の背景のところにコロナ禍の経験から得た気づきとありますが、約3年のコロナ禍を経て、社会の様相について気付くことも多くありました。記載されている気づきとは、具体的にどのようなものであり、どのような思いでこの中に盛り込もうとされているのでしょうか。

 また、感想ですが、子ども達の教育環境や今取り上げられている様々な課題等は社会の現れだと感じておりますので、我々大人が解決を図っていくべきなんだろうと感じております。

 

(福永教育長)

 ありがとうございます。コロナ禍の経験から得た気付きについて、今後の政策展開や取組にどのように反映していくのか、事務局から説明願います。

 

(會田教育総務課長)

 先ほど委員がおっしゃったように、コロナ禍が子ども達の学びに大きな影響を及ぼし、特に学校においては学びの交流が大変希薄になりました。このため、今後はうみのこによる教育活動のような体験活動をしっかりしていく必要があると考え、施策の中の柱1「夢と生きる力を育む」においても記載しております。多様な学びの機会を作るということで、体験活動の推進に取り組んでまいりたいと考えているところです。

 また、コロナ禍の影響は、このような負の側面だけでなく、例えばICTの活用のような大きな進展もありましたので、教育DXの推進についてもしっかり取り組んでまいりたいということで、計画に盛り込んでおります。

 

(福永教育長)

 体験活動ができなかったことが子ども達にどのように影響を与えたか、そして、その大切さを改めて認識できたのではないかということが、一つの気付きであると考えております。当たり前に実施出来ていたことが、実施できなくなり、大変大切なことであったと気付かされたということの一つに部活動もありますが、今後、いかに持続可能にしていくのかが大切だと思っています。

 

(大杉副知事)

 本文の62ページにある「日本語指導が必要な子ども等への支援」について、先日、塚本委員と東近江市の教育の状況を視察させていただきましたが、先生方の意識を変えていかなければならないということをおっしゃっていたのが印象的でした。どうしても日本に慣れてもらうための指導になりがちですが、保護者支援も含め、その子の発達を見据え、どのように東近江市民として活躍してもらうのか、両国の架け橋になってもらうのか、発達のその先を見据えた指導が大切であると、意識を転換していかなければならないとおっしゃっていたことが、非常に印象的でした。

 また、困難な環境にある子ども達への対応ということで、もう少し発達段階を繋ぐことや、その子の発達を見据えること等も含め、対応できるような形になっていくと良いと感じております。

 

(福永教育長)

 日本語の指導をどうするのかということについて書いておりますが、滋賀の地域で学んでいく上で、将来この子はどのように活躍していけるのかということを意識しながら進めていかなければならないと思います。これは、外国人をどのように日本が受け入れているのかという話にも関わってくると思いますし、滋賀の人口においても日本人と外国人の割合がどのように伸びていくのかということも関わってくると思います。そのような視点も持ち合わせて、今後考えていく必要があると思います。

 

(三日月知事)

 今日はゲストスピーカーの方もお越しいただいておりますので、どのような点にこだわりながら議論をしているのかということを、ぜひご理解いただけたらという思いで、若干繰り返しになるかもしれませんが、次の教育大綱にかける思いなどをいくつか申し上げたいと思います。

 一つ目は先ほどの話に出ていた、コロナ禍で得た気づきについてです。現行の教育大綱の中でコロナ禍を経ましたので、次期教育大綱には、コロナ禍で得た気づきをしっかりと入れていきたいと思っています。GIGAスクール構想は進みましたが、コロナの影響は子ども達にも及んでいます。全校休校としましたが、現在、そのことについて振り返り、検証をさせていただいております。このようなことを是非次の機会に活かしていきたいと思っております。

 二つ目は先ほど石井委員もおっしゃっていましたが、世界や時代の流れが変わり、技術が進化していく中で、変えていかなければならないことと、変えずに大切にしなければならないことへの見極めが、これまで以上に大事になってきておりますので、そのようなことも考慮しなければならないと思っております。

 そして三つ目は、以前も申し上げたと思うんですけど、分からないと言える学校・分かる、分かったということは大事にしたいのですが、「先生、分からない。」、「私、分からない。」と言える学校、「助けて。」と言える社会を作ろうということを呼び掛けておりますので、そのようなことを、ぜひ、この教育大綱の中にも、埋め込んでいけたらと思っております。

 また、そのような意味で、私自身がこだわった点は、全体的な方向性のところで、愛情を持って取り組む教育、全ての人が愛情を持って行う教育をしようということと、先生や学校という単位ではなく、学習者が主体になる教育、そして他の都道府県で学ぶのではなく、滋賀で学ぶということを大事にしようという三点です。

 特に柱の二つ目の学びの基盤を支えるに関して、子ども達の笑顔を作るには、教職員を始め、子ども達に関わる大人の笑顔を作る、支える人を支えるという観点を大事に持ちたいということや、多様な教育ニーズということで、特別支援学校の分離、新設の検討は、非常に重要なテーマになると考えております。また、みんなで学びに関わるに関して、社会全体で学びを支える、特に困難な環境にある子ども達に対する配慮や支援等を、この後の議題にある不登校対策も含め、次期教育大綱に書くと同時に、具体の政策をさらに充実させていきたいと思いますので、ぜひ皆さん、今後ともよろしくお願いいたします。

 私からは以上です。

(福永教育長)

 ありがとうございます。本日いただきましたご意見は、次期教育大綱の検討、また、今後の教育施策の推進に反映してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして議題2の「不登校対策について」に移ります。まず、本県における不登校対策のこれまでの取組の成果と課題について事務局から説明をさせていただきます。

 

(谷村生徒指導・いじめ対策支援室長)

 議題2の不登校対策について説明させていただきます。配布している資料につきましては、資料2-1をご覧ください。

 まず1ページ目をご覧ください。滋賀県の不登校の状況について、文部科学省の調査になりますが、令和3年度の本県における不登校児童生徒数は公立小・中学校で過去最多となり、県立学校においても、ここ3年間、増加している状況です。令和4年度につきましても、全校種で増加傾向にあります。その要因について、教員の見立てと、子どもの思いに相違がありますので、欠席の背景を的確に把握しないと、登校を促す指導が子どもを苦しめる場合もあると考えております。

 2ページ目をご覧ください。学校内にある別室で指導を受けている児童生徒の実質人数ですが、小学校が471人、中学校が660人となっております。また、教育支援センターに通う児童生徒の数は、小学校で95人、中学校で135人となっております。3ページをご覧ください。民間施設等での支援を受ける生徒の数は、小学校で45人、中学校で55人となっております。今説明しました別室指導、教育支援センター、民間施設の取組については、この後ゲストスピーカーから説明をいただけると思っております。また、自宅におけるICT等を活用した児童生徒の数については、小学校で29人、中学校で192人ということで、前年より上回っているという状況です。ただ一方で、相談指導を受け入れられていない児童生徒の数が、小学校で323人、中学校で736人となっており、どちらも不登校児童生徒の3割以上となっている状況ですので、課題に思っております。

