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教育長定例記者会見〔令和5年(2023年)12月25日〕

配布資料

概要

教育長)

おはようございます。本日は今年最後の定例記者会見でございます。

この一年、報道機関各位、皆様方の御理解と御支援に心より感謝を申し上げます。

画面の右側に、高校生による「しが学びの祭典2023」を提示させていただいておりますので、取材等よろしくお願いいたします。

それでは、まず令和5年という年を振り返って、三点ほど私から申し上げたいと思います。まず一点目は、今年で私が教育長をさせていただいて5年目となりますが、令和2年、3年、4年と、新型コロナウイルス感染症により様々な教育活動が影響を受けてまいりました。ですが、この5月8日に感染症分類が5類になり、学校生活・学校行事は徐々に本来の姿を取り戻していくことができたと感じております。特に、スライドにございます、今年40周年を迎えました、滋賀ならではの体験学習船「うみのこ」での児童学習航海につきましては、1泊2日の航海を再開できたことを大変嬉しく感じているところでございます。

また二点目でございますが、国においては4月から「こども基本法」が施行されました。滋賀県におきましても、4月に子ども政策推進本部が設置されるなど、子どもを取り巻く政策が大変クローズアップされた一年であったと感じております。教育の分野におきましては、特に急増しております、不登校状態にある子どもたちへの対応について関心が高まったところでございまして、現在、知事や副知事、また市町の皆様とともに、「しがの学びと居場所の保障プラン」の検討を進めており、年度内の取りまとめに向けて取組を進めたいと考えております。

併せまして、「こども としょかん」につきましても、今年度の目指す姿や基本的な方針について検討を進めてまいりました。内容につきましては、「第5次滋賀県子ども読書活動推進計画案」に盛り込みまして、本日12月25日より、県民政策コメントを開始いたします。詳細については、この後の資料提供でお知らせいたします。本計画は今年度末に内容を取りまとめ、公表してまいる所存でございます。

そして三点目は、「三方よしで幸せ育む」ということで、令和6年度からの教育施策の基本となります、次期「滋賀の教育大綱」、第4期滋賀県教育振興基本計画につきまして、先週12月21日の県議会におきまして議決をいただき、現在最終的な策定の手続きを進めております。この計画をもとに、令和6年度以降、新たな決意で取り組もうと考えております。

新たな計画では、様々な方向性を示しておりますが、本日は皆様に一つのキーワードである「三方よしで幸せ育む」という点についてお話をさせていただきます。複雑さを増していく社会においては、一人ひとりが尊重されながら、社会を持続的に発展させていくことが大切でございます。新たな計画では、滋賀がずっと大事にしてきた「三方よし」の理念を生かして、子どもたち、教育に関わる先生方や御家庭、そして社会全体の三つが幸せになるようにしていこうという方向性を打ち出しておりまして、その実現に向けて様々な教育施策等を推進してまいります。

併せまして、先週金曜日に開催しました12月定例教育委員会で議決をいただき、資料提供をさせていただきました通り、令和8年度から県立高等学校の入学者選抜は新制度を適用することといたします。この新制度では、「スクール・ポリシーを踏まえた入学者選抜の実施」、そして「受検機会の保障」、「負担の軽減」の三つの方向性から、令和の時代に対応した新しい入学者選抜制度の構築を図ったものでございます。この入学者選抜制度を通して、高等学校を目指す子どもたちの主体的な進路選択に繋がることを期待しているところでございます。

また、この冬に受験を控えておられる中学三年生、高校三年生の皆さんには、インフルエンザ等の感染症が流行しやすい時期ですので、今一度、基本的な感染対策の徹底や、バランスの良い食事、十分な睡眠を呼びかけさせていただいております。試験当日は万全な状態で臨んでいただけるよう、県立高校の入試の準備を進めておりますので、安心して体調を整えていただきたいと思っております。今後、県教育委員会のホームページで入学者選抜の注意事項を掲載いたしますので、ぜひ受験生の皆さん、保護者の皆さんには御覧いただきたいと思います。

