皆さんおはようございます。4月1日に教育長に就任しました、村井泰彦でございます。よろしくお願いいたします。このような記者会見は初めてでございますので、慣れない点、お聞き苦しい点があるとは思いますが、どうぞよろしくお願いします。今回は、教育長に就任いたしまして、最初の記者会見ということになりますので、冒頭に少し私の思いをお話させていただきたいと思っています。先週7日の月曜日、湖南市の甲西中学校の夜間学級の開設式に参加させていただきました。教育長就任後初めての庁外での公務でした。最後に、新入生の代表の方がご挨拶をされて「学び直しの機会をいただき感謝している。感謝の気持ちでいっぱいである。また、わくわくドキドキしている。」ということをおっしゃっていました。学びたいという溢れる思いを披露していただきました。学びというのは決して子どもだけのものではない。老いも若きも、全ての人が学べるということがどんなに素晴らしいかと改めて思い、大変感激をいたしました。県教育委員会は、滋賀に関わるその一人ひとりの学びに対して、それを支えること、また、そうした学びの環境をしっかり整えていくこと、これが我々の役割だというふうに思います。滋賀県庁では、昨年3月に滋賀県職員の志でパーパス、というのを定めております。これは滋賀県庁の存在意義を言語化したものですけれども、改めて申し上げますと、「琵琶湖とくらしを守る。三方よしで笑顔を広げる。豊かな未来をともにつくる。」という内容です。教育委員会にこれを当てはめますと、一人ひとりの学びを通じて、皆さんの暮らしを守り、そして笑顔を広げ、豊かな未来をつくるといったことになるのではないかと思います。そのためにも、一人ひとりの学びを支え、そして学びの環境を整える、このことに力いっぱい取り組んでまいる所存です。
教育長就任から半月ほど経ちました。この間に県内市町の教育長さん、また一部の市長さんですとか、関係する団体の皆さん、そして教育委員会事務局内のスタッフ所属の皆さんからそれぞれの様々な取り組みや、多くの困難な課題などにつきまして、聞かせていただきました。一人ひとりの学びを支え、学びの環境を整えるために、課題は本当に山積しています。改めまして、自らの職責の重さに身の引き締まる思いをしているところです。この後、今年度の県教育委員会の重点施策についてご説明をいたします。特に、子どもたちの学びにつきましては、一人ひとりの子どもの自立のために、教育のあり方を、「教える・教え込む」といったところから「能力を引き出す」に変えていく必要があるのではないかと思っています。それを実現するためのキーワードは三つあると私は思います。
一つ目は、子どもを主語にということです。子どもを主語にして、子どもの視点に立って、マインドセットを変えるということです。それから二つ目はわくわくです。先ほどの夜間学級の新入生の方のお話にあったように、学校、学びをわくわくするものにすることが大事だと思います。それから三つ目が、アップデードです。学び、働き方、様々な仕組みなどをアップデートしていくことです。この三つのキーワードを大切にしながら、様々な現場にも自ら伺って、学校現場の皆様そして保護者の皆様、また地域や福祉関係の皆様など、それぞれの声や、そして何よりも、子どもたちの声にも耳を傾け、課題解決に向けて、私自身がしっかりとリーダーシップを発揮していきたいと思っています。そして、教育委員会事務局の職員や、現場の教職員の方々さらには県庁全体で一緒になって取り組みを推し進めてまいります。これによりまして、令和5年12月に策定をしております滋賀の教育大綱の基本目標「未来を拓くこころ豊かでたくましい人づくり」、これに向けまして、全力で職責を果たしてまいる所存です。本日お集まりいただきました記者の皆様方に教育委員会の様々な取組をぜひとも発信していただき、これまで以上に多くの県民の皆様に教育に関心を持っていただきますよう、ご支援を賜りたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。冒頭の私からの話は以上とさせていただきます。
それでは、これから順に本日の内容につきまして説明をいたします。まず、お配りしております資料2ページをご覧いただけますでしょうか。令和7年4月から5月の広報事項ということで、教育委員会としての行事予定を掲載しているものでございます。後日、資料提供による詳細のお知らせなどを予定しておりますので、本日お集まりの報道各社の皆様にも取材等を通じて発信いただければ幸いでございます。それでは話題提供の方を進めさせていただきます。本日は3件ございます。まず初めに、令和7年度に滋賀県教育委員会として重点的に取り組む事業について、説明をさせていただきます。前面のスクリーンとお手元に配付をいたしております「教育しが」の1面をご覧いただけますでしょうか。この「教育しが」につきましては、平成18年以来、通算98号を発行しております。現在の発行部数が1号につき22万部。発行時期は4月、7月、10月、1月の年4回となっております。対象は県内の3歳以上の子どもを持つ全ての保護者および教職教員等に配布しておりまして、皆様に親しまれています。この情報誌は県民の皆様に教育施策や取り組みを発信できる貴重な媒体であるというふうに考えております。ぜひ記者の皆様の声もご一読いただけると幸いです。さて、お配りしております第98号では、令和7年度の教育施策の重点的な取り組みにつきまして、特集記事として掲載をしております。本日はこの特集記事に沿って今年度の重点事業につきまして紹介させていただきます。まず、確かな学力、豊かな心そして健やかな体の育成についてです。「学ぶ力」の向上につきましては、「読み解く力」向上プロジェクトにより、市町や学校と連携して、読んで理解したことや自分の考えを記述したり表現したりすることができるように指導の充実を図ってまいります。またCBT、コンピュータベースドテスティングというコンピュータを使って行う試験方式ですが、このデータを活用した「個別最適な学び」研究調査事業との関連につきまして、見出された成果や方策をこどもとしょかんサポートセンターと学校図書館活用学校訪問等と連携しながら、県内全ての小・中学校に普及するようにしてまいります。