 4ページ目をご覧ください。これまでの県の取組をいくつか紹介させていただきます。1つ目は、令和3年度から始まりました児童生徒の健全育成に係る県と市町の連携協定の締結についてです。今年度、全ての市町と締結され、県立学校において、協定に基づき、連携を行っているところです。

 5ページ目をご覧ください。令和4年度に、不登校対策研究会議と称し、大学教授や医療、心理、福祉の専門家および、不登校に関わる民間団体の代表からなる有識者の会議を行いました。三つの柱で協議を行い、その議論をまとめさせていただきました。その結果については、今年度、各学校に周知をさせていただいたところです。

 6ページ目をご覧ください。教育と福祉の連携による不登校対策としては、スクールソーシャルワークスーパーバイザーが、市町における教育と福祉が連携した支援体制の強化を行っており、令和2年度から令和4年度に、資料に記載の市町において実施してきたところです。

 7ページをご覧ください。令和2年度より訪問型家庭教育支援のモデル事業をスタートさせ、毎年2市町をモデル市町として3年間、計6市町で困難な課題を抱える家庭等の支援に取り組んでまいりました。令和5年度以降は、この知見や手法を、県域での体制づくりに生かしていきたいと考えております。

 8ページ目をご覧ください。以上の取組等に加え、相談や指導などの校内体制の整備および教員の資質向上をさらに充実させるため、毎年、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置、派遣の拡充も行っているところです。

 9ページ目をご覧ください。別室指導加配について、グラフを載せておりますが、非常に効果があると考えており、県におきましては、今年度、その拡充を行ったところです。

 10ページ目をご覧ください。現在、全国で24校に設置されております不登校特例校について、これまでに他府県の4校を視察に行かせていただき、その研究等を進めているところです。

 11ページ目をご覧ください。これらを受け、今年度の取組として、こちらに記載の4点を現在進めているところでございます。また、こちらに記載はございませんが、4月に首長会議を実施させていただき、各市町の市長、町長が一同に会して不登校対策をテーマに話し合いを行いました。不登校対策に関する共通認識が持てる議論の場を作ってはどうかと提案し、具体的なテーマとしては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの働きやすい環境作りや教育支援センターの充実、フリースクールや特例校のあり方などを挙げました。これに対して、各市長、町長からは、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家の配置が不足している現状や、県の支援、拡充が先決などといった意見が出されました。一方で、他の市町のやり方に刺激を受けるなど、先に述べた議論の場や、情報や意見を交換する場は必要であるといった意見も出されたところでございます。

 12ページ目をご覧ください。今年3月に国より発表されました「COCOLOプラン」について概要版を掲載しておりますが、簡単に説明させていただきます。不登校により学びにアクセスできない子ども達に対しまして、1、不登校の児童生徒が学びたいと思ったときに学べる環境を整える、2、チーム学校で支援する、3、学校をみんなが安心して学べる場所にすることにより、学びの保障を社会全体で実現するためのプランを取りまとめられたものでございます。

 説明は以上でございます。

 

(福永教育長)

 続きまして、東近江市立蒲生北小学校の川越教諭よりご説明いただきます。よろしくお願いいたします。

 

(東近江市立蒲生北小学校川越教諭)

 東近江市立蒲生北小学校の川越と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど三日月知事からお話がありましたように、昨日終業式を終えました。3年ぶりに全校児童が集まり、「こんな光景、久しぶりやな。」と言いながら、無事に終業式を終え、「楽しい夏休みを過ごしてきてね。」と、子ども達を送り出しましたが、今日の午前中からは、職員会議があり、2学期の運動会についての提案が始まり、気分はもう2学期に向かわないといけないと思いながら、こちらへ来させていただきました。

 

(三日月知事)

 お忙しいところすみません。

(東近江市立蒲生北小学校川越教諭)

 いえ、このような素晴らしい会議に出席させていただけるということで、校長先生からお話をいただいた時はどうしようかと思いましたが、「現場のそのままを伝えたらいいんやで。」と、同僚の方たちからは「この現状を伝えてきて!」と力強く言われ、参加させていただきました。

 私は生きる力加配と教育相談、そして別室運営を担当させていただいています。今日は本校での別室運営や、それについての実践報告をさせていただこうと思っております。

 早速ですが、説明させていただきます。本校は特別な支援を要する児童の割合が多く、特別支援学級が6学級あり、34名在籍しておりまして、全校の約13%に値しております。素直な子どもらしい児童が多いのですが、不登校傾向の児童に関しましては、友達や周りの人との関わりが苦手な子が多いです。また、我慢することや、自制心が十分に育っておらず、苦手なことに向き合うことが難しい子ども達が増えてきたという印象があります。

 ちょっと行きにくいという子が増えてきているのですが、やはり家庭の影響も大きいです。家庭で褒められた経験がないという子や、家庭でのことを引きずって学校に来るという子ども達も多く、また、自己肯定感が低い子どもたちが増えているのも現状です。

 蒲生北小学校区は、新興住宅地がほとんどを占めております。近所や地域の関わりがあまりなく、保護者の価値観も多様化しています。そのような課題を抱えている本校ですので、特別支援教育の充実に力を入れています。

 本校には通級指導教室があります。今年度は本校の生徒だけで、13人の子たちが通っています。

 管理職や教育相談担当、生徒指導、特支コーディネーター、特支担任が情報を常に共有しています。どの子にとっても、個別に最適な学びができるように、可能な限り柔軟に動ける体制を組めていると思っております。

 また、SCやSSWとの連携も密に行っています。ケースに応じて計画的に専門のカウンセラーに連携していますが、児童とSCではなくて、教育に関わる私達が、SCの先生にどのように保護者にアプローチしていけば良いかというような相談をしております。それから、不登校児童が高学年の場合は、中学校との連携を図り、切れ目のない支援に努めようと共有をしております。

 校内のケース会議も頻繁に行っており、6月だけで18回行いました。計画的にケース会議を設定することもあるのですが、やはり突発的なケース会議の方が多いです。時間がない時は職員室の隅で早急に会議を行うこともありますし、じっくりと時間をかけて行うこともあります。担任の先生はとても多忙なので、こまめに情報の共有化を図りたいのですが、なかなかそれが難しく、でも図らなくてはならないので、校務支援ソフトに保存したり、プリントアウトして会議をするなどして、組織を作っています。