 

それでは配付資料を順に説明いたします。

本日、お配りしている資料の2ページ目に、12月から1月の広報事項を書かせていただいております。最初に申し上げました、高校生による学びの祭典、また小中学生による「ふるさとしが探究交流会」は、明日実施予定ですが、それらを含めて記載しておりますので、取材を通じて発信いただければ幸いに存じます。

では、本日の話題提供としまして、一点説明させていただきます。

お手元の資料の3ページを御覧いただきたいと思います。「滋賀県インクルーシブ教育賞」について紹介させていただきます。この「滋賀県インクルーシブ教育賞」というのは、平成30年に創設され、県内の全ての小中高等学校と特別支援学校の児童生徒を対象に、障がいのあるなしにかかわらず、共生社会の形成に寄与したと考えられる地道な取組を表彰するものでございます。この表彰を通して、共に学び、共に生きる児童生徒の心を育むとともに、県民のインクルーシブ教育や共生社会に対する理解の促進を図る機会になることを願っているところでございます。

画面は令和4年度の表彰式の様子でございます。私も学校へ赴き、表彰状をお渡ししたこともございます。

今年度の表彰は、5校3組ございます。

まず一つ目が、近江八幡市立武佐小学校の四年生と、県立八日市養護学校の一年生から三年生の交流で、この取組は今年で45年目を迎えます。武佐小学校の児童が八日市養護学校を訪れ、お互いの学習成果の発表や簡単なゲームをして交流を深めました。

二つ目が、東近江市立八日市西小学校の四年生の児童と、県立八日市養護学校の小学部四年生から六年生で、こちらは今年で47年目を迎える取組で、年2回の交流でお互いの学校を訪れ、交流を深めておられるところでございます。

どちらの交流におきましても、交流前の子どもたちは「うまく交流できるか不安だ」という思いがあったそうですが、交流を終える頃には、「次の交流が楽しみ」や、「一緒に活動する中でみんなの心が一つになった」などの感想が挙げられました。こうした取組を通して、お互いを思いやる気持ちが育まれたものと感じております。

そして三つ目は、県立愛知高等学校と愛知高等養護学校の取組でございます。愛知高等学校の生徒が、家庭総合の授業の一環で、愛知高等養護学校の専門教科、食品加工とテキスタイルの授業に参加し、授業を通してお互いのことを知って、認め合える関係を築く取組となったところでございます。

表彰式につきましては、表の日程で行われ、教育委員会の代表者が表彰状を授与する予定です。ぜひ取材にお越しいただければと思います。なお、県内のインフルエンザ等の感染状況によりましては、表彰式の延期も考えられますが、その際には御連絡を申し上げます。

私からの話題提供は以上でございます。よろしくお願いいたします。

 

(NHK)

22日に公表された、高校入試における新制度について、二点お伺いします。

一点目は、今回から新しい制度に変わるということで、これまでにはどのような課題があり、また、この新制度によってどう変わっていくのか、受験生にとって負担が少なくなるのかどうかなどの変化を教えていただければと思います。

二点目は、資料には、現在の中学一年生から導入が始まると書かれてありますが、対象の一年生やそれ以降の生徒たち、保護者に対してどのように周知していくのか、お伺いします。

 

(教育長)

まず一点目の、新制度の変更点や、どのような効果を期待しているのかということですが、二点ありまして、一点目は、選抜時期を一本化することです。従来の制度では2月上旬頃に、「特色選抜」「推薦選抜」が行われ、3月に一般選抜が2回行われますが、入試の期間が非常に長くなっており、中学生の生徒にとっても学校現場にとってもそのことが負担になっていると思われました。今回はそれを一本化させていただき、選抜時期は一回となります。

