教育長
特別支援学校におきまして、児童・生徒にかかる複数の事案が発生いたしました。子どもたちの安全・安心の場である学校現場においてこうした事態が発生し、多くの保護者の皆様、関係者の皆様、県民の皆様にご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。こうした事態が二度と起こらないよう、再発防止の取組をしっかりと進めてまいります。また、情報公開につきまして、それぞれの案件について公開を基本とし、個々の事案を勘案して判断してまいったところでございます。今後、今回の事案を含めこれまでの対応をしっかりと検証し、適切な対応をしてまいります。子どもたちと保護者が安心して任せられる学校づくりにしっかりと取り組んでまいる所存でありますので、引き続き、よろしくお願いいいたします。
お手元に資料をお配りしております。まずは、「令和2年2月から3月の広報事項」を掲載しておりますので、取材等よろしくお願いいたします。本日は話題提供3点と、学校紹介の合わせて4点をお話させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず1点目でございます。お手元の資料の4ページを御覧ください。
今年度、初めて実施いたします県立高校の「探究的な学習発表会」について紹介いたします。今年度、県立高校では、「『読み解く力』をもとにした探究的に学ぶ力育成プロジェクト」に取り組んでいます。このプロジェクトは、県教育委員会で特に力を入れて取り組んでいる「読み解く力」をもとに、自ら問いを見出し『探究する力』の育成を目指しているところでございます。資料の【目的】の欄にありますように、この発表会は、各校で実践した探究的な学びの取組やその成果について発表する機会を設け、探究的な学びを全県に普及することを目的としております。また、同年代の高校生の課題研究の発表を聴くことで、探究することの面白さや意義について考えるなど生徒の学問的探究心を養うことも目的としております。【概要】にありますように、日時は、令和2年2月15日土曜日の10時30分から16時までございます。会場は、近江八幡市の滋賀県立男女共同参画センターでございます。今のところ参加者は、発表者を含め89名の生徒、県立高校の先生方などございます。内容ですが、記載しておりますように、研究発表は6校6グループの生徒がステージ上で、ポスター発表は5校7グループの生徒が、各校で実践した探究的な学びの取組やその成果を発表します。発表終了後には、発表の講評を含め探究的な学習をどのように進めていくのかについて、京都大学名誉教授坂先生より御講演いただきます。今回は一般の方の参加は予定しておりませんが、5ページには各校の発表テーマ、発表時間を記載しています。ぜひ、記者の皆様には取材いただければと思います。
次に2点目でございます。6ページを御覧いただきたいと思います。
県教育委員会では、生涯学習の推進のために、一人ひとりの「学び」を、地域づくりや地域課題解決につなげていけるよう取組を進めております。平成28年度からは、「地域づくり型生涯カレッジ推進事業」を実施しており、市町がそれぞれの地域特性や地域資源を生かした学びの場を提供して、活力ある地域づくりや地域課題解決を担う人材育成を進める取組を支援しているところでございます。今年度は、湖南市、東近江市、米原市の3市が県の補助を受け、本事業を実施しております。地域の良さを発見するためのフィールドワークや、様々な体験活動、大学教授や博物館職員による専門的な講義、学んだことを地域に生かしていくことを考えるワークショップなど、それぞれ工夫を凝らしたプログラム内容となっております。今月2月18日火曜日には、このような取組を県内全域で広げていただくきっかけづくりといたしまして、近江八幡市の滋賀県立男女共同参画センターにおいて「生涯学習・地域づくり実践フォーラム」を開催いたします。事例発表では、初めに、本年度本事業を実施されています米原市の「ルッチまちづくり大学」について発表いただきます。その後、市町が実施する連続講座の修了生が活動されています「ルッチまちづくりネット」と「おおつびと倶楽部」に発表いただきます。どちらの団体も、これまでの学びやつながりを生かし、市民の声を行政に届けるワークショップや地域の寺を会場にした落語会の開催など、自分も地域も元気になる活動を展開されています。また、講演では、企業・行政・公民館・社会福祉協議会・児童館等の多様な担い手間のコーディネーションや伴走支援等、多角的なアプローチで地域づくり・社会づくりに尽力されておられるNPO法人ふくおかNPOセンター代表の古賀桃子さんをお迎えし、「人生100年時代 〜学びつながり、地域を元気に!〜」と題して、講演いただく予定でございます。行政関係者はもとより、生涯学習や地域づくりに関わっておられる方、地域づくりに関心のある方など、どなたにも御参加いただける内容となっております。本フォーラムを通して、本事業を県全体へ広げるとともに、活力ある地域づくりにつなげていきたいと考えておりますので、多くの方々に御参加いただければと思います。また、是非取材いただき、こうした取組を発信していただければ幸いでございます。