続きまして2点目は、豊かな心と健やかな体の育成の部分でございます。中高生のスポーツ活動支援といたしましてトップレベルの環境で活動することによる国スポ・障スポのレガシー実現のため、春夏秋開催の県内の中体連、高体連の開催によりまして、利用料の負担が大きい国スポ・障スポ大会施設の使用料の費用負担の軽減を図るものです。
また令和8年度全国高校総体地域ブロック開催に向けまして、高校生活動推進実行委員、これは高校生たちがいっぱい取り組んでいただいていますが、彼ら・彼女たちを中心とした活発な高校生活動を展開するなど、着実な開催準備を推進します。部活動、地域連携・地域展開につきましては県にコーディネーターを配置しまして、市町等と連携し、地域の実情に応じ、地域展開を見据えながら、まずは地域連携を中心に部活動改革を進めてまいります。
この項目の三つ目は、特別支援教育の充実です。特別支援学校の教育環境整備につきましては、昨年度、新設校の候補地を守山市内と表明されておりますが、学びの基盤を確かなものにしていくための早期の実現に向けて取り組むとともに、他の学校におきましても、北大津養護学校の校舎の増築など着実に進めてまいります。
また、障害のある子どもが居住地にある学校と自ら通っている特別支援学校の双方に学籍をおいて学ぶ副籍制度につきましては、令和4年度の制度化以降、小学生段階のみを対象に取り組んでいきましたが、今年度から中学生段階での試行を開始いたします。それから高等学校におきましても特別支援教育の重要性が高まっておりますので地域の高等養護学校と連携した体制作りや指導支援の充実に取り組んでまいります。
続きまして4点目ですが、笑顔あふれる学校作りでございます。教職員が生き生きとやりがいをもって働くことで、子どもの笑顔を増やし、関わる全ての人の笑顔があふれる学校作りを目指します。さらに副校長・教頭マネジメント支援員の配置による教頭等の負担軽減ですとか、あとスクールサポートスタッフやスクールカウンセラーなど様々な多様な方に関わっていただくことで、教職員の働き方改革を進めていきます。また教員免許を持つ社会人の方向けのセミナーを開催するなどしまして、教職への第一歩をサポートします。教員へのファーストステップ支援事業、この後また説明しますが、これも進めていくことで潜在的な教員候補者を掘り起こして、滋賀で先生をやってみようという人を増やしていきたいと思っております。そうした取り組みによりまして、教職員が子どもと向き合える環境を作って、ひいては子どもたちの笑顔があふれる学校作りに取り組んでまいります。
5点目は、滋賀・体験の日です。子どもたちの学びにおきましては、学習者が主体であること、また、体験からの学びを大切にしたいという考えのもとに、本年度試行的に導入しているものでございます。特に、今年度は、大阪・関西万博ですとか、国スポ・障スポ大会が開催されるといったことを踏まえまして、一人でも多くの子どもたちが、これらの貴重な機会を体験できるよう、この制度により後押しをしようとするものでございます。
6点目は、魅力ある県立高校づくりです。生徒が生きる力を身につけ、自らに合った学びができる、魅力ある高校づくりの推進に取り組んでまいります。具体的には、新設されました学科の伊香高校そして守山北高校の特色ある学びを発信していくこと、そして「北の近江振興」高校生サミットよります人材の育成、さらに高校版DMO、 DMOというのはデスティネーションマネジメントオーガナイゼーションの略で、観光地域作りを推進する法人のことですが、こういった観光ビジネスプロジェクトですとか、シン・マイスター・ハイスクールなどの産業教育高校での実践的な取り組み、高校生の留学支援など地域や地元企業大学などとも連携して、未来を切り拓く人づくりに取り組んでまいります。また国際教育の推進として、グローバルユース育成事業ですとか、産学官コンソーシアムによります、高校生の海外留学支援などを通しまして、グローバル人材を育成していきます。
最後に、きめ細かな対応が必要な子どもへの支援ということで、増加するいじめや不登校に関わる児童生徒の支援に向け、スクールカウンセラーや、スクールソーシャルワーカーの効果的な研修を行います。子どもたちに対して、一人ひとりの状態に応じて、教育・福祉の観点から連携したチームで支援をしています。以上が今年度の重点的な取組についての説明でございます。これらの取組を通じ、滋賀の教育大綱の基本目標である「未来を拓くこころ豊かでたくましい人づくり」の実現を目指してまいります。記者の皆様におかれましては、今年度も本県の教育につきまして広く県民の皆様にお知らせくださいましたら幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは話題提供の二つ目、教員の人材確保につきましてお話いたします。ここでは二点ございまして、まず公立学校教員採用選考試験についてです。お手元の資料3ページをご覧ください。教員採用選考試験受験者数の減少など、教員人材確保が全国的な課題となっております。また本県におきましても、全校種合計の採用倍率は、平成31年度4.6倍であったのですが、令和7年度には3.2倍というふうに減少をしておりまして、喫緊の課題として捉えているところです。そこで優秀な人材の確保や、受験者の負担軽減のために、今年の夏の選考ではこの資料の(3)にあるとおり、主な変更点があります。加点項目を追加すること、そしてスポーツ選考をスポーツ・芸術特別選考に変更して芸術分野にも拡大をすること、そして第2次選考におきます面接内容の変更などを行いました。合わせまして4ページの方、本日の午後13時に解禁しますけれども、令和8年度滋賀県公立学校教員採用予定数を公表いたします。小学校で220人程度、中学校で140人程度、高等学校で84人程度、そして、特別支援学校で45人程度また、養護教諭を11人程度、栄養教諭は1人程度採用する予定でございます。また今回より中学校、高等学校におきましては教科別の採用予定数も公表してまいりたいと考えております。