それからもう一点が、従来の制度では「特色選抜」「推薦選抜」あるいは「スポーツ・文化芸術推薦選抜」と呼ばれている枠組みがありますが、「特色選抜」について、特色といいながら、どこまで特色化されているのかという御意見もございました。それらを踏まえまして、「学校独自型選抜」という形で、特色推薦を一つにまとめて、それぞれの学校が「学校独自型選抜」という形で、それぞれの学校のスクール・ポリシー等を踏まえて決めていただくという方式に変更しました。

新制度では、同一日程において、「一般型選抜」と「学校独自型選抜」を併用する形で、選抜機会は2回あるという制度は保障をしながら、期日は一本化するという方針に変えたのが大きな変化でございます。

それからもう一点、周知につきまして、現在の中学一年生から新制度に変わりますが、中学二年生の夏から秋には、どのような制度になるのか、自分が目指そうと思う学校はどのような制度で進んでいくのかがわかる概略を、中学校の現場を通じて、保護者と生徒の皆さんにお知らせしたいと思っております。今は大枠が決まったところですので、年が明けましたら、それぞれの学校の方向や思い、考え方を十分に聞き取って、高校で一定のフレームを作っていただき、最大限それを尊重しながら、県全体としてのフレームを、先ほど申し上げましたが、夏から秋ぐらいに概要としてお示ししたいと考えております。

 

(朝日新聞)

先ほどの質問に関連して、新制度から全ての受験生が学力検査を受けるようになりますが、その狙いについてお伺いしたいです。

 

(教育長)

従来の推薦選抜では、学力検査を受けず、それぞれの特技や特色を生かして、推薦で合格される方などもいます。

新制度をどうするかの議論の中で、一人ひとりの子どもの三年間の学びを大切にするためには、学力検査を受けていただく方が良いのではないかという御意見が多数ございましたので、そのような形にさせていただきました。

ただ、学力検査と、例えばスポーツでしたら実技とか、それ以外ですと、例えば小論文だとか、それぞれのウエイトをどのぐらい見ていくのかは、学校独自選抜の独自性の中でウエイトを考えていくことになりますので、学力検査が全てになるわけではございません。一般選抜は学力検査と、内申書の二つでやりますけれど、独自選抜は何かプラスアルファがあり、実技検査や小論文が加わりますので、そこのウエイトを変えることによって、一人ひとりの子どもの持っている良いものから、入学選抜をしたいと考えています。

一定ベースの学力検査は全ての子どもに受けていただく方が適当ではないかと考えたところです。

 

(朝日新聞)

今年度振り返ってお話されましたが、不登校の事案で、11月に教育長もフリースクール連絡協議会の方や、不登校の親子を支援する会の方と直接お話されたと思います。このことを振り返っていかがでしたでしょうか。

 

(教育長)

学校に行きづらい子どもたちは、NPOの方々に様々な機会を設けていただいており、そこで子どもたちが学んでいる状況について、より私も理解が深まったと感じております。

学校の中や集団の中で学ぶことがしんどい、つらいという子どもたちにとっても、やはり社会で生きていくためには、学んでいただくことが大切ですので、そのような機会を、NPO関係の皆さんが取り組んで下さっていることに、感謝したいと思っています。

また、やり取りの中で、私が一番思いましたのは、もう少し学校や、保護者、フリースクールの皆さんと、フリースクールの皆さんが普段見ておられる子どもの状況を共有しながら、その子どもにとって本当に良い学びの場とはどういうところなのかということを、お互いに共有できる仕組みを作ることが大切ということです。そのような取組が進むことも今後考えていきたいと思っております。

 

(朝日新聞)

11月の話合いの場で、不登校の親子を支援する会の方から、特に別室登校について充実させてほしいという要望があったと思います。フリースクールの発言をきっかけに学校のあり方自体も問われていると思うのですが、別室登校であったり、学校をどのようにいかに魅力的なところにされるのか、お伺いします。

 

(教育長)

もう既に一部の学校現場では、加配教員を配置して、別室といいますか、通常の教室以外の場で学ぶ子どもたちへの支援も進めております。ただ、まだまだ十分ではないと思います。そして、学校の中においても、先生方がいろいろと工夫をしながら、別の部屋で、例えば空き教室であるとか、図書室であるとか、様々な部屋で学んでいる子どもたちの様子を見たり、プリントを配ったり、という取組もされております。