次に3点目でございます。資料の7ページを御覧いただきたいと思います。
滋賀県教育委員会では、若い世代に文化財への愛着を育んでもらうために、その魅力を絵画で表現・創造してもらい、それを発信する新たな取組として、『びわこMyぶん祭』事業を平成29年度から実施しております。今年度も、「Myぶんドキドキ観察会」と題したイベントを行い、県内の遺跡から出土した土器や埴輪等を間近に観察しながら、それを題材とした絵画を制作いただいてきました。作品の数は、200点近くあり、幼児から中学生とその保護者の方々をはじめとした多くの方々に描いていただいたところでございます。このたび、これらの作品を2月22日土曜日から28日金曜日までの7日間、展覧会「びわこMyぶん祭」として、大津市瀬田のびわこ文化公園内にある滋賀県埋蔵文化財センターの1階ロビーで展示いたします。展覧会では、これら絵画作品の題材となった土器や瓦、埴輪等も併せて展示いたします。教育委員会では、この取組を通して子どもたちや若い世代のみなさまに、文化財への親しみや関心を持っていただき、魅力ある滋賀の文化財を未来へつないでいく気運が広がることを目指してまいりたいと考えております。個性ある楽しい作品が多く集まっており、子どもたちの感性からとらえた文化財の新しい魅力を感じることができる展覧会ですので、ぜひとも多くの方に御覧いただきたく、案内させていただきます。資料の8ページから9ページにかけまして、関係の作品等の資料を挙げておりますので御参考にしていただければと思います。
最後に資料の10ページでございます。学校現場の取組紹介でございます。本日は、滋賀県立水口高等学校の取組について御紹介いたします。
水口高等学校は、明治41年に設立されました滋賀県立水口農林学校を前身とし、甲賀・湖南地域に根ざした、平成30年に110周年を迎えた歴史と伝統のある学校です。校訓は「醇厚 中正 自彊 進取」でございまして、「かたよらず、あたたかい心で、自ら進んで、努力しよう」のスローガンのもと、生徒は学習、学校行事、部活動等に取り組んでおります。学校の特色として、3点整理しております。1点目といたしましては、普通科としての学びだけでなく、「国際文化コース」、「体育コース」の2つのコースがあり、生徒の興味、関心や進路選択に応じて学ぶことができます。特に「国際文化コース」では、2年生が「マレーシア海外研修」を行い、様々な体験や現地の人たちとのふれあいを通じて、国際的な視野を広げるよう取り組んでおります。2点目といたしましては、生徒一人ひとりが自らの生き方を考え、主体的に進路を選択できる能力を育成するため、様々な体験学習を行っております。例えば、総合的な探究の時間で取り組む「地域人講座」では、甲賀市と連携し、地域の課題解決についてグループで考え、ポスター発表を行っています。また、地元の方々から、「水口かんぴょう」、「水口煎茶道」などの地域の伝統文化について教えていただいたりしております。さらに、大学・短大等での学びと企業等での就業体験を組み合わせた「インターンシップ」を実施しています。3点目といたしましては、部活動が熱心に行われています。今年度は、全国高等学校総合体育大会に弓道部が出場いたしました。国民体育大会にライフル射撃部が出場し、少年女子ビームピストル競技で優勝されました。このライフル射撃部は県立高校では水口高校のみに設置されており、全国高校選手権大会や国民体育大会での優勝をはじめ、各種大会で優秀な成績を収め、卒業生が2018年ジャカルタアジア大会の日本代表となるなど活躍している競技でございます。最後に、今後の話題として、3月17日の午前に「あいこうか市民ホール」で開催を予定しております「体験学習発表会」を紹介させていただきます。体験学習の成果を発表する場でございまして、生徒会が中心となって運営し、1年生は「甲賀のお茶」や「観光を利用したまちづくり」などの講座の中から四つの講座についてポスターセッションによる発表を行います。また、2年生はマレーシア海外研修や宮古島での研修、インターンシップ参加生徒による職場体験の発表を行いますので、是非取材をしていただければと思っております。私からは以上です。
読売新聞
特別支援学校の事故などの件なのですが、今日一部で報道があったアレルギーの事故、個人情報を紛失しているという件について、教育長の冒頭の話の中で公開を基本に個々の事情で判断してきたとおっしゃいましたが、2件とも公開されていない理由を改めてお聞かせください。
教育長
まず1点目のファイルの件についてですが、こちらの件につきましては、あくまで個人情報でございまして、関係の方とのやりとりの中で、公表を望まないというお話をお伺いしまして、その保護者の方の御意向を尊重したということでございます。それから、2点目の、アレルギーの件につきましては、こちらは、どのレベルのものまで公開するかということでございまして、これは学校で起こる様々な事故について、個々に公開すべきかすべきでないか判断し、今回は、公開という判断をしなかったものでございます。