 校内で情報は共有したとしても、不登校に関する学校の課題は、常に出てきています。兄弟姉妹ともに不登校という子たちも多いですし、また、保護者が日中は勤務されているので、遅刻の場合は送迎が難しく、タイミングを逃すと家で1日を過ごすという場合もあります。あと、両親それぞれの向き合い方が違うため、学校と同じ方法で課題解決が出来ないというケースもあります。

 また、今年から別室運営を担当させていただいておりますが、やはり教育相談や授業が入るなどの突発的なことが起こり、常時別室に待機しておくということが難しい状況です。そのような現状の中で、昨年度までの生きる力加配では円滑な学校体制づくりに取り組んでまいりました。こども相談支援課との連携であったり、SC、SSW、職員間の共有を充実させたりして、諸課題の解決、教職員の資質向上に繋がっていると思います。

 また、今年度は別室指導による教室復帰という推進事業を実施しています。おひさまルームと子ども達と命名したのですが、施設の利用について説明させていただきます。

 蒲生北小学校では別室のことをおひさまルームと呼んでいます。少し小さめな部屋で、昨年度までは机だけが置いてあるという何もない部屋だったのですが、やはりそれでは気持ちが向かないということで、別室に通っている子ども達と教室づくりから始めました。

 「学校に行きたくない。」「授業休みたい。」「それならおひさまルームに行き。」ということではなく、不登校気味の子ども達が教室以外で落ち着く場所としておひさまルームを活用し、そこにずっと居るのではなく、ゆくゆくは教室へ復帰するというステップアップの部屋として考えてもらえるように運営しています。誰もがすぐに利用できるというものではありません。

 なぜ、そのようにしたかというと、子ども達の背景や家庭の環境、子ども達の様子などをしっかり共有しないと、個々に合わせた対応や指導がしにくくなり、不登校の状態が続いてしまうということがありましたので、手順としては通級指導教室や発達検査などと同じようにケース会議を行い、保護者面談をし、校長の承認を得てから、別室の利用を開始するということに今年度から決めました。

 「別室運営の環境づくり」をご覧ください。別室の様子なのですが、まず、カレンダーには、子ども達が登校してきた時にシールを貼り、「何個たまったなぁ。」と話したり、たいしたことではないかもしれませんが、これが励みになって学校に来られる子もいます。

 昨年度3月全欠席だった子は、今年度5月は皆出席で、この子と二人で別室を作ったりしました。「その2」にその子と一緒に作った写真が貼ってあるのですが、リボンやお花が大好きなので、お花を飾って水やりを担当させることで、水やりをしないと、という使命感が出て登校できています。5月の皆出席だった時は本人を含め、担任の先生、保護者などと大喜びして賞状をつくって飾りました。「ご褒美は何がいい?お母さんと一緒に決めてみよう。」と問いかけると、好きなお菓子を出席した日数分とのことで、大人からするとそのようなもので良いのかと思うのですが、6月も引き続き頑張って登校しています。

 担任の先生も別室に預けて終わるのではなく、teamsで教室とおひさまルームを繋いでくれています。グループ学習があったときには、別室の子が見ているカメラに向かって、教室の子が問いかけたり、普段から挨拶をしたりと、みんなが温かくその子のことを学級の1人として見てくれており、そのことを別室に通う子も感じています。

 学期に一度保護者の方と面談を行い、次の学期の目標を立てています。事例の一つとして、当初は「保健室でも良いから学校に行きなさい。」と預ける保護者の方がおられたのですが、面談を行ったり、子どもの様子を相談していく中で、「今週は3回行ったら一緒に本読もな。」という言葉かけや、送り出すときに力強く抱きしめておられたり、向き合い方が変わってきたので、子ども達もしんどい思いを抱えているかもしれませんが、保護者もしんどい思いを抱えているかもしれないということを受け止めながら、進めていかなければならないと思っております。

 おひさまルームに通う子ども達は自分達で時間割を決めますが、必ずしもそのとおりに過ごさないといけないわけではなく、頭が痛くなったりした場合は、教室からおひさまルームに戻ってきても良いとしています。その子にとっての落ち着ける環境や居場所づくりということが大切だと思っています。

 ただ、本校は生きる力加配というポジションをいただいているので、別室運営が出来ていると思うのですが、他の学校では、別室を担任の先生や教務の先生が担当されているという状況があります。不登校の生徒が増えているのに、別室がない、対応できる教員がいないというのが現状です。こうなると担任の先生に負担がかかります。様々な課題を抱えている子ども達に向き合うために別室は必要だと思いますし、加配も必要だと思いますが、実際は現場にそのような職員が足りません。

 まだ私も手探り状態で進めている別室運営ではありますが、本校の取組が不登校の子ども達の安心・安全に繋がればと思い、本日は出席させていただきました。ご清聴ありがとうございました。

 

(福永教育長)

 ありがとうございました。続きまして守山市教育研究所の脇阪所長から守山市教育研究所の取組等について御発言いただきます。よろしくお願い致します。

(守山市教育研究所脇阪所長)

 守山市教育研究所の脇阪でございます。よろしくお願いいたします。

 当研究所は市内の先生方の研究事業と、児童生徒および保護者の方に対しての教育相談事業および教育支援事業を行っております。今日はこの教育相談事業と教育支援事業から私たちが感じている課題およびその課題解決に向けての方向性についてお話させていただきたいと思っております。先ほどの蒲生北小学校の川越教諭のお話を頭に入れながら聞いていただくと、どれだけ研究所が役に立っているか、また、このような研究所の必要性についてもお分かりいただけるかと思います。

 まず守山市の状況をお伝えいたします。守山市は現在8万5千人余りの人口を有します。小学校は9校ございます。在籍児童数が5,711人で、守山小学校のような大規模校から、中洲小学校のようないわゆる小規模校までございます。中学校は4校ございます。生徒数は2,782人です。

 本市の不登校児童生徒数の傾向ですけれども、この表が小学校の30日以上の欠席児童生徒数です。本市の小学校におきましては年々増加傾向にあり、特に令和3年度から4年度にかけては急激に増えています。残念ながら令和5年度の6月も、前年度より増えているとの報告を受けています。中学校でもここ数年は増加傾向にあります。

 私達は、悩んでおられる先生方にまずは頼りにされること、そして悩みを抱えている子どもや保護者の拠り所となるような研究所になるよう、取組を進めております。その取組の中心の1つが教育相談事業です。大切にしていることは、悩みや不安に寄り添い、できるだけ保護者と子ども達との並行面談を行うようにしています。その相談件数は、不登校数の増加に伴い年々増加しています。グラフの水色の棒が年間の総面談回数で、赤色の棒が6月末の比較です。指数関数的に増加しておりまして、今年度も6月末の段階で、前年と同時期の1.6倍の相談件数となってきています。