この取組を今後いかに充実させていくのか考えなければなりませんが、まずは、普段は別室で学び、例えば学校の様々な活動や学級活動などは一緒にできる子どもであれば、一緒にしてもらい、友人と一緒にいろいろな活動をするようなことも、同じ学校の中で学ぶのであれば可能になると思います。国は校内教育支援センター、スペシャルサポートルームという名前になっておりますが、いわゆる別室指導の子どもの学びの充実というのは引き続き図らなければならないと考えておりますので、「しがの学びと居場所の保障プラン」の中でしっかりと考えていく大きな柱の一つだと思っております。

(中日新聞)

全ての受験生に学力検査が始まることについて、さらにお聞きします。例えば、高校に入学してから学力に差が生じ、なかなかついていけなかったりすることもあるので、入試のときからしっかりと勉強してもらい、そこから高校に繋げるという意味合いもあるのかと思ったのですが、どうでしょうか。

 

(教育長)

そうですね、教育長としましては、ただ入試のために頑張って勉強するというのは、少し意味合いが違っていて、普段の学びをしっかりしていただいて、その学びの成果を入試の場で発揮していただきたいと思っております。

 

(中日新聞)

 ありがとうございます。高校の受検の在り方を考える検討会ではそのような話もあったのかと思い、質問させていただいたのですが、あくまでも、学びの成果を確認するということで学力検査を課すということが大きいのですね。

 

(教育長)

そうですね、ただおっしゃるように、様々な御意見があり、全員が試験を受けなければならないため、やはり、そのことで中学生は一生懸命勉強すると思いますので、そのような御意見があったことも、承知しております。

 

(中日新聞)

ありがとうございます。

もう一点、「学びと居場所の保障プラン」について、居場所が新たにプランの中に加わり、今回不登校の話がすごく注目されたということもありますが、居場所の在り方や、支援の在り方をいろいろ考えられている上で、実際にこれからもフリースクールや、学ぶ場所などの在り方については、意見交換していくお考えであるのか、どういうところで現場の声を拾い上げていく予定ですか。

(教育長)

意見をお聞きする場は今後もあると思います。

ただ、全てのフリースクールの方にも来てもらうと、それはなかなか大変だと思いますので、とりあえずはフリースクールの連絡協議会の代表しておられる方などからからお話を聞き、併せまして、御存知かもしれませんが、大杉副知事もいろいろなところを視察し、お話しておりますので、そのようなお話も含め、いろいろな場面を今後も作っていくことが大切だと思っております。

それと、保護者や関係者の中には、どこにどのようなフリースクールがあるのかということを、まだまだ御存知ない方もいらっしゃいますので、それをどういう形で多くの方に知っていただくのかといった工夫も検討していかなければならないと感じております。

 

(京都新聞)

フリースクールに関しまして、今月上旬の会合でフリースクールの月謝補助を支援するというお考えを打ち出されているかと思うのですが、具体的に保護者に対してどれぐらい補助されるか等、検討はどのくらい進んでいますか。

 

(教育長)

フリースクールに通っておられるお子さんの保護者には、一定の月謝等を御負担いただいていることは承知しております。県内でも6市町については、やり方は市町によって違いますけれども、お支払いされている月謝の一部等を支援していただいていることも存じております。市長会からも、このようなフリースクールに対する保護者支援を市がやっているので、県も何かしら応じて欲しいという御要望もいただいています。県がどのようにするのかですが、現在、6つの市町でやっていただいておりますが、残りの13の市町ではまだ実施をしておられないという状況ですので、全市町のお声を聞いているところでございます。

まだ方法等を具体的に決定したわけではございませんので、今後市町の皆さんの御意見を聞きながら、県としてどのような形で進めていくのが良いか、検討している途中でございます。

