更新日:2026年9月7日
STEP5 未来へつながる琵琶湖システム
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琵琶湖地域では、漁業者に加え、農業者、林業者、消費者やNPO、研究機関、企業等、様々な主体がシステムの保全に参画してきています。
自然に寄り添う暮らしの中で、伝統的に培われてきた水や生きものを大切にする価値観が、現代にも受け継がれています。代表的な取組を紹介します。
琵琶湖を守る活動
1 「びわ湖の日」
琵琶湖において毎年7月1日は特別な日です。この日を中心に、琵琶湖集水域一円において、地域の住民や企業の皆さんが一斉に参加する清掃活動が行われています。
この活動は、1971年に漁業者が琵琶湖の状況を憂い、一斉休漁して、清掃活動を始めたことがきっかけです。その後、1980年の同日、富栄養化の防止に関する条例を、滋賀県が全国に先駆けて施行し、翌年にこの日が「びわ湖の日」と定められました。

びわ湖を美しくする運動(清掃活動)の様子
2 ヨシ帯の保全と水草の利用
伝統的に様々な生活資材に用いられてきた湖辺のヨシ帯は、水質や生態系の保全にも役立つ存在です。このヨシの保全にも、多くの企業や地域の皆さんが参画してきています。
生態系の保全を積極的に定めた全国初の条例である「滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例」(1992年施行)に基づく保全に加え、琵琶湖周辺の100を超える企業で構成される・「ヨシでびわ湖を守るネットワーク」による取組も行われています。このほかにも、地域の自治会や市、学校、企業など様々な団体がヨシの植栽や刈り取りといった保全活動を行っています。
こうして刈り取られたヨシを、紙の原料として有効利用する取組も進められています。


ヨシ帯保全に取り組む企業の皆さん
(写真提供 ヨシでびわ湖を守るネットワーク)
また、琵琶湖、特に南湖で増えすぎた水草を刈り取り、堆肥化し、かつてのように農地で利用する取組も進められています。年平均で約500トンの水草堆肥が畑などで利用されています。

3 湖魚(在来魚)を守る
(1)外来魚ノーリリース
1980年代から増加してきたブラックバスやブルーギルによる在来魚に対する食害を低減させるため、漁業者による外来魚の駆除に加え、釣り人による「ノーリリース」など、大人から子どもまで地域の皆さんも参加する取組を行っています。こうして捕獲した外来魚を、堆肥として活用する取組も進めています。

外来魚釣り大会のチラシ

(2)河川での産卵サポート
琵琶湖への流入河川では、重要な漁獲対象魚種で「琵琶湖の宝石」と言われるビワマスのために、魚道設置や産卵床整備を支援する住民協働の取組も生まれています。

ビワマスの産卵床に適した河床環境の改善

河川に設置した魚道により遡上するビワマス、
エサを待ち受けるサギもいる(写真提供 米原市)
次世代につなぐ
1 みんなでつながる場
琵琶湖システムに代表されるような、環境と経済・社会活動をつなぐ健全な循環を構築していくため、琵琶湖をとりまく地域・流域において、力を合わせる取組が進められています。
その代表例が「MLGsみんなのBIWAKO会議」です。MLGsとはマザーレイクゴールズのことで、豊かで美しいびわ湖を次世代に引き継ぐための「琵琶湖版のSDGs」です。
「MLGsみんなのBIWAKO会議」は、県民、事業者、研究者、行政がフラットに、琵琶湖のこれまでとこれからについて話し合う場であり、MLGsの評価報告や取組実践者が登壇する分科会を通じて、意見交換や情報共有、参加者相互のネットワークづくり等を行っています。

多様な人々が一堂に会し、つながりあう
「MLGsみんなのBIWAKO会議」
2 子どもたちのプログラム
地域の子どもたちが、「琵琶湖システム」を学ぶ場として、漁師さんの協力により漁業体験などが行われています。

多彩な湖魚を目にできるエリ漁の漁業体験
また、琵琶湖の学習船で航海しながら水や生きものとその恵みについて学ぶ「うみのこ」プログラムや、水田や森と、琵琶湖との繋がりについて学ぶプログラムも、小学生を対象に展開されています。
最近ではこれらの集大成として、「世界農業遺産」について学び、学習成果を地域で発表する小学校もあり、子どもたちの自主的な学びが高く評価されています。

琵琶湖の水や生きものとその恵みについて学ぶ
「うみのこ」

水田の営み等について学ぶ「たんぼのこ」

琵琶湖の水源林の重要性について学ぶ「やまのこ」

子どもたちの自主的な学び
3 琵琶湖システムを生かした体験型ツーリズム
琵琶湖地域の文化を体験できるエコツーリズムやグリーンツーリズムは、琵琶湖システムの価値や意義を楽しみながら学べる場となっています。
フナズシの漬け込み体験講習はその一例です。受講者数は年々増加しており、琵琶湖でのクルージングと一体化したツアーも人気を博しています。
また、琵琶湖独自の湖魚料理や、魚と共生しながら水質を保つ農村文化について、学び、体験するプログラムも人気です。
さらに、修学旅行生や海外からの旅行客を受け入れる農家民宿も、近年増加しています。

湖辺を中心に各地で開催され人気を博す フナズシ漬け込み体験講習
4 世界とともに(国際貢献)
世界的な課題である淡水資源の持続的な利用に向け、積極的な情報発信や世界との連携にも取り組んでいます。
「世界湖沼会議」はその代表例です。湖沼の問題に関する国際会議(世界湖沼環境会議)を、滋賀県が世界で初めて提唱・開催(1984年)し、その後、五大湖を有する米国ミシガン州での開催(1986年)以降、概ね2年に一度、世界各地で開催されています。
また、「世界水フォーラム」への参画も挙げられます。2003年には、当地域(琵琶湖・淀川流域)が開催地になっているほか、第8回目の開催(2018年3月ブラジル)では、「湖沼環境保全の重要性」について滋賀県と姉妹提携しているミシガン州(米国)、リオ・グランデ・ド・スール州(ブラジル)とともに世界に発信しました。
さらに、毎年、琵琶湖では海外からの研修生を受け入れ、水質・生態系の保全や、エリ漁等を用いた資源保全型漁業について、現地研修も行っています。

湖沼に関し世界的な連携を呼びかけた初めての国際会議
(世界湖沼環境会議1984年・大津市)

エリ漁についての研修