それでは3点目です。教員へのファーストステップセミナーにつきまして、資料の5ページをご覧ください。今年度の第1回目となりますファーストステップセミナーの春講座の受講者募集についてです。教員へのファーストステップセミナーについてご説明しますが、これは本県における臨時講師の不足に対応するために、潜在的な教員希望者を掘り起こして、新規講師登録に繋げるということを目的としています。令和5年度から実施をしておりまして、3年目になります。過去2年の実績ですが、1年目の令和5年度は合計4回のセミナーを実施しまして、のべ156名、実人数として112名にご参加いただきました。112名のうち昨年度末までに61名の方々に講師登録をしていただきまして、40名の方が既に学校現場で活躍をされています。そして2年目となる昨年度には、5月に春講座、9月に秋講座、11月と2月に冬講座を実施しました。合計で7回のセミナーを実施しまして、延べ113名、実人数で96名にご参加いただきました。その96名のうち36名が講師登録をされまして、うち14名が、既に学校現場で活躍されています。
秋講座と冬講座では実際に小学校ですとか中学校、高等学校、高等養護学校へ訪問いたしまして、授業や休み時間の様子を見学させていただいております。そのときの様子がこのような(スライドを示す)ものですね。また管理職の方から、現在の校種の学校紹介ですとか、現状の説明を受けまして、現場の教員との懇談の場も持たせていただいたところでございます。参加者からは大変好評をいただきまして、授業を見て、授業方法や先生方の実際の姿を見て、「本当に勉強になりました」「見たからこその不安も生まれましたし、参加してよかったです」と言った声ですとか、「教員との意見交換等により、疑問に思っていたことが少し解消されました」「教員になりたいと思えるようなセミナーでした」といった感想をいただいたところでございます。令和6年度の受講者アンケートでは全ての項目で5点満点中4点以上の評価をいただいたところでございまして、特に昨年度から取り入れました授業見学や、現職教職員の意見交換の部分も評価が高く、受講者の不安や疑問解消に繋がる取組と評価しております。それでは今年度の取組についてご説明いたします。春講座を今年5月17日土曜日南部の大津会場、そして5月25日の日曜日に北部の米原会場で実施をいたします。総合教育センターから講師を招いて、ICT活用について講座を実施いたします。またこれまでの受講経験者で、今年度正員または臨時講師として任用されている方のインタビュー動画を見ていただくといったことも考えております。講師登録ですとか、また次年度任用に繋げるためにも、多くの方のご参加をお待ちしておりますのでぜひとも広報についてご理解ご協力をお願いしたいと思います。私の方からの説明は以上とさせていただきます。
(京都新聞)
冒頭発言の中で、先日の教育重点施策の各市町への説明会でもおっしゃられたかと思いますが、3点大事なもの「子どもを主語に」「わくわく」「アップデート」を挙げられましたが、もう少し具体的にどういったところに問題意識があられて、何をどう変えていこうと考えなのか教えていただけますか。
(教育長)
昨年度、子ども若者部長をしておりまして、一人ひとりの子どもに寄り添っていくとことが非常に重要だと体感しておりました。そうした中で学校現場の先生方もご苦労されて、様々に取り組まれていますけれども、改めて子どもの目線に立った時に、子どもたちに届いているか、学びというのは今どのように受け止められているのか、学校の先生方にも見ていただきたいと思います。そして、保護者の皆さんにも、子どもたちがどういうふうにいろんなことに向き合って、どんな考えを持っているのかということを受け止めていただきたいと思います。
そのように、子どもの視点に立ってマインドセットを変えると申し上げましたが、どうしても我々大人の目線で子どもとを捉えようとしてしまいがちですが、それはそれで一つのあり方としてあるとは思います。ただ、これから学び、これからの未来を担っていく子どもたちがどう考えているのか、これからのことをどう思っているのか、どうしたいのかといったことを、しっかりと受け止めるというのはすごく大事なことだと思います。子どもの視点に改めて立って、自分のマインドを、様々なマインドセットを変えていくといったことが大事なのではないかという意味合いで、子どもを主語にして、マインドセット、ということを申し上げました。
それから二つ目はわくわくですね。先ほど申し上げました、夜間中学の新入生代表の方もおっしゃっていましたが、学びに向かうということは本来わくわくするものだと思います。そういう、わくわくするような学びの機会が与えられ、学びに向かっていける子どもたちになってほしいと思います。そういったものには、様々な授業内容や体験等もあると思います。そのような様々なことが、子どもたちにとってわくわくするものになっていけるように、改めて考えていきたいと思います。