読売新聞
公開を基本だという言葉が全くそれだと理解できないのですけど、公開しないことが基本になっているとしか思えないのですがいかがでしょうか。
教育長
確かに、公開しない案件があることも事実ですので、今おっしゃられたように見えるということもあろうと思います。ただ私どもといたしましては、基本は公開なのですが、案件によりまして、関係者、保護者の方々のプライバシーの問題でありますとか、御意向などもやはり踏まえなければならないということが一定ございます。その点につきましては、しっかりと保護者の方々と御相談しながら、対応を考えていくつもりでございます。それから、2点目の給食の件につきましては、今後こういった案件については、公開ということも十分視野に入れながら対応していきたいと思っております。今回はこういう判断をさせていただきましたが、同様の事例が万が一起こった場合については、関係者の御意向もしっかり聞いた上で、先ほど私が申し上げました公開ということをした方が、他の給食をやっておられる学校に対するメッセージであるとか、注意喚起であるとか、様々な効果も期待されますので、その辺はしっかりと考えていきたいと思います。
読売新聞
保護者の意向というのはわかるのですけど、実際その保護者の方とお話をされる学校であるとか教育委員会の方が、どのように意向確認しているかということが問題だと個人的には思っています。「公表しますか、しませんか」と聞いたら、保護者の方は、いやですと言うに決まっていますよね。自分の子どもの何をどこまで公表するかは、保護者の方はわからないわけですから。今、私が質問する2件については、明確に学校のミスの部分があるわけで、保護者と児童関係なしに、学校としてこういうミスをしましたと発表するのは可能なのではないでしょうか。1件目の生徒さんが亡くなってしまった事案についても、最初児童生徒というような発表をものすごくぼかしてされていますし、それはやり方があると思うので、公表しないのを保護者の意向だと言ってしまって、それを盾に公表しないとしか今の対応だと思えないのですが、その点教育長としてどうお考えですか。
教育長
私どもとして、まずは、先ほど申し上げましたように、公開する、公表するということを基本に考えてお話をさせていただいております。ただ、どういうレベルでどういう形で公表するかによって、ある個人が特定されてしまう、そういうことが、いろいろと周囲に知られるという可能性もあります。ですから今、おっしゃられたように、どういう形で公表すれば、それがクリアできるのかということは、少し我々も検討する余地があると思っております。どこまで公表して、ここはやはりちょっと公表は差し控えさせていただくということも、十分検討するということはあると考えております。
読売新聞
公表を基本とおっしゃるのだったらそうあるべきだと思うのですが。今後、基本的に公表は、アレルギーの話だと公表していくということですが、これは学校が完全にミスをしたわけですよね。
教育長
そうでございます。
読売新聞
そういう事案についても基本公表していくということでよろしいですか。
教育長
はい。
読売新聞
保護者の意向もあるかもしれませんが、学校がミスをしましたということについては公表するということですね。
教育長
先ほども最初に申し上げましたように、個々の案件がありますので、その事情をやはり勘案した上で、ただ、基本は公開だということは思っております。
読売新聞
わかりました。
京都新聞
先ほどの件で確認なのですが、アレルギーの方も保護者の方が公表を希望しないという意向だったということなのでしょうか。
司会
個別の内容はのちほど時間をとります。
京都新聞
教育長御自身が、それぞれ案件について報告を受けたのはいつになりますか。
教育長
私がそれぞれの案件について報告を受けたのは、ほぼ当該日か当該日の翌日ぐらいでございます。
京都新聞
健常者でもアレルギーの話であれば、とても大変な話であると思うんですけれども、より手厚くしないといけない養護学校での発生ということについて、やはり情報共有をしないという点からも、公表すべき案件だったのではないかなと思います。先ほどのお話の中で、ファイルの方は保護者の方の意向ということで、アレルギーについては、そこら辺はおっしゃらなかったので、そこが個別の事案かもしれないですけれど、そこがどうだったのか気になります。
教育長
確かにファイルにつきましてはあくまで個人の場合でございますので、個人情報の問題なので、やはりその個人情報が載っている子どもさんの保護者に確認するということが必要です。当然アレルギーについても、ある児童のことであります。ただこの案件につきましては、その後、学校現場で必要な対応をして、保護者にも御連絡を申し上げ、病院に搬送し、幸いなことに無事退院されて、学校に通っておられるということでございましたので、そういったことを総合的に勘案して公表という手続になりませんでした。ただその判断が、本当に今、今日ここで私が考えるのであれば、もう少し、しっかりと考えたほうがよかったというのが私の素直な感想でございます。
京都新聞