 

(京都新聞)

現状としては6市町しか補助がないということですが、教育長としてはもっと広がっていってほしい、そしてそれに対して県としても補助をするというのが理想のお考えですか。

 

(教育長)

確かに、最終的にはそのような支援が広がっていくことは大切だと思っておりますが、どのような手続きを踏みながら、どうステップを踏みながら進めていくのか、様々な御意見もありますので、つまり、今実施していない市町の御意見もございますので、そこを丁寧にどのように進めていくのがいいのかを考えていきたいと思っています。

 

(京都新聞)

市町への補助ではなく、直接県が一律に補助するというお考えはあるんでしょうか。

 

(教育長)

現在、市町で補助をしておられる実態がありますので、市町を差し置いて県が直接やるということが良いのかどうか、やはり、今出しておられる市町の御意見を聞く必要も当然ありますので、まだ県が直接補助するということは考えておりません。元々市町が設置している小中学校に通えない子どもで、それぞれの市町の住民の皆さんへの支援という形で取り組んでいただいていますので、その思いを踏まえながら県としての支援を考えています。このことは、県行政の在り方の問題だと思います。県と市町の関係をどうしていくのかということで、私はどちらかというと、広域的な団体として県は市町を支援することによって、県民の皆さんの福祉や教育等の充実を図っていくということが基本の考え方だと思っています。

 

(京都新聞)

フリースクールの財政支援を巡っては、保護者支援以外に施設自体への補助というのもあり得ると思います。実際に福岡県や茨城県、札幌市など補助している自治体はあるかと思いますが、今後そのような施設への補助は、検討されているのかどうか、教えていただきたいです。

 

(教育長)

何かを最初から除外するというようには思ってはおりません。ですから、どのような形であれば、その民間団体、民間施設への支援ができるのか、今記者がおっしゃった他府県の例も含めまして、それからやり方もいろいろありまして、例えば公設で運営を民間にお任せするというやり方もあるように聞いておりますし、一定の事業を委託して取り組んでいただくという形で、このフリースクールでの学びを応援するというやり方もありますので、そのためには私ももう少しフリースクールとそこで学ぶ子どもたちの状況を、より深く見ていく、把握していくことが重要だと思いますので、その取組も必要だと認識しています。実際にどのような学びになり、それぞれの団体がどのような居場所なっているのかということを、しっかり見ていくことも大切だと思っています。

(京都新聞)

大事だとおっしゃったのは、施設への補助ではなく、まず把握するということが大事だということですね。

 

(教育長)

そうですね、補助をする前に把握するということが大事だと思います。

 

(京都新聞)

現状としては施設への補助というのは検討されているんですか。

 

(教育長)

そのことよりも、示させていただいている「しがの学びと居場所の保障プラン」の案に書いてありますけれども、憲法89条に公の支配に属さないものへの公平な支出ということが書いてありますから、その点をどのようにクリアしていくのか、この辺りの考え方はやはり国の見解もあると思いますので、そことの見解を一致させながら進めていくことも大切だと思っております。

 

(毎日新聞)

高校受検に関して、健康な状態で受検日を迎えて下さいと呼びかけられているとのことですが、生理による体調不良の受検生への配慮や対応は、今後、県としてどのようにしていかれるのですか。

 

(教育長)

月経随伴症状等による体調不良を訴えられる受検者につきましても、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等の罹患者と同様に追試験の対象とさせていただきたいと考えております。具体的にはどのような書類を求めて追試験の対象にするかを詰めていきますが、基本的には、体調不良を訴える女子中学生が追試験を受けられる方向で進めていきたいと県としても考えています。

 

(毎日新聞)

 それはこの春からですか。

 

(教育長)

そうです。来年の3月の試験から、その取扱いをしたいと考えています。

 

(朝日新聞)