そして三つ目はアップデードです。今申し上げている言葉というのは、それぞれ繋がっているのですが、アップデートを展開して、先ほども申し上げたように、学びそのものをやっぱりアップデートしていかなければならないし、それから働き方も未来に向けてアップデートしていかなければならないと思います。様々な仕組みについても、やはり同じです。これからの社会を考えますと、世の中のいろんな状況に応じて我々自身も変わっていかなければなりません。例えば改革とか変革という言葉すると、何か大上段に構えて変えていかなければならないと感じるような気もしますが、アップデートというのは、例えばソフトウェアだったらバージョンアップに当たります。バージョンアップには、すごく変えるバージョンアップもありますが、フルモデルチェンジをするようなバージョンアップでも、実は一つ一つの細かい部分の積み重ねをしていくことで変わっていくもので、そういうことが世の中ではすごく大事なのではないかと思います。そういう意味で、アップデートという言葉を選んでいます。
以上、申し上げたような考え方で、様々な物事を改めて見つめ直すということでございますので、それぞれの分野の多様な課題に対して、3つの言葉を心の中に置きながら取り組んでまいりたいと思います。
(京都新聞)
そのような思いとか本年度の重点施策のお話もありましたが、その中でも任期3年の中で一番力を入れたいこと、具体的に何をされようと思われていますか。
(教育長)
先ほど申し上げた、教え込む学びから能力を引き出す学びに変えていく、ということを最も力を入れて取り組みたいと思っています。
(京都新聞)
採用について、選考試験の概要は既に先日発表されておりましたが、本日新たに採用予定数が出されました。昨年は15人減の545人だったと思いますが、本年度は足し算すると501人なのかと思っておりまして、確かな数字を教えていただけますでしょうか?
(教育長)
もう一度、今回の採用予定数を申し上げたらよろしいですか、小学校教員が210人とか。
(京都新聞)
昨年度対比を教えていただけますか。
(教職員課)
合計は501人程度でございます。昨年度の同時期に公表した採用予定数は545人程度でございます。
(京都新聞)
昨年度から1割ほどの減ということで、この要因とか狙いなどを教えていただけますか。
(教職員課)
今回の採用の件につきましては、退職者数の減少の中においても新規採用者数を一定維持することで、定数内の臨時講師を減少させることをねらいしております。また、小学校では学級数減に伴います定数減も見込まれます。
(京都新聞)
最も大きな要因としては、退職者数の減少ですか。
(教職員課)
退職者数の減少と小学校の学級数減です。
(京都新聞)
退職者数が昨年度みたいに多くないので、補充する必要もないということですか?
(教職員課)
そうです。昨年度これは令和7年度末につきましては、定年退職者が生じない年でもございますので、そういった要因でございます。
(京都新聞)
わかりました。今回から中学と高校を科目別で公表されたということですけども、この狙いも教えていただけますか。
(教職員課)
受験者の方からご要望もありましたし、他県では科目ごとに既に採用予定者数も公表していますので、そういったことも踏まえて受験者の方の目線に立って、今回から科目ごとの採用予定者数を発表させていただいたところです。
(京都新聞)
やはりより多くの方に受験してもらおうという取り組みの一環ということで、他にそういった何か取り組まれていることはありますか?
(教育長)
私自身の取り組みでいきますと、大学にもできるだけ出向いてご説明に伺いたいです。今までの教育長もやってきたことですが、コロナのことがあって一時期行くことができない期間もありましたので、できる限り大学に出向いて声掛けをしていきたいと思います。
(京都新聞)
福永さんも出向きますとおっしゃっていたり、ファーストステップセミナーも実施されたりしました。教育長としては何か新たな取り組みを考えておられますか。私が聞いたときは3.1倍と伺ったのですが、本年度採用の倍率は最終的には3.2倍ですよね。そういった下降傾向が続く中で、どう手を打つかを教えていただけますか。
(教育長)
先ほど申し上げた令和7年度の取組以上に、今年度から何か新しいものがある訳ではない状態です。やはり、教員になろうということ自体、今様々な声が世の中に溢れかえっています。一方で、先生方とお話していると、すごくやりがいを感じておられる方が沢山いらっしゃいますので、やはりそういった現場の先生方のやりがいという部分をさらにPRして参りたいと思っています。そして、先生方がもっとやりがいを持って仕事ができるように、働き方改革という言葉で括っていいのかどうかわかりませんけれども、先生方がやりがいを持って、仕事をやってよかったなと思えるような、そういう職場を作ることが非常に重要だと思います。ですから、働き方改革を今までも様々な取組を進めてきていますが、一段とさらに加速して何ができるかということも、しっかり現場の先生とも話をしながら進めていきたいと思っています。
(読売新聞)
採用試験の話で、文科省は標準日を5月11日と示していますが、県教委としては試験日を6月に据え置きますということだったと思います。福永さんが在任中に、少なくともあと1年は据え置くということをおっしゃいました。試験日について前倒しを一度実施したが効果がなかった、ということからの判断と聞いていますが、教育長はこの試験のあり方をどう考えていらっしゃいますか。
(教育長)
