令和4年度卒業の県内高校生(特別支援学校高等部および高等養護学校の生徒含む)のうち、就職試験を受験した生徒延べ1,878名を対象に調査を行いました。その調査の中で、就職試験の面接時に不適正質問を受けたと報告のあった内容についてまとめました。
これまで、高等学校および特別支援学校卒業予定者の採用に関しては、行政機関、関係諸団体等により滋賀県進路保障推進協議会が組織され、公正な採用選考が行われるよう企業等に働きかけてきました。
しかしながら、今も、就職差別につながるおそれのある不適正質問が見られ、本人の適性と能力のみを基準とした公正な採用選考が行われるうえで、課題が残されています。
≪不適正質問の概要≫
○不適正質問をした企業等の数は25社
・・・不適正質問をした企業等の数は、生徒が受験した735社のうち25社で、全体の3.4%にあたります。これは、前年度より1社(0.4ポイント)増加しました。
○不適正質問の件数は34件
・・・不適正質問の件数は、前年度の28件より6件増加しました。
(A)本人に責任のない事項、身元調査につながるおそれのあるもの(家族構成、住所、家族の職業等に関する質問)・・・22件
(B)本来、自由であるべきもの(愛読書、尊敬する人物等に関する質問)・・・12件
不適正質問をした企業等の数、件数ともに令和3年度より微増しました。不適正質問の特徴としては、面接前の企業内部での事前打ち合わせが不十分であったこと等から、面接の中での話題から派生して居住地や家族の職業に質問が及ぶケースが、多く見られました。
今後も公正な採用選考が行われるよう、引き続き理解を求めていく必要があります。
≪不適正質問への対応≫
県教育委員会としては、公正な採用選考が行われるよう関係機関とより一層の連携に努めます。
各学校に対して、受験する生徒が不適正質問を見極める力をつけるとともに、面接でそのような質問を受けた場合には、返答を控えるように指導していきます。
また、県、県教育委員会、滋賀労働局の連名で、公正な採用選考の実施に向けての要請を引き続き企業等に行います。
企業等に対しては、公共職業安定所が中心となり、冊子『採用にあたって』(滋賀県商工観光労働部労働雇用政策課発行)を配付し、基本的人権を尊重した公正な採用選考を求めています。今後も、面接選考の前に十分な打ち合わせを実施すること、あらかじめ面接評価基準を設定することなどの指導を行っていきます。
さらに、不適正質問をした企業等に対しては、公共職業安定所・滋賀県進路保障推進協議会等が訪問するなど、改善に向けた啓発・指導をしていきます。