先ほどのフリースクールに関して追加の質問です。現在、19市町の声を聞いているところということですが、実際に13市町は実施されていない状況で、国が方針を固めないと、市としては絶対支援しないと明言されている方もいらっしゃる中で、子ども間格差が出ている状況だと思うんですが、策定までに市町と話し合う中で県教委としてどのように呼びかけていかれるのでしょうか。

 

(教育長)

令和6年4月から取組を進めようとすればあまり時間がございませんので、1月中には何らかの方向性を示していく必要があると思います。最後は予算に関することでもありますので、皆さんも御存知のように、2月になりますと、知事として令和6年度当初予算について公表される場面がございますので、そのような場面で一定の方向性を示せるように検討を進めているということに併せ、1月も市町の皆さんのお話を聞いていきたいと思っています。恐らくおっしゃるのは、どのフリースクールを対象にするのかという、ガイドラインについてだと思うのですが、それについても我々の考え方もお話ししながら、市町の考え方を聞いて詰めていく必要があると考えています。

 

(朝日新聞)

県としてのガイドラインを示すことも検討しているということですか。

 

(教育長)

どこまで示せるのかということもありますし、県と市町で、若干今おっしゃったように温度差もあるので、この温度差を埋めるのにはどのような進め方をしていくのが良いか検討しているところです。

 

(朝日新聞)

もう一点伺いたいのですが、11月議会で「滋賀県手話をはじめとする障害の特性に応じた言語その他の手段による意思疎通等の促進に関する条例」が可決されました。その中で学校の設置者の責務も書かれているのですが、今、教育現場で手話を学べる聾話学校さんでも、手話を学べる機会がなかなかないという声を聞いたりします。この条例ができてから手話も学べるのですか。

 

(教育長)

改めて、手話とは何か。情報伝達の手段という見方もありますが、手話は一つの言語であるという考え方もあります。ですから、情報伝達のツールとしての手話を学ぶことと、様々な言語があることを学ぶこと、この辺は私も含めてしっかり考えなければなりません。つまり、今しているように、言葉で喋る、あるいは文字で書く、これも言語ですけれども、手話をされる方にとっては、手話も言語だというお話をお聞きしたこともあります。県議会でも質問をいただきましたが、手話を始め、様々なことに子どもたちが触れることで、障がいのある人もない人も共に生きていくという社会を作ることが大切だと学ぶことが一番重要だと思っています。その中の手話という言語を、自ら学ぼうとする子どもは、どんどん自ら学んでいってほしいと思いますが、一律全ての子どもに手話を教えるというところまでは、学校現場の実態としても難しいと思います。ですが、手話を使われる人に来ていただいて、実際に手話に触れることで、このような情報伝達があるし、障がいがあってもこのように自分の思いを伝えたいという思いを持っておられる人たちがいる、そのような人たちに思いをはせながら、一緒に生きていく社会を作ろうという気持ちを子どもたちに持ってもらうことが、私は一番大切だと思います。手話に限らず、目の不自由な方が盲導犬を連れておられるなど、様々な障がいがあると思いますので、機会を作って、子どもたちに考えて欲しいと思っております。

(朝日新聞)

現状では、手話に触れる機会が少ないと思いますが、環境整備を進めていかれる予定はありますか。

 

(教育長)

障がいのある人への対応や思いについて、それぞれの学校現場で総合的な学習の時間等を活かして、様々な人からお話を聞く場があると思います。ですから、学校現場の先生方の思いをしっかり受け止めつつ、可決された条例についても伝えながら、子どもたちの障がいへの理解を深めるための学びを、どのように進めていけば良いか、学校現場の声をしっかり聞きながら、進めていきたいと思っております。

 

(京都新聞)

先日、文科省の人事行政状況調査で、先生の精神疾患休職等が過去最多と出ておりましたが、滋賀の数字で確認させていただきたいと思います。病気休職者および1か月以上の病気休暇取得者としては、2022年度は318人で、そのうち精神疾患者の数は171人で、それぞれ過去最多ということで、間違ってはいなかったでしょうか。

 

(教育長)