試験日を前倒しする効果がなかったかどうか、私もそういうことでは直接お聞きしていませんが、世の中の動きの中で、いくつもの試験日というのがどの程度影響するかということは個人的にはよくわからないところはあります。やはり、少しでも早く就職先を決めたいという声もありますし、大学3年生から試験を受けられるようにして少しでも関わっていただくような取組も始めています。そこはしばらく効果を見ていかないといけないのではないかと思います。国の方でさらに前倒しというような話があるのも承知しておりますので、そこは昨年度から今年度、また他の都道府県の実施状況も聞きながら、全体としてどうしていくのかを判断していくことではないかと思っています。
(読売新聞)
今のお話だと基本的に慎重というか、とりあえずは今の時期くらいで考えられているということですかね。ありがとうございます。
(共同通信)
滋賀・体験の日について質問ですが、これは、学校を休むときは口頭等で連絡することになりますか。例えば後で万博の入館証を見せるというようなことはありますか。
(幼小中教育課長)
公立の小・中学校の場合、事前に申請用紙を学校に出して、事後に振り返りを記入して報告するということで進めていくと聞いております。
(高校教育課)
県立高等学校につきましても、事前に申請をしていただいて、行った後にも報告を上げていただいて、という形でやっていく予定をしております。
(共同通信)
報告というのはレポートみたいなものを書くような感じですか。
(高校教育課)
大層なレポートではございませんが、行ってどんなようなことを学んできたかとかいうようなことを簡単に報告していただく、ということを想定しております。学校ごとに様式を定めて取り組んでいただく予定です。
(特別支援教育課)
特別支援学校も同様に先に申請していただいて、そこで欠席扱いにしないということで取り扱っています。
(共同通信)
僕が愛知県出身なのですが、小学校一年生のときに愛・地球博があって、学校単位で社会見学に行きまして、そこでみんなで学んだことが思い出に残っています。そういう企画は滋賀ではやらないのでしょうか。学校単位で参加するということはないのでしょうか?
(教育長)
滋賀・体験の日を活用して個々に万博へ参加するということとは別に、万博への参加機会として、子どもたちを招待する事業を知事部局の万博推進室でやっておりまして、そちらで学校単位での参加なども募集していただいております。また、その中身につきましては、それぞれの市町教育委員会の方から、各学校等にお伝えしてもらい、それぞれの判断で学校単位で行かれているというところです。
(共同通信)
滋賀・体験の日は、個人や家族等で行く訳ですが、国スポ・障スポも万博もあまり目的なく行くと割ちと遊びになってしまい、体験というか学びにならないような気がしますが、その点はどのようにお考えですか。
(教育長)
私の見解は記者と少し異なりまして、遊びそのものはすごく良い学びとなる経験ではないかと思います。例えば、ご家族で万博に行かれたとすると、ご家族でそういった思い出を共有して「一緒に遊んだね」「あそこではこういうことがあったね」というのを話し合う、そのこと自体がすごく学びになるのではないでしょうか。その意味では、遊びになる部分もあるかもしれませんが、私はそれで良いのではないかと思っています。
(NHK)
教員の人材確保に関して、先ほど最新の採用倍率が3.2倍で、平成31年度は4.6倍ということで数字をいただきましたが、内定辞退率はどういった数字になっているのか教えていただけますか。
(教職員課)
内定辞退率という数字は出しておりませんが、令和7年度の採用については内定辞退者が61名となっております。
(NHK)
それは多くなっているのか、少なくなっているのか、平年並みでしょうか。
(教職員課)
ここ5年では一番多くなっています。
(NHK)
理由に対してはどういうことだと考えますか?
(教職員課)
他県にも合格された方がそちらに行かれるというのが一番多い状況です。
(NHK)
採用の備考欄に、日本国籍を有しない者を任用する場合は任用の期限を付さない常勤講師して採用するとありますが、実際に日本国籍を有していない方で常勤講師として働いてらっしゃる方は何人か県内でいらっしゃるのでしょうか。
(教職員課)
今人数までは把握できていませんが、いらっしゃいます。
(NHK)
一方で現場では、外国籍の方で日本語がなかなかまだ慣れてない子どもたちが増えているという中で、こういった日本国籍を有しないけれども教員免許がある方の活用については、どのように考えておられたり、取組として進められたりしていることがあるのでしょうか?
(教育長)
外国にルーツがある子どもたちが増えてきています。滋賀県全体で、外国にルーツがある方は昔はポルトガル語圏、ブラジル等の方が多かったのですが、最近はベトナム等が増えてきています。そういった形で来られた御家族にお子さんがおられると、そのお子さんの学びをどう確保していくのかは重要課題でございます。今まで以上に様々な国から来られる方々に寄り添えるように、一定の体制を整えていけるよう取り組んでいくことが必要です。ただ、中にはサポートする人材が不足していることもあったりして、なかなか難しい面も有るのかもしれませんが、できる限り子どもたちの学びを支え、日本語に親しんでいない子どもたちに日本というものを理解してもらうために日本語をしっかりと伝えて行ける体制をとって学びの環境を作ることが大事だと考えています。具体的には、また改めて幼小中教育課および関係機関にお尋ねいただければと思います。
(NHK)
魅力ある県立高校づくりについて、全国的にも地域活性化と産業人材の育成プログラムとか、社会に役立つことを子どもたちに促していく、即戦力となっていけるような教育になっている印象をもっていますが、一方で、学びには遊びの部分も必要ではないかと思っています。社会に役立つことを押し付けるようなメッセージになりかねないことは、子どもたちにとって適切か議論があるところかと思いますが、教育長のお考えは?