 次に相談の内容についてです。そのほとんどは不登校・子育てに関する相談でございます。相談の中身は、学校生活に困難や不安を抱えているという悩みが多く、相談員がその成育歴等を聞いていきますと、「今思うと小さい頃から行き渋りがあったんです。」のような話をされることが多いです。また、子どもの面談からは「自分の思いを家族に話せない、受け止めてもらいにくい。」ということがあり、親子関係のしんどさがこの面談からも伺えます。

 また、近年では相談内容が多様化し、医療、福祉、発達など、多くの課題が重なり合い、複雑化しています。そのため、本人が研究所に来られず保護者だけが教育相談に来られるケース、来所はできていないが本来教育相談に繋ぐことが望ましいケース、また相談員との1対1の面談から進むことができないケース、などがあります。本来は丁寧な教育相談から、くすのき教室への入室へと繋ぐのですが、これが最近なかなか上手くいかないことがあります。

 次に教育支援室のくすのき教室を紹介させていただきます。くすのき教室では社会的自立を支援することを目標に、学習支援活動、体験活動を通しての人間関係力育成に努めております。

 現在は9名の児童生徒が在籍しております。不登校数や相談件数が増加していることに対して、くすのき教室の在籍児童生徒数には大きな変化は見られません。指導員の配置など学校の別室体制を強化いただいたこと、くすのき教室のような小集団にもうまく馴染めないという子どもが増えてきていることがその要因と捉えております。

 次にそのくすのき教室の活動でございます。1週間に4日間開設しています。通室する時間・曜日は自分で決めています。休みの火曜日は「学校チャレンジデー」と位置付けています。

 1日の活動は、概ね午前中が学習活動、午後を集団活動としています。学習活動では、学校のワークなどを活用して自分の課題に合わせた学習、オンライン学習などICTも活用しています。時には学校と連携し、必要に応じて定期テストや実力テスト等も行っております。

 次に午後の活動について紹介させていただきます。「くすのきタイム」と名付けて集団活動を取り入れています。この活動は通室している子ども達が計画しています。プラ板作りやドミノ倒し、ボードゲームや卓球なども行っています。時には近くの公園まで散歩にも行きますし、また月に2回程度調理実習も行っております。

 年に3回程度行っている、外部講師の方による体験活動は、特に子ども達の目の輝きが違います。絵付け体験での集中した取組、書道体験での取組などです。昨年度からなかなか外部との関わりが持てない子どもが増えてきましたが、このような子ども達にも何とか体験をしてもらおうということで、昨年度小学校の別室に来ている子ども達にも声をかけ、会を開きました。何とか支援を広げ、機会を増やすことで、何かのきっかけになればいいと考えています。今年度は11月と3月の2回計画をしています。

 ここで、このような活動の成果ではないかと思っているのですが、1つの事例を紹介させていただきます。Aさんの事例です。

 Aさんは小学1年生ごろから行き渋りがありました。小学5年生から登校できなくなり、くすのき教室に通室していました。今中学2年生で、中学入学後はたまに欠席はあるものの、毎日登校しています。先日「私の思い」の発表を校内で行われたそうなのですが、「私は不登校やった。」と自分の経験談を作文に綴り、学級で紹介していたと聞いております。

 どこにこの子が自分で歩む原動力、要因があったのか振り返ってみますと、学校でもくすのきでも、本人に選択をさせていました。そして本人が決めたことを、周囲にいる者が皆で応援して支援しました。また、学校との緊密な連携です。Aさんの言葉や表情、そして保護者の様子なども、機会を捉えて互いに連絡を取り合いました。保護者の方とは、送迎時の短い時間を含め、親御さんの思いを聞き、また逆にこちらからもAさんの様子を伝えました。そして適切なアセスメントを行い、それを学校と共有、専門機関とも連携、これらが適切にタイミングよく機能していたと感じています。

 この事例や教育相談及びくすのき教室の取組を振り返り、私が大切だと感じていることを報告します。まず何といっても当研究所が安心、信頼される場所であることが大前提だと思っております。そしてその上で大切だと考えることは、やはり連携です。

 連携を図ろうとするときに、実は校内組織に課題を感じることがあります。先ほどの川越教諭のお話にもありましたが、別室は本当に大変です。教育相談主任の先生は手一杯です。やはり管理職のリーダーシップは絶対重要だと感じています。また、小中連携と共に、就学前との連携は欠かせないと感じています。そして子どもを知ることです。現場は忙しいので、こちらから現場に足を運んで情報交換することが大切だと感じています。最後は専門機関との連携です。

 次に、課題がますます多様化しており、それぞれに応じた適切なアセスメント、そして先ほど知事からもありました温かみのある関わりが絶対必要だと思っています。そして、私達のような機関となかなか関われない子ども達へのアプローチは、近年特に重要になってきていると感じています。

 そういうことに対応するためには、やはり相談員、指導員の資質向上は欠かせないと思います。子どもは一人ひとり違うので、我々が主体的に研修をすること、そしてまた経験値を高めることが大切だと感じています。

 最後に、これら大切だと思うことをどう充実させていけばいいのか、ということです。きめ細かな連携ということについては、学校現場には申し訳ないと思うのですが、学校内で情報共有がきちんとされていること、そのためには校長のリーダーシップ、そして校長から指導・助言をしていただくのが良いと思っております。そして、学校は忙しいので学校から連絡を待つのではなく、学校に入り込んで情報交換をすることが重要だと思っています。また、就学前教育の重要、幼稚園・保育園と小学校との連携を密にすることは絶対に必要だと感じています。

 続いて、課題の多様化や支援の広がり、関わりのない子どもへの対応について、今の事業を充実させることだと思っております。県のケアサポート派遣事業は本当に助かっております。子ども達と年齢が近いということは、通室生にとっても話しやすく、大きな魅力になっています。また本物と触れ合う、滋賀次世代文化芸術センターの体験授業「美ココロ事業」は、子どもの可能性を広げています。これも大変感謝しております。また、このような機会において、声をかけて広げることが何かのきっかけになるのではないかと感じています。

 そして最後に、相談員や指導員の資質向上です。優れた実践を学ぶことは力になります。そして教育支援センターのノウハウをうまく交流することができれば、指導員の視野も広がります。そして指導員や相談員の研修機会の確保、できればこのような資質向上に関する取組を県が中心となって行っていただけると、大変ありがたいと思っています。

 私たちが子どもを自立させるのではありません。子どもが自ら社会で自立できるように支援し、これからも真摯に誠実に温もりを持って取組を進めていきたいと思っております。以上で報告を終わります。ありがとうございます。

(福永教育長)

 ありがとうございました。続きまして、フリースクール・ひとつぶてんとう園の西村様からフリースクールの状況・課題、またお感じになっていることについて御発言いただきます。よろしくお願いいたします。

 

(フリースクール・ひとつぶてんとう園西村代表)