丁寧に申し上げますと、休職と休暇を合わせた合計は、令和4年度は171人で過去最多です。休職者は令和4年度は過去最多ではございません。令和3年度は過去最多で、71人でございました。それから休暇を取られた方は、令和4年度が109人でこちらは最多です。

 

(京都新聞)

 過去最多ないしは高止まりということですが、どのように受け止められておられるのでしょうか。

 

(教育長)

まずは、精神的な理由で休まれている先生方が多くいらっしゃるということは、大変重く受け止めております。予防と早期発見、対応が必要ですので、まずは啓発や、セルフケアなど、第1次予防に努めることが大切だと考えております。今もメンタルヘルスの様々な対応を、県教育委員会としても先生方に薦めておりますが、そのようなセルフケアの第1次予防が大切でございます。その上で、何らかのメンタルの不調を訴えられた方にはできるだけ早く相談や、カウンセリングが受けられるような体制を作ること、その相談窓口等を周知するということで、できるだけ早く治療と相談を受けていただいて、長く休まなくてもいいようにすることが、まずは大切だと思っております。

それから、実際に休まれた先生方につきましては、できるだけスムーズに職場復帰ができるように、試し出勤制度でありますとか、あるいは学校と連携した復職支援などに努めていくことが大切だと考えております。

 

(京都新聞)

 この人数の内訳、年齢別や特に多い年齢層ですとか、あとは休む理由、背景などわかりますか。

 

(教育長)

 休む理由というのは、なかなか難しいと思います。メンタルで休まれるというのは、もう精神的に不調を来しているので、診断書をもらって休まれるということなんです。

年齢につきましては、休暇の方につきましては、20代の先生が多く、休職につきましては、30代の先生が一番多いという状況でございます。休暇が109人で、20代が45人。休職は、令和4年は62人でしたが、そのうち30代が21人です。

 

(京都新聞)

複合的な部分もあるとはおもいますが、具体的な理由は何でしょう。

 

(教育長)

一つには、児童生徒や保護者の皆さんのニーズが多様化していること、また複雑化していること、様々な相談等を先生方が受けなければならない、また、先ほどから少し議論になっています不登校でありますとか、いじめといった先生方が直面する困難な課題が増えていることがあると思います。

それから、少しベテランの先生が今少なくなって、年配の先生方が大量退職されましたので、そういう面で若い先生方がたくさん学校に入っていかれています。その若い先生方をサポートする、ベテランの中堅の先生方が少なくなっていて、言い訳になってしまうかもしれませんが、若手の支援が以前よりは少し薄くなっているのではないかとも考えております。

それからもう一点は、この三年間のコロナによって、令和2~4年に入られた先生方は、あまり学校行事がなかったので、子どもたち、生徒と付き合ったり、コミュニケーションを取ったりする、その機会が少ないと思います。いろいろな行事が始まり状況が変わってきますと、なかなか慣れておられない先生方がいらっしゃると思うので、新たな行事を始めるときには、従前以上に丁寧に協議を進めてほしいということは、学校現場にはお話をさせていただいております。

(京都新聞)

ありがとうございます。既にもうされている対策と、今後何か新たにされようと思われていることを教えて下さい。

 

(教育長)

先ほども少し申し上げましたが、対策としてはストレスチェックというのを通じて、まずは第1次予防のセルフケア、これはもう既にやっております。

それから、精神科医や臨床心理士さんによる、精神保健相談やカウンセリング、こういった相談体制を作っております。

また先ほど申しましたような、試し出勤制度や、勤務制限措置というような復職支援も既に行っているところでございます。

今後ですけれども、このような相談体制を充実していくということに努めるとともに、もうこれはずっと言い続けておりますが、学校現場の働き方改革を推進して、より働きやすい現場にまずこの取組を作っていき、先生方同士がお互いに助け合える、風通しの良い職場を作っていく、これに尽きるというふうに思っておりますので、様々な取組をしっかりとやっていきたいと考えております。

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教育委員会事務局 教育総務課
電話番号:077-528-4512
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