(教育長)
子どもたち自身が、きわめて多様化してきており、その子どもたちの考え方、大人社会も多様な価値観になってきています。そうした中で、世の中で自立をしていくという、自立に向けたルートについても多様なルートがこれから用意されるようになっていくのではないかと感じています。即戦力という考え方もありますが、子どもたちにとってどういうものが魅力ある学びなのか、ということをしっかりと考えて、声を聴いて、それに応えられる学びの機会を作っていくことが大事だと思います。選択肢をどういう形で用意して、子どもが自ら選択できるかどうかだと思うので、そういう環境にあってほしいと思うし、そういうような状況に教育委員会としてもしていかないといけないと思っているところです。
(毎日新聞)
教育長の方も夜間学級の開設式に行かれたということで、私も夜間学級の取材をさせていただいているのですが、正規の教諭が全て男性ということで、男女のバランスなどが今は取れてない状況なのかと考えています。その部分に対して今後どのような対策をとっていくべきなのか、何か考えている部分があれば教えていただきたいです。
(教育長)
今の職員のジェンダーの問題につきまして、夜間中学校の組織の中で男性ばかりだという点が特に何か課題ではないかということを、今の時点で私の中ではそこまで認識しておりませんでした。ただ、もしかしたら女性の生徒からすると、女性の先生の方が聞きやすいといったこともあるかもしれません。そこは設置されている湖南市さんのご意見等もお伺いし、また我々の方の教員の配置の状況も見ながら対応していきたいと思います。
(時事通信)
滋賀・体験の日に関して、4月から実施が始まったということで、具体的に学校への申請については事前に必要ということですが、この初動として、関西万博が始まったばかりですが、これまでにどれぐらい申請数があったのか情報があれば教えていただけますか。
(幼小中教育課)
公立の小・中学校については市町が所管ということもございますし、まだ始まったばかりなので申請数というのはつかんでおりません。
(高校教育課)
高等学校につきましても、逐一報告をいただくような形になっておりませんので、数までは把握ができておりません。
(特別支援教育課)
特別支援学校もそのように対応しておりませんので、そこは把握できてないというところでございます。
(時事通信)
滋賀・体験の日の関係でラーケーションの取組、長浜市さんであったりとか県内の市でも行われていると思いますが、こういった中では実際の今回の滋賀・体験の日のように国スポであったり、万博以外の体験学習とかそういう内容の多様さもあるかと思うのですが、今後、教育長の考えとして、この内容の拡充であったりとか、今、視野に入っているのかお考えをお願いします。
(教育長)
ラーケーションというのは、最初、愛知県さんで取り組んでおられて、滋賀県の中でも長浜市さんが取り組まれましたけど、今回の滋賀・体験の日については、万博や国スポ・障スポに行くことについて、欠席としないようにする形で、対象を一定限定しておりますけれども、我々としては今年度初めてこの取組をするということで、まずは、この取組が子どもたちのどういう学びに繋がっていくかということですとか、逆にこういった弊害があるのではないかということなどをしっかりと見極めた上で検討していきたいと考えております。本来の目的である、子どもたちに様々な体験をしてもらうという趣旨からすると、最終的には他府県でやっておられるような考え方もあるのかとは思います。ただ、そこに行くまでには、一定のステップは必要であると思っています。
(朝日新聞)
重点施策のとこにもある確かな学力ですが、教育長が大切にされた子の自立にも一定の学力はすごく大事だと思いますが、こういうところの学力を伸ばしてあげたいとか、今、就任にあたって抱負とされているところがあればお願いします。
(教育長)
一人ひとりの子どもの自立のために、教育のあり方というのを「教え込む」ことから、能力を「引き出す」ことに変えていく必要があるのではないかと申し上げました。その意図するところは、子どもたちがやっぱり自ら学んでいく、自らが学びに対して「面白い」「分かった」「楽しい」と思ってもらおうとすると、やっぱり自ら学んでいけるようにしていくのが大事だと思います。そのことが学力・学習状況調査などでどのように評価されるかはまた別の話がありますが、確かな学力のためには、子どもたち自身が学びに向かう姿勢、要は言われたからやるのではなくて、「面白いよね」という自発的な姿勢に変えていけるようにするのが大事ではないかと考えています。そういうことが直接的にいわゆる学力になるのかは分かりませんが、私は学びに向かう姿勢としては本来そうあるべきではないかと思っています。
(朝日新聞)
特別支援教育の副籍制度の充実について、中学生段階にも試行的に広げていくとおっしゃったかと思いますが、小学校では既に実施されているということで、副籍制度による児童や家族等へのメリットみたいなものがあるのでしょうか。この狙いを教えてください。
(教育長)
副籍制度というのは、特別支援学校に在籍している子どもたちがその地域にある小学校に出かけていって、その地域の子どもたちとともに学ぶという機会を設ける側面と、それから逆にその地域の小学校に在籍している特別な支援を要するお子さんが特別支援学校に行って学ぶという双方向で、インクルーシブな教育をどう実現していくのかという一つの手法かと思います。特別支援学級におられるお子さん達が特別支援学校に行くというのは、より専門的な教育を受けられるメリットがあるということもありますが、根本としては特別支援学校におられる生徒さんたちが自分たちの住んでいる地域の小学校に行くという方の人数が多いのですが、やはり特別支援学校という世界から地元の地域の小学校の子どもたちと交わり合うので、それは小学校のお子さんにとっても特別支援学校のお子さんにとっても双方にとってお互いを理解し合う大きな機会になるのではないかと思います。そういったことを目指しています。
(京都新聞)
魅力ある県立高校づくりに関連して、高校授業料無償化についての受け止めは?