 よろしくお願いいたします。ひとつぶてんとう園の代表をしております、西村静恵と申します。近江八幡市でフリースクールを運営し、今年で11年目に入ります。

 また、私は滋賀県フリースクール等連絡協議会副会長も務めております。その中で不登校の当事者アンケートチームを作り、当事者そのものの声を集約して報告書を作っております。また、「東近江圏域サポートブック」という不登校の子ども達が行けるような居場所やフリースクール等をまとめた冊子も作っておりました。

 2022年度は、不登校対策研究会議の委員をさせていただき、近江八幡市の子ども子育て会議の委員等もさせていただいております。この中にあるアンケートというのは、大人達の考えたものではなく、子ども達の声を直接拾いたいという思いがあり、大人たちが動く根拠にしたいということを基にチームを立ち上げました。

 ひとつぶてんとう園の説明をさせていただく時に、0歳児からのフリースクールと言いまして、妊娠時期のお母さんから切れ目のない連続的な伴走をしようということで、「産前・産後サポート」・「幼児部」と、「小学部」が2つに分かれているんですけれども、「小学部1」が他のフリースクールや学校にも行きたいという子、「小学部2」がひとつぶてんとう園だけで過ごしたいという子、その選択を子ども達がしています。この3つを連携させて毎日活動しています。月曜日から金曜日まで活動しており、合同の日もあります。「幼児部」と関わるような時間も大切にしております。

 特徴としましては、親子で登園するということを大事にしており、親にも来てもらい、親と接する時間、触れ合う時間を作りながら、親がいない日もあるのですが、そのような時間を1週間の中に作っております。

 活動している近江八幡市は、山があって、琵琶湖があって、西の湖という小さい湖もあるんですが、すごく自然豊かで、立地条件が五感を刺激するにはとてもいい街だと感じております。さらには新しいものと古いものが融合している街なので、すでにある資源を使いながら、それがイベントではなくて日常的な自分達の暮らしの中にあるもので、そこから学ぼうというコンセプトでフリースクールを作っております。

 写真を掲載しておりますが、様子を見ていただくと、親子が一緒に西の湖へ散策に行ったり、5月終わりくらいから9月初めくらいまで、夏は毎日琵琶湖に行ったりします。あとは山へ子どもを背負って登ることもあり、親子の触れ合いができる大事な時間になっています。西の湖園地はとても広く、何もない場所なのですが、そこでも本当にたくさんの子ども達のドラマのような、ミラクルが起こるような場所になっています。

 もう1つ大事なのは、火をおこすことです。今の時代、火をおこせる場所はなかなかないので、探しながら火を焚いている状態ではあるのですが、子ども達が自分で火をつけるという機会もあります。運動会はお父さんも参加して一緒になって遊びます。

 そして1年の中で何回か、幼児期からの性教育ということをしておりまして、幼児期から性教育することで、性というものがいやらしいものという意識になる前に、自分を愛するには、人を愛するには、自分は愛されていい存在なのだと認識できるように、幼児部の子ども達も一緒に性教育を受ける時間があります。

 近江八幡市は「BIWAKOビエンナーレ」という世界中から近現代の芸術を集めて、古民家を使ってアートの祭典をする、という期間が4年に1回あるので、その度にみんなで出かけ、刺激を受けるという時間になっています。佐川美術館では色々なイベントがありますし、琵琶湖博物館は常連で、子ども達も大人も大好きです。山は毎週月曜日に必ず登ります。雨でも登ります。近くに安土城考古学博物館がありますので、そこへも出かけます。

 色々な所へ親子で出かけていき、様々なことをするのですが、ここで何を大事にしているのかというと、活動するということやイベントが目的ではなく、沢山の事柄から自ら興味・関心を持つ機会を準備しています。数々の引っかかるフックを準備しているというイメージでしょうか。

 フックの中で1つ例に挙げると、火をおこす活動において、学校では多動と言われてしまい、クラスの中にいられないという子が体験に来て、その日はピザを焼きました。最初は恥ずかしそうにしており、何もできなかったのですが、火をおこすと分かった時に一番に飛びついて、一日中火をおこしてくれました。みんなにピザを焼いて配るという仕事をずっとしてくれました。その様子から、学校にいてみんなが静かな中で勉強する時は、みんなの輪から出なくてはいけないという状況ですが、この場だと、一番働いてくれ、みんなにピザを配ってくれたので、自らのフックにひっかかった時に弾けるのだという体験を、私自身がしました。

 親子同伴の場では、子どもは五感で感じて吸収して養うという時間、そして自分の頭で考える学びをしております。大人自身は一緒に集うことで、自分のそれまでの価値観や物差しをどれだけ取り除くかということ、そして子どもと「同じ目線」であるということ、「対等」になることを学びます。山登りの際、「この子は登れない。」と大抵の保護者の方はおっしゃいますが、子どもが登っていく姿を見て、「この子が登れることを私は知りませんでした。」とおっしゃることが多いです。そのような気づきをたくさん与え、親だから教えるというような上から目線ではなく、対等であるということを一緒に学んでおります。

 「小学部2」の、ひとつぶてんとう園だけで過ごす子ども達のテーマは、「街がクラスルーム」としております。拠点があり、そちらでも学ぶのですが、色々な大人達と街に出かけ、ろくろをしたり、選挙の時は一緒に投票に行ったり、高校生で会社を立ち上げた社長の方と知り合ったので、その方に来てもらい、一緒に経済の話をしたり、あとは家を建てる大工さんに話を聞いたり、羊毛などもいつも常備しておりますので、やりたいと思ったらその場で手に取って羊毛で作ることもしております。これらはほんの一部ですが、大人達に学びながら自分の頭で考えて、自分の自由な発想力からそれを実行し、自分でどのような形にしていくか、幼児部から発展した内容の場所になっています。

 子どもは何をするにも自分の頭で考え、選択し、さらにその選択をどう作っていくか、自分の思いだけではなく、調整して話し合い作っていくということに集中しております。大人達は、子ども達のそういう潜在能力をどのように発見して表に出して引き伸ばしていくかという挑戦をしており、とても楽しい時間となっております。

 その他の取組としてWorkawayシステムを取り入れております。Workawayとは何かといいますと、海外から日本に来たいという外国の人と、こちらはスタッフとして来てほしいので宿と食事を提供するという交換条件のもと、条件がマッチした海外の方に来ていただき、触れ合っていただくようにしております。不思議なことに不登校であまりしゃべらない子が、英語になると積極的にしゃべりかけていたりするような驚くこともありますので、大変刺激になっております。

 あとは私自身の取組なのですが、学校の校長先生や担任の先生に、積極的に情報交換をしに訪ねて行ったりします。学校では見せない姿の写真を持って行き、お見せすると、「おお、こんな顔しているんだ。」のような感想をいただいたりし、連携という意味でとても大事になっております。

