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令和4年11月定例教育委員会

開催日時

令和4年(2022年)11月18日(金曜日)午前9時30分から午前10時30分

開催場所

県庁新館4階教育委員会室

出席委員

  • 教育長 福永 忠克
  • 委員(教育長職務代理者)土井 真一
  • 委員 岡崎 正彦
  • 委員 窪田 知子
  • 委員 野村 早苗

議事次第

議案
公開 第40号 滋賀県教育委員会等に係る行政手続等におけるインターネット利用等に関する規則の一部改正について 教育総務課
報告
公開 令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査等の結果の概要について 生徒指導・いじめ対策支援室
公開 令和4年度滋賀県いじめ問題対策連絡協議会について 生徒指導・いじめ対策支援室

会議録

1 開 会

●教育長から開会の宣告があった。

●教育長から出席者の確認があり、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第14条第3項の規定により、会議の成立が確認された。

●事務局から説明員の出欠について報告があった。

2 非公開事件の確認

●教育長から、本日の議題についてはすべて公開で審議すべきとの発議があり、全員異議なく了承された。また、審議の順番については、公開議案、報告事項の順で審議することが確認された。

3 会議録確認

●10月18日開催の定例教育委員会に係る会議録について、適正に記録されていることを確認し、承認された。

4 議事(議案:公開)

●教育長から、第40号議案「滋賀県教育委員会等に係る行政手続等におけるインターネット利用等に関する規則の一部改正について」、事務局に説明を求める旨の発言があり、事務局から資料に基づき説明があった。

●主な質疑・意見

 特になし

●教育長から、第40号議案について採決する旨の発言があり、全員一致で、原案どおり可決された。

5 報告(公開)

●教育長から報告事項ア「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査等の結果の概要について」、事務局に報告を求める旨の発言があり、事務局から資料に基づき説明があった。

●主な質疑・意見

(岡崎委員)

小学校における暴力行為の件数の増加が著しい。増加の要因はこれまでと同様に、学校側が早期に対応するよう努めたことによるものか。それとも、発生要因等に変化がみられるのか。

(生徒指導・いじめ対策支援室長)

小学校の暴力行為が近年増加している要因については、1つはいじめ防止対策推進法の制定以降、教員がこれまで担任レベルで対応していた事案について、学校全体で組織的に対応するようになったため、報告件数が増加したことが挙げられる。

一方で、1年間に2回以上暴力行為を起こす児童がいる学校が複数あるなど、暴力行為がなかなか減少しない実態がある。そういった学校を集中的に訪問し、実態把握に努めているところ。中には子どもの背景をしっかりとアセスメントすることで、暴力行為が収まっている学校もある。

(岡崎委員)

右肩上がりに増加が続いているが、早期の組織対応による把握件数の増加がある程度落ち着いた上で、暴力行為を要因別に把握できる仕組みが望ましい。

(野村委員)

資料の4ページの公立中学校に関する記載に、「家から興奮した状態で登校し、職員室で教師に物を投げた」とあり、学校だけの問題ではないと感じた。

家庭においても、しっかりと落ち着いた状態で学校に送り出すことが必要だと感じた。

(窪田委員)

長期欠席者の欠席期間はどのような状況か。例えば小学校2年生で不登校傾向になり、それ以降ずっと続いていく子どもが多いのか。それとも、いじめ等が背景にあり、それが解消されることで、3年生以降は登校できている子どもが多いのか。

長期的に見た場合の変容について把握されているか。

(生徒指導・いじめ対策支援室長)

近年の傾向としては、5年前、10年前と比較して、小学校低学年の不登校が明らかに増加している。2年生、3年生で不登校になり、2、3学年継続する状況が一定数見られる。

いじめによって不登校になる子どもが若干数あり、これはいじめ防止対策推進法に照らした場合、いじめ重大事態に該当する。昨年度も小学校、中学校で、いじめ重大事態の調査に取り組み、支援策を示すことで改善したケースがある。