(教育長)
授業料無償化そのものは基本的には子育て世代にとって経済的な負担が減るものであり、子どもを育てることを支える環境づくりであると捉えています。
(京都新聞)
県立高校としては県外に流れたり私立に行ったりすることで定員割れが生じると思うが、そうした影響についてはどう考えますか?
(教育長)
高校の授業料の無償化についてはすでに一定の年収以下を対象に始まっており、今までから県内私学を受検する方が増えている傾向にあります。
(京都新聞)
学校関係者に聞いていると、また学校再編の議論が避けられないのではないかと言っている人もいますが、今後子どもの数が減っていく中で県立高校の学校数を維持していくお考えですか?
(教育長)
子どもたちがどの学校を選ぶかにあたっては、学費の問題もあるかもしれませんが、学校の魅力があるところに子どもたちが行っているのではないかと考えています。授業料等が高い私学であっても魅力があるので行きたいと思う子どももいると思います。一方では経済的な問題で諦める子どももいるかと思います。いずれにしても、そもそもそれぞれの学校が魅力のあるものになるかどうかが非常に重要だと捉えています。子どもたちの数が減っていくなかで学校の数をどうしていくのかの議論については、福永前教育長は学校というのは学びをしっかりと届ける役割があり、それぞれの学校が魅力あるものにしていくという方向性を持って取り組んでこられました。私もその方向性であると思っていますが、これから先、子どもたちがどんどん減っていく中で、高校はどうあるべきなのか、学校の数がどうこうというよりも、どのような学びがこれから必要とされるのか、ということがまずは大事な視点なのではないかと思っています。さらには、そのなかでも、公立の高校はどういう学びが必要なのかをしっかり見ていく必要があると認識しています。まずもっていろんな方からお話を聞いていきたいです。
(読売新聞)
夜間中学校について、県内第1号としては湖南市さんが設置されて、21人が入学されたということですが、県内の他の地域にも外国人の方含め、学びたい方はたくさんおられると思います。また受け皿の学校があれば出てくるニーズもあると思いますし、他県には複数あるところもあると思うのですが、県で設置する必要性等について、教育長はどうお考えですか?
(教育長)
今回開設式にお伺いして、本当に学びに基づくことを求められる方がこれだけおられるのだなということを凄く感じました。私は夜間中学を作るというところまで知っていたのですが、具体的にどのような生徒さんが来られるかは存じ上げなかったのですが、実際スタートしてみてお伺いすると、本当に若い方から年輩の方まで、男性も女性も、それから国籍も様々でルーツが外国にある方もおられて、本当にバラエティーに富んだ学びたい人が集まっておられます。こういう機会があるというのはすごく大事なことだと認識しております。こうした中で、やはり我々としても、湖南市さんとしても、今回、夜間中学、夜間学級というものが初めて設置されましたので、まずはこの状況でどういう良さや課題があるかといったことを生徒さん達にも意見を聴きながら考えていくことが一歩目かなと思っています。その上で必要ならば、どうしていくかということを考えていきたいです。
(読売新聞)
ニーズがあるなら考えていく余地はあるということでしょうか?
(教育長)
どういったニーズがあるのかということ自体が今まだわからないところもあります。今回の甲西中学校さんは市外の方も結構おられますので、そうした中で、どういった方々が望まれるのかということは何らかの形でいろいろ把握をしながら、その先のニーズを掴むということです。
(読売新聞)
それはニーズ把握というのをやっていくということでしょうか。
(教育長)
今直ちにそのつもりで予定があるという訳ではありません。まずは、やはり今ある夜間中学校で皆さんの声を把握するのが大事だと考えています。
(読売新聞)
AIの活用について、特に授業での活用についてですが、昨年末に文科省が初等中等教育段階における指針というのを作っています。具体的に滋賀県では一部進んだ先生がやっている事例があるようですが、そこを授業で活用していくことについての教育長のお考えをお願いいたします。
(教育長)
私自身が元々理科系なので、生成AIについては、今後それ無しの世の中にはならないだろうなと思っています。学校の学びの中で生成AIをどういうふうに使っていくのかという問題も勿論あるのですが、これから生きる子どもたちは、おそらく、生成AIとどう向き合っていくのかということが大切になるのではないかと考えられますので、生成AIを授業のどのような部分で使うとか、そういうところを個別に考えていく必要があると思います。生成AIは何らかの形でどんどん進化していくものであり、教科書が古くなるようなことがあるかもしれませんが、生成AIがどういうものであって、どういうふうに今の学校現場の中で使われるべきなのか、何かの形でお付き合いをしていかなければならないとか、そういったことは教員だけでなく、おそらく子どもたちも知っておかなければいけない時代になると考えています。
(読売新聞)
国の指針では、学校現場に対して教育委員会の方である程度の方向性みたいなものを示した方が良いということが記載されていますが、そのあたり教育委員会としてはどう関わっていきますか。
(教育長)
私の方で今何か関わりというか針路をお示しするものを作るべきだという考えはございません。ただ、そのあたりはまた教育委員会の声であったり、現場の先生の声であったり、場合によっては子どもたちも含めて、進めていただいていると思います。
(読売新聞)
教育における生成AIがもたらす効果みたいなところがあるとしたらどういうところにあるとお考えですか。
(教育長)
生成AIは今の世の中の仕事、我々人間がやってきたことを、より効率的に進めることはできますが、全く1から新しいものを生み出すということまでは、まだ到達していないと考えています。勿論、これとこれを組み合わせるというふうに言ったら、そういうものを作ってくれるというのはありますが、本当にオリジナリティがあるのかというと、そこはまだ人間の方が力を発揮すると思われます。そういった意味で、教育との関係で言うと、やはり人間でしかできないところをどのように力を発揮していくのかが大切だと捉えています。一方で、より効率的に情報を得るとか、もしくは仕事を上手く進めるということでは、生成AIの活用というのは十分可能だろうと考えられますし、そこには生成AIというのはこういうものだという一定レベルの知識が必要ではないかと思っています。
(滋賀報知新聞)
今年度から県の方で子ども基本条例というのが施行されまして、子どもの権利に関して県の方でも動いていく訳ですが、県教育委員会として子ども基本条例に関する付き合い方といいますか向き合い方というのは、どのようにお考えでしょうか?