 ある学校の先生が月に1回来て下さり、1日一緒に遊んで過ごして下さったのですが、それが子どもにとっては「先生の中にはこういう先生もいるんだ。」「ちょっと怖かったけどこういう面もあるんだ。」という気付きになったり、保護者のお母さん達も、学校と揉めてしまうとシャッターを下ろしてしまう方もいらっしゃるのですが、「こういうふうに聞いてもらえる先生もいるんだ。」という気持ちを抱かれたりする様子もありました。それは私も計算にはなかった発見でした。

 あとは保護者参加で、丁寧に話を聞くことができますので、それを基に相談やサポートをしたり、学校とのやり取りについて、お母さんに言うこともあれば言わないこともあり、個人情報にも気をつけながら、学校の先生にも情報を伝えたりとやり取りをしております。フリースクールとしては学校復帰を前提としてはいませんけれども、学校復帰へと向かった子ども達もいます。

 そのように連携や不登校への理解を深める上で、勉強や集団行動はどうするのかという声をよく聞きます。その点に関して、勉強については、森の中・山の中でも算数などの勉強ができたり、もちろん体づくりもですが、スウェーデンなどでは山へ行くというカリキュラムがあったりするくらいで、かなり自由に算数を勉強することが可能だということがわかりました。

 「小学部2」では廃業した時計屋で時計について学びましたが、それは作り方を学ぶということだけではなく、算数や創作、コミュニケーションの側面もありました。プログラムの中に焙煎からチョコレート作りをするとありますが、これには計算や理科、家庭科、国語が含まれており、外国人と英語でやり取りもしますので、触れ合いもあります。

 それを見ていると、自分は計算ができないという子ども達も、ドリルをやることは苦手でも、YouTubeをみんなで30分見る時に、その時間で何本好きな動画を見られるか、何分何秒の組み合わせができるのか、計算をすることが出来ていたので、出来ないのではなくて、方法を教えてあげれば出来るということに気付きました。

 不登校と資料に記載しておりますが、自戒を込めて書いていることでございまして、「大人達の無理解・非寛容で生まれる言葉」であると捉えております。子どもの問題ではなく、ケアが必要だと思っており、まずは大人の大胆な意識の転換が必要です。そのために県に力を貸していただきたいです。

 それは何かと言いますと、県のホームページを見ますと「心の相談室」というのがあって、相談について書かれているのですが、目的として「学校復帰を前提として、学校復帰を促すためのフォローをします」と明記されています。これを見ると、学校に戻ることが前提だと思ってしまいます。ここを変更していただくだけで変わっていくだろうと思っています。

 不登校の対策として、意識の転換とは、「学校以外って何?」という方が多いと思いますが、まずその視野の狭さを手放していただきたいです。そして学校以外の学びの場への先入観を手放していただきたい、知っていただきたいです。そこで過ごす子ども達の顔を見ていただきたいと思います。

 先生や学校のタイミングではなくて、その子のタイミングがあると知っていただきたいです。4月に茨城県つくば市に視察に行かせていただき、そこでは、指導ではなくケアだということを打ち出しておられ、先生から生徒への一方的なものではなくて相互作用であり、それを目指しているということをおっしゃっていました。

 教育機会確保法COCOLOプラン」も、学校復帰を前提としてはいませんし、「不登校を減らす」、「不登校をどうしよう」という発想ではなくて、学校以外の学びの場を選択する子どもたちの権利を保障するということを明確に打ち出しております。教育機会確保法という法律があるから、「しなくてはならない」ではなくて「大丈夫、あなたでいいんだよ」と背中を押すようなスタイルにしていただければと思っております。学校に行く、行かないに関わらず、子ども達の人権の問題であると認識していただきたいと思っております。

 不登校の対策として、学校復帰を前提に掲げても良いのですが、同時にそれだけではないということも知らせていただきたいし、「初期対応」というのは単に我々のタイミングで、大事なのは「その子のタイミング」であるということです。そのタイミングを間違えたら、間違った刺激を与えてしまい命取りだと考えております。

 また「明るい不登校さん」という団体が作っておられる、不登校の段階表というのがあるんですけれども、このような子ども達の声を先ほど言ったアンケートチームで作っているのですが、衝撃的なのは、子どもたちに問題があるというイメージがありますが、書かせてみるとそうではなく、最初に出てくるのは「不登校の子として見るのではなく、自分を一人の人間として見てほしい。」ということです。これを書く子ども達がどれだけ救われるのかと思いながら、本日は参加させていただいております。

 私自身も子どもが二人いますが、二人とも不登校でした。上の子は小学5年生から、下の子は小学1年生の夏休みから小学6年生の冬休みまで行きませんでした。今は高校生と中学生になりますけれども、高校生の子はクラスでトップクラスの成績ですので、勉強しないことが心配だからということではなく、どれだけ頭を柔らかくして安心できる場所を準備するか、それが一番大事なのはないかと、子ども達から学んでおります。

 

(福永教育長)

 ありがとうございました。ゲストの方々から、それぞれのお立場で感じておられる課題等についてお聞きいたしました。

 それでは、不登校、課題への対応、また今後どのように取り組んでいけばいいのか、意見交換させていただきたいと思います。これまでの発表を踏まえて、皆様から御意見をいただければ幸いでございます。よろしくお願いします。

 

(塚本委員)

 皆様ありがとうございました。大変勉強になる発表を聞かせていただきました。「学校の先生は忙しい」という御発言がありましたが、不登校の子ども達に関して色々と考える際に、学校ではなく、家庭でもなく、第三者として関わる機関が大事ではないかと考えております。残念なことですけれども、場合によっては家庭とは切り離した方が良い子ども達もいると思いますが、そのような時に、家庭に居場所がない、あるいは、学校ではある種の同一性や一つの方向性を求められるけれども、その子にとってはそうではなく、学校の中にいると十分に認めてもらえないという時に、家庭でなく、学校でなく、第三者として関わっていただけるような機関がすごく必要なのではないかと思いました。

 このことに関しては、関わっていただく人、お金が必要になってきますので、しっかり考えていかないといけないと思っております。

 

(福永教育長)

 ありがとうございました。第三者というのはどのような形で関わっていただくのか、様々な形態があると思いますので、関わり方を工夫していく必要があると思います。

 

(野村委員)

 ご説明ありがとうございました。不登校というと背景が様々なので、何が正解か見えてこないのが現実だと思っています。先日ふれあい教育対談において草津の教育研究所にお伺いしたんですけれども、その時も脇阪先生がおっしゃっていたことと同じことをお聞きし、そのような機関はとても大切だと認識しました。

 今は多様性の時代であり、学校だけが学習機会の場ではないと思っています。以前までは学校へ行って当たり前という風潮でしたが、今は学校へ行けなくなっても当たり前というような解釈で子ども達を見ていかなければいけないと思っております。