まだまだ把握できていない事案があることを想定し、危機感を持ちながら、感度を高くして取り組んでまいりたい。

(窪田委員)

今は新型コロナウイルス感染症の影響もある。最初はそれが要因で学校へ行きづらくなり、その後に継続的な不登校に陥ってしまう場合もあれば、一方で、安心・安全が保証されることで、登校できるようになる場合もある。

調査で把握することは難しいと思うが、それぞれのケースに寄り添うことが大切である。全体としての数を把握しつつ、一人ひとりの子どもが安心して学校に行けるようになるよう、見取っていきたい。

(土井委員)

1点目は、暴力行為、いじめ、不登校のそれぞれについて、この調査結果の元となるデータを分析し、原因や影響のある要因等を明らかにする必要がある。

ただ、教育委員会事務局でこういった分析を行うことは難しいので、データサイエンスの専門家に依頼するなどして、様々な条件設定をしながら分析をすることが考えられる。

個別のケースをしっかりと見ることは、質的な分析として重要であるが、データを定量的に分析することで、要因が数字として見えることもある。

この点は、今回の問題だけでなく、教育政策一般について、取り組む方がよい。

2点目は県教委の対策として挙げられている、知事部局やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等との連携であるが、この点についてはかなり以前から言及されており、そろそろ具体的に取り組む必要がある。

教育の側から見て連携が不十分であり、改善が必要な部分については、議論の機会を設けて、具体的な対策を考えるべき段階であり、必要に応じて様々な部門や団体と、事務局または教育委員会として、協議をする必要があると思うので、精査していただきたい。

(生徒指導・いじめ対策支援室長)

まず分析について、事務局の担当者では十分な分析ができていないのが現状である。

不登校は近年増加しているため、今年度、不登校対策研究会議を開催し、学識経験者や医療関係者、心理・福祉関係者、民間団体の代表者に参画いただいて当県のデータを示し、違った視点で見ていただく機会を設けた。

また滋賀大学との連携で、不登校いじめ委員会を開催しており、そこでもデータを示しながら、大学教員から違う視点で分析をしていただき、施策に役立てるよう取り組んでいるところ。本来であれば民間の分析会社に依頼できるとよいが、そこまでには至っていない。

 次に他部局等との連携について、教育と福祉との連携は近年かなり進んできていると考えている。例えば学校からは、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの学校への常駐や、訪問回数の拡充を望む声が出ている。

(土井委員)

外部の専門家にデータを見せて、我々とは異なる観点から意見を聞くことは大事である。

 しかし今後は、それだけではなく、その基礎となるデータの処理・解析の仕方についても改善を図るべきである。統計的数値の経年変化や事象の割合を見ることも大切であるが、各要素の相関の有無などについてもデータ分析を行っていく必要がある。

例えば、各部門の専門家が分析に必要とする資料を作成するためには、データ処理の専門家に参画いただき、各分野の専門家と事務局でデータを基に一定の仮説を立て、その仮説に基づいてデータ分析を行い、その上で仮説が有効であると考えられる場合に、それに基づいて重点的な施策を行い、さらにその結果についてデータを収集することなどが考えられる。

研究会の形式等で、例えば滋賀大学のデータサイエンス学部の専門家に参画いただくことができればよいのではないか。データ処理の専門家は教育の専門家である必要はなく、教育の専門家とデータ解析の専門家が協働することが大切である。

(福永教育長)

学力や不登校、いじめ、読書と学力の関係等について、教育に関するデータをデータサイエンスの中でどのように扱うか話題になっている。データの活用方法や収集方法等について、関係部局と調整してまいりたい。

(岡崎委員)

子どもたちにタブレットが配布されているので、その使用状況についても、専門家であればデータの収集に活用できるのではないか。

有効に使えるものはリソースとして活用し、リアルタイムに子どもたちの状況を把握することで、困っている子どもや家庭に対応できると思うので、検討していただきたい。

(福永教育長)