(教育長)
子どもの権利を守る社会を作っていくという条例なので、当然我々教育委員会としても考えていく必要があります。子どもの権利という意味で言えば、条例のできる前から、人権教育という一定の枠組みの中でも、子どもの権利とはどういうものであるかということを、例えば学校の先生方は、今目の前にいる子どもたちの中にどんな子どもがいるとか、子どもたちについてこういう定義があるのだといったことの学びに取り組んできました。そして、子ども基本条例ができたということの意味を今一度教育委員会としても受けとめて、そのことを踏まえて、子どもたちには子どもの権利というものをどう伝えて知ってもらうのか、合わせて学校の先生方にもどのように伝えてもらうのか考えていきたいです。さらに言うと、やはりそこに関わる保護者が子どもの権利ということをどう考えていくのか、そういった点も子ども基本条例ができたということをきっかけに、改めて見直していただくような取り組みを今後考えていきたいと思っています。
(滋賀報知新聞)
今のお話に少し関連もするかもしれないですが、冒頭の所信でもお話しいただいて、そちらのスライドにも出ていますように「三方よしで幸せ育む滋賀の教育」という言葉がありますが、教育長としては滋賀の教育現場の三方とは何処を想定しておられるでしょうか。
(教育長)
教育大綱のサブテーマとして「三方よしで幸せ運ぶ滋賀の教育」と書いています。本県ゆかりの教え「三方よし」に沿って、教育を通じて子ども一人ひとりの幸せや教職員や子どもの家庭等における幸せ、みんなが幸せな地域作りを目指しますということです。ここでいう「三方よし」というのは、まずはやはり、我々の教育でメインターゲットである一人ひとりの子ども。それから子どもに関わるという意味での教職員ですとか、そして保護者の方。そしてみんなが幸せな地域作りということは、やはり地域の方々。その三方ということになろうかと考えています。先ほど冒頭にも申し上げたように、学びは子どもだけのものではないと思っておりますので、地域の皆さんも含めた学びの枠組みということです。
(中日新聞)
今の質問に重ねて、子ども若者部長としてのご経験というのは、教育長としてどのように生きると考えておられますか。
(教育長)
逆のことを子ども若者部長になった時には問われまして、教育委員会としての経験をどう活かすのかということを尋ねられたこともありましたが、子ども若者部にいたということから、より広い捉え方で子どもというものを考えていきたいと思っています。それは、学校という枠組みの中だと、どうしても児童であったり生徒であったりという枠組みで物事を考えるところが多いですが、学校教育の中の子どもということだけを見るのではなくて、もう少し広い視野から一人ひとりの子どもという視点で物事を考えなければならないということを昨年度には学ばせてもらいました。そのようなことが経験として今後に生かしていければと思っています。
(中日新聞)
先ほど、力を入れる取組の中で、教えるから能力を引き出すというふうに教育を変えていきたいとおっしゃったと思いますが、具体的にはどのようなことをされるご予定ですか?
(教育長)
やはり授業改善です。子どもたちが生活の中で一番長い時間を過ごすのは家庭ですが、その次には学校だと思います。その学校の中で最も時間を費やしているのは授業だと考えられますので、一方的に教え込むイメージの授業、私が子どもの頃は本当にそういう授業が殆どだったと思うのですが、そういう授業から、子どもたちが自ら学びたいという姿勢で取り組む授業へと変わっていく、またそういった能力を引き出すというように教師の役割も多分変わっていくべきなのかと思います。そういった意味での授業改善というのが、一つ大きな要素だと思っています。それは学年や校種によって、少し違うかもしれません。また、一番ベーシックなところ、やはり基礎的な力というのは必要になると思います。だから教え込むのが駄目だということではなく、それぞれの使い分けのような、発達段階やその時の必要な状況によって違いがあると考えられますので、全体として教え込むことだけをずっとやるというのではなく、能力を引き出すことを大切にしていきたいと考えています。
(以上)