 そして、情報交換の大切さを皆さんがおっしゃっていましたが、現場で1人の子どもに携わる学校、保護者、そして他の関わられる方、皆さんの意見を共有するということはとても大切で、そのような中で安心して巣立っていけるような環境作りが必要だと思いました。

 そして私の子どもも不登校を経験しました。西村さんがお話の中でタイミングについておっしゃっていましたが、子どもが学校に行きにくくなった時にどのようにしたら良いか、何ができるのか考え、何か自信を持たせてあげるのが良いのではないかと家庭の中で相談をしました。子どもにとってはそれが野球だったのですが、チームメイトの先輩が「おーい。」と言ってくれた時に喜んでそちらの方へ行って、今までの不登校の姿は何だったんだろうと思うほどに、甲子園を目指すくらいまで続けていたのですが、それが本当にあの子にとってのタイミングだったのかなと、西村さんのお話を聞きながら感じました。

 保護者の中には何でだろうといった自責の念を持つ人もいらっしゃると思うので、やはり人の支えも大切になってくると思います。不登校だからその後の人生においてなかなか社会に飛び込めないのではなく、それを経験したからこそ、本当に成長した自分を出していけるということもあると思いますので、周りの方たちの協力や温かい心、転んで学び、成長していけるような、転んだ時にはフォローをしてあげられるような環境になると良いと思いました。不登校は難しく、なかなか答えが出ないのですが、以上が感じたことです。

(福永教育長)

 ありがとうございました。石井委員からお願いします。

 

(石井委員)

 素晴らしいご発表をありがとうございました。お三方から、非常に解決が難しい事項の現状と課題について多くの示唆に富んだお話をしていただいたという印象です。脇阪所長のお話の中で、今後、校長のリーダーシップの向上に期待をしているということと、就学前教育も重要だということをおっしゃっていましたが、何かご自身で具体的にイメージや方策を描かれていることがあれば、お伺いしたいです。

 

(守山市教育研究所脇阪所長)

 学校との連携の場面で、研究所から、不登校の子への対応について、多くの場合は教育相談主任に伝えます。時には、担任の先生に伝えることもあります。その後、学校訪問させていただいたときに、管理職の先生も同席されて伝えることがあります。しかしながら残念なことに温度差ができていて、管理職の先生に十分にご理解いただいていない場合があります。現場の先生方が一番詳しいと思うのですが、担任の先生は本当に手一杯だと思います。それを集約されている教育相談主任の先生も手一杯となると、管理職の先生が指導助言をしていかないと現場が立ち行かなくなるのではないかと感じています。

 就学前教育については、保育園幼稚園の園長先生から、親御さんから泣いて離れない子どももいるということを聞きますが、愛情の問題ということで片付けられてしまうことがあります。小学校教諭と中学校教諭は、研修会等で児童の現況や状況について確認をするようなやり取りの機会がありますが、小学校教諭と保育園、幼稚園教諭の間ではこのような機会がさほどないという実情があります。また、様々な幼稚園、保育園から入学してくるので、捉え方に差があるということも聞いております。子どもが不登校になった時に話を聞いていると、就学前から行き渋りがあったということも聞くので、十分に連携していくことが重要だと感じております。

 

(石井委員)

 貴重なお話をありがとうございました。

 

(福永教育長)

 様々な幼稚園、保育園から入学してくるので、連携をしていくことが大切だと改めて感じました。

 大杉副知事からお話をお願いします。

 

(大杉副知事)

 大人だけで議論すると、どうして学校に行ってくれないのだろう、勉強してくれないのだろうという話になりがちなのですが、指導要領の議論をした時に、子どもは学びたがってる存在であり、そのようになっていないということは、子どもを主語にしきれていない状況があるのだろうという議論をしていたのを思い出しました。川越先生のお部屋のリボンの話や脇阪所長の「美ココロ事業」の話、西村さんの心のフックがかかるという話は、そのような心に繋がるような話なのかなと思いました。子どもがやってみようとか、憧れを持ってもらうような環境をどう作っていくか、来月に時間があれば高知の須崎に教育視察に行こうと思っておりますが、教育支援センターの階下に、てくテックすさきという施設があります。そこで、子ども達がテクノロジーに自由に触れ合え、例えば動画を撮って編集したり、チャットGPTをやってみたりされているのですが、子ども達がやってみたい、触れてみたいという環境を作り、工夫しながら支援していく必要があり、様々なところから学んでみたいと思っています。大事なのは子どもへの関わりの質、環境の質をしっかり高めていくということだと思います。そのことを共有しながら対策、対応を進めていきたいと思いました。

 

(福永教育長)

 ありがとうございます。知事からお願いします。

 

(三日月知事)

 ありがとうございました。お三方の現場でのお話でしたので、大変説得力がありました。せっかくの機会なので、知事も副知事もいますし、教育長もいますので、これだけはやって欲しいということはぜひお聞きしたいと思うのですが、例えば西村さんがおっしゃった不登校の捉え直しみたいなことは必要なのではないかと思っています。大人のものさしで、むしろ子どもを閉じ込めたり苦しめたりしているようなところもあるかもしれないし、とはいえ、やはり学校で学びたい子ども達が学びにくい、学べない環境になっているとすれば、そのようなものをどのように解きほぐしていくのか、寄り添っていくのかというのはすごく大事な仕事だと思います。現場で大変頑張っていただいていますが、不登校の数が急増しており、相談内容も別室も手が回らないということ、どのような対策がいるのかこれまで以上に考えなければならないと思って聞かせていただいたのですが、この機会ですので、このことだけはして欲しいということを西村さんから脇阪さん、川越さんの順にどうぞお願いします。

 

(フリースクール・ひとつぶてんとう園西村代表)

 ありがとうございます。折角なので、教育機会確保法のことなのですが、様々な学校を回っている中で教育機会確保法を知らないという先生たちに出会います。県の意識と市の意識が違い、校長先生や先生方の前で話す機会をもらえたのですが、先生方に教育機会確保法を知っていただくだけで少し楽になるのではないかと思います。先生方だけでなく、保護者の皆さんにも知ってほしいです。学校だけが選択肢じゃないことが当たり前になれば変わってくると思いますので、キーワードは教育機会確保法になるのではないか、これが先生も保護者も共通して不登校という意識を変えていける材料になるのではないかと感じています。それぞれの捉え方ではなく、直接お話しに行けたらありがたいです。

 

(守山市教育研究所脇阪所長)