タブレット端末の使用状況を把握することで、その特徴から子どもの変化を捉えることができれば、仮説を立てながら対処することができる。

現状ではタブレットの活用がその段階まで至っていないが、今後、その活用について検討を進めてまいりたい。

●教育長から報告事項イ「令和4年度滋賀県いじめ問題対策連絡協議会について」、事務局に報告を求める旨の発言があり、事務局から資料に基づき説明があった。

●主な質疑・意見

(岡崎委員)

協議会における小森委員の発言にあるように、人権意識を育むことが、子どもたちが自分を大切するにすることや、相手を大切にすることに繋がってくると感じている。

幼少期から考えた場合、人権意識を育てるためには、家庭内での保護者の関わり方が大切であり、保護者をサポートする地域社会や、家庭が充実できるよう、困ったところに手を差し伸べる福祉面でのサポートが重要である。

そういった切れ目のない連携と、原点としての家庭をサポートするための対策を検討していただきたい。

(人権教育課長)

御指摘のとおり、まずいじめや差別を許さない学校づくりを進めることが重要だと考えている。

学校教育の基盤に人権教育を位置づけながら、一人ひとりの人権感覚を高めることと同時に、一人ひとりの自尊感情を高めていくことが重要だと考えており、そのための取組を進めてまいりたい。

(土井委員)

いじめや暴力行為、不登校の相関についてもデータを分析する必要がある。

問題を抱えている子どもがその問題を発現させる方向性として、大きくは、外に対して攻撃的になるか、内に閉じこもるかの二通りがある。

そのため、他人に対する攻撃的な行為や問題行動を止めようとすると、反対に不登校が増えてしまうことになりかねない。

また、不登校を解消して学校に来させると、その不満が他者に対する暴力行為になる可能性もある。

人権を考えるときには、相手の人権と本人の人権が共に大事である。先ほど人権教育課長の発言にあったように、自尊感情が重要で、自分の自尊感情と他人の自尊感情を大切にする必要があり、子どもが問題を抱えている場合に、他人を尊重することばかり強調すると、本人が潰れてしまう危険がある。

この3つの問題は共通の原因がある可能性があるので、その原因への対応を考えずに、無理にどれかを減らそうとすると、その他の問題が増えてしまう可能性がある。

また、いじめについては一過性の場合が多いかもしれないが、先程の調査でも、毎年の調査結果を数値として把握しているため、それぞれの子どもについて、不登校が続いている期間や、繰り返し暴力行為を行っている期間、いじめを受けたり、いじめを行ったりしている期間については、数値が出ていない。

不登校については、中学校や高校の段階で減少しているし、いじめについても減少しているが、それは発達段階に応じて解消されているのか、それとも問題を抱えた子が高校に進学できていないのか、実際に課題に対応していくためには、このような点を分析することが重要である。

生データの取扱いは、プライバシーの問題があるため難しいが、課題への対応には現状の分析が不可欠なので、できる限り視野を広げて分析していただく必要がある。

(窪田委員)

協議会でもいじめに介入できる子どもを育てていくことが重要との意見があった。詳細は不明だが外国のデータで、小学校高学年から中学生にかけていじめの傍観者が減っていき、反対に仲裁できる生徒が増えていく国がある一方で、日本の場合は傍観者が中学校3年生まで増加し、反対に仲裁者は減少していき、その状況がいじめをより長期化させてしまう。

そういった点では、子どもたち同士がいじめに対して、それぞれが当事者としての意識を持つことが重要であり、それが人権意識に繋がり、また学級集団づくりや子どもたち同士を繋ぐことにも関わってくると思う。

教育において大事にしたい視点から、アプローチすることも重要である。

(生徒指導・いじめ対策支援室長)