保護者の方の御意向がなかったにもかかわらず、このアレルギーのことで公表がなかったということは、それを見ていると隠しているのではないかと思われても仕方がない印象を受けますが、現在、明らかになっていないことで、他にそういった事案はないでしょうか。
教育長
学校現場において、子どもに関わっていただいておりますので、我々、県立中学校、県立高等学校、県立特別支援学校を所管しております。様々な出来事が起こり、全て私に挙がってくるわけでございませんが、一定のレベルのものが私に挙がってまいります。その中におきましては、場合によっては、今申し上げたようなことを考えて、全て公表してるわけではございませんので、全くそういった案件がないというのをここで申し上げることはできないという状況でございます。ちょっと幅が広いので、今記者がおっしゃっているのがこの給食のような案件ということなのか、もっと幅広く学校現場全ての案件なのかというところなのかが。
京都新聞
まず、特別支援学校での給食でアレルギーが起こった事案が、少なくとも他ではないのかどうか。今のところはどうですか。
教育長
私としては聞いておりません。
京都新聞
その他でも、例えば同じ特別支援学校で問題が起こったようなことがあるとか、そういった報告は今のところないということでよろしいでしょうか。
教育長
聞いておりません。
京都新聞
校外学習中に生徒さんが、御飯を食べていて喉に詰まらせ亡くなられた案件が事故であったという会見がありましたが、今回のアレルギーの問題にしても、例えばですけれども、同じ学校で相次いて問題が起こったっていうことに関して、先生が不足しているだとか、何かしら原因的なものとして、教育長が考えておられる点というものはありますか。
教育長
確かに、特別支援学校で引き続き、こういう事件事故が起こったことは、非常に重く受け止めなければならないと考えております。学校現場がどういった体制になっているのか、先生方がどういった形で日々、学校経営・学校活動していただいているのかということも含めまして、しっかりと検証をして、もし課題があれば、その課題解決に向けて取組をしたいと考えております。
京都新聞
今のところ、その課題となるようなことは見当たらないということでしょうか。
教育長
そうでございます。一つひとつの案件につきましては、発生した状況を見て、それぞれの先生方が、その場その場に応じて、適切に御対応いただいたものとは認識しております。ただ、そうであれば、全く問題は起こらないはずだというふうに思いますので、起こっているということについて、どういった課題なり、問題があるのかということは、しっかりと確認をしていく必要があると思っております。
読売新聞
そのファイルの件については個人情報、アレルギーについては保護者の意向があるから確認しないといけないとおっしゃるんですけれど、個人情報が流通するような事案は知事部局でもあると思うのですが、教育長はおられたからよく御存知だと思うんですけれど、知事部局は、どんな些細なことでも発表していると思います。一方で、教育委員会は、個人情報や保護者意向だと言われるのですが、個人情報は行政なら教育委員会にかかわらず関係してくることで、保護者は知事部局では関係ないかもしれませんが。もっと軽微な事案でも発表していると思うんですけど、その辺どうですか、それを改めて個人情報を確認しないと発表できないのでしょうか。
教育長
私も記者がおっしゃるように、知事部局でも長く勤務してまいりましたので、発表、公表というのが基本だと先ほどから申し上げています。ただ、学校現場におきましては、未成年の子どもたちとその保護者という形で配慮させていただいております。そういったことで、知事部局とはまた違って、いろいろと配慮なり考慮しなければならない事柄があるということは認識をしておりまして、そのことは、記者の皆様方にも御理解をいただきたいと思っております。知事部局ですとどちらかというと、ある特定の大人とか事業所とかを対象にする案件が非常に多いので、かなりの部分で発表されているとは思いますが、全て私も知事部局の案件を存じ上げているわけでありませんので、個人情報案件を全て公表されているかどうかということをここでお答えするものを持ち合わせていないです。
読売新聞
個人情報を全て開示してくれと言っているわけではなくて、新聞報道で見ていただいたらわかるとおり、特別支援学校の生徒さんが亡くなったときも、配慮して書いています。マスコミは別に誰であるかを特定したいわけではなくて、要は、そちらが発表さえしてくれれば我々も書きようがあるので、ただそれを全面的に発表しないという判断はいかがなものかということを申し上げたいのです。その辺ちょっと考え直していただけますでしょうか。
教育長
今おっしゃられた趣旨は私も十分理解をいたしますので、その辺をどういうふうな形でお出しすることができるのかというのは、私も関係の課長なりとも相談をして検討したいと思います。それぞれ、小・中・高・特別支援それぞれの学校の現場がありますので、そのことは、そういう現場の実情をよく知っている方々ともしっかり話をして、検討をしていきたいと思います。