 全くおっしゃる通りです。以前現場でその立場でしたので余計に分かるのですが、やはり管理職が本気になるような意気込みが一番大事だろうと思います。県にお願いするとすれば、教室の運営も含めて不登校対応、相談員への対応等それぞれに違うので、経験値が不足しているのではないかと思います。先ほど言いましたけれども、うまくいった事例は、別の子に当てはまるかどうか分からないですが、それぞれが頑張ってることを広くみんなでシェアして、オール滋賀で頑張っているということを共有できるとありがたいと思います。

 

 

(東近江市立蒲生北小学校川越教諭)

 若い先生が非常に多くなり、このことは嬉しいことなのですが、不登校や様々な環境に置かれている子ども達に対応することにギャップを感じているのではないかと思います。若い先生達も悩んでいるところはあると思うので、私達も含め若い先生たちへの研修やサポート、相談に乗ってもらえたらと思います。SCの先生達は子ども達と保護者に手一杯で、私達も聞いてほしいという先生たちもおられるので、どんどん他の関係機関にも来ていただけるとありがたいと思います。

(三日月知事)

 ありがとうございました。そのようなことも含めて、私も含め、教育行政に携わる人、子ども政策に関わる人、みんなの不登校の捉え直しがいるのではないかと思います。3人のゲストの方からお話をいただき、皆さん共通していたのですが、やはり一人ひとりの意思、選択、体験は大変重要ですし、そのことが自己肯定感に繋がるのだということ、学校では校長を始めとする管理職のリーダーシップ、理解、寛容さということが大変重要で、よく我々はこのような問題、対策を考えるときに、組織的・初期的対応といいますが、あくまで本人目線でないといけないと思いました。

 また、就学前から気にかける必要があるということや、小中の繋ぎはあるが、幼保と小学校、中学校と高校の繋がりは薄いことや、あとは冒頭の現状説明に、「公立学校での」という表現で私立が入っていないようなこの認識をどのように持てばいいのかということも、私は問題意識として強く持たせていただきました。今日のこの場だけで方策を作ることは難しいですが、貴重な学びをいただきました。今後の県の不登校に対する対応を作っていくきっかけにしたいと思います。ありがとうございました。

 

(福永教育長)

 ありがとうございました。

 折角ですので、私からも一言申し上げたいと思います。お三方のお話を聞いていて、いくつか共通点があると思いました。1つは保護者の皆さんと連携して、保護者の皆さんにしっかりアプローチして参加をしていただいて、色々な取組をやっていかないといけないということを感じました。

 そしてもう一つは、やはり子ども達が興味・関心を持てる色々なきっかけをつくることが大切だなと改めて思いました。

 また、野村委員もおっしゃいましたが、情報を共有することが大事だと思います。ある人は情報を持っていない、共有されていないということであると、やはり対応が違うと思います。

 そして最後は皆さんがおっしゃっているように様々なお子さんがいらっしゃるので、その多様性をどのように捉えるのか、アセスメントの仕方、タイミングというのも非常に大事だと思っております。そのためにはマンパワーのような仕組みも必要ですし、県と市町が共に協力していくためにはどのようにアプローチをするのかということも大事だと思いましたので、そのことを含め、今後しっかりと考えていきたいと思います。

 最後に子ども・青少年局から「子ども政策推進本部の活動状況」について報告をよろしくお願いいたします。

 

(園田子ども・青少年局長)

 「子ども政策推進本部の活動状況」について御報告申し上げます。資料3を御覧ください。前回この場で子ども施策推進本部本部員会議について御報告させていただいて以降、5月22日と7月13日の2回開催しておりますが、まとめて説明いたします。

 1点目は、子ども施策についての政府への提案要望です。推進本部での議論を経て、子ども施策に関連する項目を別冊として取りまとめ、6月にこども家庭庁の小倉大臣を始め、政府に対して要望活動を行いました。要望内容は3ページ以降に資料1として掲載しておりますが、「幼児教育・保育の充実」、「夢と生きる力を育む教育環境の整備」等の10項目でございます。政府からは「子ども政策は地域の経済活性化に繋がり、その為には地域の経営者等の行動が鍵になる」といった意見や、「職員の配置改善、処遇改善、共に取り組みたい」というような発言がございました。

 2点目は、子ども連れや妊娠中の方の外出にやさしい取組の展開です。本県ではこれまで子どもの笑顔と幸せあふれる社会を目指し、市町や民間等と連携して「すまいる・あくしょん」や「淡海子育て応援団」などの取組を進めてきました。今回、推進本部において基本構想に掲げる「子どもを真ん中に置いた社会づくり」を推進するための取組の一つとして、県立施設や庁舎の窓口等において、子ども連れや妊娠中の方が気兼ねなく外出できるよう、優先的に手続きを行う窓口や、駐車スペースの設置等の取組について取りまとめ、週明けに資料提供をさせていただく予定です。現時点では70か所の施設におきまして実施することとしており、今回新たに取り組むこととした施設は30か所という状況です。今後随時更新するとともに、市町や民間団体等にも呼び掛けてまいりたいと考えております。

 3点目は、子ども施策に係る令和6年度施策構築方針に関するものです。27ページ、資料3の通り、現在の子ども施策の実施状況について県や国、市町の取組を、ライフステージごとや目的ごとに整理しまして、課題と考えられる事項を示した資料を基に、次年度の県の施策構築方針に向けて検討を行いました。議論においては2ページ(2)に記載の通り、民間との協働を進めることは重要な視点である、みんなで子ども政策に向かうという視点でNPOや民間団体の方々のノウハウを生かすことができれば良いといった意見や、個別の施策だけではなく、一人ひとりが子どもに目を向けていくためのきっかけ作りとなる取組ができれば良いといった意見が集まりました。また本部長である知事からは、(3)重視する視点として「『子どもとともに』という観点から、子どもの声、意見を聞くこと、子どもの権利を保障すること」「子ども・子育てにやさしく、寛容な社会をつくること」等の6項目が示されました。

 4点目は、外国人児童生徒への支援の状況に関する報告です。事務局から、しが外国人相談センターの運営状況や、子どもに関する相談の状況について報告があり、委員から、外国人の子どもへの教育について環境を整えれば学びたがっている子どもたちの可能性は引き出される、外国人児童生徒を支援する教員を十分に配置できるよう、国に強く働きかけていく必要がある、といった意見がありました。

 その他といたしましては、こども家庭庁が進める「こどもまんなか応援サポーター」に滋賀県知事が就任宣言を行ったことを御紹介させていただきます。今後も子どもに関する施策を強力に推進するため、全庁的に取組を進めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 

(福永教育長)

 ありがとうございました。

 今日はゲストスピーカーのお三方には非常にお忙しい中、貴重なお話をいただきありがとうございました。知事からもお話がありましたが、私も含め、県庁全体で滋賀の子ども達のためにという視点で考えていきたいと思っております。また様々な形でご意見を賜りたいと思います。本日はありがとうございました。

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電話番号:077-528-4512
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