いじめについては、学年別のデータを示していないが、法律制定後しばらくは小学校5年生がピークであった。

しかし、法律の定義に基づいて子どもたちの行動を観察していくと、小学校低学年の子どもたちの行為が、いじめの意思がない場合でも、その定義に該当するため、近年では小学校2、3年生における件数が増加しており、小学校2年生をピークとして6年生まで減少し、その後、中学1年生で若干増加し、また高校3年生にかけて減少していく傾向が、滋賀県を含め、全国的にみられる。

小学5年生のいじめ件数が多かった時期に調査を実施し、5年生よりも6年生が少ない要因を小学校の教員に対して質問をした際に、6年生になると学校の中心として活躍する場が増えていじめをしなくなる、またそのような暇がなくなると回答した学校が多くあった。

子どもたちが頑張れる場所、活躍できる場所を与えることで、子どもたちの自己肯定感や自己効力感、自信を育んでいく取組が重要であると考えている。

(福永教育長)

学校現場ですべての子どもたちにとって、自分の出番や居場所があることが望ましい。

また、窪田委員の御指摘のように、子どもたち自身でいじめをなくしてくことができるような取組を進めていく必要があると思う。

傍観者にならずに、主体的に考えて行動できる子どもを育てることが大事だと感じている。

(野村委員)

人権週間等の機会に、広報誌や地域の回覧等を見ると、小中学校の子どもが人権に関してしっかり学習していることが実感できる。

子どもたちが自分の感情をいじめに向けず、自分の夢ややりたいことに一生懸命に取り組める環境があり、そういった気持ちを子どもたち一人ひとりが見つけることができ、また周りの子どもたちが応援できるような環境を構築していくことができれば、みんなで頑張っていこうという機運が高まるのではないか。

いじめがあった場合に、それはおかしいと子どもたち自身が感じて、発信できる力を備えていってもらいたい。

本当に自分が困っているときに、それを発信する力があって、そしてそれを見過ごさない子どもを育てる教育ができればよいと思う。

(土井委員)

窪田委員や野村委員の御指摘は正しいと思う。ただ、それはおかしいと口に出すことはもめごとにつながるし、場合によっては暴力行為を生むかも知れない。しかし、それでも黙って誰か1人が苦しむよりは、言うべきことは言わなければいけないと教育するのであれば、もめごとの総量が増えることも覚悟しなければならない。問題が隠れているよりは、教員の目の前に現れる方がよいと考えるならば、教員はその明らかになった問題を受け止めなければいけない。

日本人は人権の尊重を、もめごとを起こさないようにしようとして説くが、人権はもめごとを起こす原因になることを理解すべきである。

全体としてうまくいっていると思う人が多い中で、それはおかしいと問題を指摘することは、大変な心理的負担であり、子どもたちは集団の中でもめごとを起こさず、うまくやろうとするから言わなくなっているのではないか。

問題が解決するきっかけになるのであれば、もめごとが起こること自体は悪いことではない。また問題を指摘した子どもに、こんなことを言わなければよかったと思わせてしまうことのないようにする強い覚悟がなければ、人権の尊重はお題目になってしまう。

いじめ、暴力行為、不登校の件数については、これら3つがどのような関係で発生していて、それが良い兆候であるのか、悪い兆候であるのか、注意して分析しながら、課題の解決に向けて取り組まなければならない。

(人権教育課長)

土井委員の御指摘のように、反差別の生き方に繋げていくためには、ある程度もめごとを覚悟しなければならないというのはもっともであると思うし、同時に一人ひとりに自分は大切にされているという自尊感情を育んでいくことが欠かせないことだと考えている。

子どもたちに関わる全ての大人が、一人ひとりの子どもたちがかけがえのない存在だという思いを持って関わっていくことで、自尊感情を育んでいくことに繋がると思う。家庭や地域に対してそういった啓発をしていかなくてはならないと感じている。

6 閉 会

●教育長から、本日の議事が全て終了した旨の発言があり、閉会の宣告があった。

お問い合わせ
教育委員会事務局 教育総務課 企画係
電話番号:077-528-4512
メールアドレス:[email protected]
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